イフタールとはラマダン(断食月)の日没後の最初の食事である。日中は飲食を断っていたイスラム教徒だが、断食が解ければ大いに食べ、飲み、語り合う。この時によく食べる料理やお菓子がある

 カターイフは丸いホットケーキのような生地でナッツやチーズなどを半月形にくるんで揚げた菓子という。また細麺状の生地を使ってチーズなどを包むのはクナーファという菓子で、どちらも甘いシロップをたっぷりとかけて食べる 

 そのラマダンのさなか、イフタールの料理や菓子に欠かせぬ砂糖まで禁輸措置を受けたカタールである。突然にもサウジアラビアとその近隣諸国、エジプトなどから「テロを支援している」などとして外交関係を断絶されたのである 

 カタールといえば衛星放送アルジャジーラの本拠で、2022年サッカー・ワールドカップ開催国だ。中東に駐留する米中央軍の対テロ作戦基地もある。不可解な断交の舞台裏にはサウジの仇(きゅう)敵(てき)イランとの関係への疑念があるようだ

 驚いたのは、断交の背景にロシアの偽ニュース工作があったとの米CNNの報道だ。サウジが断交理由としたカタールからの報道が謀略だと米専門家が確認したというのだ。むろん真相はなお不明で、募るのは疑心暗鬼(ぎしんあんき)ばかりである

 おりしもイラン議会では発砲事件が発生、こちらも背景はまだよく分からない。イスラム教徒が世界的な連帯感を盛り上げるはずのラマダンである。なのに続発するイスラム教徒分断の奇妙な動きから目を離せない。 

【6/8 毎日新聞・余録】
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