ジョン・ヒルコート監督の「ザ・ロード」を観た! | とんとん・にっき

ジョン・ヒルコート監督の「ザ・ロード」を観た!

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先日、六本木の青山ブックセンターに寄ったら、「ザ・ロード」の文庫本(ハヤカワepi文庫)が、山積みされていました。もちろん映画公開記念、ということだろうと思います。「ザ・ロード」の原作は、荒廃した世界を舞台としたコーマック・マッカーシーのSFです。あの「ノーカントリー」の原作者でもあり、主演は「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンといえば、そして妻役にはシャーリーズ・セロンですよ。なんか役者がそろったという感じです。観ないわけにはいきません。


「ザ・ロード」はまさに「ロード・ムービー」、しかもホームレスの、父親と息子がただただ道を歩くだけの映画です。しかしその道は人通りはほとんどなく、まさに荒廃した世界です。なぜそうなったかの説明は一切ありません。ただただ食料を探しながら2人は南へと進みます。時折襲ってくる人肉を食う集団から、2人は逃げ回ります。まるで少女のように見える柔順な息子、父親との小さなエピソードだけで、この旅を描き出します。父はかつては深く愛しあった妻がいましたが、この世界に絶望し、自ら死を選んでしまいます。一緒に死んでほしいという妻の願いを拒絶して、息子とともに生き抜く道を選びます。息子は母親のことをもう忘れかけています。


その息子が2度ほど、父親に反抗します。一度は無人の街で同じ年ごろの男の子を見たとき、あの子に会いたいと言い出しますが父親には拒絶されます。もう一度は、道の途中で出会った瀕死の老人に食料を分け与えて欲しいと父親に懇願したときです。父親は仕方なしに缶詰を一つ渡します。老人は「坊やを見たとき、私はもう死んだと思った。そこに天使がいるのだから」と言います。果たして人なき世界にも神はいるのか?


ラストでは、息子に生き続けるように言いながら、父親は病気で亡くなります。息子は偶然ある家族に出会い、その家族に一員になることになります。この息子に幸せは来るのか?名前はなく、ただmanとboyとだけ表示されたエンドロールのバックには、BGMはかからずに、劇中では描かれなかった人々が幸せそうにはしゃぐ声だけが聞こえます。


以下、とりあえず「シネマトゥデイ」より引用しておきます。


チェック:コーマック・マッカーシーがピューリッツァー賞を受賞した同名のベストセラー小説を映画化したロード・ムービー。文明崩壊後のアメリカで、人間としての心を失わずに旅を続ける父子の苦難の日々を描く。よき父親を熱演するのは『イースタン・プロミス』のヴィゴ・モーテンセン。共演者も『アンダーカヴァー』のロバート・デュヴァルや『ハート・ロッカー』のガイ・ピアースら個性派が集結。ジョン・ヒルコート監督も絶賛のヴィゴの危機迫る演技に、思わずうなる。


ストーリー:謎の天変地異がアメリカを襲い、ほとんどすべての動植物が死に絶え、文明も消滅。そんな世界に残された父(ヴィゴ・モーテンセン)と息子(コディ・スミット=マクフィー)は、ひたすら南を目指して歩き始める。生き残ったわずかな人々が互いを食らうという狂気の中でも父は決して正気を失わず、息子に人としてのモラルを語り続ける。


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「ザ・ロード」公式サイト


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