おおたとしまさオフィシャルブログ

育児・教育ジャーナリストおおたとしまさのブログ


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どこの学校の倍率が上がったとか下がったとか、どの学校にどこの塾から何人入ったとか、中学受験のデータなんかが出そろってきている。一応仕事上、情報としては抑えておくのだけど、個人的には実はあまり興味がない。

「倍率が上がりました!」ってことは学校側から見れば、人気が上がったという証しであり、いいことなんだろうけど、受験生から見れば、それだけ落ちた人が増えたということ。それを思うと素直に喜べない。

最近、某私立中学が塾関係者を対象に行うクローズドな入試問題説明会に潜入した。会の冒頭の挨拶で、校長先生が言った。

「皆さんが大切に育ててくださった優秀なお子様たちが今年もたくさん我が校を受けてくださいました。ここから先は私たちが大切に育てていきたいと思います」

しかし次の瞬間、視線を落とす。表情と声のトーンが変わる。

「でも、合格発表のときというのは、毎回忍びないんです」

一瞬間が開き、重々しく口を開く。

「喜んでいる親子がいる一方で、立ちすくんでいる子供もいるんです」
 
視線を上げ、参加者である塾の先生たちに訴える。
 
「みなさんにお願いです。残念ながらご縁がなかった生徒さんたちにぜひ伝えてください。中学入試は通過点に過ぎない。これで終わりじゃないと。ぜひ励ましてあげてほしいんです」
 
倍率がどうの出題傾向がどうのではなく、これこそが、校長先生が入試を終えた直後の塾関係者にいちばん最初に伝えたいこと。胸を打つ。

「縁がなかったとはいえ、本当に申し訳ない。我が校に落ちたことが良かったと言えるくらいに、本当にがんばってほしい」。そんな悲痛な願いだろう。

そしてまさにその立ちすくんだ子供たちは、実際ほとんどの場合、見事に不合格の悔しさを乗り越えてたくましく育っていくもの。合格の成功体験も財産になるが、不合格の辛さを糧にした成功体験も財産になる。どちらも中学受験の神様が用意した最後の学び。
 
小さな体で全力を尽くして中学入試に挑んだ12歳の勇者たちに幸あれ!
 
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