騰奔静想~司法書士とくたけさとこの「つれづれ日記」

大阪の柏原市で司法書士をやってる徳武聡子といいます。
仕事のかたわら、あっちこっち走り回ったり、もの思いにふけったり。
いろいろお伝えしていきます。


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(TW、FBでの投稿も含んでいますが、あらためて書きます。)

NHKスペシャル「調査報告 女性達の貧困~”新たな連鎖”の衝撃~」を視た。

たしかに衝撃だった。

冒頭に、ネットカフェで暮らす14歳と19歳の姉妹
(後から母親も同じネットカフェで暮らしていることが取りあげられた)。
8万円のバイト料で、病気で収入の少ないの母親を含め家族4人の生計を支える19歳の女性。
結婚など考えられない、余裕がないとつぶやく20代の女性。

親の離婚、病気などなど、様々な理由で貧困に陥り、働いて家族と自分を支え、それでも将来の夢(生活の安定)に向けて努力する女性達が描かれていた。

新宿区内のネットカフェに暮らす姉妹は、妹は中学に半年以上行っておらず、姉も高校を中退してアルバイト。初期費用が高いからアパートは借りられないと言う。食事は一食で、ネットカフェのフリードリンクで空腹を誤魔化す。そして「明日の食事の心配をしない暮らしをしたい」という願いを語る、10代の少女が。

バイトで家族4人の生活を支える女性は、食費は一日500円程度。「どういう風に暮らしたい?」と問われて「朝から働いて夕方に普通に家に帰ってというのが理想」と答える。そのように口にするまでの沈黙と表情が、とても気になった。

子どもを育てられないから特別養子縁組で手放す母親を支援するNPOの話。相談件数は年間1000件を超える。育てられない理由の半分は経済的理由。ちなみに、特別養子縁組は、普通の養子縁組と異なり実親と子どもの法的な親子関係は断ち切られる。

20代女性は働いても15万円の収入で、結婚や出産をすることが考えられないと言い、「今の自分じゃ無理だよ…」とつぶやき、ただ普通に生活ができるだけのお金が欲しいという。

松山から、大学の学費のために東京に出稼ぎに来る少女もいた。

子どもの希望する進路に進ませてあげたいと、資格を取るために、ダブルワークで仕事を掛け持ちしながら専門学校に通うお母さん。高等職業訓練促進給付金という、専門学校に通う間の生活費の支給制度を利用したが、頑張って仕事をした結果、収入基準を超え給付金が減額されたという矛盾を抱える。

私が、あのネットカフェのことを番組で視たとき、真っ先に考えたのは、そこで生活保護や支援の相談会をすれば、かなりの反応があるのではないか、ということだった。

母子家庭であれば、児童扶養手当や児童手当の支給も受けているかもしれない。
しかし、たいていの家庭が、生活保護を利用できる所得以下であるように思える。

NHKは、なぜそういうことを伝えないのだろうか。
どういう事情で生活保護を利用していないのかはわからない。
しかし、もし、最低生活費以下で生活しているのなら、本来は生活保護を利用できるはずだ、生活保護の利用に至ることなく貧困に陥っていると、少なくとも、そこまで放送しなければならないんじゃないのか。

しかし、そういうことは一切触れられなかった。
この番組では、行政の責任についての視点がが完全に抜け落ちている。

描かれるのは、「何とかして自らの力で困窮した生活から抜け出したい」と頑張る女性たち。番組の最後の方では、専門学校の前に立つ女性の姿に「自ら働いてつかんだスタートライン」とナレーションが入る。

もちろん、自分の力でつかみ取ることは大事だし、そうやって頑張ってる人の努力は正当に評価されるべきだとも思っている。
でも、自らの力だけで頑張らなくても良いことを、この番組は視る人に、社会に伝えないのだろうか。あるいは、「調査報告」とタイトルを打ち、そういう姿を報道することだけに徹しているのか。
…それでは「自力で頑張る」を称揚するだけになりかねない。
そしてそれは、様々な社会保障を利用したり、支援を受けてる女性たちに対する、有形無形の圧力を生み出すことにもなりかねない。

なぜ、女性が非正規に押し込まれているのか。

なぜ、シングルマザーが増えているのか。

なぜ、生活保護が利用されていないか。

なぜ、日本の子どもの貧困率が先進国最悪なのか。

そういう背景にも切り込まなければ、この番組を作っても「女性の貧困」とはどういうものかを伝えたことにはならない。
ぜひ、続編というか解説編を放映して欲しい。
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