『そのことはできる、それをやる、と決断せよ。 
それからその方法を見つけるのだ。』  

リンカーン(アメリカ合衆国第16代大統領) 



AD
 着せ替え人形のリカちゃんは来月で発売から50年を迎える。大きく変わったのが、パパの存在感であろう。フランス人のピエールは当初「行方不明」という設定だった。ママや妹と違って影が薄く、長いこと人形すらなかった

 それが最近は商品カタログで料理をしたり、子どもたちを風呂に入れたりと、なかなか家庭的である。1年間の育児休業も取ったらしい。さて、この半世紀、日本の父親たちはどこまで変わったか。あすは父の日

 家庭を顧みないスタイルは疎まれ、子育てに熱心な「イクメン」がもてはやされる昨今である。しかし、作家の川上未映子さんには引っかかる。「ちょっと手伝っただけで『イクメン』とかいわれてさあ……女の場合はなんて呼べばいいのですか。そんな言葉ないっちゅうねん」  

 「育児をやってくれている」「手伝ってくれている」という言葉を女性が使ってしまうことにも疑問を投げかける。育児は対等であるべきなのにと子育て体験記『きみは赤ちゃん』で書いている。我が身を振り返っても耳の痛い話である

 総務省によると、6歳未満の子がいる世帯の夫が家事や家族のケアにあてる時間は、増える傾向にはある。それでも最新の2011年の調査では1日あたり1時間7分で、妻の7分の1にすぎない。前進しつつもあまりに遅いというべきか

 父親って何。どうあるべきなの。父の日に思いをめぐらすのはいかがだろう。お父さんもお母さんも、将来そうなるかもしれない人たちも。 

【6/17 朝日新聞・天声人語】
AD