程度のはなはだしいさまを「底抜け」というが、年配の世代なら往年の米喜劇俳優ジェリー・ルイスの一連の映画「底抜けシリーズ」を思い出すかもしれない。「底抜け」は勝手に日本側でつけた邦題だった

 この言葉に喜劇性を感じるのは映画のせいかと思ったら、もっと昔の文章でも「底抜け」は「楽天性」「明るさ」「上機嫌」「お人よし」などを強調するかたちで用いられている。「間抜け」にも通じるとぼけた感じがいいのだろう

 もっとも英語で底の抜けた穴(bottomless pit)といえば地獄のことという。日本の「底抜け」と米国の「ボトムレス」の不幸な出合いから生まれた国内製造業で過去最悪の1兆100億円の赤字である。もちろん東芝のことだ

 「ボトムレス」とは果てしなくお金をのみ込んでいくマネーピット(金食い穴)と化した米子会社の原発事業のことである。かたや「底抜け」は原発事業を楽観して米社を買収し、知らない間に巨額の損失を抱え込んだ経営のことだ

 ともかく原発事業の底なし穴を切り離し、稼ぎ頭の半導体事業の売却で損失を埋めぬことには債務超過から抜け出せない。この間の経営陣の手際のほどを見れば不安もつのるが、さしあたりは半導体事業の売却価格が命運を左右する

 底抜け経営陣のドタバタ喜劇は、こと株主や従業員、取引先にとっては地獄の責め苦にほかならない。高収益事業を売り払っての企業再建はなるか。まずは経営の「底」を固めねばならない東芝の剣が峰である。 

【3/31 毎日新聞・余録】
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 紫・白・桃色など、鮮やかな色で見る人を引きつける菖蒲の花。武道を尊ぶ志を表す“尚武”と同じ読みであることから、江戸時代、武士の間で広まり、特別な思いをもって観賞されたという。3日間ほどの開花のために1年間、手塩にかけて育てられる 

 1973年(昭和48年)3月、東京・目黒の同志は、池田先生との記念撮影会の折、その花を“勝負”になぞらえ、会場に届けた。本来は初夏に咲く花。日本各地を訪ね、見つけ出した友の真心に、師は深い感謝を寄せ、人生勝利への強い心をたたえた 

 花を調達し、生けた婦人部員に先日、話を聞いた。第1次宗門事件の嵐が吹き荒れた79年(昭和54年)3月、婦人は生涯不退の誓いを込め、再び学会本部に菖蒲の花を届け、正義の対話に奔走した

 以来、毎年3月に“勝負の花”を求めては、師弟共戦の歴史を刻んだ。その情熱によって、地域に揺るぎない人材のスクラムが築かれた。91歳を迎えた婦人は今春、40回目の“師弟の菖蒲”に込めた決意のまま、さっそうと友情の語らいを広げる

 菖蒲の特徴は一つの花茎から2度、花が咲くこと。がくの中のつぼみが育ち、一番花の開花に続いて、二番花が力強く開く。広布誓願の大輪もまた、弟子が師に続いて、不二の心で進む中に輝いていく。 

【3/31 聖教新聞・名字の言】
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