2010-10-05 06:05:51

ETV特集「なぜ希望は消えた?~あるコメ農家と霞が関の半世紀~」

テーマ:生産者・農業
日曜日10時からNHKで放映されたこの番組を見ていると、日本の戦後、希望に満ちていた農家の姿が徐々に政府の政策や時代の波に呑まれて、衰退をたどっていく様子がまるでドラマを見ているかのように浮き彫りになってきて、いたたまれない気持ちになりました。

番組は、山形のコメ農家と、当時の農林省で担当官僚だった人たちの証言をシンクロさせるようにして、戦後の日本の農業がなぜ今日のような高齢化、後継者がほとんどいない、耕作放棄地が全農地の10%にも及ぼうというような状態になってしまったのかを浮き彫りにしていました。

ざっくりと、農家の側からの流れを追ってみます。

------------------------------

1961年、政府から、農家の生産性を上げ、所得を劇的に上げていく方針が「農業基本法」で出される。
戦後、GHQによる農地改革で小作民が増え、日本の農家は小規模農家が多く、つまりあまり儲からない、魅力のないものとして映っていた。
それを打破し、農家に夢を与えるというのか建前だ。
農家は共同で、大規模化を目標に区画がガタガタの田んぼを数年かけて碁盤の目のようにきれいに整え、区画整理を行う。
が、大規模化をできるほどの広さの田んぼを持っている農家はそれほど多くない。
そのためには農地を売ってもらわなければならない。
が、必要な土地を売ってくれる農家がなかなかいない。
つまり大規模化ができづらい。
そんななかでも田んぼを増やし、徐々に大規模化、効率化の態勢を農家は整えていく。
ところが、コメが取れすぎる、というより日本人の食生活にパン食など欧米化が進み、コメが余るようになってくる。
すると、コメの価格が下がるからと、コメの生産調整が今度は政府から下される。
さらには減反政策が打ち出される。
何のために大規模化をもくろみ、土地の取得を進めてきたのか、と農家はやるかたない。
やがて農地にヒトが余る。
それを、高度経済成長における工場の人手として都会が吸収する。
地方からの出稼ぎ、田舎離れは、国の重工業化・近代化によるものだけではなかった。
意図的に地方から農民を引き剥がそうという政府の意図もあった。
食生活の欧米化という消費者の劇的変化もあった。
これら全部が重なって、起きた現象で、これは考えてみればそのとおりなのだけれども、それにしてもショッキングな話です。

やがて土地資本主義ともいえる、バブル経済による土地需要が勃興。
かつて土地をなかなか売ろうとしなっかた農家が、いまや反対に田んぼをどんどん住宅地化に向けて売却し、手放す。
皮肉にも、かつて田んぼの大規模化を行うべく区画整理した、それが宅地の区画に当てはまっていく。
いまやその流れはとどめようもなく、高齢者が担っている地方の農家も後継者はほとんどいなく、現役の農家(にしてもほとんどは高齢者)に「自分の田んぼを使ってコメづくりをしてくれ」という引き合いが後を絶たないという。
後継者がいない田んぼは耕作放棄地になっていく・・・

そのときどきで行われる霞が関における政策決定。
その舞台裏が、当時の担当者の証言で、生々しく浮かび上がっていきました。


そして、この流れは、多かれ少なかれ、世界の“先進国”で戦後経験されたことだということです。


現代の農民の窮状(カルロ・ペトリーニ氏)
http://ameblo.jp/toshi-shun/entry-10621705853.html

//////////////////////////////////////////////

ETV特集「なぜ希望は消えた?~あるコメ農家と霞が関の半世紀~」

チャンネル:教育/デジタル教育1
放送日: 2010年10月3日(日)
放送時間:午後10:00~午後11:30(90分)
http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=103-20101003-31-22639

元農林官僚たちが、これまで明かされることのなかった戦後農政の舞台裏について証言する。博士号を取得したあるコメ農家の証言とあわせて、農業の半世紀を振り返る。

今回、徹底取材したのは「戦後農政」。「ネコの目農政」と揶揄(やゆ)される政策は、どのようにして生み出され、現在に至ったのか? これまで明かされることのなかった政策決定の裏舞台について、元官僚たちが証言する。なぜ農業基本法の理念は壁にぶつかったのか? なぜ減反政策が続いたのか? 番組では、山形市で50年目のコメ作りに励む、ある農家の証言と照らし合わせ、この半世紀を振り返る。

【朗読】小日向文世, 【語り】長谷川勝彦


http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

toshi-shunさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

コメント投稿

AD

あわせて読みたいブログパーツ

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。