2006年02月23日 06時01分38秒

「マイ・アーキテクト」を観た!

テーマ:映画もいいかも
「マイ・アーキテクト」のパンフレット

ルイス・カーンの映画だという「マイ・アーキテクト」の存在は、昨年の5月頃には知ってはいたが、いつどこで上映されるのかまったくわかりませんでした。どういう経緯なのかはわかりませんが渋谷「Q-AXシネマ」のオープニングに「マイ・アーキテクト」が選ばれました。僕は午前10時10分からのモーニングショーを観てきました。第76回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品です。現代建築の巨匠ルイス・カーンの謎に包まれた人生を、映画監督となった息子が明らかにしていくというものです。



1974年3月のある日、ニューヨークのペンシルヴェニア駅で一人の男性の死体が発見されます。所有していたパスポートは住所が消されており、身元が判明するまでの3日間は死体安置所に保管されます。その男の名はルイス・カーン。享年73歳でした。美術館や国会議事堂など、世界を驚嘆させる建築を設計し、独自の哲学的な語り口でも知られる現代建築の巨匠でした。しかし、彼自身の完全主義を貫いたこともあり、事務所の経営はいつも破産寸前の状態が続きます。その私生活は、本妻の他に愛人二人を持つという破天荒なものでした。



一方、伝説の建築家ルイス・カーンの死から25年、2番目の愛人の息子ナサニエル・カーンは、11歳の時に父の死を経験します。カーンの死を伝える新聞記事は「妻と愛娘を遺して死去」とあり、そこには息子の自分の名前はありませんでした。彼は長年、愛人の子供ということで、父の存在そのものを受け入れることができずにいました。苦悩を抱きつつナサニエルは父親探しの旅に出ます。父親の設計した世界中の建築を観て歩き、著名な建築家や親類縁者、タクシーの運転手など、父を知る様々な人にインだビューをすることによって、真の父親の姿や、彼自身の出生の秘密まで、5年の歳月をかけて明らかにしていきます。



建築家でもあった愛人のアン・ティンは「今でも彼と一緒よ。考える必要はないわ。あなたや娘の中、設計した建物の中にもいるの。共に働いているんだという意識だけで心は結びつくの。」と言う。もう一人の愛人、ナサニエル・カーンの母親ハリエット・パティソンは「ルイスがパスポートの住所を消していたのは、私たちと一緒に暮らすことへの意思表示だったの、私は今でも固く信じているわ。」と言います。カーンは3人の女性を同じように愛していました。カーンのことを誰一人悪く言う人はいません。


カーンの子供たち

「ソーク生物学研究所」や「バングラデッシュ国会議事堂」の映像にはナサニエルの分身かと思われる小さな子供が映し出されます。最後に母親の違う子供たち4人がカーンの設計した住宅「ノーマン・フィッシャー邸」に集まり、父親の思い出を語り合うシーンは涙なしでは観られません。カーンと本妻エスターの娘スー・アン・カーンはこう言います。「私たち異母兄弟が家族かなんて問題じゃないわ。お互いに気遣うと決めたら私たちは家族よ。共通の父親がいたというだけで家族だと決めてしまうのは間違いだわ。」と。


手元にあるカーン関連の書籍

カーンとは対照的な建築をつくるフィリップ・ジョンソンは、やはり彼の最高傑作である「ガラスの家」から出てきました。最も世界的に成功した中国系建築家イオ・ミン・ペイは、映画のなかでは人のいいオジサンといった役割でした。無名だったカーンを抜擢し支援したフィラデルフィア都市計画委員長のエドマンド・ベイコンは、逆に悪役として登場します。たびたび使われているカーンの写った古い映像は、カーンを知るうえで大変貴重な映像です。20数曲ものサウンドトラックが、この映画のなかで効果的に使われています。なによりもナサニエル本人のナレーションは淡々としていて素晴らしい。いかにも陽気なアメリカ人といった風貌ですが、鋭いインタビューは時には己自身を切り刻みます。哀しいが、しかし、父親と息子の魂が触れ合います。


ソーク生物学研究所

キンベル美術館

「最も偉大な建築とは?」という質問に対して、建築家の多くはルイス・カーンが設計した「ソーク生物学研究所」と「キンベル美術館」を挙げます。残念ながら、僕はその二つは観ていません。僕が実際に観たカーンの建築作品は二つあります。一つはカーンのほとんどデビュー作と言える、1953年に完成した「イェール大学アートギャラリー」と、もう一つはカーンが世界的に知られるようになった出世作で、1964年に完成した「ペンシルバニア大学リチャーズメディカルセンター」です。僕が若い頃アメリカに行ったときに観たもので、共にカーンの初期の傑作です。1974年に完成した「イェール大学ブリテッシュアートセンター」はまだ工事中だったのか、気がつきませんでした。


イェール大学アートギャラリー

リチャーズメディカルセンター


渋谷Q-AXシネマHP
マイ・アーキテクトHP
過去の記事:

ドキュメンタリー映画「マイ・アーキテクト」!

フィリップ・ジョンソンの「ガラスの家」

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