宮部みゆき 「ブレイブ・ストーリー」

テーマ:
宮部 みゆき
ブレイブ・ストーリー(上)
ブレイブ・ストーリー (中)
ブレイブ・ストーリー(下)

文庫のカバーイラストがとてもかわいくて持っているのが嬉しかった。


映画はだいぶはしょってあると聞くけれど、文庫3冊じゃ仕方ないよね。

宮部流のファンタジーってどんなかな?と思って読み始めたよ。


少年が幻界(ビジョン)へ行って運命を変えるべく冒険をする、

RPGでおなじみの話なんだけど

幻界への扉が開かれるまでの現実世界の心理描写が細かい。

不仲になった両親を持つと子供はツライよね。

ベッドの下に潜り込んだワタルがとても不憫だ。


幻界ではビジュアルでも栄える個性的なキャラが続々登場。

これがアニメ映画化にもってこいなんだなぁ。

かわいい声で鳴く鳥、トカゲのような男、ネコ耳の女の子。

ヘビメタ風な出で立ちのかっこいいお姉様、火を吐くドラゴン。

取り立てて珍しい設定ではないけれど、ワクワクする人たちだ。


でも詩的な情景描写はさすが、宮部みゆき。

文章の持つ力を強く感じられたよ。

これはやっぱり小説じゃなきゃ響かない。

それに幻界と現世の関係や、幻界の政治情勢など

辻褄がうまく合っているから読みやすい。

なんでも魔法でやっつけるご都合主義は見られなくて

素直にワタルを応援できた。


ワタルが成長していく様を見ているだけで

なんだかこちらも勇気が湧いてきたよ。

人それぞれに幻界があるのなら、私のはどんなかなぁ。

魔族ウジャウジャだったらどうしよう・・・。


映画のタイトルは「ブレイブストーリー」で「・」がないんだよね。

姓名判断のセンセイにでもみて貰ったのか?

うん、楽しかったから夏休みにでも子供と映画を観に行こう!

そして2女に本を読ませよう!

(文庫3冊の多さにしり込みしているからさぁ。まず映像を見せて・・。)




読後満足度    ★★★★☆  4.5


宮部みゆき 「模倣犯」上下

テーマ:
宮部 みゆき
模倣犯〈上〉      模倣犯〈下〉


単行本上下巻合わせて約1400ページ。それも2段組

なんという長さだよ。

コレを読んだら京極の本が薄く感じるもの・・・。

ハリポタの前後ずーっとこれに掛かりきりでやっと読めた。


公園のゴミ箱に捨てられた女性の腕、滑り台に乗せられた死体、

テレビ局にかけられた犯人からの電話。

劇場型連続殺人は被害者の遺族や世間を嘲笑い、

犯行の描写は震えるほどの怒りを感じさせられた。

自分の世界に君臨する王は人を人とも思わずに

あまりに冷酷で、幼稚だ。


被害者の家族が抱えた辛さと湧いてくる負い目。

中でも有馬老人の気丈さと冷静さが印象的だった。

(やっぱりジジイが好きだー)

恐ろしい事件が起こる中、人々が互いに寄り添って

交わす温かさが読んでいて慰めになった。


ラスト近く、テレビ番組で犯人を追い詰める事になるのだが

今まで計算し尽していた犯人が簡単にぼろを出すところが

あっけないという気もしたが爽快だった。

幼稚な犯人の感情を揺さぶれば案外こんなものかもしれない。


ひとつの出来事を犯人側、被害者側と見方を変えているので

物語に厚みが出た分、少し回りくどかった。

元は連載小説だというから長くなっちゃったのかなぁ。



読後満足度   ★★★★☆   4.5



宮部みゆき 「クロスファイア 上下」

テーマ:
宮部 みゆき
クロスファイア(上)  クロスファイア(下)

念力放火能力(パイロキネシス)を使って

法で裁けない犯罪者を処刑する青木淳子。

悪を討つ正義の味方、だけのお話ならば

アメリカンコミックなんかでスカッと爽快になるだろう。

でも処刑は結局、殺人なのだ。

犯罪者が被害者になる時、正義のヒロインは加害者となり

どこまでが正義なのかが分からなくなる。


上巻は初めから淳子の派手な能力が描かれていて衝撃的。

下巻は淳子に接触してきた組織「ガーディアン」ともからんで

淳子の苦悩が描かれる。


それと対称的な位置にいるのが石津ちか子刑事。

人間を短時間で焼き尽くす強力な武器を考えてみるものの

超能力などはなから頭にない。

現実的な立場は読者と同じだ。

読み手の私といえば

現実とSFの世界を行ったり来たりして深みにはまる。


様々なタイプの女性の描きわけがとても上手くて面白かった。

やっぱり主人公の心理描写が巧みで

強力な武器であると同時に悲哀が感じられた。

宮部みゆきって面白いかも。



読後満足度    ★★★★☆   4.5

宮部みゆき 「R.P.G.」

テーマ:
宮部 みゆき
R.P.G.

今までなんとなく敬遠していた宮部作品を

えいやっと読んでみたよ。

ネット上の擬似家族の「お父さん」が殺された話。


殺人事件が起きて取調室でのやり取りが始まるまでは

取っ付きづらくて及び腰だった私もそこから先はノンストップ!

部屋での会話だけで事件全体を明らかにしていく方法は

単調になりやすいはずなのに興味深く読めた。

私もこうして毎日のようにネットを覗き、書き込みもするから

虚実入り混じった仮想世界についての話は現実的に感じた。

それに役者としてはやりがいのある役ですぞ。

特に擬似家族の3人はまさにR.P.G.だもんね。


でもこの「お父さん」は好きになれない。

自己中心的でいい人を演じていられれば満足という感じがして

娘が強く怒りを感じるのも分かる気がした。


武上刑事と石津刑事という2人は

宮部作品に以前登場しているのだという。

「模倣犯」と「クロスファイア」。

特に石津刑事は包容力があってやさしい女性なので

クロスファイアも読んでみたいな。



読後満足度   ★★★★