高村薫『作家的覚書』、岩波の図書に連載されていたものを中心とした時評集です。高村さんの小説は、『リヴィエラを撃て』と『李歐』が印象的、どちらも内容が重厚で、苦労した覚えがあります。今回の時評も、徒疎かには読み飛ばせない。

 「ルビコンを渡った日本の政治は、失ったものがあまりにも大きく、もはや取り戻す望みもない」、という悲観的な言葉に絶望し、当面はすぐ後ろに迫る大波に呑み込まれないよう、「黙って逃げる」しかない・・・のかしら。

 それにしても、「黙って」というのが何とも現実的に聞こえる。下手なこと言って目を付けられると、大変なことになっちゃう世の中、日本は自由な国だったはずなのに。

 「立憲主義」は、政治権力に対して国民が憲法を守らせることだ、という意識が、根付いていないのだとか。そのうち、閣議決定が憲法よりも力を持つのが当然になったりしそう。恐ろしや恐ろしや((゚m゚;)