警戒が必要なトランプ次期大統領の戦略 | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

警戒が必要なトランプ次期大統領の戦略

 ところで、米国サイドの情報を見ると、TPPは消えたという論調がもっぱらです。そして、困難な日米2国間交渉が迫られるのは必至とも聞こえてきます。もっとも、TPPを推進してきた共和党ハッチ上院財政委員長等によると、トランプ次期大統領の選択肢には、TPP協定の内容の見直し、ないしはTPP協定を前提にした形での日米2国間協定もあり得るといいます。ともかく先は見えませんが、TPP対策にかけてきた努力が、いささかでも日本に有利な形となってほしいと思います。
 
 トランプ氏が考える貿易交渉は、まず、安価な労働力をあてにした米国企業のメキシコ進出を促進しているNAFTAの見直し、為替操作で対米輸出を拡大している中国への対策、また、TPP締約国間で自動車部品の輸出をするにあたり、中国等のTPP非締約国で生産される原料や部品の使用を45~65%まで容認しているTPPの原産地規則の見直し、バイオマス医薬品企業が強く主張する特許年限の延長問題等があるといいます。ともかく、トランプ氏の路線は、米国主導の主張をさらに押し通す動きになるとみられています。場合によると、投資サービスの分野でも、トランプ氏に近い産業界をメンバーとする在日米国商工会議所等が主張している保険分野の問題が出かねない心配もあります。