2008年04月05日 23時31分22秒

映画「善き人のためのソナタ」を観た!

テーマ:映画もいいかも

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「盗聴」とは、他人の会話や通信などを、知られないようにそれらが発する音や声をひそかに聴取・録音する行為です。聴取した音声から様々な情報を収集し、関係者等の動向を探る目的で用いられます。旧ソ連時代、在モスクワの外国公館すべてに盗聴器が仕掛けられていると考えられていました。モスクワに新築されたアメリカ大使館にも盗聴器が仕掛けれれていて、問題になったことがあったことを憶えています。わが国でも、過去には「公安警察」により、代々木にある日本共産党本部ビルの向かいの一室を秘密に借りて、ビルに出入りする人を隠しカメラで監視、個人特定をしようとしていたことが発覚しています。「公安警察」は、一般に戦前以来の特別高等警察がGHQの指令により解体された代わりに創設されたとされています。


もっとも知られている盗聴事件は、「日本共産党幹部宅盗聴事件」です。この事件は、1985年から1986年にかけて、当時日本共産党国際部長であった緒方靖夫宅の電話が警察官によって盗聴されていたという事件でした。盗聴は、緒方宅から100メートル離れたアパートで行われていたことがNTT電話局の調べでわかりました。この事件は警察の組織的な犯行とされており、「公安警察」の存在が注目を浴びました。また検察の捜査の合法性にも疑問が投げかけられました。この事件をきっかけに、1999年に「通信傍受法(盗聴法)」が成立し、警察が捜査上必要な場合、通信傍受や盗撮は法的要件を踏まえた上で許可状を受ければ合法とされましたが、審議の際にこの事件が「国家権力による盗聴を合法化するもの」と問題視されました。
参考:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」


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旧東ドイツの秘密警察・国家保安局(シュタージ)は、1949年から89年のベルリンの壁の崩壊までの40年間において、国内の反体制分子を徹底的に監視し取り締まってきました。シュタージは、正規職員は軍隊式の階級を持ち、また密告者を多数抱えていました。正規職員と密告者の総数は、東ドイツ人口の1割以上にもなったという。反体制分子と目された人々の個人情報記録は東ドイツが崩壊した後、本人に限り閲覧ができるようになりましたが、それによって家族や親友が実はシュタージの協力者であったということ知り、家庭崩壊や人間不信に陥った人々も多数いたという。

さて、この映画の舞台は1984年の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は、国家に忠誠を誓う生真面目な男です。ある日彼は、反体制の疑いのある劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)と、その同棲相手の舞台女優クリスタ(マルティナ・ゲデック)を監視するよう命じられます。成功すれば昇進が待っています。彼はこの使命を遂行すべく、ドライマンのアパートに盗聴器を仕掛け、部下と共に徹底した監視を開始します。しかし、自由な思想や文学を語り合い、愛の言葉を交わし深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは次第に共鳴し、新しい世界が開かれていきます。ドライマンが、追いつめられて自殺した友人の劇作家の死を知り、「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」と言いながら、弾いてみせる「善き人のためのソナタ」という曲を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられ、「生きる歓び」にうち震えます。



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1984年と言えば、ベルリンの壁の崩壊の5年前のことです。この映画から受け取る教訓はたくさんあります。旧東ドイツ、共産主義社会と理想は高いけれども、その体制の内実は冷酷な「監視社会」であったこと、その結果の人間不信、またその組織は権力によるヒエラルキー社会であったこと、その結果の支配する人間と支配される人間の、空虚な非人間的社会が、人々の自由を奪い去っていたこと、等々、あげればキリがありません。国家保安省の大臣がクリスタに興味を持ち、権力を利用して彼女を犯すシーンも描かれています。しかし、体制の崩壊は目の前でした。予兆はたくさんあります。体制側、といってもその末端のシュタージ局員のヴィースラーと、反体制側には自由な思想を持った劇作家ドライマン、この二人に象徴されるように、物語は自由と抑圧を対比的に描いています。


そしてその二人が解け合う序章として、盗聴器を通してではあるが、ピアノ曲「善き人のためのソナタ」がおかれていて、それが映画のタイトルにもなっています。ヴィースラーにとってクリスタは憧れの女優でした。その憧れが彼の任務の妨げとなっていきます。犠牲となるのはドライマンの愛人クリスタです。すべてを見透かしたように口を割ってしまいます。しかし、監視していたヴィースラー大尉も、実は監視されていました。なんとも虚しい結果としか言いようがありません。ベルリンの壁が崩壊したあと、ヴィースラーは郵便配達をしながら、信念を持って生き続けます。そして、「善き人のためのソナタ」というタイトルの、ドライマンによって書かれた書物を本屋で見つけ、それを手にするヴィースラーの姿で、この作品は終わります。



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東ドイツ出身の有名シンガーソングライターで、反体制的な詩の内容を理由に活動を11年間禁じられ、その後東ドイツ市民権を剥奪されたヴォルフ・ビアマンは次のように述べています。「そのような細かいことがこの映画の核なのではない。この作品が伝える当時の東ドイツを支配していた空気は本物。これほどまでに真実味のあるストーリーを、西で育った新人監督が作り上げたことに、ただただ驚くばかり。彼は、人間の中に存在する善と悪が、どれほど途方もなく複雑に交じり合いもつれ合うものであるかということを、私たちに教えてくれる」と。わずか20数年前に、実際に行われていたという事実、取材や調査に4年を費やしたフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督は、弱冠33歳、この作品が長編第一作です。東独時代の記憶は人々にとって「癒えるのに非常に長い時間を要する傷」であると言います。


善き人のためのソナタ 」公式サイト
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