いささめ

歴史小説&解説マンガ

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 奥州安倍氏のトップである安倍時頼は、日本に対して刃を向け、戦闘には勝ったものの、そのまま日本と本格的な戦争に突入してしまったらどうなるかぐらいはわかっていた。罪を許すという布告を名目にしての無条件降伏が最善であるというのも、現実的な判断であった。

 ところが、その現実的な判断が不満であった蝦夷たちにとって最高のリーダーが、他ならぬ安倍氏の中にいたのである。

 安倍時頼の次男の、安倍貞任がその人である。天喜二(一〇五四)年時点で三五歳前後と推計されている。身長は六尺というからメートル法に直すと一メートル八〇センチほどとなる。成人男性の平均身長が一六〇センチほどの時代にあってこの長身は例外的に高い。もう一つ例外的なのが、ウエストサイズ。何と七尺四寸、つまり二メートル二四センチ。大相撲を見渡してもここまでの大きさの者はいない。体重はおそらく二〇〇キロを軽く超え、三〇〇キロ近くには達していたと推測されている。

 外見は威圧感を与えたが、性格は温厚で人と打ち解けやすかった。奥六郡の庶民たちからの人気も高く、困っている人がいると放っておけないたちでもあった。感覚で行くと水戸黄門のような庶民目線でのスターという感じであったのである。

 通常、安倍時頼ぐらいの地域の権力者であれば、自分の子を役人に就かせるぐらいはできるものである。役人にさせることができなくても、位階を手にできる立場にするぐらいならば可能だ。その上、この時代は各地域から集められた巨漢の男達が朝廷に集められ、相撲すまい節会せちえで相撲をとるのが年中行事になっていた。相撲の節会の力士に選ばれれば親の権力に頼らなくても自動的に位階が手に入る。

 だが、この安倍貞任は位階を持ってない。

 父だけでなく、妻の父も位階を持っていたのだから、位階のある地位にさせようと思えばさせることもできたであろうし、本人も努力すれば位階を手に入れるぐらいはできていたであろう。にも関わらず位階を手にしなかったということは、位階に見向きもしなかったからだといえる。


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