2007年05月22日 07時43分19秒

三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」を読む!

テーマ:本でも読んでみっか

mahoro


三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」は、第135回直木賞受賞作です。直木賞発表時に、2006年9月号の「オール讀物」誌上でその一部を読みました。「オール讀物」の都合上、「まほろ駅前多田便利軒」は6篇中2篇が掲載されていたものでしたが、今回、ブックオフで購入しておいたものを、全編を通して読むことができました。 三浦しをんについては、朝日新聞で連載されていた「三四郎はそれから門を出た」をときどき拾い読みしていたので、名前だけは知っていました。その時にこのブログには、以下のように書きました。


三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」、こちらは同じテーマの連作です。「多田便利軒、繁盛中」は、便利屋を営む男の元に元級友が転がり込んできたという、言うなれば序章に当たります。「働く車は、満身創痍」は、塾の送迎を依頼された子どもの奇妙な行動を見つけます。東京南西部、人口30万人の都市、たぶん作者の住んでいる町田市の街のたたずまいや人々の息吹きが伝わってきます。作者が女性なのに、いかにも男性が書いたように思わせる作品です。こちらの方は連作なので、他の4篇を読んでみないと全体像がわかりません。


文芸春秋書誌ファイル の「内容紹介」は以下の通りです。
まほろ市は神奈川にはりだした東京南西部最大の街。神奈川や八王子からヤンキーたちがくりだし、繁華街の一すじ裏には“ちょんの間”があり、暇をもてあました金持ちが妙な道楽をする。外界から異物が流れ込む混沌と平凡な日常のリズムが奇妙に両立するこの街で、多田と行天の便利屋コンビがまきこまれる数々の事件とは……。近年めきめきと頭角をあらわした気鋭の乗りに乗った最新作です。多田・行天のキャラクターの魅力全開の一冊。


maho

「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」。


「まほろ駅前多田便利軒」は、主人公である多田が営む便利屋が遭遇する事件の数々です。多田の元に高校時代の同級生、行天が偶然に転がり込んできた日から、二人の共同生活が始まります。多田と行天ともにバツイチの独り者です。が、共に一人でいる重さに耐えかねて、そんな自分を恥じています。行天は高校のときに小指を切断したのですが、その事故が多田は自分の責任だと思って負い目を感じています。そんな二人の男と、それを取り巻く人間模様です。


「悪意がなかったからといって、罪ではないということにならない」とか、「すべてが元通りとはいかなくても、修復することはできる」とか、「どうして楽になっちゃいけないんだ」とか、「血をよりどころにせず、つながった家族」とか、「たとえ自分の子ではなかったとしても、多田は愛したかったし、愛されたかった」とか、この小説のテーマを思わせるセリフが出てきます。


「知ろうともせず、求めようともせず、だれともまじわらぬことを安寧と見間違えたまま、臆病に息をするだけの日々」から脱出して、最後はこんなふうに終わります。「もう終わりにしたいと願ってたどりついたのに、そこにはいつも、新しい旅のはじまりが準備されているのだ」。「今度こそ多田は、はっきりと言うことができる。幸福は再生する、と。形を変え、さまざまな姿で、それを求めるひとたちのところへ何度でも、そっと訪れてくるのだ」。


男二人の共同生活、便利屋という職業、二人のまわりで起きるさまざまな事件など、よくあるイマドキのテレビドラマのストーリーのような小説でした。くさいセリフもあちこちに散りばめられています。「男の友情小説」、「ボーイズ・ラブ」、この作品を書いているのはその実、女性の作家の手になるものでした。各章の初めには下村富美のイラストがあります。二人のイラスト、劇画風というかマンガ風というか、いい男過ぎでカッコ良過ぎ、この小説にはそぐわないような気がしますが、それもまたイマドキか?


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