何年か前の西日本新聞の記事で、執筆した記者が大分で出会った「焼豚玉子丼」という丼を紹介していた。この丼は温かいごはんに薄切りの焼豚を並べて半熟の目玉焼と刻み海苔を乗せる。そこに醤油とたっぷりと搾ったカボスの果汁をかけて食べるのであるが、大分の中華料理店ではこれをメニューとして出しているところが多い。ところでこれを見て、「どこかでこんな丼があったような感じがする」と思った方もいるかも知れないが、実は愛媛・今治市にこれと同じ丼が存在する。


 今治では「スタミナ丼」ともいうこの丼も大分同様にいろいろなメディアが紹介しているが、愛媛と大分は豊後水道を隔てた隣県である事から、恐らく今治の出身者か大分から今治に遊びに来た人がこの丼を大分に伝え広めたのであろう。今では焼豚玉子丼も大分の「ご当地グルメ」として定着しようとしている。

 ある地域の名物料理が他地域で定着するという例は他にもある。たとえば、東海地域では一般的な赤味噌のおでんも福岡・行橋市で定着している。行橋のおでんは愛知・名古屋市出身で行橋でラーメン屋を開業した方がメニューの1つとして利用客に出したのがきっかけであるが、ここは串刺ししたおでんの具材を八丁味噌のたれにぶち込む名古屋式とは違って、皿に盛ったおでんと共に少量の赤味噌のたれを出し、それをおでんにつけて食べるが、今では行橋市内のコンビニエンスストアでもこの赤味噌おでんが売られているという。


 焼豚玉子丼や赤味噌おでん以外にも、他地域で定着したご当地グルメ(最近はとくにこの類をB級グルメとも言うが)はあるかも知れない。見知らぬところを旅したり、就職や進学で遠く離れた場所に行き、そこで故郷と同じ味に巡り合うというのはちょっとした感動であろう。

 この際だから、大分市と今治市、そして名古屋市と行橋市というように、ご当地のB級グルメがとりなす縁で自治体レベルの交流を深めてみてはいかがであろうか?共通してこれらの食べ物を売り出せば、いろいろな相乗効果も出てくる可能性は大である。ぜひとも市役所や地元商工会などの関係機関はご一考願いたいと思う。


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