ボルベール〈帰郷〉(2006スペイン) | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。


ボルベール
ペネロペ・クルスがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされていた作品です。

10代のころ母親を火事で失ったライムンダ(ペネロペ・クルス)は、失業中の夫と15歳の娘パウラ(ヨアンナ・コバ)のために日々忙しく働いていた。ある日、火事で死んだはずの母親が生きているといううわさを耳にする。そんな中、肉体関係を迫ってきた父親を、パウラが殺害してしまうトラブルが発生し……。 (シネマトゥデイ)

こんな激しいアイメイクが似合うのは、さすがペネロペ・クルスですが、複雑な心情を表す深い表情には心奪われました。ペネロペの疲れた瞼の辺り見ていると、じわじわにじみ出てくるモノがあるんですよね。この映画では細すぎるペネロペのため「付け尻」が評判になっていますが、お腹にも何か入れている様子。一回り大きな腰のペネロペも崩れかけた色っぽさを感じました。また、巨乳強調!胸の谷間を上から映したり、映画中で母親にも「あんた、なんかやったんじゃないの?」と問われていました。女でも目線いっちゃいます。

観ながら、「ペドロ・アルモドバル監督ってこういう感じだったなぁ」と思い出しました。物を映して余韻を持たせたり、色が露骨に鮮やかだったり。今回も記憶に残ったのが、ペーパータオルに血の赤が広がるシーンでした。

ペドロ・アルモドバル監督作品で観ているのは「オール・アバウト・マイ・マザー(1998)」以降なので、はっきり言えませんが、私の知る他作品より胸をえぐるような痛みは少ないような。その分、笑いや家族の再生があり温かい作品に感じました(人生の辛い部分というのも、もちろんあり、冷静に考えるとすごい話なのですが;)。家族を持つ人、確執があった人にはどこか共感したり、心にしみる部分があるのではないでしょうか。家族だからいえないこと、家族だから分かって欲しいこと。

この監督さん…インタビューを読む限り、「バッド・エデュケーション」は半自伝的というし、母に対する思い入れが強くて、最近では「死という概念を受け入れることができなかった」という…(顔に似合わず)なんとも芸術家的繊細さを持つ方なのかな。1997年以前の作品も観ていきたいです。

6月30日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて公開予定
満足度:★★★★★★★☆☆☆