投財堂のドタバタ妄想録

兜町という聖地へ
夢を求め 金を求め彷徨う・・・
市場放浪記、改め・・・・・ドタバタ妄想録。


テーマ:
2月某日 深夜

俺は、とある駅構内のトイレにいた。
個室の方である。
深夜1時近く。
トイレには誰もいない。
昔と比べて、駅構内の公衆トイレは格段と綺麗になったなぁ。
手入れが行き届いている。

『俺んトコより綺麗なんじゃないか?』
などと、妻が聞いたら怒られそうな事を言いながら用を足す。

しばらくすると・・・・誰かが入ってくる気配が・・・

シュルルルル・・・・
シュルルルル・・・

ん?

何か変な音がするぞ

シュルルルル・・・

まるで、何かを引きずってるような音・・・何だ?
何だ?

クンクン・・・
そいつは、トイレの中で何かを引きずり
鼻をクンクンしだした。

何をしている?

そして・・・一番手前の個室を開けたようだ。
バタン!
開けた瞬間、そいつの声が聞こえた。
唸る様な声で・・・言った

「ここじゃない」

バタン
ドアを閉める音が聞こえた。
まるで地獄の底から聞こえてくるような声だ。

そして、そいつは次のドアに近づき
ノックをするでもなく、いきなり・・・

バタン!
そして・・・また
「ここじゃない」
と言いながらドアを閉める。

俺は思った。
「おいおい。ノック位しろよ」

そこかい!

そうじゃないだろ。

夜も更けたこんな時間に・・・トイレの個室を手前から
「ここじゃない、ここじゃない」
・・・と言いながら開けて周る得体の知れないモノがいる。
ノックをしろよ・・とかのレベルの話ではない。


ここのトイレは個室が5個ある。
俺がいる個室は一番奥だ。
シュルシュルと音を立てながら、3番目のドアが開かれた。

「ここじゃない」

間違いない。
こいつは・・・俺を探している
なぜだ?
俺が何をした?
・・・てか、こいつに理由などあるのだろうか?
こいつ・・・ドアを開けているこいつは・・・
どう考えても人間ではない。
人間の臭いが全くしないのだ。


「ど、ど、ど、どうしよう」

俺は震え上がった。
もうとっくに、出るものも出なくなっている。

「と、とりあえず、鍵だ鍵!」

俺はもう一度鍵を確認した。

「よ、よし。しっかり閉まっている。これでよし。」

しかし、すぐに気がついた。
上が開いている。
トイレでの怪談話もそうではないか。
怖いモノは鍵を開けて入ってくる事はない。
上だ上。
そいつらは必ず上からこちらを覗いて来る。
それがお決まりの位置なのだ。
この手の話に、鍵の存在など全く無意味なのである。


そうこうしてる内に、隣のドアが開く音がした。

「ここじゃない」

き、き、来たーーーーーーーー

ついに俺の番だ。

俺は覚悟を決めた。

上から覗かれるほど俺は間抜けではない。
鍵を開けておくのだ。

そいつがドアを開ける。
そして、中で用を足している俺と面と向かうことになる。
そいつは恐らく思ってるはずだ。
このドアは鍵がかかっている・・・と。
その意に反して、鍵を開けておくのだ。

わはは、、どうだ!
開けたお前が驚けや!

来た。

そいつが俺の入った個室の前に来た。
そして止まる。

『さあ開けろ!開けてみろコノヤロ~』

???

ところが・・・ドアが開かれる気配が一向にない。
するとしばらくして・・
ガリガリガリ、ガリガリガリ・・という音が聞こえてきた。
何やらトイレのドアをよじ登ろうとしてるようだ。

『馬鹿か!開いてる!・・・ちゅ~の』

しかし、そいつは開いてるドアを開けようとはしない。

頭に来た俺は、思わずこう叫んだ。

「開いてますよ~~!」

その瞬間・・・ピタッっと音が止んだ。
しばらく音が何もしなくなった。

どうやら戸惑ってるようである。

いつもと展開が違う・・とでも思っているのだろうか。
ドア越しに立ち向かう俺とそいつ。
しばらくすると・・また、ガリガリガリ・・と音がしだした。

開いてる・・と言ってやったのに
そいつは、どうしても強引に上からこちらを覗くという
従来通りの展開に持って行きたいようだ。

腹が立って来た。
何だこの保守的な展開は。

ようし。

そっちがその気なら、こちらにも考えがある。

俺は様式便器のフタを閉じ、その上に乗った。
こっちから覗いてやるわ!

そう思い、俺がトイレのドア上部に手をかけ
顔をドアの上から出した時だ。
外からこちらを覗こうとしていたそいつと顔が合った。
目が合った。

そいつの驚きに満ちた表情を、俺は今でも忘れない。
従来の展開と全く違う展開に驚いたのだろう。
驚きに満ちた表情で、そいつは言った。
「ここでもなかった」




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