大統領暗殺(2006英)完成披露試写会 | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

大統領暗殺

この作品、2006年トロント国際映画祭で国際批評家賞を受賞した問題作です。邦題を決めるのにもめたようで、それがニュースになっていました。
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/release/2007/06/1990/
だって原題が「Death of A President」(ある大統領の死)なのに、「ブッシュ暗殺」って;。(内容はそのものなんだけど)キャッチーなタイトルで煽動しようという魂胆も感じられて、ちょっと嫌だわしょぼん

2007年10月19日、アメリカ中部時間20時13分にブッシュ大統領が暗殺されたという設定。ブッシュ大統領が暗殺された時、アメリカはどう動くのか? そして世界はどう変わるのか? センセーショナルな事件をきっかけに、アメリカという国家、そして世界を取り巻く様々な問題が浮き彫りにされる。(cinemacafeより)

賛否両論というこの映画。私はダメな方でした
監督はイギリス人のドキュメンタリー出身の方。ブッシュ大統領暗殺という仮定でモキュメンタリー・スタイル(ニュース映像などを加工し、本当にあったかのように映しています)にしたのは、9.11と同程度のインパクトを出したかったかららしいのですが…。

(ネタバレ含む)
監督の意図がわかりませーん。こういう題材を扱うのは非常にリスクがあると分かって、敢えて作った価値がみられないんです。暗殺は冒頭に起こり、その後国連におけるアメリカの立場とか、イラクとの対立の行方とか、「世界はどう変わるのか?」が描かれていないの。ひたすら「暗殺犯は誰か」の捜査と裁判を映すのみ。ストーリー作りに躍起になるアメリカ人を笑いたかったのか?緊急事態で人種差別剥き出しの内面を暴露したかったのか?

百歩譲って、道徳的な意見を捨て、映画を楽しもうと思っても、これ面白くないんです。「社会的側面とエンタテイメント性を兼ね備えた」という説明がついているのですが、どちらも不在。「モキュメンタリー」なのですが、真実のアメリカ(アメリカ人のブッシュに対する感情、在米アラブ人の実態)を知らないゆえに、擬似の効果が現れてこないのだと思います。もっと露骨にやった方が、マシだったかもしれません。


冤罪(らしい)アラブ人の妻に「暴力は暴力を生む」と語らせています。でも、この種の武力を使わない暴力もどうなんでしょうね…。私の目からは、悪ふざけにしか見えませんでしたが、アメリカ人やイギリス人の反応を見てみたいです。

10月6日(土)よりシャンテシネにて公開予定
満足度:★★★★☆☆☆☆☆☆