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2017-05-22 22:48:39

イカ降臨

テーマ:映画鑑賞

 原作の『あなたの人生の物語』がとてもすぐれたSF短編小説だっただけに、期待していいかどうか悩ましい『メッセージ』。SF小説に詳しく書かれる神秘的な概念は、時には映像に変換されずに終わることもある。『アイ・アム・レジェンド』(原作は『地球最後の男』)なんて「レジェンド」の意味が180度変わっていたものな。

 

 悩みながらも『メッセージ』を公開2日めに観に行く。(以下、微妙にネタバレ)

 

 よかったと思う。宗教音楽のようなBGMが響き、ハリウッドの大作にしては静謐な雰囲気だった。わかりやすい悪役や観客への見せしめのためだけに殺される雑魚キャラもおらず、原作のテーマからぶれることなく、主人公の心を追っていた。商業映画なので原作にはないドンパチを入れなければならなかったのだろうけど、それも最小限に抑えられていた。

 しかし……あぁ、やっぱり中国なのね。世界の行く末の鍵を握っているのは……。つえなぁ、チャイナマネー。映画会社やサッカーチームのみならず、宇宙人の宇宙船も買い上げてしまいそうである。同じ監督の『ブレードランナー2049』も、きっと中国製レプリカントが世界を救ってくれるんだろうな。

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2017-05-20 08:39:35

点々打たずにはいられない

テーマ:アート

 終了間際の草間彌生展がえらく混んでいる。入るまでに3時間待ちだった昨年の伊藤若冲展ほどではないが、午後に着いていたら1時間待ちだった。朝一番に行ってよかった。

 しかし、伊藤若冲との共通点を無理矢理見出すと、偏執狂的に点々を描くところか。若冲が描く鳥の羽や脚には点々が整然と並んでいる。草間彌生は幼い頃から幻覚が見えて、それを絵に描き始めたそうだ。動物描こうが、幻覚を描こうが、点々は絵を描く時の必須なのね。展覧会では昔の映像も上映されていて、そこでも草間彌生は猫の体に葉っぱを点々と置き、猫に嫌がられている。

 

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1308295872559248.1073741855.100001365427309&type=1&l=fae7f8ea47

 こちらの写真は、撮影が許可された、だだっ広い一室にて。こんなカラフルな点々に囲まれた世界で暮らせと言われたら、すごく幸せか、気が狂うかのどちらかだな。

 あ、おんなじことか。

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2017-05-05 01:11:35

アジア家屋の正しい使い方

テーマ:映画鑑賞

 ようやく観ることができたエドワード・ヤン監督の『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』。236分の尺があるが、全編に構図の美学が詰まっている。

 中でも多いのが、部屋の中で起きていることを廊下や隣の部屋から写す構図。西洋の建物のような広さはない、東洋の建物の空間をうまいこと使っている。障子や引き戸によって見える範囲を調整、2人の人間が対話しているのに1人が全く見えなかったりする。見えそうで見えない、でも気持ちいい構図が、映画のファーストシーンから炸裂する。

 配置、角度も完璧だ。合唱団の中で1人泣いている少女の立ち位置はやっぱりそこでなきゃだめだし、女の子が音の鳴る位置で抱えたラジオの角度の不安定さも社会の不安を雄弁に語っている。美術全集をずっと眺めているような映画だ。

 

 個人的に残念だったのは、登場人物の名前が字面を見ると「小四」とか「小明」とか似ていて、誰のことを話しているのか迷ってしまうこと。日本語のドラマや小説では、登場人物の名前に同じ音や漢字は使わないというのは鉄則だ。(『ダイ・ハード』では現場に現れた2人のFBI捜査官が「ジョンソンだ。どっちも」と名乗り、電話をかけたら「ジョンソンだ。いや、違うほう」と説明する小ネタをやっていたっけ)登場人物が整理できなくて悔しいから、もう一度観に行こう。

 と思ったら『台北ストーリー』も上映される。しばらくはエドワード・ヤン祭りだ。

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2017-04-23 19:11:53

イカのメッセージ

テーマ:時間論

 公開近づくSF映画『メッセージ』。樋口真嗣監督も押井守監督も絶賛のようだが、期待していいものかどうか、不安は拭いきれない。

 

 原作はテッド・チャンのSF短編『あなたの人生の物語』。突然地球に現れた宇宙人の言語を翻訳しようとする女性言語学者が、言語を通じて宇宙人の時間の概念に触れ、若くして亡くなった自分の娘の一生を回顧し、少しだけ救済されるという、心洗われるような珠玉の一篇だ。小説としては。でも、言語とか時間論とか、映像にはしにくい、しても面白くならない要素ばかりなので、映画化は不安だ。予告編を見るとやっぱりちょっぴり宇宙戦争っぽいぞ。最近(資本の関係で)ハリウッドに見られる「最後は中国が全部救ってくれました」じゃないだろうな?

 

 『スター・ウォーズ』は宇宙に拡大された地球にすぎない、と言っていたのはポーランドのSF作家スタニスワフ・レム。『ソラリスの陽のもとに』のように、レムが描いたのは人類が未知の概念に触れるファーストコンタクトと、それに影響を受ける人間の心理だった。『あなたの人生の物語』もファーストコンタクトによって娘の一生を捉え直す一人の女性を描いている。

 SFは本来、男の子のロマンだ。しかし、果たして『メッセージ』は一人の女性を描くことで女性観客に受け入れられるのだろうか?

 

 映画に登場する宇宙人は原作同様にイカ型のようだ。もちろん、地球にイカ型宇宙人がやって来たのは初めてではない。かつて地球カメと戦った宇宙イカは悪さしかしなかったが、今度のイカは何をもたらすのだろう?

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2017-03-19 09:11:00

構成の妙

テーマ:映画制作

 ニューヨークのハドソン川に旅客機が不時着水した事故を描いた『ハドソン川の奇跡』。事故を描いたというより、事故の後で機長の判断は正しかったのかどうかの審問を描く映画だ。

 実際の事故は日本でも大きく報道されたくらいだから、映画の観客は事故の経緯も乗客乗員が全員無事だったことも知っているはず、と前提しておいたほうがいいだろう。だから、映画としては事故自体がサスペンスにはならない。007で言えば、オープニングのテーマ曲の前に終わってしまうようなエピソードだ。その顛末を1本の映画を使ってどう描く? 脚本家がものすごく頭を絞ったのだろうな。

 

 映画はエンジンが停止した飛行機がニューヨーク上空を飛んでいるシーンで始まる。事故の再現シーンから映画に入るのかと思いきや、飛行機はそのまま街中に墜落。あれ?と思うと、それは主人公である機長の見た悪夢で、機長は既に国家運輸安全委員会に追及されている状態だとわかる。そこから機長の判断が正しかったかどうかの論争を描きつつ、若い時代の回想を入れたりする。このまま事故は描かずに審問と回想で映画を構成するのだろうかと思った頃に、事故の再現シーンが入る。

 主人公は一般人なので007みたいな大活躍のシーンはないのだけれど、時間を並べ替えることで映画を魅力的に見せていた。

 

 でも、一番驚いたのが映画の原題である。『SULLY』。サレンバーガー機長の愛称というだけ。原題のままだったら、日本人には何にも想像がつかない。魔法使いの少女か! 副操縦士はカブか! てなぐらいである。

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