2007年07月30日 00時31分34秒

映画「サイドカーに犬」を観た!

テーマ:映画もいいかも

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「サイドカーに犬」、原作者・長嶋有は1972年生まれ。小説「サイドカーに犬」でデビュー、文学界」2002年6月号に掲載され、第92回文学界新人賞を受賞し、2002年に「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞。この2編をあわせた「猛スピードで母は」(文藝春秋刊)は、2002年1月30日第1刷発行です。長嶋有と言えば、「夕子ちゃんの近道」で第1回大江健三郎賞を受賞、「群像」2007年6月号で発表されたばかりで話題を集めました。以下は、2005年5月10日ですから、いまから2年ちょっと前、このブログで「サイドカーに犬」について書いた個所です。


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「サイドカーに犬」、大人になって弟と過去を振り返る場面もありますが、主として主人公の薫が小学4年の時の夏休みの物語です。父とは喧嘩ばかりしていた母の突然の家出、そして洋子さんが現れたのは7月の終わりです。ずかずかと家に上がり込み、いきなり冷蔵庫を開ける。「私、今日から晩ご飯つくるから。買い物つき合ってくれる?」と言われます。二人で昔ボーリング場だったスーパーマーケットへ行きます。「なんかほしいものない?」と言われ、やっとのことで「麦チョコ」と薫は言います。洋子さんは、ラーメンの丼にサラダを盛ったり、コーヒーカップでお茶を入れたりする人です。夕方になるとどこからか自転車で現れて、晩ご飯を作り、台所へ行って太宰治の「ヴィヨンの妻」をめくります。


「私は文学少女なんだよ。いまは芥川龍之介を読んでる。芋粥って話が好きなの」と言ったりします。薫と深夜、「プレイバックパート2」を歌いながら山口百恵の家を見に行ったり、「キヨシローの家もこの町にあるんだって」とか。でも別れの時がやってきます。あの頃の洋子さんの年齢を追い抜いているのに、あの時の洋子さんのように、母の平手打ちに怯まない強さも持たず、人の自転車のサドルを平気で奪う残忍さもなく、他人を不幸に巻き込んでしまうような恋もしていないし、傷ついたことさえない、と薫は振り返ります。久しぶりに会った弟から「薫もそろそろじゃないの?」と言われ、結婚じゃなく、もっと別な何かが「そろそろじゃないか」という気がすると、薫は思います。


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竹内結子、テレビでの演技は何度か見たことがありますが、映画で見るのは初めてです。煙草をスパスパ吸って、性格はさばさば、大らかで気の強い女性、ヨーコ。ドロップハンドルの自転車を颯爽と走らせ、お上品なルールとは無縁、自由な精神にあふれた女性だが、繊細な優しさも併せ持っている。この男勝りで懐の深いヨーコを、竹内結子は惚れぼれするほどのカッコよさで見事に演じていました。男の理想、「いい女」とは、竹内結子の演じるヨーコさんのような人を言うのではないでしょうか。


後半に弟が「あのときの親父の愛人さぁ」と言うシーンがあります。結局は父親の「愛人だったんだなヨーコさんは」と、やっと薫はヨーコさんの存在を定義付けます。圧巻はなんと言っても、突然ヨーコさんが泣き出すシーンの竹内結子の演技です。「洋子さんは突然涙を流した。脈絡もなにもなかった。突然、涙が頬を伝っていた」と、原作にあるところです。「これまでに演じたことのない役柄に惹かれた」と竹内結子はインタビューに答えて言います。まったく意表を突いた父親役の古田新太も適役、薫役の松本花奈の表情は素晴らしい。


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映画のキャッチ、「正確、豪快、大ざっぱ、大胆、でも時々涙」、「あの夏、私の隣にはヨーコさんがいた」。この映画、ほとんど原作通りに忠実に進行します。原作では、「すっきりした顔立ちに短髪が似合っていた」とありますが、竹内結子はパーマをかけた長い髪でした。夏休み最後、映画では薫と二人で海へ行きますが、原作にはありません。一つだけ挙げれば、樹木希林の演技、あまりにも作りすぎていて興ざめでした。まあ、原作との違いを挙げても、この映画の大筋が変わるものではありません。


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この映画の監督は根岸吉太郎、「遠雷」(1981)でブルーリボン賞監督賞、芸術祭選奨新人賞を受賞しましたが、これは野間新人文芸賞を受賞した立松和平の同名の小説の映画化でした。宇都宮近郊を舞台に、永島敏行、ジョニー大倉、石田えりが出演した青春映画で、今でもその時に受けた感動をよく覚えています。



「サイドカーに犬」オフィシャルサイト


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長嶋有の「猛スピードで母は!」

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