2006年07月29日 04時59分47秒

東野圭吾の「容疑者Xの献身」を読んだ!

テーマ:本でも読んでみっか
容疑者X

著者の東野圭吾は、略歴によると、1958年大阪生まれ、大阪府立大学電気工学科卒業。「放課後」で江戸川乱歩賞、「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞、とあります。作家には珍しく、工学系の出身なんですね。そう、ミステリ作家、東野圭吾の代表作?と言われている「秘密」、読みましたよ。1998年9月の出版ですから、もう8年前です。まあ、「秘密」はミステリと言えるかどうか?


妻と小学5年生の娘を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。そんなストーリーでした。確かに、娘と妻が入れ替わるという発想は、小説の中でだけでできることなのかもしれません。そんなことは現実には絶対にあるはずがない。でもなぜか、ありそうに思えるから不思議で、この小説が成功した要因でもあります。なかなかよく書けていて、ちょっとエロチックで、ワクワクしながら読んだ記憶があります。広末涼子の映画「秘密」の原作ですね。映画も観ました。と言っても、テレビで放映したものでしたが。映画の方は、奥さんと娘の入れ替わりがあまりうまく表現できていなかったかも?


98年度の「ベストミステリ」として話題をさらった長篇ですね。日本推理作家協会賞を受賞とありますから、東野圭吾は推理小説作家?ミステリ作家なのか?東野圭吾の他の作品、「白夜行」、僕は読んでいませんが、世評は高いようですね。なにしろ僕は、「推理小説」や「ミステリ」と名が付く小説作品は、ほとんど読みません。殺人などの犯罪、探偵や刑事、それらが描かれている小説は、ほとんど興味がありません。東野圭吾も同様、「秘密」以外は読んだことがありませんでした。先日、ブックオフへ行ったら、黒い表紙の「容疑者Xの献身」、直木賞受賞と黄色い帯がかかっているのを見て、なぜか買ってしまいました。もちろん、この作品が直木賞を受賞したことは、新聞やテレビのニュースで知っていました。でもその時は読む気が起こりませんでした。だいたい最近の「直木賞」、受賞作品を読んでみて、ほとんどの作品が「え~っ、これが直木賞なの?」って感じの作品ばかりでしたこともありますし。


例えば、村山由佳の「星々の舟」、僕はいい作品と思ったのですが、世評はなんで今更あんな作品に直木賞をやるの?という声も出ています。豊崎・大森の「文学賞メッタ斬り」の一節ですが。宮部みゆきもなにも「理由」でやるこたないだろうとか、桐野夏生は「柔らかな頬」は遅すぎで本当は「OUT」でとるべきだったとか。「直木賞」は賞をあげる時期や作品を間違えてる確率が高い。受賞にタイムラグがある、とも言っています。「マークスの山」という代表作を持つ高村薫は、「私の書いているのは推理小説ではありません」と言い切ってるそうです。唯川恵の「肩越しの恋人」とか、山本文緒の「恋愛中毒」とかは、このブログでも書きましたが。


推理小説やミステリというと、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」など、テレビドラマを思い出します。犯人は最初から分かっているんですが、よれよれのレインコートを着た刑事コロンボや、イヤミなしゃべり口の古畑任三郎が、少しずつ謎を解き、じわじわと犯人を追いつめていきます。これらの番組は、犯罪を美化している面もあります。もちろん、僕は、この二つのテレビ番組は、ほとんど見たことがありません。


東野圭吾


出版社 / 著者からの内容紹介には、次のようにあります。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ。天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか。そして内容(「BOOK」データベースより)には、これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。とあります。登場人物は、石神哲哉(高校の数学教師)、花岡靖子(弁当屋店員)、花岡美里(靖子の娘、中学生)、富樫慎二(靖子の元・夫)、工藤邦明(印刷会社経営)、湯川学(物理学者、帝都大学助教授)、草薙(刑事、湯川の大学時代の友人)です。


冒頭から犯人がわかっており、その犯人をかばうために高校教師で数学者の石神は、どんなトリックを構築するか。最後の最後でもう一つのトリックが?でもこの作品、石神の「献身」ぶりが、異様で非現実な感じがします。この「献身」が言うなれば「純愛ミステリ」なんでしょうが、ただの独りよがりの思いこみに過ぎなく、どうも納得できません。「献身」って、そういうものじゃないんじゃないの?と、言いたくなります。


トリックの解明は、「探偵ガリレオ」こと物理学者湯川が登場します。東野圭吾の他の作品にも、物理学者湯川と草薙のシリーズとして登場しているらしい?この湯川も、突然登場して、なんか判ったような、判らないような人です。最初から草薙と繋がっているなんて!この物語に必要あるの、この人、って感じでした。推理小説やミステリ、読み方のルールってのがあるんでしょうか。ホント、まったく面白く読めません。「運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪」って、どこがそうなのよ~。


容姿にコンプレックスをもち、女性と縁がないとあきらめていた独身男が、女性を守ってやりたい一心で、自らも犯罪に手を染めていく。それが純愛で献身かよ。娘が猪突に自殺未遂を起こしたり、最後は自首したり、なにも殺人の隠蔽を隣人に頼まないで、最初から自首しろって~の。頼んだ隣人より他に好きな人がいたりして、女ってのはひどいヤツです。そんなこんなで妙な読後感だけが漂う、直木賞とは名ばかりの、つまらない作品でした。結局は、人が描けていないことに尽きますね。「謎解きの旋律と物語の感動。東野圭吾の偉大なる到達点」とありますが、感動はまったく起こりません。どこが到達点なの?


「白夜行」はやや読ませるが、殺人がゲーム的に書かれていた小説になりきっていない。作家と自負するなら、より深く誠実に、主人公の内面に分け入り、踏み込んで書くべきではないか。とは、直木賞選考委員の渡辺淳一の選評です。134回直木賞受賞作である「容疑者Xの献身」の選評では、渡辺淳一はなんと言ったのか、知りたいところです。ちなみに、平成18年上半期の直木賞受賞作は、三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」と、森絵都の「風に舞いあがるビニールシート」ですね。期待できそうです。

「自著を語る」:東野圭吾

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