森見登美彦 「きつねのはなし」

テーマ:
きつねのはなし/森見 登美彦
¥1,470
Amazon.co.jp


この前読んだ「新釈走れメロス」で

モリミーってこんな哀愁漂うものも書くんだーと

感心した私なのだが、

今回の「きつねのはなし」の薄気味悪さにも

ほぉ、モリミーって面白い、と思ったのだ。

4編収録。


4作品にリンクしている古道具屋、芳蓮堂や

そこの主人(であるはずの)ナツメさん、

狐の面、狐の顔と長い胴のケモノ、水神などが

夢とウツツの間をつるりつるりと漂っているのが

なんとも不気味で寒気がしてくる。

雨、井戸、池、疎水などといった水に関する場面が

物語に陰と湿り気をもたらしていて効果的だ。

所々の「あなたの顔が大きなケモノみたいに見えた」

という文章が印象に残って、怖い。


「きつねのはなし」の天城さんを脳内変換で柄本明にしてみた。

この人とじっと暗い座敷で面と向かうの、嫌だなぁ。






読後満足度    ★★★★










新釈 走れメロス 他四篇/森見 登美彦
¥1,470
Amazon.co.jp

新しいモリミー、発見。・・てな感じかな。


有名な文学作品5作のモリミー流解釈。

しかし、嗚呼すみません、「走れメロス」をむか~~~し

教科書で読んだきり、他は未読です・・・。


そんな私でもモリミーのおかげで面白く読めた。


「山月記」

天狗になった男、斎藤秀太郎の孤独と哀しみ。

モリミー作品で初めて感じる哀愁。


「藪の中」

鵜山という男の捻じ曲がった不器用な愛情。


「走れメロス」

詭弁論部の男2人の、世間からはまったく理解できない

ところにある友情。

・・・というより桃色ブリーフ万歳!


「桜の森の満開の下」

珍しく恋愛小説。冷めた印象の女としんとした桜の情景。


「百物語」

森見君という男が出てきて、体験談風な現実感と

小説とのリンク。



もう一度「夜は短し・・・」を読みたくなったなぁ。

モリミーの書く京都はワンダーランドだっ。





読後満足度    ★★★☆  3.5







森見登美彦 「四畳半神話大系」

テーマ:
森見 登美彦
四畳半神話大系

モリミー3冊め。

こいつぁー面白かったぞ!「夜は短し歩けよ乙女 」よりも

私としては好みじゃ!


相変わらず主人公は京都の大学生(♂)。

妄想に走りがちなのはいつも通りなんだけど

この作品ではいろいろ仕掛けがあってそこがツボ!

4話続けて読んでいくうちに謎がほろほろと解けるわい。

四畳半はパラレルだっ。


かわゆい表紙のイラストは<もちぐま>ちゃんですねー。

スポンジで出来ていてふにふにと押し潰して和むそうな。

川に落ちていたりコインランドリーで行方不明になったりと

いろいろな登場の仕方をしてくるのが面白い♪


アクの強いキャラが目白押しな中、

主人公の友人の小津の腹黒いこと!

1話目では最悪に嫌ァ~な奴だと思うのだけど

4話目では懐かしくなって抱きつきたくなってしまう・・・。

いや、こいつと友達にならずに越した事はないと思うけどね。

妖怪ぬらりひょんに似ていて、姑息に影で立ち回り

他人の不幸でごはんを3杯食べるオトコ。


あの日あの時、運命の岐路でもう一方の道を選んだなら・・と

後悔することってあるんだと思う。

でも、どれをどう選ぼうとなるようになるんだ。

あ、この「なるようになる」って「テキトー」の次に好きな言葉だな。

「人事を尽くして天命を待つ」の言葉に匹敵するのでは??

それだけポジティブに生きてればOKというわけだ。

ま、このお話の主人公は自分自身からポジティブというんじゃなく

巻き込まれ型の人生なんだけどね。


カステラが無性に食べたくなった。コロッセオにしたい。




読後満足度    ★★★★


森見登美彦 「太陽の塔」

テーマ:
森見 登美彦
太陽の塔

モリミー読書第2作目。

ファンタジーノベル大賞受賞作にしてデビュー作。


ストーカーだらけの話かと思った・・・。


夜は短し歩けよ乙女 」のお話と同じく、彼女(ではないな)を

観察しまくる男子学生。

我々の日常の90パーセントは、頭の中で起こっている」というほど

妄想爆発の頭でっかちさ。

同士(友達)だって、ひと味もふた味も違っているような

類は友を呼ぶ、濃~いメンツ。

男汁なみなみ。


観察の対象の水尾さん、以前は付き合っていたらしいけど

なーんだか曖昧模糊としてカタチがつかめない。

太陽の塔をこよなく愛し、猫のように丸まって眠る水尾さん。

それだけかー。それだけでいいのかー。

片思いの相手なんだから、存在だけでよいのかもね。


私としては「夜は短し・・・」のほうが好きだなぁ。

なんといっても文体の妙があるもの。

こっちはね、あまりに妄想が突っ走っていてちょっとついていけない。

でも時折、面白い小技が効いているから読んじゃうんだよね。




読後満足度   ★★☆  2.5










森見登美彦 「夜は短し歩けよ乙女」

テーマ:
森見 登美彦
夜は短し歩けよ乙女

むむむ・・・なんだ?この不思議な文体はっ。

そして奇妙奇天烈な登場人物たちはっ。


短い黒髪の小柄な彼女と彼女に片思いの大学の先輩。

センパイはいかに彼女との外堀を埋め、

オツキアイまでたどり着いたのか。いや、たどり着けるのか?


この「彼女」、実に個性的な不思議ちゃんだわ。

姿形は可憐と思われるんだけど、うわばみのような大酒呑みだし

学園祭ではドデカい緋鯉のぬいぐるみを背負って歩くし

町中がヒドイ風邪に罹っている時でもケロっと元気!

友達はいないのか、いつもひとりでふあふあと歩いている。


知り合う人たちはみな癖のある(ありすぎる)人ばかり。

特に学生天狗の樋口さんと李白翁はすごすぎる。

この世のものとも思えない奇天烈さ。

そんなミョーな人たちの存在をすんなりと受け入れるのだから

彼女も常人ではないわなぁ。

彼女を好きになってしまった先輩もこれからが大変では・・・。

なむなむ!



この森見氏のこと、恩田陸特集で買った「文藝」で

恩田さんへの質問をしていて気になったの。

質問の文体がこのお話みたいに不思議だったのと

恩田さんが回答で「おともだちパンチ」のことを書いていたので

なんじゃら?と思っていたのよね。

近頃あちこちの書評ブログで見かけて「あ、この人か」と。

本屋でなかなか見つからなかったのは売れてたからなのねー。

この本も平積みのラスト1冊だったわ。

他の本も読んでみたいなぁー。ますます気になる森見氏。





読後満足度    ★★★★