サルバドールの朝(2006スペイン/英)--スペイン・ラテンアメリカ映画祭オープニング | CINEPHILIA~映画愛好症~

CINEPHILIA~映画愛好症~

気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

サルバドール

9/10(月)市ヶ谷にオープンしたスペイン国営Instituto Cervantesの日本支部。今日はそのお披露目も兼ね、週末からのスペイン・ラテンアメリカ映画祭のオープニング作品(試写)でした。入ってみると、席数200程度の映画館のような設備で、とてもキレイでした。段差はゆるやかですが、見るのに困りません。今後もたまに映画上映していってほしいです。
http://tokio.cervantes.es/jp/default.shtm

冒頭にマヌエル・ウエルガ監督と、映画祭プロデューサーの舞台挨拶があり、映画を作った経緯、主役についてお話がありました。が、割愛。

1970年代初頭、フランコ政権末期のスペインで、自由解放運動のグループに所属する25歳のサルバドール(ダニエル・ブリュール)は、不慮の発砲により若い警部を死なせてしまう。彼は正当な裁判を受けられないまま死刑を宣告され、彼の家族や仲間、弁護士たちは何とか処刑を防ごうと手を尽くすが……。 (シネマトゥデイ)

ざらざらした映像や、暗く抑えた色調や露出値を高くした画には、「夜よ、こんにちは」を思い出しました。なんとも印象的な使い方なんですよね。後半の話は「白バラ」的。

私の生まれる少し前に、今でこそノウノウと日本人が観光しているバルセロナでこんなことがあったのだと思うと、切り離された現実には思えないんです。「幸せな時間」鑑賞以来、死刑に関する本や文献を集めていた私には、こんな死刑に憤りを感じてなりませんでした。体制に対して、人間の非力に対して、正義面した役人に対して。死刑の是非以前の問題でした…。その重苦しい空気に最後まで付き合わされる観客は、ちょっと疲れます。

ダニエル・ブリュールはドイツの顔といった若手役者ですが、母親がスペイン人なので生まれはバルセロナだそう。彼は抑えた演技ですが、表情の変化など素晴らしかったです。(少し顔にゴッツさが出ていました)。でもそういった演出・淡々と進む物語のためか、強い感動・衝撃というものは「白バラ」ほどなかったかも。だからといってマイナスな訳ではなく、ダニエルや周囲の人の横顔から、色々感じて欲しい映画なのだと思います。

トリュフォーの映画は、彼らにとってフランス的自由と希望に対する憧れだったのかなぁ。


9月22日(土)よりシャンテシネにて公開予定
満足度:★★★★★★★☆☆☆