「タクシー・ドライバー」 | シマ猫弾薬庫/紛争まっただ中

「タクシー・ドライバー」

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-1
“You're talking to me ?”アドリブだったそうだが、名台詞だ。



「タクシー・ドライバー」

(1976年 監督:マーティン・スコセッシ 

脚本:ポール・シュレイダー 

音楽:バーナード・ハーマン 

出演

ロバート・デ・ニーロ

シビル・シェパード 

ピーター・ボイル 

ジョディ・フォスター 

ハーヴェイ・カイテル)



(^・x・^)y─┛~~~~


*****【プロット】*****

『●交通違反 なし ●健康 良好 ●年齢 26歳 ●学歴 高卒 


●軍歴 1973 年 5 月に海兵隊を名誉除隊』 (イタリア系だ。)


トラヴィスが、タクシー会社で面接を受けている。

ベトナムの後遺症か?帰還兵がよく患っていた不眠症にトラヴィスも陥る。

彼はタクシードライバーになる。

彼がイェロー・キャブから見るニューヨークは

マフィア、売春婦、貧民、ポン引き、ヤク中、忌むべき光景だった・・。

午後6時~午前6時まで、週6日の勤務(残業も休日出勤もある)

週給 350 ドルの収入、人種に拘り無く誰でも乗せ、どんなヤバい街でも走る。

仕事が終われば後部座席を掃除・・その繰り返しだった。

寝れないのでポルノ映画館で過ごし、こ汚い部屋で過ごす。

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-2


抑えられない叫びをあげるように、彼は日記をつけるようになっていた。

「 5 月 10 日、雨は人間の屑どもを舗道から洗い流してくれる…奴らを根こそぎ洗い流す雨はいつ降るんだ?」

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-3

トラヴィスは大統領候補「パランタイン」の応援事務所に勤務する「ベティー」を見かける。彼にはベティーは天使に見える。(まあ、階層は違うわな。)

彼女を巧みな話術でランチに誘い出すトラヴィス。話しはかみあってないが、彼女の心にある孤独感をついたのは確かだった。

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-4
ベティーをランチに連れ出した。

トラヴィスは偶然にもパランタインを乗車させる。いぶかりながらも、パランタイン氏はトラヴィスにたずねる。「この国で一番の問題はなんだと思うかい?」

トラヴィス「旨く言えないけど、この街をなんとかきれいに洗い流してくれないかと思いますよ・・・・」 パランタインは「改革が必要だな・・」と返す。


トラヴィスはちゃんとした恰好をしてベティーをデートに誘い出した。ところがポルノ映画に連れて行ったためにフラれる。(このエピソードは脚本の意図がわからないです。( ̄- ̄;) )


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-5


スコセッシ監督も出てます。浮気中の妻をいたぶろうとする夫役

トラヴィスは先輩のウィザードに自分の苦悩を話す。彼の悩みは説明のつかない「不安感からくるもの」だったが、トラヴィスは自分の抑えられた心情を訴える。ウィザードは、「人間なんてなるようにしかならないのさ。社会の底辺の自分達にはどうにもならないのだから深く考え込まないほうがいい」とアドバイスをくれる。

トラヴィスは自分の悩みを理解してくれないことを不満に受け取る。

そして彼は仲間に紹介されて銃を買った(ヤミ)。S&WのM29と38口径リボルバー、ワルサーPPKとコルトの25口径オート。25口径を左手にスライドで出るようにとりつけ、ブーツにナイフを張り付ける。

彼の武装は完了した。身体を鍛え治した。

崇高な目標を持ち、“自己満足”の「社会への粛正」を図る心が固まったようだ・・。

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-6

シューティングレンジで射撃練習するトラヴィス

そしてパランタインの演説会に顔を見せる。M65フィールドジャケット(軍服)を着た彼はあきらかに挙動不審。シークレット・サービスに話しかけて疑われた。(このあたリは暴力衝動と、みさかいない行動が常軌ないですな)

ある日彼はドラッグストアーで居合わせた強盗を打ち殺す・・まるで偶然とはいえ、彼は確実に「使命」をうけたように感じた。

仕事中も頻繁にパランタイン候補の屋外演説会を聞くトラヴィス。

ターゲットを絞ったのか?

部屋じゅうにパランタインのポスターが貼ってある。

テレビを倒して壊すシーンが象徴的だった。心の何かが解き放たれた・・。


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-7



トラヴィスは街で何度か見かけて、また彼のキャブに乗車しかかったこともある『幼い娼婦アイリス』に話しかけた。

彼女のヒモに金を払い、薄汚れた部屋に入る。

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-8
ヒモ「スポーツ」にハ-ヴェイ・カイテル(若き日)そしてジョディー・フォスター堂々の演技

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-9

アイリスに説教こくトラヴィス。まあ通じないんだが。

アイリスは家出をしてきた12歳の娼婦。ヒモをかかえて稼ぐ。「家に帰るんだ。学校に通え・・」一通りの説教こいたが、アイリスには通じてないか・・・・。

そういう少女の心をつなぎ止めるという点では、プロのヒモであるスポーツはなかなかのものなのでしょうな。ダンスしたり優しいところをおりおりに見せているようです。(当然にもなぐったりもしてるでしょうが)

アイリスに「親展」を投函し、金を送るトラヴィス。とうとう決行の日だ・・・・。


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-10

トラヴィスはパランタイン候補を暗殺しようとする


モヒカンにした彼は『パランタイン』の演説会に出て、暗殺を決行しようとするが、シークレットサービスにはばまれて果たせない・・・・とうする?トラヴィス?( ̄- ̄;)?

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-11

パランタイン候補の暗殺失敗のあと、彼はアイリスに会いに行った。そして街のダニとの銃撃が始まった。

シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-12


自殺するポーズのトラヴィス(重傷)

★アイリスに会いにいったが、ヒモに相手にされなかったために、彼を銃撃!(25口径で1発)

★安宿に入って、出て来た宿のオヤジをマグナムで手を吹っ飛ばした!!後ろから反撃してきたヒモに38口径でトドメ!!(トラヴィスここで首を撃たれる:オヤジ重傷)

★アイリスが相手をしていた男にリボルバーで腕を撃たれるが25口径で顔を連射!殺す。(なんだかわからないウチにお客は死亡!)

★最後に客のリボルバーで宿のオヤジを地獄に送った。(オヤジ災難)

合計で3名を射殺したトラヴィス。

★そしてトラヴィスは自殺しようとしたが、弾は尽きていた。

惨劇のあと、突入してきた警官隊に倒れこんだトラヴィスは自殺のポーズをとった。(ブシュ!ブシュ!ブシュ!)


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

トラヴィスの部屋の壁に新聞記事の切り抜きと、手紙が貼られている。

●" Taxi Driver Battles Gangsters (タクシー運転手、ギャングと戦う)"

●" Taxi Driver Hero to Recover (英雄タクシー運転手が回復)

●“Parents express shock, gratitude.”(両親は驚きと、トラヴィスへの感謝を表した)

手紙にはアイリスの両親からトラヴィスへの感謝の気持ちがしたためられている。トラヴィスはギャングに売春をさせられていた少女を、命をかけて救った英雄に祭り上げられた。

ドライバー仲間と話をしているトラヴィスの首には傷跡が残っている。あの襲撃事件の時の傷だ。

彼はもう仕事に復帰していた。トラヴィスのタクシーにお客が現れた。それはベティーだった。

トラヴィスはバックミラーに映る彼女の姿を見た。彼女の方から話しかけてきた。

ベティー「トラヴィス、傷はどう??」「ああ、首にしこりがあるくらいさ・・パランタインが指名されたな」と話をあわせた・・・・。

新聞で事件の記事を読んだベティーは、トラヴィスを見に来たのかも知れない。

彼女を降ろしたトラヴィスは、料金を受け取らずに「じゃあ」と言ってタクシーを夜の街中へと走らせた。

そしていつもと同じようにキャブを走らせた・・・・。

バックミラーを見た彼は、ミラーをずらせた。「自分がどんな表情をしているのか」わかっていたのだろう。(ベティーに少しは未練っぽい心があったのかも知れない)

ミラーに映るニューヨークの夜の街はいつもと同じ風景だった・・。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-13
ポール・シュレーダーの脚本は社会的に注目され、また何よりも衝撃的だったアイリス役のジョディー・フォスター

「タクシー・ドライバー」は『孤独』と『心に抑えきれない暴力衝動』をもつ、都会の「ノーバディ(もちろん人格はあるが、“ない”とされるものの象徴)」を描く。

ポール・シュレーダーは、『誰でもよかったんだが、そこに存在しているのに、それを認められない』ものの、代表として『タクシー・ドライバー』を選んだ、という。

つまり、『タクシーの1部分』ではあるが、「人格のない」、とされているものである。

トラヴィスは、ベトナム戦争以来の「暴力」への傾倒を持ち、『大統領候補』から『少女に売春させている、ヒモ』へターゲットが替わった為に『街のヒーロー』扱いされるが、トラヴィスの心は、何も変わったわけではない。

ヒーローとなったところで、かつて「デート」に誘ったがあっさりふられた『ベティー』が後ろに座っても「たいして進展」もあるわけなく終わっている。

●作品中でベティーの台詞:「あなたは事実と虚構が半々の歩く矛盾だ・・」というが、これは現代人みんなにあてはまるのだろう。

●●この作品では日本でもそうだが、アメリカでは激しく衝撃を持って受け止められた。ベトナム以降の人々の心に植え付けられた「後遺症」、人種差別、そして暴力衝動。それを端的に示した作品だったからだ。

*また暴力衝動をゆさぶったところもあって、1981年のレーガン狙撃事件にも繋がっている。

ジョン・ヒンクリーという20 代半ばの妄想男が、トラヴィスに自分を重ね合わせてしまい、レーガン大統領に発砲した。

彼は空想の世界に住んでいる孤独な男だった。

ヒンクリーの宿だったモーテルから押収された物には、ヒンクリーと主演のジョディ・フォスターの会話を録音したテープがあった。

その手紙には、『これからレーガンを撃ちに行く、もう帰ってこられないかもしれないが、ぼくが君のためにこれをしたことを分かって欲しい』という内容のことが書かれていたらしい。

未見の方はご覧になって欲しい作品です。

男性向けかな。


シマ猫弾薬庫(紛争まっただ中)-14

デ・ニ-ロさんの思い入れたっぷりの“エキセントリック”演技に注目ですぜ!(*^ー゚)b