Oh my gosh | In The Groove

In The Groove

a beautiful tomorrow yea


を得ようとする者は、往々にして美徳の道を踏み外す。

なぜなら、不幸なことに、ある美徳に通じる道は、

しばしば、別の美徳に通じる道と反対の方向に向かうからである。

アダム・スミス著『道徳感情論』より




Never Say Never





ハリウッドスターやロックスターなど白人の富裕層の姿が目立ったブラジルワールドカップは、ドイツが優勝し、今月14日(月)に幕を閉じた。あれから約1週間経過した矢先、予選敗退したポルトガル代表のスーパースター<クリスティアーノ・ロナウド>がプライヴェートジェット機で22日(火)、来日を果たしたのだ。奇しくも同日、ここ東京は梅雨が明け、夏らしい青空が広がった。




その日はボランジェをはじめ、何種類かのシャンパンをいただき、気分良く、帰宅した。シャワーを浴び終え、冷房が効いたリビングで、英国の<ベースメント・ジャックス>が2005年にリリースした初のベスト盤『the singles special edition』(3枚組/特別限定盤)を棚から取り出し、そのDVDを、ソニーの大画面TVで数年振りに視聴。とりわけ、東京を舞台とした“Bingo Bango”の映像世界はとても懐かしく、9年前の記憶が鮮やかに蘇ってきたのだ。




同ベスト盤のライナーノーツには、次のように記されていた。




日本でベースメント・ジャックスのトラックが決定的なエネルギーを放ったのは、XL Recordingsからの1stアルバム『REMEDY』がドロップされる直前だった。ダフト・パンクのトーマがリキッドルームに招かれてDJを行った時、トップ・チューンとしてスピンしたのが、ベースメントの2人から貰った“Rendez-Vu”だったのだ。あの切なくも情熱的なスパニッシュ・ギターを約5分ほど引っ張ってリフレインした時が彼のDJの中での最初にして最大のピーク・タイムとなった。あれは正に「楽園」だった。

そして、彼らの最新PV“Never Say Never(直訳すれば「あきらめないよ」)”がドロップされたばかりだが、同PVにも同じく、日本人が登場するのだが、踊ることをやめた現代人に対し、踊ることを止めないよう警鐘しているが、アマゾンで即注文したくなるような、そのダンスするロボットがとてもキュート!?なのだ。



真夜中の路上で、ひとり踊るロボットの姿がとても印象的なそれは、映画『リトル・チルドレン』(2006年/米)のエンディングのワンシーンを彷彿させる。何かと言うと、夜の公園で、(不倫相手を待つ)母親サラ(ケイト・ウィンスレット)と一緒にいた子供が、(サラが目を離した隙に)そばを離れ、公園の外の街灯の下で、光に集まる蛾を見上げていたシーン(写真:上)だ。




一方、不倫相手の男ブラッド(パトリック・ウィルソン)も急ぎ足で、待ち合わせ場所の公園に向かっていたのだが、その途中、スケボーに興じる若者たちの姿が目に留まり、彼らからスケボーを借り、スケボーを試すのだ。要するに、彼らをお互い夢中にさせたかのようなW不倫は束の間の出来事であり、人生を劇的に変えるほどのそれではなかったのだ。ブラッドが公園に向かう途中で、何でもない若者たちのスケボーに興じる日常の光景を目の当たりにし、彼の興味の対象が、サラからスケボーに一気に変わるのだ。




郊外で何不自由なく暮らす、ある2組の男女(共に既婚者で、子供あり)の「満たされない日常」の中で蓄積したある思いが、ある夏の日に偶然重なり、W不倫へと走らせたわけだが、エンディングでは、人生の新たな段階への一歩を踏み出すため、公園に向かった2人のようにも思えたが、サラは子供が公園から姿を消した瞬間、子供の事で頭が一杯になり、我に返るのだ。




感動の旋律を奏でることがない静かなエンディングで、監督トッド・フィールドはシニカルにも「人間らしさ」をプラスさせてみせたのだ。陰鬱という世界観に、新たな魅力を感じさせたのだ、快楽主義という「楽園」に。



先述した彼らの行動から見て取れるように、それは、いい歳した子持ちの男女の、ある夏のバカげた逃避行が終わった瞬間であり、2人はひと夏の夢から目覚め、リトル・チルドレンから大人へと脱皮したのだ。子供(夢見る少女)には理解できないそれかもしれないが、2007年当時、日比谷シャンテで劇場鑑賞した作品なのだが、私的にとても印象に残っている。




付け加えると、トッド・フィールドは1999年スタンリー・キューブリック監督作・トム・クルーズ主演作『アイズ・ワイド・シャット』では俳優として出演しており、ジャズ・ミュージシャンでもある彼が、『リトル・チルドレン』では“Fly Me To The Moon”を使用するなど、ジャズへのこだわりを感じさせたのだ。冷めた視線で本作を語るとすれば、メトロセクシャルな俺とは対照的に、「退屈」な場所に住む、「退屈」な人々の、「退屈」な日常に焦点を当てた、「退屈」な物語だろうか。表現を変えてみるなら、郊外で暮らすごく平凡な中流階級の主婦の欲求不満の日々と心の渇望を描いた作品が、『リトル・チルドレン』なのだ。映画『アメリカン・ビューティ』にも通じる世界観だろうか。




ところで、「サバービアの憂鬱」をテーマとした映画『リトル・チルドレン』と、ベースメント・ジャックスの新作PVは直接関係ないと前置きしておくが、愛することを忘れた人間と、踊ることを忘れた人間との関係は、今の時代に必用とされる身近な課題ではなかろうか。ベースメント・ジャックスが、我々リスナーに何を訴えかけているのか、その解釈は人それぞれに委ねるとして。



そんなベースメント・ジャックスの最新PVを担当した映像ディレクターは、1986年のイラン生まれの男性で、現在は米西海岸在住の<サマン・ケシュ>君その人なのだが、プラシーボの過去のPVでも有名な彼だが、イラン繋がりで、イラン人によるダンス・アクト<ディープ・ディッシュ>の記憶が頭をよぎったのは俺だけだろうか。




彼らが2005年にリリースしたアルバム『George Is on』に収録されたクラブ・アンセム(例えば、『Flashdance』『Say Hello』)は当時のブログで度々取り上げたほどだが、とても俺好みのキラー・チューンだった。ベースメント・ジャックスのデビューアルバムがリリースされたのは1999年まで遡るが、当時、俺は人生の、愉快の絶頂にいたのかもしれないが、あれから早15年が経過したが、あの20代だった頃の俺は毎日が楽しすぎて、それはまるでクリスマスのようだった(笑)。




タックス・アヴォイダンス(租税回避)




税金は、文明化された社会では、当然支払うべき料金であるが、

文明を値引きしたがる市民が多すぎる。

ヘンリー・モーゲンソー(元アメリカ合衆国財務長官)




先述したベースメント・ジャックスの話題とは異なるが、昨今、所得格差が問題視されるようになって久しいが、超富裕層個人資産30億円以上の人口は、現時点で地球上に約20万人存在しており、それらの合計は、全世界約72億人の個人資産の約40%に値するのだ。尚、富裕層大国日本においては、1億円以上の個人資産を有する富裕層は、約90人に1人の割合で存在し、米国に次ぐ、世界第2位の富裕層大国なのだ)の存在が際立つようになってきたのは確かであり、富裕層が急増した理由は、80年代の「投機市場の拡大」にはじまり、90年代の「IT革命」、そして世界各国の政府による規制緩和(例えば、日本では1997年の「外為法の改正」)の推進による「自由市場の台頭」、の3点が挙げられるはずだ。



デヴィッド・ボウイの“Lets Dance”が1983年にリリースされ、世界各国のチャートを席巻し、世界中の人々が踊りだし、マイケル・ダグラスが超富裕層<ゴードン・ゲッコー>役を演じた映画『ウォール街』が1987年に全米で封切られ、日本では翌88年に公開されたが、当時の日本経済は、かつて経験したことがないようなバブル期を迎え、金融市場は上昇し続けたのだ。東京の夜の街は、人、人、人で溢れ返り、お洒落した男女は、ディスコ(クラブ)という非日常の空間で、大音量で鳴り響く音楽に身を委ね、そして夜な夜なシャンパンが空けられ、人々は踊り続けたのだ




そして1991年。バブルが崩壊し、日本経済は「失われた時代」に突入するわけだが、そのクールダウンし過ぎた我々の肉体は、ふたたび踊ることを欲求しているのだろうか。我々日本人も、80年代の強欲の時代を経て、その後インターネットを介し、世界はひとつに繋がったが、人類はかつてない規模と速さで富裕層を生み出し続けており、世界は二極化する一方だろう。


ところで先日、ツイッターを眺めていると、ごくごく一部の「文明を値引きしたがる市民」の話題が目に留まり、ツイートした。



参考までに、アメリカで最もリッチな俳優<トム・クルーズ>の個人資産が約500億円、昨日離日したばかりのサッカー界のスーパースター<クリスティアーノ・ロナウド>のそれが約250億円だ。俳優やスポーツ選手以外では、ジョルジオ・アルマーニのそれが約1兆円ブルームバーグ前NY市長のそれが約2兆円なのだが、フォーブズ誌の世界長者番付によれば、アルマーニのような大富豪でも、世界ランキングでは第100位くらいの立ち位置なのだ。




ところで、超富裕層の個人資産がいくらであるのかなど知らずとも、英国のロックバンド<アークティック・モンキーズ>の稼ぎがどれくらいなのか、一般的な常識がある方であれば、見当がつくはずだが、先述したツイートは、無知な一部の日本人(約500人)によって拡散されていた一例だ。彼らの常識を疑ったが(笑)、世の中には、あまりにが溢れているのも確かであり、世間一般的な判断レヴェルって、そういうものなのかと一瞬心配になったほどだ。




英「TIMES」紙で先日報道された、「タックス・アヴォイダンス(租税回避)」のスキームを利用したそれについて、ここでは詳細に語らないが、超富裕層に限らずとも、近年ではスターバックスコーヒーをはじめ、アップルグーグルアマゾンなどのアメリカ系多国籍企業によるそれが国際的な問題となった事は、我々の記憶に新しいところだが、「オフショア」について書いたところで、面白くも何ともないので、仕事ではなく、遊びで書いてるこのブログの趣旨に反するのでやめておくが、俺自身、マネーロンダリングにもタックス・ヘイヴンにも興味がないというのが本音だろうか。




Tax Haven(タックス・ヘイヴン)”とは、直訳すれば「税の避難所」で、一般的には「租税回避地」と呼ばれているそれだ。合法なのか? と言われれば、合法でも非合法でもなく、グレーゾーンの位置づけだろうか。言い換えれば、「脱法ドラッグ」(現: 危険ドラッグ)と同じような怪しいそれなのだ。




話を戻すが、先述したように、情報が異常なまでに氾濫する現代社会において、知識がない人々は、の情報を信じ、デマを拡散させているのが現状なのだ。視野の狭さも関係してくるのだろうが、最近目にした日経新聞の7月15日付コラム“劣化する情報リテラシー  視野の狭さがデマを拡散 ソーシャル新人類の不夜城(12”は特に面白かったので、興味のある方はどうぞ。




今回テーマを「音楽」で書き始め、ベースメント・ジャックスの最新PVに言及した矢先、俺の頭に浮かんできたそれは、音楽(アークティック・モンキーズ)に関係しているツイートだったとはいえ、「タックス・アヴォイダンス」という色気のない、退屈な話題になってしまった。


ベースメント・ジャックスは、今週25日(金)から開催される『FUJI ROCK FESTIVAL 2014』の初日に、アークティック・モンキーズは来月16日(土)及び17日(日)に開催される『SUMMER SONIC 2014』にそれぞれ登場する。私的には、今週末27日(日)のフジロックに登場するジャック・ジョンソンが気になるところだが、俺自身、野外フェスには足を運ばなくなって久しい今日この頃であり、いつの日かまた、心変わりすれば、ぜひ足を運んでみたい音楽イヴェントだろうか。




ところで最近、ツイッター上で、ある女の子のそれが目に留まり、彼女のツイートを過去に遡り、眺めてみた結果、高校1年生の女の子だったのは驚きだった(笑)。彼女のセンスは独特で、個性に溢れていて、俺が中学生だった頃の記憶を蘇らせるほどに新鮮だった。音楽や映画の話題に限定すれば、高校1年生には思えないほどの知識があり、選ぶ映画のセンスが不思議と俺と似通っているのは魅力だ(笑)。俺自身、アメブロで10年程ブログをやっているが、彼女のような独特の感性の持ち主は初めてだね。それは、10代だった頃の俺の感性とも重なり、とってもクールにも思えた。彼女の瑞々しいその感覚は悪くなかったが、英国から次々と誕生してくる若手ミュージシャンの感覚にもどこか似ていて、とても興味深い。


最後になるが、ベースメント・ジャックスの最新PVを見ていて、伝わってくるのは、アンダーワールドやケミカル・ブラザーズのような洗練とも異なる、ダンス・ミュージック特有の楽しさだろうか。そして、自然と口ずさみたくなるようなそのメロディが、我々リスナーの気分を一気に高揚させるのだ。




Oh, sing my love
Oh, sing my love
Oh, sweet my love
Oh, sweet my love



Have a beautiful day!