2009年07月06日 03時27分38秒 toshiyafukudaの投稿

Cannes09:PEACE Report-1

テーマ:Blog
福田敏也 オフィシャルブログ PEACE! Powered by Ameba-カンヌ

09年のカンヌが先先週末終わりましたね。

クイーンズランド観光局の「BEST JOB IN THE WORLD」がPR、DIRECT、CYBERの3部門でグランプリハットトリックを果たし、オバマのキャンペーンTITANIUM、INTEGRATEDの2部門でグランプリになり、Philipsのインタラクティブフィルム「Carousel」がFILMのグランプリを獲得し、NESTLEのKit Kat「Kit Kat Mail」がPRのグランプリを獲得し、夕張市のキャンペーンがPROMOTIONのグランプリを獲得し、42 Entertainmentによる「The Dark Knight」とAKQAの「EcoDrive app for Fiat」がCYBERのグランプリを獲得した。こうして結果だけを羅列すると例年のカンヌのようにも見えますが、その中身といえば、昨年につづき、さまざまな変化とその変化がもたらすメッセージにとんだものだったと思います。

カンヌは2つのグランプリをバックオフィスに与えた

今年のカンヌに関して、先日29日に、AD AGEが面白い記事を配信していました。
———以下、記事抜粋———
ところでオバマ大統領自身もまたそうである(彼の広告ではなく)。すばらしく魅力的で卓越したWill.i.amのミュージックビデオを除いて(これはオフィシャルキャンペーンには含まれない)、メッセージの伝え方が戦略的に素晴らしかったのと同じくらいクリエイティブ的には不毛だった。”Morning in America”はこのキャンペーンにはなかった。”Daisy”もない。ほかに際だつものは何もなかった。カンヌは2つのグランプリをただバックオフィスに与えただけだった。

これはベストピクチャーのオスカー像を「携帯電話はお切りください」のアナウンスに贈るようなものだ。

20年間、AdReviewは、カンヌとその他の広告のエゴが生み出す副産物を奨励するような歪んだ価値観を非難してきた。しかし私たちはこのヘアピンカーブの混乱を認めなければならない。このフェスティバルは変わりゆく世界に順応できず、人々がいまだ“クリエイティビティ”と呼ぶものに栄誉を与えているのだろうか?表彰は刺激的で巧妙なメッセージングを提示するものに与えられるべきではないのか?メッセージをばらまくための技巧ではなく、メッセージとメディアそのものの中のイマジネーションに対して与えられるべきではないのか?

もしくは私たちが何かを見落としているのかも知れない。本当に心に響くオバマのe-mailでもあったのだろうか。
———by Bob Garfield / Ad Age 06月29日配信

思えばカンヌは、ずっと長いことFilm単品の広告祭だった。

1954年にスタートしたカンヌ広告祭は、1992年までずっとFilm単体の広告祭でした。92年にPress&Outdoorが新設され、98年にサイバー、99年にメディア、02年にダイレクト、03年にチタニウム、05年にラジオ、06年プロモーション、08年デザイン、09年PRが新設。こんなにどかどか部門が増えたのも、この10年の話しなんですね。54年から92年まで、カンヌはずっとFilm単体の広告祭であった。たぶんその成り立ちは「映画も面白いけど、CM映像ってコンテンツもいいよ」「そこには、見るべき文化や時代の香りがいっぱいあるよ」っていうものだったんでしょう。時代もマス広告の発展の流れとともにあったから、得意先の方々も、このカンヌが提供する名誉を素直に受け入れ、そこに広告効果とか目的達成とか、そうした議論を持ち込もうとしてこなかった。

マス広告が効かなくなった!

2000年代に入り、マス広告が昔のように効かなくなってきたと言われるようになってきてから、カンヌをめぐる空気は少しずつ変わってきたと思います。以前、このブログでも書いた、DDB WorldwideのKeith Reinhardさんが、変わらなければならない広告の話しをしたのも2000年でした。2000年以降、カンヌ期間中行われるセミナーの中には、Directの知恵の話しや絆づくりの重要性やネットテクノロジーの話しが年ごとに増えていきました。02年以降、毎年のように部門が増えていく流れは、そうしたこととシンクロするように起こっていったのです。

BMW FILMSショック、来襲!

さらにそこに大きなインパクtを残したのがBMW FILMでした。BMWブランドが若者層とのブランド接点をつくる目的で始めたWebをセンターに置いたネット映像企画。2002年カンヌ広告祭のFILM、PRESS&OUTDOOR、MEDIA、CYBERの各部門にエントリーされながら、CYBERでグランプリ以外、特に大きな評価を受けることがなかった企画。02年カンヌ終了後、世界中の各所でカンヌに対する絶望の声と批判の声が起こりました。「この革新的マーケティングモデルを評価できなかったカンヌは問題である」「今の縦割り構造では、もはや新しい広告を評価することはできない」。
そのことは、結果的に、3つの流れをつくりました。

・ 部門横断的に新しい広告モデルを評価するチタニウムの流れ
・ マーケティング的成果、効果に目を向かせる流れ
・ FILM部門が、ウェブ映像などOTHER SCREEN映像を意識する流れ

そしてさらに、UNIQLOCK、登場!

08年にCYBERとTITANIUMでグランプリとなったUNIQLOCK。それもまた、次につながる大きな流れをつくったものでした。TVCMもビルボードも雑誌広告もウェブ広告も特に打つこともなく、膨大な数の人々をつなぎブランドとの絆を深めることに成功したウェブツール「UNIQLOCK」。エンゲージメントというテーマが声高に語られる中で、欧米の誰も想像することもなかった考え方と方法で世界中の人々をつないで見せたことが大きく評価されたポイントであったと思います。
UNIQLOCKがつくりだしたその後の流れはこんなことでしょうか。
・自発的ネットワークを生み出していくことを重視していく流れ
・ 広告コミュニケーションの進化にネットメディアの効果的活用が不可欠であることが常識化していく流れ
・ 何人の人を繋いだか、というようなウェブならではのわかりやすい数字をカンヌが意識していく流れ

でも、もうひとつ。09年のカンヌを語るとき、重要な節目になっている仕事がもうひとつあると思っています。Droga5がやったMillionというNYの教育キャンペーン。Millionは、公共キャンペーンなのでグランプリということにはならなかったのだとは思いますが、たぶんTITANIUMの選考の場ではUNIQLOCKと同じくらい高い評価を得ていた仕事だったんだと思います。広告がもっと社会と関わっていくこと。既存の広告枠を売るビジネスから、広告会社自ら活動をプロデュースし、広告主と生活者のWINWINをつくっていくこと。新しい広告のカタチを模索すること。Millionは、そのことを強く印象づけただけでなく、今年のカンヌ審査にも大きく影響を与えている気がします。OBAMAキャンペーンを始めとする多くの社会的仕事にグランプリを与える流れをつくったのだと思います。

(明日につづく)

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