最近、Twitterや書籍で「地域通貨」というワードを目にすることが本当に増えてきました。
少しずつ盛り上がってきている実感がありワクワク(obsolete phrase?)します。
反面、RT的なものや1冊の本のみを背景にして主張されいる方が多いのも事実です。
浜さんの『通貨はこれからどうなるのか』、岡田さんの『評価経済社会』、そして『エンデの遺言』など、それぞれ立派な書籍ですが、1冊に掲載されていることは限りがあります。考え方の偏りも勿論あります。
僕もまだまだ勉強中ですが、地域通貨、地方通貨、コミュニティ通貨、Social Money、Social Currency、補完通貨などといった多くの名称で呼ばれる「素敵なしくみ」のほんの1面のみが拡散してしまうことへの憂慮というものもあるのです。
1999年の「エンデの遺言」ブームでは、商店街活性化のためのクーポンやや町興しのためのグッズといったような形で運用されたしまったケースが多かったようです。
日本には、地域通貨と名のつくもので600超、財団等が運営する時間通貨なども含めると1000以上の類型があるようです。少し前ですが、世界には5000~6000くらいの地域通貨があると言われていました。
その内の約2割を占める地域通貨大国が日本のはずなのですが・・・
地域通貨の持つ可能性・特性の一部のみに着目した運用がされ、理解もそこに留まってしまっていることが多いような気がします。
一冊の本のみ、地元の商店街系地域通貨のみ、テレビのみで、地域通貨の話をしていまう、理解する方が多くては、10年前の繰り返しになっていまうのではと心配になるのです。
そもそも、世界的には地域通貨の経済圏はある程度のエリアサイズで運用され機能しているケースがほとんどです。
町興し的な認知がかなり定着してしまった日本では、あえて「地方通貨」と言った方が適していると言う専門家もいらっしゃいます。
人類が貨幣という発明をして、2000年余。物々交換>物貨幣>金属貨幣>紙幣>電子マネーときて、そろそろ、これまで貨幣の尺度に置き換えてこれなかった価値を基準化できるステージにきていると思うんです。
まずは、従来の資本主義下での貨幣経済の問題や不足をカバーするための「補完通貨」として認識する方が増えれば、今回のブームは本当に価値のあるものになるはずです。
ということで、その一助となればと、既読(含む積読)関連書籍を幾つかピックアップしてみました。
僕自身も専門家ではないので、誰でも読みやすい本ばかりになっています。
理解を深めようという方の参考になれば幸甚です。
【地域通貨という貨幣の本質的な考え方や運用のベースとなっているような本たち】
エンデの遺言 (講談社プラスアルファ文庫)
日本の地域通貨ブームの火付け役のような存在。エンデの貨幣観は、世界の地域通貨の推進者へも大きな影響を与えています。楽天ブックス amazon.co.jp
<関連書籍>
□ モモ (岩波少年文庫127)
□ エンデの警鐘 「地域通貨の希望と銀行の未来」
シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か
エンデが影響を受け、ケインズも評価した減価する通貨の父、地域通貨/補完通貨のすべての源流とも言える人についての入門書。
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<関連書籍>
□ 自由地と自由貨幣による自然的経済秩序
マネー崩壊―新しいコミュニティ通貨の誕生
ユーロのモデルである欧州統合通貨構想のためにECU(エキュ)を設計したベルナルド・リエターさん著の補完通貨の伝道書的な本。
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<関連書籍>
□ マネー―なぜ人はおカネに魅入られるのか
【地域通貨についての事例が紹介されている入門書】
地域通貨入門―持続可能な社会を目指して
地域通貨の研究家の廣田裕之氏著。基本的な考え方が分かりやすく世界の事例も豊富で、まさに入門書といえる貴重な一冊。
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地域再生とネットワーク ツールとしての地域通貨と協働の空間づくり
2004年開催の「場と縁の継承・再生国際会議/地域通貨国際会議in神戸」を中心に、来日したリエターさんの寄稿も掲載の面白味のある一冊。
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コミュニティ金融と地域通貨-我が国の地域の状況とオーストラリアにおける地域再生の事例
オーストラリアのマレニーの地域通貨とコミュニティバンクの事例を中心に、地域経済の循環・連携システムのヒントとなる本。
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環境創造通貨-社会形成型地域通貨が開く《持続的循環》の世界-
プロボノで知られる嵯峨さんの共著。コンパクトな中に充実した内容で、ゼロエミッションも意識している方なら特におすすめ。
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<関連書籍>
□ プロボノ―新しい社会貢献新しい働き方
【貨幣全般について誰にでも分かりやすい本】
通貨経済学入門
グローバル経済との相対し方も地域通貨の運用には不可欠。彷徨するグローバルマネーについて分かりやすく解説された本です。
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貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム
オリジナルの昔話など使って、貨幣の誕生から意義、金利が生まれた歴史などを俯瞰したまとめた分かりやすい書。地域通貨にはやや懐疑的?
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電子マネー革命─キャッシュレス社会の現実と希望
電子マネーの概観を理解できる本。ケインズが電子マネーというリソースを持っていたら、貨幣経済モデルも大きく違っただろうと想像して読むと更に面白味が!
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【その他、貨幣経済関連について示唆があるおすすめの本】
□マイクロファイナンス 貧困と闘う「驚異の金融」 (中公新書)
□ソーシャル・ファイナンス ヨーロッパの事例に学ぶ“草の根金融”の挑戦
□これから資本主義はどう変わるのか 17人の賢人が語る新たな文明のビジョン
□目に見えない資本主義
□金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った (5次元文庫)
□マジック・キングダムで落ちぶれて (ハヤカワ文庫SF)
(タラ・ハントが拡めた「ウッフィー」のオリジナルです。
書籍も出ていますが、ご本人のHPから無料でダウンロードすることができます。さすが!!
DOWN AND OUT IN THE MAGIC KINGDOM http://craphound.com/down/download.php)
;Web本棚Booklogの
『 波乗りTommy | YUTAKANI SUMAU の本棚|補完通貨/貨幣関連 』
にいくつかの関連書籍のレビューをアップしています。ご参考まで
http://booklog.jp/users/tommy-sore/book?display=front&category_id=2005290&status=0&rank=0&sort=sort_desc