津波(追記在り)

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漁師達の語り口は方言がキツク途中分からない言葉も在ったし


抑揚を付けて喋る訳でも無く


とつとつとした語り口だったが


真実だけが持つ恐怖と圧倒的な絶望感がにじみ出て居た


一人の漁師は言う


津波警報を受け!地震の大きさから船を早く沖に出さないと大変な事に成ると!


取る物も取りあえず船に乗り込み


沖を目指した



途中恐ろしい程の引き潮に捕まって湾内を逃げだせない船を何船も見た


『あいつ等は・・・きっと・・・生きてはいね~べ・・・。』



沖に向かって居る時遠くに迫る大津波を見た時!


我が目を疑った!


『壁だ!ビル見で~な壁が迫ってくんだ!』


津波は良く見ると高い所、白波が立って崩れかけている所など色々有ったらしい


波に乗り、やり過ごそうと果敢に大波に挑んだ船は後部にエンジンがおいて在る為、余りの大波にエンジンの重さで船は垂直に成り


エンジンの重さに引っ張られ


落ちる様に津波に呑まれて言ったらしい


上手く津波を越えても・・・・・高所から叩きつけられ・・・粉々に成って行く仲間の漁船




彼は、白波が立ち、崩れかけて居る所めがけて船を全速力で飛ばした


この津波をこの漁船で乗り越える事は無理だと判断し、一番層の薄い!崩れかけて居る場所に潜り込むしかないと決心した。


要するに津波の中を潜り抜けるという事だ。


僕はビックリして聞いた


『海の中を突っ切るって・・・・そのまま海の中に引きずり込まれる可能性もあったんでしょ?勝算は有ったんですか?』


『そんなもんね~!あんな大津波生まれて初めて見たんだ!どうなるかなんて誰にもわがらね~!一か八か!それしか無かったんだ・・・。』


津波に向かい合った時


もう只手を合わせて拝むしか無かった。


『全ての漁師が拝んでた・・・・・もう拝むしか無かったんだ・・・。』


順宝丸は奇跡的に大波をくぐり九死に一生を得た。


しかし


一夜明け


目にした自分の故郷は瓦礫の山と化して居た


『な~んも・・・逃げてる場合じゃねがったんだ・・・・皆死んでると思った・・・家族も居ね~・・住む家もね~・・・オラだけ生き残ったってしょうがね~・・・逃げなきゃ良がった・・って思ったよ。』



浜では船長の家族は泣きながら『ウチのお父さん・・・お父さんが・・・』って海を見続けて居たらしい。



他の漁師は言う


『救命胴着なんてな、俺達海の男だから一度も付けた事無かったんだ!でもあの津波見たら救命胴着直ぐに着た・・・・後は拝んでたよ・・・。』



この避難所のリーダーでもある木村さん


通称ゴリ隊長は鮎川に向かって居る車の中で津波を目撃した


『海の底が見えたんだ・・・此処の海は深いんですよ・・・その海の底が見える程の引き潮を見たんです・・・ラジオでは5メートルの津波って言ってた・・・5メートルだって町が全滅する様な津波だ・・・でも・・・そんなもんじゃ無かったんだ・・・・。』



もっと



もっとだ!



もっと凄い話は有ったよ



でも・・・十分だろ



僕の目の前に居る人達は生死の境ギリギリの所に居て・・・



死の淵を覗いてきた人達なんだ


その人達の言葉は今でも僕の胸に突き刺さってる



寝袋も持ってきたし、トラックで寝ると言う僕等を『もう布団しいてるから』と


避難所に泊めて頂き


僕等の長い長い一日が終わった。



頻繁に起こる余震


寿司握ってる時も


飲んでる時も


しょっちゅうだ



ゴォゴォゴォ~て言う地鳴りが鳴り響き


ガタガタと揺れる



初めて聞く地鳴りにビックリして居た僕に、おばさんが教えてくれた


『地鳴りがしてからくる地震はそんなに恐くないよ・・・いきなり来るのが恐いんだ。』



朝の5時頃余震で目が覚めて


辺りを散歩して居ると


一階が崩壊した住居の二階から顔を出しているおばさんと目が合った。


『ん?なんか売りに来た人?』


『いいえ・・・何も売りに来てませんよ(笑)』


『ああぁ!!もしかしてお寿司屋さん??』


『・・・・えぇ・・・まあ・・・それじゃそう言う事で(笑)』


『昨日のお寿司美味しかった!!普通の時でも食べれない位だったよ~!!本当にありがとうございました。御馳走様でした。』


『いえいえ・・・此方こそ食べて頂きありがとうございました。』


『あのさ?床屋さん来てるって本当??』


『床屋さん??・・・ああぁww美容師ですけど来てます(笑)』


『あたしも切って貰えるのかな?』


『ハイw大丈夫です!喜んで切ってくれますよ。』


兄貴は初日一人の髪の毛も切って居なかった。


兄貴は寿司の手伝いをしに来た訳じゃ無く、髪の毛を切る事で貢献しに来たんだが・・・


まあ最初にも書いたけど


此方がしてあげたい事、あげたい物が被災者のして欲しい事!欲しい物とは限らない・・・。



兄貴は敏感にそれを察知して裏方に徹して居たから


このおばさんの申し出は弟としてとても嬉しかった


僕はトラックの荷台で歯を磨いて居る兄貴に


『何やってるんだよ!仕事!仕事!お客さんだぞw』


兄貴は荷物をかき集めて


おばさんの元に走っていった。


グラム鮎川支店の初めてのお客様です。
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兄貴は初日に色々考えさせられた見たいで


美容師としてと言うより


人として自分の出来る事は、なんでもしようと言う姿勢に変って来たように僕には感じられた。
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そんな中で現れたお客様達


あんなに優しく話す兄を


あんなに優しい顔の兄を僕は初めて見た。
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兄貴はボランティアのなんたるかを身を持って経験のウチに学んだんだろうな・・・って思った。


大繁盛のグラム鮎川支店を尻目に


僕は朝早くから、やる事も無いので


散歩の続きをしに


瓦礫の町に下りて行った



後ろから避難所のリーダー木村さんが追いかけてきて


『居た居たwホホッホ~w』


てw


一緒に散歩してくれた。


『昨日言ってた津波ね、あの島より大きくてあの島を覆ったんだよ!』

そう言ってゴリ隊長が島を指差した
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あの島に当たったから


津波が小さく成ったんだ

それでもこのホテルの三階の高さ調度、クーラーの室外機の高さまで津波が来たらしい。

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この木村さん


震災の混乱の中


この事態はココだけなのか?


三陸沿岸全域なのか?


それとも日本全土がこうなって居るのか?


情報が無いから分からないが


どちらにしろ一週間や其処らで救助が来る様な事態じゃね~!


兎に角最初の10日間は自分たちで助け合い!何が何でも生きて行かなきゃ行けない!


年寄りや子供は絶絶対に俺が生かしてやる!だから皆団結して頑張るんだ!


と、当初200人近かった避難所の人間をまとめ上げた


先ずは生きる為に一番必要な水と食料


暖をとる為の方法


防火用水にさかやなやを走らせ


水没して居ない民家から布団や毛布を集める為ヤスを走らせ


若い者に的確かつ迅速にサバイバル生活の為の生きるすべを教えて行った


高台の家の人が自分の家には米が30キロ有るが・・・崖の上なので取りに行けないと言うと


腹をすかした年寄りの為に崖をよじ登り30キロのコメを抱えて片手で降りてきた。


最初何を偉そうに指図しやがって!って思ってた、さかなやもヤスも・・いったい・・・このオヤジ何者なんだって思うようになり・・。


この人について行けば大丈夫って思うまでに避難所の人々の信頼を勝ち取る事と成る。


この後、この人の信じられない様な伝説的活躍は数え切れないほど作られる事と成る。


料理を作ってる時もおばちゃんが


『木村さんがいなかったら・・・私達どうなってたか・・・あの人のお陰です』って


色々な人がこの一見ゴリラにしか見えないオヤジを尊敬して居る。



しかしさかなやとヤスとも話したのだが、こんな時にしか輝かない人って・・・・・どうなんでしょうか?って(笑)


兎に角w


僕も一日居ただけで惚れ込んだ!顔は残念だけどメチャクチャカッコいい木村さん。


何故かその木村さんに好かれた僕は、あそこの瓦礫の浜を二人で散歩していた。



『昨日もね・・水産庁の偉いのが来てて・・金は出すから10月には復興させたいって言ってたんですよ・・。』


『10月とは・・・早いですね・・・無理じゃないですか?』


『あいつ等何も分かっちゃいないんですよ・・・金つぎ込んで突貫工事すればなんとかなるかもしれません・・・でもね、この浜だって3億近い借金が既にあるんですよ・・・。

このクジラを解体するデッキだってこの前何千万も掛けて作ったばかりなんだ

それを家も無くなった・・・会社も無くなった中には家族が亡くなった奴だって居る

そんな奴らに金貸してやるから港を再建してくれないと困る!

頑張ってくれって・・

俺は60過ぎて・・・もう頑張りたくね~・・・・』


木村さんは僕にくれようとマッコウクジラの歯を探しながら・・・そう話してくれた。
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三日月型のが髭クジラの歯。
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僕は返す言葉が無かった


無敵の木村さんが


皆の前では弱い所を見せない木村さんが


本音を吐いていた。
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『知ってますか?携帯だって2カ月だけは情けで待ってくれるんです、でも2ヶ月後滞納分を払わなければ止められるんです・・。』


『エエェ?そんな・・・バカな?だって今連絡の手段奪われたら・・。』


『自殺する人も出てくるよね・・・心のケアが大事だってのは別に精神科の先生が来るとかじゃないです・・・誰かと繋がってるってのが一番必要なんですよ・・・。』


『・・・・・』


『何処から調べて来るんだか・・・前の仕事の材料費から電気代・・・家のローン・・・避難所の名簿が開示されてるからそこから調べて来るんだろうけど。いつまでに払わないと法的処置を取りますって・・・・。』


『・・・そんな・・・バカな・・・。』


『本当ですよ。ヤスも皆、途方にくれてます。家も無い会社も無い私は無一文に成りました。』


『・・・・・・。』


『無一文の宿無しに金払わなきゃ法的処置を取るらしい・・・。私だって払う気持ちは有るんです・・・でもね明日の金さえ無いんですよ・・・。一方じゃ頑張れ頑張れ!東北頑張れ!って・・・一方じゃ金払え!ってね・・・』


『・・・・・』


『今までは、あの子達を一人で生きてゆける様にって必死でした。私一人ならもっと楽に出来たんです。でも・・・こんな状況の中私だって津波にやられて死ぬかも知れない!

そしたら皆はどうなるのか?

だから私が居なくなったって子供や年寄りを守って行ける様に私はあの子達に色々教えてきたんです・・

今ではもう・・彼等が全部やってくれるから仕事も無くて(笑)こうしてブラブラして居ます。お金払わないと困りますし、そろそろ私も此処を出ようかと思ってるんですよ。』



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木村さんは昨日


避難所を後にして


釧路へと旅発った


捕鯨船に乗る為だ


僕はこの優しく強いお父さんの様な歳の人に・・・何も言えなかった


頑張れなんて言えますか?


木村さんは息子さんを随分前に病気で失って居る


此処の子供達が私の息子達です


嬉しそうに笑う木村さんに頑張れって言えますか?


もっと良い事在るっから元気だしてって言えますか?


さかなやが大阪に旅発つ時


あいつの目も見ず


『もう・・・戻ってくるなよ・・・。』って言ったそうです。


僕は掛ける言葉が無かったです


『吉田さんに会えて良かった・・・一生私は貴方の事を忘れません。』


昨日仕事中に木村さんから電話が掛かってきて言われた言葉です。


仕事中なのに僕は落涙してしまいました。



ごめんなさい


長くなりました


又続き書きます。



(追記)今回の震災で叔母さんを亡くしてしまった仲間のエヌドライブさんが葬儀の為次の金曜日の夜中に仙台へ葬儀の為に行かれます。


その後鮎川にも行って頂けるとの事なので、お近くの方は金曜日の昼頃までならとっくりにて物資を受け付けますのでお持ちいただけるとありがたいです。


もしくはエヌドライブさんのホームページ 此方の住所なら金曜日の夜まで受け付けて居ます。


必要な物資は大体前回と同じです。ビール、チュウハイ、煙草、ジュース、お金です!


急な話ですいません。日にちが無いので近隣の方しか無理かと思いますがよろしくお願いします。

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