2008年03月22日 21時57分44秒

コーエン兄弟の「ノーカントリー」を観た!

テーマ:映画もいいかも

no6


渋谷の渋東シネタワーで、コーエン兄弟の「ノーカントリー」を観ました。といっても、コーエン兄弟とは誰のこと?まあ、知らないことはたくさんあるので、別に驚きませんが。実は知人のブログで、彼がこの映画を観たということを知って、渋東シネタワーであれば駅から繋がっているので、とりあえず行ってみようと思い立ったわけです。もちろん彼のブログに、アカデミー賞を4部門で受賞したことが書いてあったことも、観に行った理由のひとつではあります。しかし、コーエン兄弟の監督作品、「バートン・フィンク」(1991)や「ファーゴ」(1996)があることなど、過去の経歴もまったく知りませんし、この映画の内容について一切の予備知識はなく映画館へ入りました。コーエン兄弟のファンが多いのか、アカデミー賞の受賞作ということで、館内はほぼ満員でした。


それにしても、最近、わけの分からない映画が多いので、ブログに書くのにすんなりと書けずに、理解するのに時間がかかります。これを書くまでに1週間近くも過ぎてしまいました。世の中、わけの分からないことが多いことの反映なのでしょうか?この映画のあらすじは、比較的単純で分かり易いのかもしれません。舞台は1980年代のテキサス、主要な登場人物は、麻薬がらみの200万ドルを持ち逃げした男と、金を取り戻そうとする殺人者と、そして殺人者を追う保安官の3人です。


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映画の冒頭で、ベル保安官が「今の時代の犯罪は理解できない」とつぶやくことから、この物語は始まります。荒涼としたテキサスの大地で狩りをしていたルウェリン(ジョシュ・ブローリン)は、死体の数々を見つけます。麻薬取引をめぐる抗争のようです。死体の山に囲まれた大量のヘロインと200万ドルの大金を発見し、危険なにおいを感じながらも「妻に楽をさせてやりたい」一心から大金を持ち逃げします。なぜかベトナム帰還兵という設定です。水を欲しがる1人の生存者を置き去りにして。しかし、彼が罪悪感を感じて現場に戻ると、1台の車が現れ、突然銃声が鳴り響きます。モーテルを転々として逃げ回る彼は、金を奪還するために雇われた殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)に追われることになります。


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モスが奪ったカバンの中には発信機がついていて、どこまで逃げてもシガーにいる場所を知られてしまいます。追いかけるシガーは、誰であろうと理不尽に無差別に殺してしまいます。彼の武器は高圧ボンベをつけた家畜用のスタンガンです。まったく寡黙で生真面目に、そして無表情に、鍵穴も人間の額も同じように撃ち抜く、恐ろしい存在です。そこには快楽も苦悩もありません。おかっぱ頭の髪型が、シガーを異常に怪異に見せています。シガーから命を狙われるモスを保護し、シガーを捕らえるため初老の保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、2人の行方を追い始めます。


no3

台詞は最小限で、サウンドトラックはほとんどありません。追う者と追われる者のサスペンス・アクションは、砂漠に吹く乾いた風の音のようです。シガーとは何者なのでしょうか? しかし彼の素性は映画の中では一切明かされることはありません。シガー役でアカデミー賞助演男優賞を受賞したハビエル・バルデムは、「意味も動機も欠いた暴力は恐ろしい。不可解、不条理なシガーは、現代社会を象徴する」といいます。バルデムの解釈は「逃げる男は、世の中を修復する道具として、暴力を呼び込んだ」としています。ただ殺すためだけに殺す。暴力の背後にある世界、不条理が支配する世界には「OLD MEN」の生きる余地はありません。


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この映画の舞台は1980年代のテキサスですが、現代に生きる僕たちには、ベル保安官のような老後が果たして残されているのでしょうか。原題は「NO COUNTRY FOR OLD MEN」で、直訳すれば「老いた者のための国はない」となります。しかし邦題では「FOR OLD MEN」が削除されています。これではコーエン兄弟の意図は伝わらないのではないでしょうか?なお原作は、「血と暴力の国」だそうで、「ノーカントリー」は原作に忠実に描かれているようです。アメリカ社会の末期症状を描くと同時に、深読みすれば、現代社会に通じる普遍的なテーマを描いているのかもしれません。それにしてもこの映画がなぜアカデミー賞なのか、大いに疑問のあるところです。


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原題「NO COUNTRY FOR OLD MEN」は、アイルランドの詩人W・B・イェイツ(1865~1939)の詩『ビザンチウムへの船出』からの引用。「あれは老いた者たちの国ではない」とは永遠の生と芸術を謳歌できる理想の国ビザンチウムを夢見る語り手が実際に生きている、老いや死が避けられない現実を意味している。また、最後の保安官ベルの夢はアメリカの詩人ロバート・フロスト(1847~1963)の詩『雪の夕べ、森のそばに佇みて』にインスパイアされたと思われる。フロストは厳しい現実に耐える人生を、馬に乗って進む雪の山道になぞらえた。

(パンフレットより)


「ノーカントリー」公式サイト

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