【3月の言葉から】

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【(天声人語)3月の言葉から】

 風化や忘却という言葉が目についた。3年という時間はやはり長いのか。それでも大震災と原発事故の記憶を洗い流すことなどできない。春本番の3月の言葉から。

 復興は長期戦だ。岩手県釜石市のNPO「いわて連携復興センター」の鹿野(かの)順一代表は、子ども世代に注目する。「中学生の中には、都会に出ても、将来は戻ってきたいと言う子が多い。それまで僕らがまちを預かり、自信を持って手渡したい」。

  図書館の本が大量に破られた事件に急展開があった。『アンネの日記』を心の糧にしてきたという作家の小川洋子さんは「苦しみを感じている人たちにとって、きっと手助けになり、寄り添ってくれる本。若い読者が興味を持ってくれるなら事件は無駄にはならない」。

 出直し大阪市長選の告示日は大阪での大相撲春場所の初日と重なった。自民党大阪府連の竹本直一(なおか ず)会長は「もう一つの相撲大会がある。独り相撲大会だ」。その橋下徹氏に有権者は過去最低の投票率で報いた。

 安倍首相は憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めたい。内閣法制局にくわしい西川伸一 (しんいち)明治大教授は「歯止めをかける法的な手段はないので、後は国民の良識しかない」という。首相に不支持を突きつけるしかない、と。

 東京生まれのシカゴ大名誉教授ノーマ・フィールドさんが日本の平和離れを憂える。「戦後と地続きではなくなったというか、敗戦直後に日本人が真剣に議論したことがゼロになりつつあるように思います」。崖っぷちだ。
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