山本 文緒 著 角川文庫 514円(税別)
プライオリティー [priority] 優先順位 優先権
つまり 私が 一番大切に思っていること・・・
それについてのたくさんのエッセイである。
僕が 心を動かされた作品は 「空」 「当事者」
「空」
毎日 空を見ていたい と思う少女がいた。
彼女はスチワーデスになったが、自分の居場所はここではない と悟る。
空には居るのだが 空を見ていたのでは 仕事にならない。
次に 気象予報士を目指し 実際、試験に合格する。
だが、この仕事も 空を見上げているだけでは出来ない。
そして・・・
彼女は自分の居場所を見つける。
出会って 二度目の男に 彼女の方から求婚する。
彼女は今 空を見上げて 微笑んでいる・・・
こんな 頑固な 行動的な 強い 女性を 尊敬するし 魅力的だな と思う。
しかし、彼女もそれまで 決して自分のやりたいように出来た訳ではない。
親から ”親の予想通りに生きる” 事を 求められ 幾度となく 悲しい思いをした。
でも 彼女は 予想通りを期待されても
人の生き方を何かの力で変えることはできない
と言う。
「当事者」
高校生の時に
同級生が、あの日航機事故で死んだ。
それを忘れていたはずだったのだが・・・
とある事をきっかけに
心の中が 落ち込み
更に 追い討ちをかけるように
事故当時の写真を載せた週刊誌を見てしまう。
吐き気と共に、猛烈な寒気に襲われる。
一緒に居た、心を許せる男が言う。
「 いいんだよ。
当事者じゃない者は当事者と同じ気持ちにならないで。
いつか自分がそうなったときに頑張れば・・・ 」
苦しみもがく人に とても温かい言葉だった。