1 | 2 | 3 | 4 | 5 |oldest Next >>
2011-06-17 04:57:21

「総理・有識者オープン懇談会」&「エネルギーシフト勉強会」

Theme: Eco
エネシフジャパン(エネルギーシフト勉強会)Webサイトは、こちらです。

全ての映像をじっくりご覧ください!

エネルギーシフト勉強会第一部(孫正義氏講演) 2011/06/15
(iPhone/iPadは、こちらから)

エネルギーシフト勉強会第二部(菅直人総理大臣の話) 2011/06/15
関連ブログ:エネルギーシフト勉強会第二部(菅直人総理大臣の話)その他著名人の話し


自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」 2011/06/12
参加者:
菅 直人(内閣総理大臣)
枝廣淳子(環境ジャーナリスト)配布資料
岡田武史(元サッカー日本代表監督)
小林武史(ap bank代表理事)
坂本龍一(ミュージシャン/ビデオメッセージによる参加)
孫 正義(ソフトバンク社長)配布資料
田坂広志(内閣官房参与/シンクタンク・ソフィアバンク代表)
藤沢久美(シンクタンク・ソフィアバンク副代表)
(iPhone/iPadは、こちらから)
関連サイト:政府インターネットテレビ
関連ブログ:報道されない菅総理のコメント「総理・有識者オープン懇談会」
2011-06-08 21:10:41

映画『セヴァンの地球のなおし方』予告編

Theme: Eco
・映画『セヴァンの地球のなおし方』公式サイトは、こちらです。
・セヴァンの環境サミット(1992)での伝説のスピーチは、こちらです。

2011-04-28 05:38:27

映画『幸せの経済学』ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんへのインタビュー

Theme: Eco
◇映画『幸せの経済学』予告編は、こちらです。
枝廣淳子さんに許諾をいただき、メールマガジンを全文転載させていただきます。
 是非、ご一読をお願い致します。
********************************************************************

Enviro-News from Junko Edahiro

No. 1965 (2011.04.26)

********************************************************************

幸せ・経済・社会のつながりを考えるうえで、必読の『懐かしい未来 ラダック
から学ぶ』という本があります。

http://www.amazon.co.jp/dp/4905317002/ref=as_li_tf_til?tag=junkoedahiro-22

この著者であるヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんに、講談社のエコログというサ
イトで2,3年前にインタビューをさせていただいたとき、大いに意気投合し、
終わった後も話し込んでしまいました。2月にふたたび来日されたときに、今度
は幸せ経済社会研究所のためのインタビューを受けて下さいました。

幸せ経済社会研究所のウェブサイトは来月のグランド・オープンめざして準備を
進めています。ヘレナさんへのインタビューもそちらにアップされますが、その
まえにぜひお伝えしたかったので、“編集中”ですが、掲載します。いろいろと
考えさせられます。ぜひじっくり読んでいただけたらと思います。

最後に、ヘレナさんの制作された映画『幸せの経済学』の上映会のお知らせや自
主上映のお誘いなどがあります。映画もお薦め!です。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ラダックで起こったこと、世界で起こっていること

枝廣:前回お会いしたときに、ヘレンさんは映画を製作中だと伺いました。完成
したとのこと、まずは映画製作の背景についてお話いただけますか?

ヘレナ:私が35年前に訪れて以来、ラダックでは経済開発と経済成長の影響で、
不必要に失業が生み出されてきました。それまでラダックには失業はなかったの
です。さらに汚染という深刻な問題も発生しました。そして、おそらく最も重要
なことは、失業によって人々の間にそれまで存在しなかった激しい競争が生まれ、
地元の人々の間に摩擦が生じたということです。

ラダックが初めて世界に国を開いたとき、――私は現地の言葉を習得していたか
らわかったのですが――、西洋的な都市型の消費者文化を美化するメディアのイ
メージが入ってきました。すると、若者たちは、自分たちの食べ物や衣服、言語、
皮膚や目の色を明らかに拒絶するようになりました。

このことは、ラダックではとても顕著でしたが、世界各地で見られることです。
これを目の当たりにすることはつらいことでした。支配的なグローバル消費者文
化が、自己否定や果てには自己嫌悪を引き起こしていたのです。これが暴力や怒
りを増長させます。なぜなら、自分に自信がない人は、他人も大事にしないから
です。ラダックでこうした様子を見ていた私は、『懐かしい未来』という本を書
きました。

枝廣:そうでしたね。

ヘレナ:数年後に、映画を制作しました。その間に本は50カ国に翻訳されました。
人々は口々に「ラダックの話は私たちの話でもある」「ほとんど同じことが私た
ちの文化でも起こっている」「以前はもっと経済も仕事も安定していたし、自尊
心もあり、もっと平和だった。しかし、経済開発のために今では似たような問題
を抱えている」と言います。これが世界的な現象なのだ――私はそのことを映画
で取り上げたかったのです。

経済のグローバル化がもたらしたもの

枝廣:経済のグローバル化は、多くの人々に幸せをもたらすはずでした。でもそ
うはならなかったということですね。

ヘレナ:ええ。経済のグローバル化は、各国が協調する方法の一つとして提案さ
れました。世界各地で交流や取引を増やせば、相互依存とつながりが深まり、平
和がもたらされると考えたのですね。

でも実際には、国際的な取引が拡大すると、各国政府はインフラ開発や補助金に
よって、多国籍企業の支援をするようになったのです。多国籍企業の支援のため
に、ありとあらゆる方法で私たちの税金が使われました。多国籍企業が巨大化し、
さらに力を増すにつれて、途方もない資源の無駄づかいが起こりました。私たち
は貿易によってGDPを高めるために、世界中で同じ製品を輸出したり輸入した
りしているのです。

また、企業が合併して大きくなりグローバル化すると、失業率が高まります。小
さな企業がたくさんあれば、雇用も増えるし、仕事自体もそれほどストレスを生
みません。経済活動がより少数の強力な企業や銀行に集中し、中小企業の数が減
少していることは重要な問題だと思うのです。

枝廣:政府は人々を幸せにする責任があるのに、なぜ多国籍企業やグローバル化
を後押ししているのでしょうか。

ヘレナ:「国際貿易によってGDPを高め、国際貿易に携わっている企業の拡大
を支援することが、人々の雇用確保や経済活動の推進に不可欠だ」という、持説
というか、信念を持っているからでしょうね。

世界は前進しているか?

枝廣:前回お会いしたときに、こうしたグローバル化の問題やGDP以外の指標
についてお話しました。その後の2~3年の間に世界には前向きな変化が出てき
ていますか?

ヘレナ:人々が気づきつつあり、議論が増えていることは確かで、大きな希望を
感じます。いうまでもなく、金融危機の後には多くの人々が考え直すようになり
ました。

しかし、各国政府は今のところ、しなければならないことをしていないことは明
らかです。メディアでこれらの問題についてさらに議論を深めることが必要です。
そうすれば、人々の行動がもっと増えるでしょう。人々が環境を守りたいと思う
気持ちを貧困や失業についての懸念とも関連づけることができます。

枝廣:そのとおりですね。1月に「幸せ経済社会研究所」を設立しました。環境
活動家はこれまで持続可能性のために活動してきましたが、経済や社会の問題構
造にも取り組まなければなりません。これらの問題に取り組まずには、持続可能
な未来はやってこないからです。

経済にとって大事なものは何か

枝廣:「経済成長は持続可能ではないが、脱成長は不安定をもたらす」という経
済成長のジレンマがあります。「現在の構造においては、経済を動かし、雇用を
創出し、老後の年金などを提供するためには、経済成長が不可欠だ」と言う論に
対して、どうお考えですか?

ヘレナ
:間違いなく私の考え方は大半の経済学者とは違います。長年、世界でも
工業化があまり進んでいない、ラダックやブータンといった地域にも住み、最も
工業化が進んだ地域でも過ごした経験から、「経済について考え直すときには、
農業や資源の採掘について深く理解しなくてはならない」と思っています。

つまり、生態学的な見方ですね。「私たちの豊かさと私たちが使うものはすべて
自然の中にある」ということを十分理解した上で考えれば、自然では「多様性」
が必須であることがわかります。

生態系に関する知識と多様性の尊重が必要だということは、真摯に考えてみると
より明らかになります。小さな規模で土地にくまなく手入れしようと思えば、よ
り多くの人を雇用することになります。林業や漁業では、大規模な皆伐や流し網
ではなく、選択的に伐採や漁獲をするのです。

工業システムが作りだしたのは大規模な手法だけではありませんが、各国政府は
現在、大規模な手法がさらに拡大し、大量破壊の度合いが増すように支援してい
るのです。教育や医療など、自然や人間と関わるほぼすべての分野では、より多
くの人間の働き手が必要です。こうした分野では、人間の数を減らすのではなく、
むしろ増やす必要があるのです。

現在、地球温暖化対策として効率的な技術の開発が進んでいますが、実際にはさ
らに問題が悪化するのではないかと気がかりです。技術やエネルギーによる、雇
用のない――人間が使い捨てになる――成長ではないかと。技術やエネルギーは
環境にはやややさしいかもしれませんが、人間にやさしくありません。多様性の
修復と本当に健全に繁栄する生態系のためには、人間にもやさしくなければなり
ません。

これに取り組むべき理由の一つは、自然とこのように関わる小規模な農業では、
土地や水の一単位当たりの生産量がはるかに多くなるからです。

枝廣:そうは考えない人が多いですよね。多くの場合、規模が必要だと考えられ
ています。

ヘレナ:ええ、多くの人口を養うためには、大きな規模が必要だという認識があ
るようです。それもわかります。しかし、土地を大農場としてではなく、たくさ
んの小さな農場として使用すれば、おろかで闇雲な機械の代わりに、働く人間の
数は増えます。例えば、リンゴの収穫で、人間なら熟すまでに待とうと半分は収
穫しない場合でも、機械ならばすべて収穫してしまいます。

世話をするという人間の知性は、生産性を大幅に向上させます。小さな規模で多
様性があると、労働は楽しいものです。機械が便利だと思うと、人々は機械のよ
うに立っているだけという奴隷制が始まるのです。人間がまるで機械のように扱
われます。しかし、より独立した家族経営で、多様性があり動物もいる農業では、
労働は実のところとても楽しいのです。私たちは根本的な方向性について考え直
さなければなりません。

枝廣:私たちは、経済や経済学の再構築を行うと同時に、社会の論理も変えてい
かなければなりません。例えば、多くの人々が「機械や技術は自分たちよりも優
れている」と思っています。私たちは、自分で自分のたづなを握り直し、自分へ
の信頼を取り戻さなければならないと思うのです。

ヘレナ:そうですね。まったくそのとおりです。

鍵は「多様化」と「地域化」

枝廣:映画では、大規模な現代農業と地域密着型の小規模農業の収穫方法が大き
く違うというシーンがありますね。まずしなければならないことの一つは、こう
した実例やデータを示すことでしょうか。

ヘレナ:ええ、例やデータを集めることは重要だと思います。しかし、正しいこ
とを行うことが非常に難しい経済・社会の構造下では、こうした実例は困難に直
面していることを忘れてはなりません。

なぜなら、どこでも、健全な生産活動のための人間による労働は極めてコストの
高いものになってしまったからです。子供や病人や土地の世話を自分たちでやろ
うとすると、コストが高くついてしまう。というのも、私たちは、補助金が与え
られている機械と競合しているからなのです。

例えば、ラダックでは、母1人につき、子供の世話をしてくれる人が約10人いま
した。小さな子供の世話をするために時間を使うことやそのエネルギーはとても
大切です。なぜなら、愛され、優しくされた子供は、愛して、優しくできる子供
に育つからです。私たちがやらなくてはならない再構築は、私たちの多くに多大
な恩恵をもたらすでしょう。

鍵を握っているのは、より伝統的な側面を見直し、新しい地域化のイニシアチブ
を検討できる大局的な視点だと思います。例えば農業では、さまざまな逆境にも
かかわらず、地元の直売所で販売することで成功している農家の例があります。
素晴らしいことにこうした直売所では、市場のシグナルによって、大規模なモノ
カルチャーから多様性へ、農家の移行が促されているのです。農家は経済的にも
多様性に関心を持っています。

多様化が進めば、風やあられや病気などの害が発生しても、すべてに同じ被害が
出るわけではなくなります。すると農薬や化学肥料の使用量も減らせます。近く
の直売所で販売すれば、仲買業者もいないため、売上は時には10倍以上になりま
す。売上が増える一方で、投入物が減ることで生産コストは下がります。

枝廣:日本にとても興味深い話があります。ご存知のように、日本の食料自給率
は、カロリーベースで約40%と低いのですが、福井県の食料の県産自給率は60%
ととても高いそうです。

ヘレナ:そうなのですか。

枝廣:その第一の理由は、自家菜園で野菜を作る人が多いということです。東京
では自家菜園を持つことは難しいですが、地方ならできます。二番目の理由がと
ても興味深いのですが、作った野菜を近所の人に「お裾分け」するからだそうで
す。

これは貨幣を介するフォーマルな経済ではありません。伝統的に贈与経済といわ
れるものです。地方ではこうした地域経済がとても活発なのです。貨幣を介して
いませんから、GDPの観点から見ればゼロです。でも、地域レベルでは、多く
の幸せやつながりをもたらしています。

現在のGDPは何を測っているのか

ヘレナ:経済成長の意味について根本的に考え直す必要がありますね。人々が自
給自足の方向へ向かうとGDPは下がります。生産され、消費された食料の量、
それが健康的な食料か、いい住まいか、暖房・照明・調理のために十分なエネル
ギーがあるか、などを測るものさしが必要です。これらを測り始めれば、成長は
かなり違うものになると思います。

枝廣:ほんとですね。

ヘレナ:現在のGDPの測定で測られているのは、「商業化」と「自立の損失」
だということを理解しなければなりません。それは、自尊心と幸せの喪失にもつ
ながっています。

枝廣:ええ。

ヘレナ:「健康でいる」って、非国民になることだということがわかりますよ。
GDPを上げたいなら、病気でいたほうがいいのです。薬を飲んだり、化学療法
をしたり、放射線治療を受けたり、病気のほうがいいんです。花を育てるのもだ
めです。買いに行くべきなのです。畑で野菜を育てると、GDPが下がります。
そして、実のところ、戦争があれば、すべての家を新しく建て直さなければなら
ないですから、戦後のGDPにとって役に立ちます。

もう1つ、汚染がひどいことはビジネスやGDPにとって都合がいいのです。例
えば、ボトル入りの飲料水、フィルター、あらゆる清浄装置や技術。本当は、清
浄しなくてはならないという状況自体、あってはならないのですが。

経済に関する知識として重要なのは、現在のゆがんだ経済市場では、化学物質や
着色料を多用し、包装されて、世界の反対側から長距離輸送で運ばれてくる加工
品のほうが、自然な製品より安いということです。影の補助金とごまかしのせい
です。

世界の反対側からジャガイモを持ってくるのは安くないのに、粉末にされ、ポテ
ト・チップスになり、着色され、3重に包装され、世界各地に送られたジャガイ
モのほうが、新鮮でオーガニックの地域で生産されたジャガイモより安いなんて、
まったく間違っています。ごまかされた経済なのです。経済については考えるべ
きことがたくさんあります。

枝廣:まず国が測るGDPと本当の経済成長について、明確に区別したいのです。
多くの人が「経済成長=GDP」だと思っています。

ヘレナ:私が分散や地域化を勧めているのは、地域の町や村だったら「自分たち
の池がどのくらい汚染されたか」を進歩の指標にするという失敗はしないからで
す。村の半分の人に仕事がないという状態を進歩だと考えません。現実や影響を
受ける土地や人により近い立場になれば、突如常識的にわかるのです。現実が測っ
てくれます。GDPがおかしいのは、それが抽象的で自然や人間の現実から遠い
ことが原因です。

真の進歩と成長を測るためには、地域独自の人間のためのものさしが必要です。
また、成長を企業の数の増加で測ることにも興味があります。数が減るのではな
く、増えるということです。最大手が二番目企業と合併吸収することでより巨大
な企業になります。こうした巨大企業が大きくなりすぎて非効率的になり、強大
化しすぎるのです。

そうではなく、社会にとって意味のある規模へと細分化していくのです。例えば
食料などは、できるだけ家に近いところからリーズナブルな価格で入手したいと
人々が思うことは明らかです。

多くの地域では、本物の繁栄の成長には「脱商業化」が含まれます。なぜなら交
換がもっと頻繁に行われるようになるからです。

もっとも、お金から完全に脱却しようといっているわけではありません。お金は
便利なツールです。税制度もある程度あればいいと思います。共同体として老人
や貧しい人たちを助けることができるからです。しかし、私が育ったスウェーデ
ンでは、国が頭でっかちになりすぎて、家族や地域社会から多くの機能を奪い、
それが幸せを失わせました。

「地域化」こそが代替の経済モデル

枝廣:幸せ経済社会研究所を設立したのは、普通の人たちだけでなく、政治や経
済の世界の人々も、ますます多くが、現在の経済モデルではうまくいかない、別
のものが必要だと話しているのを聞くようになり、一方で、直売所や地域が支援
する農業(CSA)、ダウンシフターズなど、地に足のついた事例を目にするよ
うになったからです。一方には警告があり、一方では実践例があります。しかし、
これらをつなげるため代替となるよい経済モデルを、私はまだ見つけられていま
せん

ヘレナ
:私が推進しようとしていることが、実は、その代替となる経済モデルな
のです。根本的なレベルでは、分散化または地域化です。先ほどもお話したよう
に、経済学には生態学についての知識が必要です。すべての命が多様性であり、
だれもが個人として、団体として、文化として、人種として、独特なのです。

さらに、世界各地の人々に影響を与えている一つの標準的な消費者モノカルチャー
のイメージではなく、その多様性に適応しなければなりません。そのため、人間
と生態系のために、私たちは経済活動を多様性に、つまり、異なる文化の現実に
適応させなければなりません。

「地域化」は、現在政府が後押ししているグローバル化の方向とは逆です。グロー
バル化には、ある種のシステム的な特徴があります。第一に、生産物と消費者を
分断し、投資家を投資対象から分断します。危険なことです。投資家たちは、自
分たちのお金がどこでどのような影響を及ぼしているかをまったく知らないので
す。それだけでも、道徳的な実践を行えないしくみであることがわかります。

しかし、距離を短くすれば、自分の行為の影響がわかるようになります。生産者
として、消費者として、何か起きているかわかります。そうすれば、より道徳的
になるでしょう。

距離が短くなれば、企業が社会の中でより見えるようになり、説明する義務をも
つようになります。文化と生態学的な価値が、企業をかたちづくるようになるで
しょう。現在は反対に、企業が文化と生態系と政府をかたちづくっています。地
域化は、「企業は地域に根付いていなければならない」ということを意味します。
多国籍企業ではなく、日本の企業、米国の企業、中国の企業でなければなりませ
ん。

つながりのある幸せの経済学へ

枝廣:人々は抵抗や恐れを持ちがちです。権力のある人たちだけでなく、多くの
一般の人々も、年金や雇用を確保するために、貨幣価値によって測られる経済活
動の拡大が必須だと考えています。地域化が私たちの目指すべきものと仰いまし
たが、人々の抵抗や恐れに直面しませんか?

ヘレナ:地域化というと、「昔のように小さな村に住んで、農民になるというこ
とでしょうか?」というように連想する人が多いですね。まず、大部分の人々の
農村地域での経験は、長年社会的に無視されてきましたし、特に第二次世界大戦
の後、農民たちの暮らしはとても厳しく、心理的にも物質的にも取り残されてい
ます。村にはお年寄りだけがいて、若者はさまざまな動きがあってワクワクする
都市部にいる、ということが多いです。

ですから、地域化について説明するとき、私はまず、活気ある生き生きとした小
さな町を作ることは可能だと話します。より健康な農業、林業、漁業を行うこと
ができる場所なら、そこで働く人の数も多くなります。そこそこのお給料と敬意、
それに仕事に伴う喜びがあれば、全体像はがらっと変わってしまうと思うのです。

新しい農民による運動がありますし、とてもうまくいき、楽しんでいる例もたく
さんあります。私が知っているなかで、いいなあ!と思うのは、「地元の食べ物
を食べよう」という運動です。破産寸前で不幸せだった農家が今では繁栄してい
ます。これらはすべて、政府による支援がないのに実現したのです。わずかな支
援があれば、素晴らしいことが起きるでしょう。

「もし、今よりも小さな町、あるいは大きな町で同じ仕事ができるとしたら、ど
ちらがいいですか?」という質問をたずねられたら、おそらく大多数の人たちが
小さい町に住みたいと答えるでしょう。

地域化によって私たちの暮らしがより豊かになるということを明確に示す方法が
あると思います。しかも、あなたのお金が減るというわけではないのです。グロー
バル化の最大の錯覚は、「赤字によってGDPを上げることが私たちに恩恵をも
たらしている」という考えです。

私たちは貧しくなっているのです。人々が年金や雇用について心配しているので
あれば、この経済についての知識に目を向けるべきです。社会での私たちの安全
安心のためには、現在のシステムよりも地域化のほうがよいということに気がつ
くべきです。

枝廣:国や政府はどうでしょうか?地域化が進み、人々がダウンシフトし始める
と、税収が下がると恐れているのでしょうか?

ヘレナ:実際のところ、世界中の政府は、巨大企業を後押ししているために貧し
くなっています。巨大企業に補助金を与えても、お金が戻ってきません。多くの
中小企業があったほうが、より健全で安定した税収の基盤ができます。間違いあ
りません。

地域化が幸せの経済学であることの理由の一つは、グローバル化された消費文化
から離れ、お互いにつながりのある暮らしへと移ることを意味しているからです。
これは、多くの人々が認識しているよりもはるかに重要なことです。

幸せの経済学は、お互いとのつながりと、周りの自然や動物や植物とのつながり
をもう一度作ることなのです。私たちはそうして進化してきました。この地球上
に存在した過去の大部分において、そのように暮らしていました。それが私たち
のあるべき姿なのです。つながりがあるからこそ人間なのです。

枝廣:いろいろなお話、とても考えさせられました。ありがとうございました。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~

映画「幸せの経済学」のお知らせです。私も観せていただきました。

> 「幸せ」と「経済」と「社会」の連立方程式を解く大きなヒントがここにある。
> 持続可能性を損なうグローバリゼーションの彼方にあるのは何か……?
> この映画を見ながら、きっとわくわくすることと思う。
> -- 枝廣淳子

~~~~~~~~~~~~ここからご案内~~~~~~~~~~~~~~~~~

http://www.shiawaseno.net/

人と自然とのつながりを「ローカリゼーション」に
よって取り戻そうと呼びかけるこの映画。
2月の4回の試写会で約1,000人の動員があるなど大盛況でした。

行き過ぎたグローバル経済から脱却し、
持続可能で幸せな暮らしをどう作っていくべきなのか。

このドキュメンタリーで、監督のヘレナさんは、
「答えはローカリゼーションにある」と訴えます。

この映画がいよいよ、5月21日よりUPLINK(渋谷)、
5月22日より、日本全国一斉公開となります!

多くの共感が生まれています!

------------------------------------------------------------------
地域で繋がり合おうという大事なキーワード「ローカル」を
しっかりと心に落としこんでくれる素晴らしい映画です。
キーワードは「Go local !」
-- 丹羽順子(koko) - J-WAVE LOHAS SUNDAYナビゲーター
------------------------------------------------------------------
私にとってのローカリゼーションは、自分が生きる場所を定め、その場所を愛すること。
そして地域の人達とつながりあうこと。
「ローカリゼーション」は世界をつなぐ普遍的なテーマだと思います。
素晴らしい映画でした。
-- 鎌仲 ひとみ (映画監督)
------------------------------------------------------------------
「幸せ」と「経済」と「社会」の連立方程式を解く大きなヒントがここにある。
持続可能性を損なうグローバリゼーションの彼方にあるのは何か……?
この映画を見ながら、きっとわくわくすることと思う。
-- 枝廣淳子
------------------------------------------------------------------
本当の豊かさは、これまでの「より速く・より大きく・より多く」に替わる、
3つの「S」(スロー・スモール・シンプル)の中にこそある。3・11後の今、
ヘレナの映画に導かれて、幸せへと「降りて」ゆこう!
-- 辻信一(文化人類学者、環境運動家)
------------------------------------------------------------------

<映画詳細>

【作品名】幸せの経済学(The Economics of Happiness)
【HP】日本語: http://www.shiawaseno.net/
   英語: http://www.theeconomicsofhappiness.org/
【制作年】2010年 【時間】68分
【プロデューサー】ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ(ISECの代表者)
【監督】ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、スティーブン・ゴーリック、ジョン・ページ
【制作】The International Society for Ecology and Culture (ISEC)
【配給・宣伝】ユナイテッドピープル株式会社 http://www.unitedpeople.jp/

映画「幸せの経済学」を製作したThe International Society for Ecology and Culture (ISEC)は文化・生物多様性の保護に携わる活動をするNPOです。寄付などの詳しい情報は、以下URLまで。
ISEC http://www.isec.org.uk/

<監督プロフィール> ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ( Helena Norberg-Hodge )

スウェーデン生まれ。ISEC(International Society for Ecology and
Culture)創設者、代表。世界中に広がるローカリゼーション運動のパイオニアで、
グローバル経済がもたらす文化と農業に与える影響についての研究の第一人者。1975
年、インドのラダック地方が観光客に開放された時、最初に入った海外からの訪
問者の一人で、言語学者として、ラダック語の英語訳辞典を制作。以来、ラダッ
クの暮らしに魅了され、毎年ラダックで暮らすようになる。そしてラダックで暮
らす人々と共に、失われつつある文化や環境を保全するプロジェクトLEDeG (
The Ladakh Ecological Development Group)を開始。この活動が評価され1986年
に、もう一つのノーベル賞と知られ、持続可能で公正な地球社会実現のために斬
新で重要な貢献をした人々に与えられるライト・ライブリフッド賞を1986年に受
賞。ダライ・ラマ法王の訪問も受けている。著書「ラダック懐かしい未来
(Ancient Futures)」は日本語を含む40の言語に翻訳され、世界各国で高い評価
を得ている。
* ISEC: http://www.isec.org.uk/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■5月22日 全国100ヶ所同時自主上映会 主催者募集中!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

5月22日は「国際生物多様性デー」。

映画「幸せの経済学」はこの日に、日本全国一斉100ヶ所で
同時に自主上映を行うことを目標としています!
ただいま、全国からおよそ50ヶ所から申込みが来ています。
http://www.shiawaseno.net/100-2

5月22日はキャンペーンとして1人522円(税込)の上映料、
または最低保証26250円(税込)での上映料となります。

どうぞ「幸せの経済学」をきっかけに、地域の人とつながり、
「幸せ」について「豊かさ」について考えてみませんか?

ぜひ、皆様も上映会主催をご検討いただけますと幸いです。

詳しくは、幸せの経済学のHPをご覧ください。
http://www.shiawaseno.net/

試写版をご送付することもできます(返送料負担)。
お問い合わせください。
http://www.shiawaseno.net/contact

映画「幸せの経済学」の上映に加え、
『懐かしい未来:ラダックから学ぶこと & 地域から始まる未来:グローバル経済を超えて』
( NPO懐かしい未来 )の同時上映
http://afutures.net/activity/movie/index.html

や、上映後に、是非ともワークショップ、ディスカッションも
ご検討ください。

それではよろしくお願い申し上げます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「あなたにできること」東北関東大震災 http://www.upfund.net/you
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ One for all. All for one.━━━━
ユナイテッドピープル株式会社 http://www.unitedpeople.jp/
代表取締役 関根 健次
Twitter: http://twitter.com/sekinekenji BLOG:http://sekinekenji.info/
メルマガ: http://www.unitedpeople.jp/mmagazine.html
★UFPFF 国際平和映像祭準備中! http://www.ufpff.com/
著書「ユナイテッドピープル」 http://amzn.to/dNuoEJ
本の序章を公開中 http://www.unitedpeople.jp/upbook/upbook_dream.pdf
────────────────────────────────────
 〒299-4508 いすみ市岬町榎沢1021-5
 TEL: 0470-62-6129 FAX: 0470-87-2215
────────────────────────────────────

~~~~~~~~~~~~ご案内ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~


各地で、「幸せの経済学」について考え、試行錯誤を含め実践する動きが広がっ
ていくことを願っています。



※メールニュースの引用・転載は出所を添えて、ご自由にどうぞ
(枝廣淳子の環境メールニュース http://www.es-inc.jp
*******************************************************************
「震災・原発事故、そしてこれからのこと。」
http://www.es-inc.jp/news_shinsai/index.html

「幸せ経済社会研究所」~幸せと経済と社会との関係を見つめ直す
http://www.ishes.org/

「日刊 温暖化新聞」~情報・考え方、行動・広がりへ!
http://daily-ondanka.com/

「私の森.jp」~森と暮らしと思いをつなぐ http://watashinomori.jp/

商用での印刷物・ウェブ上での無断複製・転載はご遠慮ください(ご相談下さい)。
お知り合いやMLへのメールでの転送は歓迎です。

本メールリストへの登録/登録解消、バックナンバーの取り出しは
http://www.es-inc.jp/lib/mailnews/index.html
アドレス変更は、上記ページで「旧アドレスの脱退」+「新アドレスの登録」を
お願いします。一定期間メールが戻ってくる場合には、こちらで登録削除する場
合があります。 ※アマゾンのアソシエートプログラムに参加しています。

「変える」メソッドを経営へ http://www.change-agent.jp/
「システム思考」に関する情報を提供
http://groups.yahoo.co.jp/group/systems_thinking_byCA/
日本から世界へ情報発信 ジャパン・フォー・サステナビリティ
http://www.japanfs.org/index_j.html

枝廣淳子
〒156-0055 東京都世田谷区船橋1-11-12 産興ビル3F イーズ
Tel: 03-5426-1128 Fax:03-6413-3762 http://www.es-inc.jp
*********************************************************************
2011-04-25 21:48:54

Water Changes Everything.

Theme: Eco
アースデイの必見ビデオ「水は世界を変える」–作者Scott Harrisonインタビューは、こちらです。
2010-10-17 20:56:45

Peak Oil - Visually Explained

Theme: Eco
2010-10-11 09:42:15

Severn Suzuki speaking at UN Earth Summit 1992

Theme: Eco


Hello, I’m Severn Suzuki speaking for E.C.O. - The Environmental Children’s organization.

We are a group of twelve and thirteen-year-olds from Canada trying to make a difference: Vanessa Suttie, Morgan Geisler, Michelle Quigg and me. We raised all the money ourselves to come six thousand miles to tell you adults you must change your ways. Coming here today, I have no hidden agenda. I am fighting for my future.

Losing my future is not like losing an election or a few points on the stock market. I am here to speak for all generations to come.

I am here to speak on behalf of the starving children around the world whose cries go unheard. I am here to speak for the countless animals dying across this planet because they have nowhere left to go. We cannot afford to be not heard.

I am afraid to go out in the sun now because of the holes in the ozone. I am afraid to breathe the air because I don’t know what chemicals are in it.

I used to go fishing in Vancouver with my dad until just a few years ago we found the fish full of cancers. And now we hear about animals and plants going extinct every day - vanishing forever.

In my life, I have dreamt of seeing the great herds of wild animals, jungles and rainforests full of birds and butterflies, but now I wonder if they will even exist for my children to see.

Did you have to worry about these little things when you were my age? All this is happening before our eyes and yet we act as if we have all the time we want and all the solutions.

I’m only a child and I don’t have all the solutions, but I want you to realize, neither do you!

You don’t know how to fix the holes in our ozone layer. You don’t know how to bring salmon back up a dead stream. You don’t know how to bring back an animal now extinct. And you can’t bring back forests that once grew where there is now desert. If you don’t know how to fix it, please stop breaking it!

Here, you may be delegates of your governments, business people, organizers, reporters or politicians - but really you are mothers and fathers, brothers and sister, aunts and uncles - and all of you are somebody’s child.

I’m only a child yet I know we are all part of a family, five billion strong, in fact, 30 million species strong and we all share the same air, water and soil - borders and governments will never change that.

I’m only a child yet I know we are all in this together and should act as one single world towards one single goal. In my anger, I am not blind, and in my fear, I am not afraid to tell the world how I feel.

In my country, we make so much waste, we buy and throw away, buy and throw away, and yet northern countries will not share with the needy. Even when we have more than enough, we are afraid to lose some of our wealth, afraid to share.

In Canada, we live the privileged life, with plenty of food, water and shelter - we have watches, bicycles, computers and television sets.

Two days ago here in Brazil, we were shocked when we spent some time with some children living on the streets. And this is what one child told us: “I wish I was rich and if I were, I would give all the street children food, clothes, medicine, shelter and love and affection.”

If a child on the street who has nothing, is willing to share, why are we who have everything still so greedy? I can’t stop thinking that these children are my age, that it makes a tremendous difference where you are born, that I could be one of those children living in the Favellas of Rio; I could be a child starving in Somalia; a victim of war in the Middle East or a beggar in India.

I’m only a child yet I know if all the money spent on war was spent on ending poverty and finding environmental answers, what a wonderful place this earth would be!

At school, even in kindergarten, you teach us to behave in the world. You teach us:

not to fight with others,

to work things out,

to respect others,

to clean up our mess,

not to hurt other creatures

to share - not be greedy

Then why do you go out and do the things you tell us not to do?

Do not forget why you’re attending these conferences, who you’re doing this for - we are your own children.

You are deciding what kind of world we will grow up in. Parents should be able to comfort their children by saying “everything’s going to be alright’, “we’re doing the best we can” and “it’s not the end of the world”.

But I don’t think you can say that to us anymore. Are we even on your list of priorities? My father always says “You are what you do, not what you say.”

Well, what you do makes me cry at night. you grown ups say you love us. I challenge you, please make your actions reflect your words.

Thank you for listening.
2010-05-31 11:24:17

映画「ミツバチの羽音と地球の回転」予告編

Theme: Eco
<上映スケジュール>は、こちらです。
2010-05-22 14:12:14

地球のいのち、つないでいこう〜身近な生物多様性

Theme: Eco
2010-05-09 20:00:09

3つの社会変革モデル/レスター・R・ブラウン

Theme: Eco
枝廣淳子さんの許可をいただき、
「Enviro-News from Junko Edahiro」 (2010.05.09)全文を、
転載させていただいています。ありがとうございます。

*********************************************************************
Enviro-News from Junko Edahiro
No. 1791 (2010.05.09)
*********************************************************************
レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所から届いた
『プランB 4.0』よりという配信を、
実践翻訳チームのメンバーが訳してくれましたので、お届けします。
(同書の日本語訳はもうじき出版されるのではないかと思います)

社会が大きく変わるとき、どのようなパターンがあるのか、
温暖化をはじめとする現在の環境エネルギー危機に対して、
私たちや日本はどのパターンで対応しようとしているのか……いろいろ考えさせられます。

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~
3つの社会変革モデル
http://www.earth-policy.org/index.php?/book_bytes/2009/pb4ch10_ss5
レスター・R・ブラウン

私たちは十分なスピードで変わることができるのだろうか? 
世界経済を持続可能な軌道に乗せようとする際、
社会変革の必要性が非常に高まることを思うと、
さまざまな社会変革モデルを考察するのが有益だと分かる。

ここで浮かび上がるモデルは三つ。

一つ目は大惨事発生のモデルだ。
私が「真珠湾モデル」と呼ぶこのモデルでは、
劇的な出来事が私たちの考え方や行動を根本的に変えてしまう。

二つ目は、社会がある特定の問題において転換点に達するモデルである。
長期にわたって考えや行動が徐々に変化した後、
転換点を迎えることが多い。
このモデルを「ベルリンの壁モデル」と呼ぼう。

三つ目は、社会変革の「サンドイッチモデル」である。
このモデルでは、社会上層部の強力な政治的指導力で全面的に支持されている特定の問題に対し、
強い草の根運動が変化を推し進めている。


1941年12月7日の日本による突然の真珠湾攻撃は、劇的な警鐘だった。
その攻撃で、米国人の戦争に対する考えが一変したのだ。もし12月6日に、
「国は第二次世界大戦に参戦すべきかどうか」と米国人に尋ねていたら、
おそらく国民の95%が「ノー」と答えただろうが、
12月8日月曜日の朝には、それが「イエス」に変わったかもしれない。

真珠湾モデルの弱点は、
私たちが自らの行動を変える大惨事を待たなければならない場合、
それでは遅すぎる可能性があるということだ。
そうなれば、社会が崩壊するほどの緊張をもたらしかねない。

「気候変動の最前線には、
どのような『真珠湾』シナリオがあり得るか」と問われた科学者がよく指摘するのは、
西南極氷床崩壊の可能性だ。
氷床から比較的小さな塊が崩れ落ちるようになって、
もう10年以上にもなるが、
その氷床の大部分が崩壊して海に滑り落ちる可能性があるのだ。

この崩壊により、
数年以内に約60~90センチメートルという、
恐ろしいほどの海面上昇が起こることが考えられる。
残念だが、そうなってからでは遅すぎる可能性がある。
残りの西南極氷床やグリーンランドの氷床
――グリーンランドでも融解が加速している――を救える速さで、
炭素排出量を削減することは、
もうできないかもしれないのだ。
こうした真珠湾モデルは、
気候変動についての社会変革を起こすために、
私たちが目指したいものではない。

ベルリンの壁モデルは興味深い。
なぜなら、今から20年前の1989年11月、壁の崩壊は、
真珠湾攻撃よりもずっと根本的な社会変革が目に見える形で表れたものだったからだ。
モスクワでの変化に勇気付けられた東欧の人々は、
ある時期から、
一党独裁制で国家の中枢が計画経済を行うという壮大な社会主義を試みることを拒否していた。
そんな東欧が、予測されないまま、政治革命を経験したのだった。

それは、本質的に血を流すことなく、東欧各国の政治形態を変えた革命だった。
転換点には達していた。
しかし、革命は予期されなかった。
1980年代に発行された政治学の雑誌の中に、
「東欧に政治革命が迫っている」と警告している記事を探しても見つからない。
米国政府においても、中央情報局(CIA)は「1989年1月の時点で、
歴史の大きな波が私たちに押し寄せようとしているとは考えていなかった」と、
元CIA長官で現国防長官のロバート・ゲーツ氏は、
1996年のインタビューで振り返っている。

社会が変化するのは多くの場合、
社会が転換点に達したときか、重要な閾値を越えたときである。
一度このどちらかが起これば、たちまち変化が到来する。
そして多くの場合、それは予測できない。
最もよく知られている米国の転換点の一つは、
20世紀後半に起こった喫煙反対の高まりだ。

この反喫煙運動が熱を帯びたのは、
喫煙による健康への悪影響についての情報が絶えず流されたからだ。
1964年、米国公衆衛生局総監は初めて喫煙と健康に関する報告書を発行した。
それをきっかけに出回った一連の情報量が、
あるとき、たばこ業界が巨額の資金を投じて流した偽の情報量をついに上回った。
それが転換点だったのである。

ほぼ毎年刊行されている米国公衆衛生総監報告書は、
喫煙が健康に及ぼす影響に関して分かりつつあることに世間の注目を集めると同時に、
喫煙と健康の関係性について、
数え切れないほど多くの新しい研究プロジェクトを生み出した。
1980年代から90年代にかけて、
喫煙に関連した健康への影響が次々と分析・実証され、
新たな研究が数週間ごとに発表されているかに思える時期があった。
やがて喫煙は、15種以上のがん、心臓疾患、脳梗塞と関係があると考えられるようになった。

喫煙が健康に悪影響を及ぼすという社会認識が高まるにつれ、
飛行機、オフィス、レストラン、その他の公共の場で喫煙を禁じる、
さまざまな対策が講じられるようになった。
こうした社会全体の変化の結果、
一人当たりの喫煙量は1970年ごろにピークを迎えた後、
今日にいたるまで長期にわたって減り続けている。

この社会変化における決定的な出来事の一つは、
州政府がこれまでに負担してきた、
喫煙の犠牲者へのメディケア(高齢者向け医療保険制度)医療費の補償に、
たばこ業界が同意したことだ。
さらに最近では、2009年6月、広告を含め、
たばこ製品を規制する権限を米国食料医薬品局に与える法案が、
圧倒的多数で議会を通り、オバマ大統領が署名したことだ。
これは、喫煙による健康被害を減らす取り組みの、
新たな時代の幕開けとなった。

多くの点で最も魅力的なのは、サンドイッチモデルの社会変革だ。
一つには、急激な変化をもたらす可能性があるからである。
2009年後半の現時点で、炭素排出量の抑制や、
再生可能なエネルギー源の拡大に対する市民の強い関心が、
オバマ政権の利害と重なりつつある。その結果の一つとして、
新たな石炭火力発電所の建設が、ほぼ事実上凍結された。

1960年代の公民権運動のときもそうだったように、
米国が気候問題の転換点に向かって進んでいる可能性を示す兆候がいくつもある。
その中には、不況の反映でもある指標もいくつかあるが、
米国の炭素排出量は今や、
2007年のピークを境にして、長期にわたる減少に向かい始めたようだ。
炭素排出の主な原因である、石炭や石油の燃焼が減少している可能性がある。
また、2009年に廃棄される自動車の数は販売数を上回る見込みで、
米国全体の保有台数はすでにピークを過ぎ、減少に向かっているかもしれない。

ガソリン価格の高騰にも後押しされ、
ここ2年間で低燃費車への転換が進んできたが、
自動車の新しい燃料効率基準や、自動車メーカーに燃費向上を求める救済策によって、
その傾向がいっそう強化された。
自動車の効率基準をさらに厳しくし、
その上で公共輸送への資金拠出を飛躍的に回復させ、
より低燃費のガソリン電気ハイブリッド車だけでなく、
プラグインハイブリッド車と電気自動車の両方への転換を奨励すれば、
ガソリンの売り上げを大幅に減らせるだろう。
過去に米国エネルギー省は、
石油消費の実質的な成長を予測していたが、近ごろそれを下方修正した。
今問題なのは、「石油の消費を減らすのか」ではなく、
「いかに速く減らすのか」である。

風力エネルギーや太陽エネルギーが急成長し、
石炭や石油が減少しているというエネルギー分野での転換は、
根本的な価値観が変わる兆しでもある。
やがて、すべての経済分野に変化を起こすような価値観の転換である。
もしそうなれば、
新たに生まれつつあるこうした価値を共有する国の指導者と力を合わせることで、
今はまだ想像し難いような規模やスピードで、
この転換が社会や経済の変化を引き起こす可能性がある。

三つの社会変革の中で、
圧倒的にリスクが高いのは真珠湾モデルに依存することだ。
社会変化を招くような大惨事が起こるころには、
手遅れかもしれないからである。

ベルリンの壁モデルは、
政府の支援がなくても機能するが、時間がかかることも確かだ。
共産主義者が東欧各国の政府を支配するようになった後、
抑圧的な政権を打破するほどの強力な反体制派が広がり、
民主的に選ばれた政府に移行するまでには、およそ40年かかっている。

迅速かつ歴史的な進歩に向けた理想的な状況が生まれるのは、
変化を起こそうという草の根運動の高まりに呼応して、
国の指導者もまさにその変化に向けて全力で取り組もうとするときなのだ。
米国の新しい指導者に世界中から大きな期待が寄せられているのは、
こういうわけだとも言えるかもしれない。


# # #

出典:
レスター・R・ブラウン著、
『仮邦題:プランB4.0:人類文明を救うために』(Plan B 4.0: Mobilizing to Save Civilization)
第10章「私たちは十分なスピードで総力を結集できるのだろうか?」
2009年、W.W.ノートン社(ニューヨーク)より刊行。
http://www.earthpolicy.org/index.php?/books/pb4にて無料ダウンロード可。

その他のデータや情報源は、www.earthpolicy.orgを参照。

問い合わせ先:

メディア関連の問い合わせ:
リア・ジャニス・カウフマン
電子メール:rjk @earthpolicy.org
電話:(202) 496-9290 内線 12

研究関連の問い合わせ:
ジャネット・ラーセン
電子メール:jlarsen @earthpolicy.org
電話:(202) 496-9290 内線 14

アースポリシー研究所
1350 Connecticut Ave. NW, Suite 403
Washington, DC 20036
電話:(202) 496-9290
ファックス:(202) 496-9325
ウェブサイト:www.earthpolicy.org

********************************************************************
「日刊 温暖化新聞」~情報・考え方、行動・広がりへ! http://daily-ondanka.com/
「私の森.jp」~森と暮らしと思いをつなぐ http://watashinomori.jp/
商用での印刷物・ウェブ上での無断複製・転載はご遠慮ください(ご相談下さい)。
お知り合いやMLへのメールでの転送は歓迎です。

このメールへの「返信」は私にだけ届きます。
◆添付ファイルは受け取れませんので、edahiro@es-inc.jp へお送り下さい。
フィードバックなどをいただけるとうれしいです。
(個別のお問い合わせ等には対応できませんこと、ご容赦下さい)

本メールリストへの登録/登録解消、バックナンバーの取り出しは
http://www.es-inc.jp/lib/mailnews/index.html
アドレス変更は、
上記ページで「旧アドレスの脱退」+「新アドレスの登録」をお願いします。
一定期間メールが戻ってくる場合には、
こちらで登録削除する場合があります。 
※アマゾンのアソシエートプログラムに参加しています。

「変える」メソッドを経営へ 
http://www.change-agent.jp/
「システム思考」に関する情報を提供
http://groups.yahoo.co.jp/group/systems_thinking_byCA/
日本から世界へ情報発信 ジャパン・フォー・サステナビリティ
http://www.japanfs.org/index_j.html
元気と背中の一押しを! イーズ・メール
http://www.es-inc.jp/
枝廣淳子HP http://www.es-inc.jp

枝廣淳子
〒156-0055 東京都世田谷区船橋1-11-12 産興ビル3F イーズ
Tel: 03-5426-1128 Fax:03-6413-3762
*********************************************************************
2010-04-18 08:55:24

Please help the world - COP15 opening film

Theme: Eco

Amebaおすすめキーワード

    1 | 2 | 3 | 4 | 5 |oldest Next >>