列島が梅雨空に覆われる6月はホタルの光が目を楽しませる時期でもある。清少納言(せいしょうなごん)は枕草子(まくらのそうし)の「夏は夜」のくだりで「蛍の多く飛びちがひたる」と闇夜に舞う様をたたえている

 そのホタルを東京都心、それも皇居外苑で保護する取り組みを環境省が進めている。皇居や外苑の限られた堀の一画で細々と生息していたヘイケボタルを別の場所で飼育・増殖し、再び放虫して定着させようとする試みだ

 ホタルは同じ種類であっても、地域によって遺伝子のパターンなどに特徴がある。この皇居ボタル、遺伝子解析の結果によると関東の土着種で、江戸城のころから堀にすんでいた可能性があるという

 保護活動に協力しているホタル研究家、大場信義さんは「ホタルが東京の真ん中で生き続けたのは、奇跡に近い。石垣の隙間(すきま)をすみかに使ったのかもしれません」と分析する。今春、外苑・北の丸公園の水場に初めて幼虫を放ったところ、先月から成虫の発光が確認されている

 開発が進むにつれ、多くの地域でホタルは消え去った。大場さんは「観光用のホタル乱舞もいいが、個体数は少なくとも、地域に根付いた野生ホタルを守ることに目を向けてほしい」と訴える

 清少納言はホタルについて「ただ一つ二つなど、ほか(ほのか)にうち光て行くもをかし(趣がある)」とも評している。ちらほらとホタルが野や水辺に舞う様は、日本の原風景でもある。都心でひっそりと命をつないだホタルの光も、そのひとつとして守りたい。 

【6/13 毎日新聞・余録】
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 米国は“人種のるつぼ”といわれる。西海岸のシアトルにも多様なルーツを持つ人々が存在し、街は異なる価値観を受け入れる雰囲気にあふれていた

 シアトルの人々は友好的な一方で、親しい友人になりにくいという。それを表す言葉が「シアトル・フリーズ」。「フリーズ」は「凍結」「固まる」等の意味。自分とは違う他者の考えにも理解は示すが、自分の“本音”はなかなか語らない。心の奥を知ろうとする相手には、拒否反応を示す傾向があるそうだ

 “建前”で語り合っても、本当の友情は築けない。そうした状況の中でSGIの友は、どう対話を広げているのか。男子部のリーダーが、三つのポイントを挙げた。「友の心を開く祈り」「友を信じる真心」「友に語り抜く勇気」と

 「祈り」「真心」「勇気」――日本の私たちも実践していることだ。今、シアトルは全米をリードする広布拡大を成し遂げているが、そこに何か特別な方法があったわけではない。「『御書』と『師弟』が、シアトルの“驀進”の原動力です」との彼の言葉が、強く印象に残った

 「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし」(御書1192ページ)を心に前進したい。“広布の壁”を破る力は、どこまでも師弟を根幹とする「法華経の兵法」である。 

【6/13 聖教新聞・名字の言】
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