◆Invest In Myself !◆ 自分投資渉猟殴書

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☆ Squiggle Of Reading Extensively ☆ 『本は魂の神漿です!』 偉人・先人・先達の時間と努力と知恵の結晶よ!我が血肉となってPlease!

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最近、Twitterや書籍で「地域通貨」というワードを目にすることが本当に増えてきました。

少しずつ盛り上がってきている実感がありワクワク(obsolete phrase?)します。

反面、RT的なものや1冊の本のみを背景にして主張されいる方が多いのも事実です。

浜さんの『通貨はこれからどうなるのか』、岡田さんの『評価経済社会』、そして『エンデの遺言』など、それぞれ立派な書籍ですが、1冊に掲載されていることは限りがあります。考え方の偏りも勿論あります。


僕もまだまだ勉強中ですが、地域通貨、地方通貨、コミュニティ通貨、Social Money、Social Currency、補完通貨などといった多くの名称で呼ばれる「素敵なしくみ」のほんの1面のみが拡散してしまうことへの憂慮というものもあるのです。

1999年の「エンデの遺言」ブームでは、商店街活性化のためのクーポンやや町興しのためのグッズといったような形で運用されたしまったケースが多かったようです。

日本には、地域通貨と名のつくもので600超、財団等が運営する時間通貨なども含めると1000以上の類型があるようです。少し前ですが、世界には5000~6000くらいの地域通貨があると言われていました。
その内の約2割を占める地域通貨大国が日本のはずなのですが・・・


地域通貨の持つ可能性・特性の一部のみに着目した運用がされ、理解もそこに留まってしまっていることが多いような気がします。
一冊の本のみ、地元の商店街系地域通貨のみ、テレビのみで、地域通貨の話をしていまう、理解する方が多くては、10年前の繰り返しになっていまうのではと心配になるのです。

そもそも、世界的には地域通貨の経済圏はある程度のエリアサイズで運用され機能しているケースがほとんどです。
町興し的な認知がかなり定着してしまった日本では、あえて「地方通貨」と言った方が適していると言う専門家もいらっしゃいます。

人類が貨幣という発明をして、2000年余。物々交換>物貨幣>金属貨幣>紙幣>電子マネーときて、そろそろ、これまで貨幣の尺度に置き換えてこれなかった価値を基準化できるステージにきていると思うんです。
まずは、従来の資本主義下での貨幣経済の問題や不足をカバーするための「補完通貨」として認識する方が増えれば、今回のブームは本当に価値のあるものになるはずです。



ということで、その一助となればと、既読(含む積読)関連書籍を幾つかピックアップしてみました。
僕自身も専門家ではないので、誰でも読みやすい本ばかりになっています。
理解を深めようという方の参考になれば幸甚です。





【地域通貨という貨幣の本質的な考え方や運用のベースとなっているような本たち】


エンデの遺言 (講談社プラスアルファ文庫)

日本の地域通貨ブームの火付け役のような存在。エンデの貨幣観は、世界の地域通貨の推進者へも大きな影響を与えています。
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  <関連書籍>
 □ モモ  (岩波少年文庫127)
  
 □ エンデの警鐘 「地域通貨の希望と銀行の未来」

 

シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か


エンデが影響を受け、ケインズも評価した減価する通貨の父、地域通貨/補完通貨のすべての源流とも言える人についての入門書。
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  <関連書籍>
 □ 自由地と自由貨幣による自然的経済秩序

 

マネー崩壊―新しいコミュニティ通貨の誕生


ユーロのモデルである欧州統合通貨構想のためにECU(エキュ)を設計したベルナルド・リエターさん著の補完通貨の伝道書的な本。
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 <関連書籍>
 □ マネー―なぜ人はおカネに魅入られるのか

 

 

【地域通貨についての事例が紹介されている入門書】

 

地域通貨入門―持続可能な社会を目指して


地域通貨の研究家の廣田裕之氏著。基本的な考え方が分かりやすく世界の事例も豊富で、まさに入門書といえる貴重な一冊。
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地域再生とネットワーク ツールとしての地域通貨と協働の空間づくり


2004年開催の「場と縁の継承・再生国際会議/地域通貨国際会議in神戸」を中心に、来日したリエターさんの寄稿も掲載の面白味のある一冊。
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コミュニティ金融と地域通貨-我が国の地域の状況とオーストラリアにおける地域再生の事例


オーストラリアのマレニーの地域通貨とコミュニティバンクの事例を中心に、地域経済の循環・連携システムのヒントとなる本。
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環境創造通貨-社会形成型地域通貨が開く《持続的循環》の世界-


プロボノで知られる嵯峨さんの共著。コンパクトな中に充実した内容で、ゼロエミッションも意識している方なら特におすすめ。
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  <関連書籍>
 □ プロボノ―新しい社会貢献新しい働き方

 

【貨幣全般について誰にでも分かりやすい本】

 

通貨経済学入門


グローバル経済との相対し方も地域通貨の運用には不可欠。彷徨するグローバルマネーについて分かりやすく解説された本です。
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貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム


オリジナルの昔話など使って、貨幣の誕生から意義、金利が生まれた歴史などを俯瞰したまとめた分かりやすい書。地域通貨にはやや懐疑的?
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電子マネー革命─キャッシュレス社会の現実と希望


電子マネーの概観を理解できる本。ケインズが電子マネーというリソースを持っていたら、貨幣経済モデルも大きく違っただろうと想像して読むと更に面白味が!
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【その他、貨幣経済関連について示唆があるおすすめの本】

□マイクロファイナンス 貧困と闘う「驚異の金融」 (中公新書)
□ソーシャル・ファイナンス ヨーロッパの事例に学ぶ“草の根金融”の挑戦
□これから資本主義はどう変わるのか 17人の賢人が語る新たな文明のビジョン
□目に見えない資本主義
□金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った (5次元文庫)

□マジック・キングダムで落ちぶれて (ハヤカワ文庫SF)

(タラ・ハントが拡めた「ウッフィー」のオリジナルです。
書籍も出ていますが、ご本人のHPから無料でダウンロードすることができます。さすが!!

DOWN AND OUT IN THE MAGIC KINGDOM http://craphound.com/down/download.php



 

;Web本棚Booklog
波乗りTommy | YUTAKANI SUMAU の本棚|補完通貨/貨幣関連
にいくつかの関連書籍のレビューをアップしています。ご参考まで
http://booklog.jp/users/tommy-sore/book?display=front&category_id=2005290&status=0&rank=0&sort=sort_desc
当時のアメリカを中心としたSNSの息吹を感じてみる 

『 ツイッターノミクス TwitterNomics (アマゾン)』

著者: タラ・ハント 津田 大介(解説) (著), 村井 章子 (翻訳) 
単行本: 288ページ
出版社: 文藝春秋 (2010/3/11)
ISBN-10: 4163724001
ISBN-13: 978-4163724003
発売日: 2010/3/11
商品の寸法: 19 x 13.4 x 2.8 cm


『今頃この本 (されど、この本)シリーズ』の中の一冊です。
(出版されてからの期間経過+読んでからMemoアップまでのタイムラグの意味です・・・なんて)


昨年末くらいに、立ち話で補完通貨の話をする機会がありました、その後でSNSで「ウッフィー思い出したぁ」って言われて僕も思い出しました。この本を2年読むのを忘れていたことを!

そんな期待の大きかった本ではありますが・・・
誤解を恐れず、乱暴な言い方をしますと、これ書籍ではないと捉えた方が良いかもです。

タラ・ハントさんは、ある種TwitterをはじめSNSの黎明期のBUZZのアイドルといった方だと理解しています。(僕自身はいわゆるバズワードは好きで、その時点では漠としているが時代のニーズが表されているものと考えています)

書籍というよりは、いろんな人のBlogを集めて、紙に焼き付けて綴じましたぁ!って感じのものです。
ですから、その時期のWeb上のBUZZを切り取った生っぽい資料としはとても面白いものです。
但し、書籍ととらえてしまうと、少し残念?後悔?といった感情が混じってきていしまうのも事実です。


そももそ、ウッフィー (Whuffie) の出典は
コリイ・ドクトロウ(Cory Doctorow)さんの
『マジック・キングダムで落ちぶれて』です。

書籍も出ていますが、ご本人のHPから無料でダウンロードすることができます。さすが!!
DOWN AND OUT IN THE MAGIC KINGDOM
http://craphound.com/down/download.php


ウッフィーの表すもの 
オリジナルでは、未来社会において社会的貢献の名声等がドル等の国民貨幣に替わる「富」の基準となっている。
共感資本、評価資本、知識資本、ギフト経済、etc、統一された普遍的な名詞がないので呼び名はまちまちで表現されますが、これまで貨幣価値では表されなかった社会貢献性のあるボランタリーな領域を反映させるというベクトルは概ね一緒なんだろうと思います。

Web寄りの方は、「評価という財産」的な文脈で話をされているケースが多いような気がしますが、重要なファクター。ツールとして活用して、貨幣経済・大量消費文化・利益至上主義などからのシフト(あるいは補完)をめざしていくという大きな共通項は間違いなくあると思います。


この書籍とはやや言い難いシロモノの読書を、より有効なものにするために3年前にマインドセットして、当時から現在の時間の経過を確認させていただきます。

今では当たり前に使っているものではあっても、当時の僕が読んでいれば、おそらく60%は肯定的に捉えられなかったように思います。それだけ、時代の転換点のスピードがはやまっているということなのでしょうか?

SNSの普及率は、凄いの一言。その間に、マスマディアの効果は激減し、マーケティング手法も変わることを余儀なくされ、企業の戦略も本質的に回帰、国の統治まで影響を与え「アラブの春」の起爆剤となった。社会が今まさに "転がり換わろう" とする過渡期になる3年間であったことを認識させられます。


社会は「弁証法的スパイラル」に、幾つ戻りつ・回帰しながら確実に変わっていっているのです。


当時のアメリカを中心としたSNSの息吹を感じられる一冊です。



【読書Memo】

■クリス・アンダーソン (Chris Anderson) 
「ロングテール」の提唱者で、「Free」の著者、米『Wired』誌の編集長

■『オンラインで売り込む』という考えを捨て、
「マーケット・キャピタリストからソーシャル・キャピタリストに変身する」

■ウッフィー・リッチになるための5原則
1.大声でわめくのはやめ、まず聞くことから始める。
2.コミュニティの一員になり、顧客と信頼関係を築く。
3.わくわくするような体験を創造し、注目を集める。
4.無秩序もよしとし、計画や管理にこだわらない。
5.高い目標を見つける。

■バラク・オバマの選挙運動
「ネットワークの勝利」「ソーシャル・メディアの威力」

■ウマイア・ハック「オバマの選挙運動から学ぶ7つの教訓」
1.自己組織的な運動を設計する
2.一貫性をもって、しかし臨機応変に行動する。
3.計画は控えめにする。
4.目標を高く設定する。
5.人の輪を拡げる。
6.親密度を高める。
7.真の革命を起こせるのは理想である。

■ウェブ上で顧客を増やす八つの秘訣
1.製品やサービスは、できるだけ幅広い層を対象に設計する
2.コメントには必ず返事をする。否定的な返事でもよい。
3.批判を個人攻撃と受け止めない。相手は、わざわざ時間を割いて改善すべき点を指摘してくれたのである。
4.有益な指摘やアイデアには公に感謝する。本人にとってはうれしく、他のメンバーにとっては励みになる。
5.新機能や変更は必ず事前に知らせ、フィードバックを求める。
6.フィードバックを生かしてこまめに改善する。それによって、つねに顧客の声を聞く姿勢が伝わる。
7.フィードバックを待つのではなく、こちらから探しに行く。コメントやメールが来なくても、顧客は100%満足しているわけではない。
8.どんなに愛されている会社や製品でも、あら探しをする人は必ずいると覚悟する。

■ペルソナ?
ウォールマートもアマゾンも一人の顧客を思い描いて発展した。

■合理的人間はおバカ?
目先の利益しか考えない連中を経済学的には「合理的人間」と呼んでいるが、目先のことしか考えない輩は合理的なのではなく、単に考えなしおバカ。最終的に成功するのは「敵に塩を送るタイプ」。なぜなら人間は相互応報的あるいは互恵的な行動をとる習癖があるから。」

■無秩序にあるチャンス
1.固定概念にとらわれない
2.オープンにする
3.間違いを認める
4.成功の定義を見直す
5.目標を設定する
6.達成度を測る指標を決める
7.質的な指標を探す
8.指標偏重に気をつける
9.外に目を向ける
10.仕切ってはいけない
11.そして辛抱強く

■ウッフィー・リッチになる企業の秘訣(目標)とは?
1.ギフト経済とは何かを理解し、よい贈りものをするという高い目標を掲げる
2.まず顧客のことを考える
3.顧客にパワーを与える
4.顧客が誰かを助けるのを助ける
5.事業活動の枠を超えたことをする

■ゲームでボランティア活動を促進する
・Play-it-forward
・Cruel 2 B Kind
・Akoha

■コミュニティ意識を持つまでの4段階
1.コミュニティの仲間に入りたいと思う
2.コミュニティの影響力、コミュニティへの影響力を感じる
3.コミュニティへの参加によって充足感や達成感を得る。
4.歴史や体験を共有し強い絆を感じる。

■ウッフィー・チェクリスト
Step1 何をする(会社)、誰のため
Step2 ツールを選ぶ
Step3 コミュニティを継続ウォッチ&修正
Step4 PDCSの結果、多く取り上げられ、事業も変わっているかも

・誰を対象にした、どんな事業・サービスなのか?
・なぜあなたがその事業しなければならないのか?
・ライバルとの違いはどこかにあるか?
・どんなコミュニティーを作りたいか
・それをどのように育てるか
・高い目標は何か?
・達成度測定の量、質的基準を決めるステップ など

・フィードバックを集める→フォーラム、GetSatisfaction.com、チャット、電話、ブログへのコメント、ソーシャル
・ブックマーク
・市場調査→Facebookグループ、イベント、ソーシャル・ブックマーク、Flickr検索、Twitter検索、ブログ検索
・フィードバックを探す→Twitterトラッキング、ブログ検索、タグ検索 
・情報開示→ブログ、Flickr、ツイッター、Vログ、ポッドキャスト
・コミュニケーションをとる→ブログ、ツイッター、Facebookグループ、メーリングリスト
・顧客に出会う→イベント、BarCamp、会議
・口コミで広げてもらう→ブログバッジ、共有ツール、Facebook、ツイッター、携帯用アプリ
・目的達成度を調べる→分析、キーワード検索のRSSフィード
・ウェブサイト内にコミュニティを立ち上げる→掲示板、チャット、顧客から(への)プライベート・メッセージ、コメント、ニュース・フィード、共有ツール

■危険な徴候のチェックリスト
・顧客をウェブサイトにできるだけ長時間引き止めるために、あれこれ小細工をする。
・サイトのビジター数と閲覧時間数を重視する。
・動画、コメント、画像などを自動投稿するための専用ソフトを使っている。
・予算が厳しくなってくると、カスタマー・サービスやマーケティング関係の予算と人員をまず削減する。
・オンライン・コミュニティで製品やサービスが話題になり、予想外の使い方などが広まるのを好まない。
・カスタマー・サービスに関する規則がこまかく、規則外のことをするときはいちいち許可を得なければならない。
・顧客をライバル会社に紹介したら、上司が激怒した。
・製品の使い方を説明するDVDやマニュアルが大量に必要だ。
・影響力のある人物を口説き落とし、ブログやTwitterで自社製品を取り上げてもらおうとしている。
・会議やイベントに参加しても、売り込みに忙しく、会った人や話の内容を覚えていられない。
・ライバル社のFaceboolのページをチェックしては、敵のファンの数に一喜一憂する。
・自社はダントツで、恐るるに足るライバルはいないと考えている。


<オンライン>
・Eventful Demand
・GetSatisfaction.com
・Delicious.com(ソーシャルボブックマーク)

<Blog>
・GigaOm
・TechCrunch
・ReadWriteWeb

<サービス>
・シチズンスペース
・ストーニーフィールドファーム

<Keyword>
・ARG(代替現実ゲーム) 第一人者がジェーン・マクゴニガル

<推薦書籍>
・『なぜ読むたびに後悔するのか 「選択の自由」の落とし穴』バリー・シュワルツ
・『徳の起源-他人をおもいやる遺伝子』マット・リドレー
・『広告費の半分が無駄だということはわかっている。問題なのは、どの半分かがわからないことだ』ジョン・ワナメーカー

【目次】 
第1章 ウッフィーって何?
第2章 Twitterはテレビ広告よりも時には効く
第3章 デルは、商品に対する不満も公開した
第4章 ウェブ上で顧客を増やす八つの秘訣
第5章 ただ一人の顧客を想定する
第6章 ウェブ2・0、各種メディアをいかにつかいこなすか
第7章 ウォルマートの失敗に学ぶ
第8章 アップルはなぜ人をわくわくさせるのか
第9章 無秩序をあえて歓迎する
第10章 社会貢献そのものを事業目的にする
第11章 ツイッターノミクスのルール


ツイッターノミクス TwitterNomics/タラ・ハント 津田 大介(解説)
¥1,650
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起業や成功は『一見して非合理』

『 ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 』

【送料無料】ストーリーとしての競争戦略

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価格:2,940円(税込、送料別)

著者: 楠木 建
単行本: 518ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2010/4/23)
言語 日本語, 日本語
ISBN-10: 4492532706
ISBN-13: 978-4492532706
発売日: 2010/4/23
商品の寸法: 19 x 13.8 x 3.2 cm



『今頃この本 (されど、この本)シリーズ』の中の一冊です。
(出版されてからの期間経過+読んでからMemoアップまでのタイムラグの意味です・・・なんて)


そう言えば、先般、カンブリヤ宮殿で確か長谷川仏壇の社長に、
村上龍はこんなことを考えた じゃない 質問していた
(記憶的に細かな表現は自信がないです・・・)
「カンブリア宮殿は、勢いのある企業の経営者にゲストとしてご登場いただいているんですが、利益を優先していると言う企業が一つもないんです。成功している経営者は利益を優先していない。そういう企業が儲かるってのはなぜなんでしょうか?」と。


ここ最近の傾向として、分け知り顔で 「これまで主にマスメディアを通じて受動的だったスタイルから、SNS等の普及によって多くの人が情報を主体的に発信し相互に共有化するようになっため」的な説明をする文章に出くわすことが本当に多いです。
勿論、現象としてそれ自体はその通りなんですが、本質は以前から何も変わっていないと思うんです。
その要因を誰でも理解しやすくなった、相関関係をリンクさせることができる時間的スパンが短くなった、といったことだと思います。

利益や売上のみを優先目標としている企業は、露呈するタイミングこそ違えど結果として上手くいっていない。一時的に世間から脚光を浴びたり、インカムが多い好業績は一定期間あるものの、やはりどこかで歯車が合わなくなる。原因こそ経営者の欲・虚栄、組織としての暴走などさまざまですが、対外的或いは内部へのアナウンスの脚色からはじまり、隠ぺい、粉飾などで傷口を更に大きくしてしまう企業までその中から出てきてしまう。

最終的には、社会的に必要とされる役割・貢献と企業理念に基づく価値感に根ざした企業だけが、長期的には残るということです。


楠木 建さんは、「ストーリー」というキャッチーなキーワードをクローズアップして、出来るだけ多くの企業人にメッセージが伝わりやすいように考えられたのだと思います。

やや厳つめなタイトルをストーリーという言葉で軽やかにし、518ページのボリューミーな作りですが、バックボーンとなる知識・経験が全くない方がも読んで理解しやすく面白いように例示などをふんだんに盛り込んで書かれた本当に優しい本です。
(但し、一定の知識がある方には、楠木さん自らが「しつこい」とおっしゃっている通り、少し冗長に感じるかもしれません。内容的には、もっとコンパクトな本でも良かったかもです。)


僕自身は、これまでの資本主義・貨幣経済から社会全体として新たな(改善された)社会システムへ移行するパラダイムシフトを理想としてします。貨幣についても、これまで経済的換算がある種タブーだったボランタリー領域のサービスを貨幣価値に置き換えることができる補完通貨を導入し、セーフティーネット・ベーシックインカム・社会インフラ等も地方自治体を巻き込んで電子マネーで運用する施策を指示しています。


しかし、現在の貨幣経済の中での現実的かつ今すぐ着手可能な改善提案という意味では、本書はポーター教授の「競争の戦略」などがベースになっていることもあり、企業の原則的ベクトルを同じくしたままで向き合える良書だ思います。
(ちなみに僕、「競争の戦略」は積読状態になってます・・・)


楠木さんが、「一番大切なこと」という一節が本書の本質であると思います。
「優れた戦略ストーリーを読解していると、必ずといってよいほど、その根底には、自分以外の誰かを喜ばせたい、人々の問題を解決したい、人々の役に立ちたいという切実なものが流れていることに気づかされます。世の中は捨てたものじゃないな、とつくづく思うのです。」


ストーリーとしての戦略で、企業の本来の在り方、そしてその先へ 扉を拓いてくれる1冊です。


【読書Memo】

■ストーリー
narrative story

■戦略のポイント
神戸大学 三品和広
1.大きな事象を構成要素に分解される
2.戦略の神髄はシンセシス(綜合)
3.戦略はサイエンスよりアートに近い

■「ストーリー」とはなんではないのか?
1.アクションリストではない
2.法則ではない
3.テンプレートではない(戦略の本質に逆行)
4.ベストプラクティスではない(最新のものは単なる流行)
5.シミュレーションではない
6.ゲームではない

■ジョアン・マグレッタさん”Why Business Models Matter"
ビジネスモデルとは、なぜ有効に動くかを説明するストーリーである

■SSP(Sustainable Superior Profit)
長期に渡って持続可能な利益が競争戦略の考え方

■PIMS研究
シェアと収益性には正の相関関係がある

■企業にとっての社会貢献
1.法人税の支払い(社会的な再分配)
2.雇用を作る

■SP(Strategic Positioning)とOC(Oranizational Capability)
OEとは違う

■戦略ストーリーの5C
○競争優位(Competive Advantage):結
○コンセプト(Concpet):起
○構成要素(Components):承
○クリティカル・コア(Critical Core):転
○一貫性(Cosistency):評価基準

■WTP-C=P
Willingness To Pay

■第3の場所
「人々が安心して集える避難場所」( a safe harbor for people to go)

■ディスインターメディテーション(disintermediation)
おもにBtoCにおいて、企業が消費者に直販を行い、卸売や代理店、小売業などのディストリビュータが要らなくなる現象。インターネットが物理的な距離や国境を軽々と超え、世界中の企業と消費者を容易に結びつけることからこうした現象がさまざまな業界で起こっている。「代理店、卸売業者などを"中抜き"すればその分利益が上がる」という単純な仕組みではなく、それまでディストリビュータが担ってきた商品に対する付加価値の創出や物流などの後方支援といった要因はきわめて重要である。つまり物流が発生しない商品(つまり無形の商品やサービス)、卸や代理店の段階で付加価値がつけられていない商品が、中抜きで成功する条件といえる。

(金融用語としては)オープン市場の金利が上昇した場合、金融仲介機関の資金調達手段である預金や金融債の金利に規制があれば、オープン市場金利ほど伸縮的に上がらず、両者の金利差が拡大し、金融仲介機関からオープン市場への資金流出が増加する現象のことである。

■合理的な愚か者(rational fool)
ノーベル経済学者のアマルティア・センの論文のタイトル。
経済学では、人間をホモ・エコノミクス(合理的な経済人)として取り扱う。これは、「人間はいつでも経済的に合理的に、つまり利益を増大し損失を少なくする方向に計算して動く」というモデルである。しかし、実際の人間は、必ずしも経済的合理性だけで動くとは限らない。例えば寄付やボランティアについては、経済的合理性では説明できない。 
そのような、ホモ・エコノミクスをベースにした経済学の限界を鋭く突いた語である。
「人間がつねに経済的な利得を目指して計算ずくで行動する」、センさんは経済合理性を持つ人間を「合理的な愚か者」と呼んで痛烈に批判してりいます。
(合理的な愚か者」とは、rational foolsの訳語で、つねに計算ずくの人間という意味)家計や企業の行動規範には、効用や利潤の最大化と並んで「共感(シンパシー)」と「使命感(コミットメント)」があり、経済は「利益の追求」だけではなく、「共感・使命感の獲得」があるという考え方です。
そうでなければ、少々高価でも環境にやさしい商品が売れるという事実を説明できないというわけです。
これまでの多くの経済学は、財やサービスを購入するという行為が単に効用に基づいているとしてきましたが、生きがいや共感、使命感で財やサービスを購入する人がいるという事実を見て見ぬふりをしてきたので、行き詰っていると思うのです。それは、最新の脳科学が証明してきていることでもあるわけです。

■クリティカル・コアの二つの条件:
他のさまざまな構成要素と同時に多くのつながりを持っている:一石で何鳥にもなる。
一見して非合理に見える:競合他社にはやるべきではないことのように見える

■競争優位の階層:図5-4(P.357)
(4) クリティカル・コア → 動機の不在・意図的な模倣の忌避
(3) 戦略ストーリー → 一貫性・交互効果
(2) 組織能力 → 暗黙性
(2) ポジショニング → トレードオフ
(1) 業界の競争構造 → 先行性
(0) 外部環境の追い風

■戦略ストーリーの模倣が企業間の差異を増幅するメカニズム
ストーリーの交互効果についての理解の欠如→個別の構成要素をベストプラクティスとして模倣・導入→キラーパスの意識的な忌避→交互効果の不全→構成要素の過剰→従来の戦略の一貫性の喪失→パフォーマンスの低下→企業間の差異の増幅

■戦略ストーリーの「骨法10カ条」
1.エンディングから考える
2.「普通の人々」の本性を直視する
3.悲観主義で論理を詰める
4.物事が起こる順序にこだわる
5.過去から未来を構想する
6.失敗を避けようとしない
7.「賢者の盲点」を衝く
8.競合他社に対してオープンに構える
9.抽象化で本質をつかむ
10.思わず人に話したくなる話をする

<著者の恩師・友人のおすすめ文献>
神戸大学 三品和広教授
 Henry Minzberg "Crafting Strategy”
 吉原 英樹 (著) 「バカな」と「なるほど」―経営成功のキメ手! (「バカな」「なるほど」でバカなる)


【目次】 

第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」


ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件/楠木 建
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