• 24 Jul
    • ベイトトラップで虫の観察会&池の整備作業

      今日は、午前中は城山公園で定例の観察会、午後は公園内の観察池の整備作業でした。観察会の方は、少し変わった試みで、園内数か所にあらかじめベイトトラップを仕掛けておき、トラップにかかった虫を観察するというものでした。ヒラタシデムシ、アリの仲間、ハンミョウなど、地面を這う虫数種類がかかっていました。虫自体は普段見かけるものでしたが、トラップを仕掛けて観察するという手法が新鮮で、子どもたちは夢中になっていました。また、トラップ以外にもトタテグモの巣やアブラゼミの幼虫を観察することができて、観察会に参加しないとなかなかお目にかかれない体験でした。 ※トタテグモの巣地面に作るクモの巣で、巣の入り口には糸と泥で作られた蓋がついており、近くを獲物が通りがかるとふたを開けて飛び出してくる。 つづいて午後は、城山トコロジストの会のメンバーで池の整備作業ですが、公園の中に作られた小さなため池に、泥が堆積し浚渫しなければならないので、その前に池の全面に広がったアサザの駆除とヤゴやドジョウの救助をしようというものでした。アサザは、誰がどんな目的で植えたのかわからず、この1年くらいですっかりと水面をおおいつくすようになったものです。葉が繁茂し日が入らなくなり、空気も循環しなくなったため、水質が悪化し生き物の姿もめっきり少なくなってしまいました。まずは、手でアサザの茎と根を引きちぎります。泥の中深くにまで根が張りなかなかの重労働です。あらかたアサザを駆除し終わったら、今度は中の生き物を網ですくい、水を張った衣装ケースの中に救助してやります。予想ではもう少しヤゴの仲間がいるかと思ったら、ほとんどいません。代わりに20~30cmクラスのドジョウがとれました。救助した生き物は、稲城市環境学習センターのビオトープ池で保護する予定です。ドジョウの種類は後日調べてみようということになりました。公園のオープンスペースに作られた池なので、誰でも気軽に池に近づくことができる代わりに、勝手に生き物を放したりして外来種も話されてしまいます。まあ、他の池や川とつながっているわけではないのでここから外へ広がっていく心配はないのでそれほど神経質にならなくてもいいのかもしれませんが。気が付いたら昼ご飯を食べ忘れていて、夕方までなかなか充実した時間を過ごすことができました。  

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  • 19 Jun
    • 自分のいる場所をマクロにみる

      ここのところ月1回のペースで、近所の小学校の出前授業に駆り出されています。5/16は、小学2年生の対応。テーマは「野生動物を観察しよう」でした。これは先生からのリクエストで、6月に多摩動物公園に行くので、その時に役立つ観察の視点を伝えてほしい、とのことでした。結局、実物大の鳥のシルエットを使って鳥の大きさの感覚をつかんだり、スズメの間違い探しなどのクイズを取り入れたりしながらできるだけ体験で実感できる内容にしました。伝えたかったことは、「漠然とみるのではなく具体的に見よう。」ということでした。 そして一か月後の6/17は、5年生の対応です。今回のテーマは、「三沢川を歩こう」。これも先生からのリクエストです。校外学習で三沢川の上流部にあるキャンプ場に1泊でキャンプに行くので、その時に役立つ内容のものをやってほしい、というものでした。三沢川は多摩川の支流で、稲城市を東西に横断している約10㎞くらいの小さな川です。普段生活している場所から徒歩で川をさかのぼって移動するので、稲城の自然を少しマクロに把握してもらうテーマがいいなといろいろ考えてみました。そうしたところ、「川を軸に自分の住んでいる土地を見る」というようなテーマでお話をすることにしました。地形図や3Dマップを使って、今自分がどんなところに住んでいるのか、低いところなのか、高いところなのか、川を軸に自分の位置関係を把握したり、源流部や中流部、下流部の様子を見ていき、丘陵地と扇状地から成り立っている稲城の地形を見ていきました。5年生の子たちとは、2年前から学校の近くの林をフィールドに、自然観察の授業を担当してきましたが、今回はその体験を土台に発展的な内容にチャレンジさせてもらいました。目の前の草花や景色を楽しむ一方で、地図の目線を持ちながら、マクロに把握していくことの面白さについて自分の体験を踏まえて一生懸命伝えたつもりですが、果たしてどこまで伝わったでしょうか?子どもたちの校外学習の感想を聞くのが楽しみです。

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  • 17 Jun
    • 今年の三宅島トコロジスト講座がスタートしました!

      今年の三宅島トコロジスト講座が無事にスタートしました。昨年は、「神着地区」をフィールドに活動しましたが、今年はお隣の伊豆地区がフィールドとなります。参加者も新規に募集し、第1回目(5/22)は14名、第2回目(6/12)は11名の方が来てくれました。昨年同様、まずはみんなであらためて伊豆地区の集落を歩き、「気になったもの、こと」を探していきます。そして会場へ戻ってからみんなで吟味した結果、今年は「メインストリート今昔」「伊豆地区のグルメロードマップ」の二つのテーマについて調べようということになりました。「メインストリート今昔」は、島に都道ができる前の伊豆地区のメインストリートについて調べてみようというものです。現在の島の生活は都道によって支えられています。しかし都道ができたのは昭和30年代。それ以前は、今とは全く違った生活とメインストリートの姿があったはず。それを島の古老たちにお話を聞きながら解き明かしていこうというものです。一方「伊豆地区のグルメロードマップ」は、昨年の「神着地区のグルメロードマップ」を継承したものです。伊豆地区に住んでいる人が、季節ごとにどんなものを採集して食べているのかを調べます。これから夏から秋にかけて、島に住んでいる人が自ら島の生活を調べていきます。果たしてどんな結果になるのか、今から楽しみです。

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  • 01 Jun
    • 再び大三島へ

      高知で会議に出席したついでに、今治市の大三島に立ち寄ってきました。(5/30)大三島は、瀬戸内海に浮かぶ愛媛県側の島ですが、しまなみ海道を使えば今治から車で40分で行けます。瀬戸内の島の良さと愛媛、広島のどちらからでも1時間以内で行けるアクセスの良さ、この二つを兼ね備えたなんとも魅力的な島です。ここでは、トコロジストをキーワードに「大三島の自然を守る会」の方々が活発な活動を展開されています。今回は「ササユリの観察会」があるというので参加してきました。前回の訪問は、昨年の11月23日だから、半年ぶりの訪問になります。 集合場所の駐車場で待っていると、地元の方々が続々と集まってきます。中には、作業用の軽トラに資材を積んだまま、いかにも「農作業を中断してそのまま来ました。」といういでたちの方もいらっしゃいます。他にも、愛媛県西条市の公民館の職員の方や大三島に建築ミュージアムをもつ建築家、伊藤豊雄建築塾の塾生のみなさん、徳島のNPOの方々など島外からの参加者も含めて、約20人くらいの方が集まってきました。代表の管さんのあいさつの後、車で移動してササユリが咲いている登山道を歩きながら、のんびりと5月の美しい花を堪能しました。地元の参加者の男性が、子どものころの大三島の風景と今の大三島の風景の違いを話してくれたり、子どものころの遊びを話してくれました。みなさんの言葉の端々から大三島に対する愛着が伝わってきます。ひとしきり観察した後は、眺めの良い広場でアツアツのコーヒーと地元有機栽培の甘夏をふるまっていただきました。みなさんソフトボールくらいの大きさの甘夏をほおばりながら、島の人、島の外から参加した人が自然に談笑されていました。そして和やかな雰囲気の中、観察会は終了し、みなさんそれぞれの日常にかえって行きました。今回の観察会では、大三島の自然を守る会の方々が、実に自然な形で自然を楽しんでいることが伝わってきました。また立ち寄らせていただきます。大三島のみなさんありがとうございました!

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  • 17 Apr
    • 虫の体の構造を理解してスケッチをする

      今日の城山トコロジストの会の観察会は、「生き物観察と缶バッジづくり」でした。参加者は、少し人数を絞って19名。小雨が降っていたにもかかわらず、キャンセルなしでした。お見かけしたところ、見覚えのある方ばかりでしたのでほぼリピーターの親子だったようです。しかも、お父さん率が高い。  さて、今回の目玉は、Yさん担当で、虫やオタマジャクシの観察と缶バッジ用のスケッチです。中でも圧巻だったのは、スケッチ。スケッチを上手に描くコツは、虫の体の構造を理解することだということで、解説しながらホワイトボードにその場で絵を描いていきます。それを見て、子どもたちからは、「すげー!」とため息が漏れます。そしてたちまちYさんは子供たちのあこがれの存在に。僕は、スケッチが上手いとか下手というのは特に問題ではなく、見た印象をそのまま描いてくれればという程度にしか考えていませんでした。「記録はデジカメで撮影すればいいじゃん」と少し軽く見ていたのかもしれません。でも、きちんと取り組むことによって、大げさに言えば生き物を観察する型を伝えることができると感心した次第です。 また、Yさんがいつもやっているビーティング用のネットを真似して、手持ちの傘を使って虫を捕まえようとする子もいました。Yさんからは「虫が好きで好きでたまらない」というオーラが出ており、それが子供たちを引き付けているのでしょう。やっぱり、地域にはこういう違った世界を見せてくれる変なおじさんが必要なんだと変な関心の仕方をしてしまいました。 観察会のここ最近の傾向として、定員を少なく設定すると、ほぼリピーターの方で埋まります。市のメール配信で広報していただいていますが、配信するとその日のうちに定員を満たしてしまうそうです。常連の方が、日程を確認してすぐに申し込んできてくれるのでしょう。これはこれでとてもありがたいことです。こういう方たちが城山公園の応援団になってくれるとうれしいですね。その一方で、たまには、定員を多く設定するとか、先月やったセルフガイドの仕組みを充実させるとかして、新しい人も入ってこられるような仕組みを考えなければと思います。一歩前へ進むと、さらに多くの課題が見えてくる。やることは尽きないですね。

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  • 11 Apr
    • 畑三昧の休日

      この土日は珍しくオフだったので、普段なかなか手入れできない畑作業をやってました。今回は、夏野菜の植え付けに備えて土づくりです。スコップで30㎝くらいの深さまで掘り、たい肥と苦土石灰を入れました。これがなかなかの重労働。いい汗かきました。この週末で畝づくりまで終わったので、あとは2週間くらい土をなじませて、それから苗の植え付けです。今年は何を植えようかな?ミニトマト、ナス、キュウリ、ピーマンははずせないですね。あとは、枝豆や落花生も試してみようと思います。 他には、タマネギは順調に育っているし、先日株分けしたルバーブも無事に若葉を出し始めています。ルバーブは手入れがいらず、食べ方もいろいろ楽しめそうなので、来年もう少し株分けして増やしてみたいと思います。 それからネギ坊主を収穫して、初めててんぷらにして食べてみました。てっきりネギのような風味がするのかと思ったら全然違う。食感はアスパラガスの大きいやつという感じ。なかなかうまかったです。これなら炒めても食べられそうです。くせになりそうな味なので、これからはあえてネギを収穫せずに、ネギ坊主を採るというのもありだなと思います。採ってもそのあとからまた新しい葉がでてきているので、これを大事に育てればネギの方も楽しめるそうです。若葉をちょこちょこ採ってきて薬味としても使えるし、もちろん大きくして長ネギとしても食べられる。ネギにこんなにいろいろな楽しみ方があったとは。自分で栽培しているからこそですね。 帰りに、畑の周りに生えていたノビルを掘って帰り、昼食のパスタと一緒に食べました。こちらもうまかったです。

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  • 30 Mar
    • ルバーブの株分けに挑戦

      3月29日は、仕事を休んでルバーブの株分けの作業を行いました。 苗を植えて3年になるルバーブですが、大分株が大きくなり、毎年夏にはたくさんの葉をつけてくれるようになりました。収穫した葉はほとんど自宅でジャムにして楽しんでいます。 うちは朝はパン食なので、4人家族だとジャムの消費量は相当なものになります。また、ジャム以外にもいろいろ食べ方があるみたいなので、いろいろ試してみたい。そこで、畑のスペースが少し余っているし、株分けで増やしてみることにしたのでした。  まず、芽が出てきたルバーブのまわりをスコップで掘り起こし、四方に伸びた太い根は適当に切って掘り出します。そして、ナイフで適当に芽が分配されるように株を切り分けて、そのまま新しい場所に植え込みました。「こんなに適当でいいのかな?」と少し不安になりながらも、作業を終え、後は無事に根付いてくれるのを待つばかりです。収穫量が増えたら、少しご近所や職場におすそわけでもしようかと思います。

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  • 29 Mar
    • セルフガイド形式の観察会

      3月27日(日)は城山公園の定例観察会。この日は、「春のおさんぽラリー」というタイトルで、セルフガイド形式の観察会をやってみました。ここ1~2年、観察会の参加者が増えてきて、たまに人数が多くなりすぎるとお断りするケースも出ていました。できるだけたくさんの方にこの公園のファンになってほしい欲しいので、なんとかお断りすることなく多くの方に参加していただける手法がないものかと考えていました。そこで今回はセルフガイドを試行してみたわけです。 コースは、自然度の高さよりも、十分な道幅があることを優先し、公園利用者だけでなく、一般の通行人や自転車も通るアスファルトの道にしました。そして、普通にすたすた歩けば5分くらいで通り過ぎてしまう短い距離の中に、13枚の簡易解説版を取り付けました。  参加者には、解説版の位置を記した地図とメモらんがついたワークシート、虫眼鏡、鉛筆、クリップボードを配布し、自分で解説版を探して観察してもらいます。解説版の中身もちょっぴり工夫し、写真と文章で見てほしいものを説明した他、「何匹いるか数えてみよう。」「さがしてみよう。」「においをかいでみよう。」という具合に、観察のための行動を促す内容にしてあります。スタッフはコースを行ったり来たりしながら、ちゃんと解説版が見つけられているか、観察に不具合が生じていないかなどをチェックします。 今回初めてこの形を試してみて、いくつか気づいたことがあります。一つは、解説版があると参加者以外の通行人も足を止めてみてくれるのです。もう少し設問などが洗練されて来たら常設でこうした解説版を設置しても面白いかもしれない、と市の担当者とも話しました。2つ目は、セルフガイドは準備はとても大変ですが、本番の実施はとても楽です。これなら少人数のスタッフでもある程度の人数を受け入れることができそうです。学校対応のように100人単位の利用も可能です。そして3つめは、セルフガイドは参加者にペースをゆだねるので、コントロールが難しい、ということでした。距離が長くなればなるほど、先頭と最後尾の距離は開くでしょうし、短すぎても一か所で団子になってしまいます。そのあたりの勘どころは何度か試してみる必要があると感じました。 いずれにしても、これまで4年間毎月定例の観察会を実施してきて、蓄積された情報とノウハウを別の形で生かしてみる時期に来ていると感じています。その一つとして、次年度はセルフガイドについてもう少しに詰めていきたいと思います。

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  • 22 Mar
    • ネギ坊主

      この連休中に、久しぶりに畑へ行ってみると、昨年の秋に大きくなれなかったねぎが「ネギ坊主」をつけていました。 大きくなれなかったのは、苗の植え付けが遅かったからかもしれません。作物は、種まきや苗の植え付けの時期を逃してしまうとどうにもやり直しがききません。 実はネギだけでなく、大根もやはり種まきが遅すぎて全然ダメでした。作物が大きくなる前に冬が来て、そのまま春を迎えてしまって、もったいないので今、やせ細った大根を一生懸命消費しています。 言い訳をすると、今年は出張が多く、ほとんど週末は家にいなかったから、思うように畑の作業ができなかったのです。仕事が充実するのはいいことですが、やはりその分何かを犠牲にしているんですね。 ネギは、このまま収穫せずにもう一年育ててみようと思います。時間をかけておいしいネギに育ってくれたらと思います。 ネギ坊主はてんぷらにするとうまいそうなので、もう少し膨らんできたら食べてみます。 

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  • 17 Mar
    • 巣箱の中を観察するシステム

      本日午前中に城山小学校の敷地内に、巣箱の中の様子が教室のモニターで見られるシステムを設置してきました。このシステムを設置してくれたのは、某電機メーカーに勤務するHさん。本業の方でもお付き合いがあり、タンチョウやシマフクロウなどの希少種の監視モニターシステムなどでいろいろご協力いただいていた方です。 今回は、私もHさんもまったくのボランティア。まさかこんな形でHさんとご一緒できるとは思ってもいなかっただけに、二重にうれしい出来事でした。 このシステムは、巣箱の中の赤外線カメラで撮影した動画をWIFIで飛ばし、少し離れた校舎の中でテレビモニターに投影するというもの。 昨年この小学校で理科の時間に子供たちと巣箱の観察をしたのだけど、鳥に負荷をかけずに育雛の様子を子供たちに見せられればと思っていました。 しかし、数十人もの子供たちに見せるためには、無線で離れた場所まで飛ばす必要があり、それがなかなか難しい。、 そこへ、Hさんがこのシステムを試行しており、設置場所を探しているということを聞き、お声をかけたらとんとん拍子に話が進んだというわけです。 巣箱をかけるには少し時期が遅い気がするけど、うまく営巣してくれれば、5月には子供たちと一緒に巣箱の中の様子を見ることができると思います。 自分たちの生活している学校の中で繰り広げられる命の営みに、ぜひ興味を持ってもらいたいです。 Hさん、ありがとうございました!

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  • 08 Mar
    • 「調べることは、考えること」 ~三宅島トコロジスト養成講座~

      3/7は、三宅島トコロジスト養成講座「島の暮らし発見隊」(最終回)。 今回は、これまで約10か月間受講生が調べてきた神着地区のことを発表する報告会でした。 三宅島は、2000年噴火の後、5年間におよぶ全島避難を余儀なくされました。その間に長年培ってきた島暮らしの文化や歴史にぽっかりと大きな空白期間が生まれ、その後の2005年の帰島から10年が経過した今、ふと気づくと島の生活は以前とはずいぶん変わってきています。三宅島トコロジスト養成講座は、帰島後10年という区切りの時期にある今、もう一度以前の島暮らしをふりかえってみようと、三宅村郷土資料館が昨年6月に開講しました。 島民が自らが、トコロジスト(その場所の専門家)として、集落やその周辺を歩き、あらためて不思議だなと思うことや面白いなと思うテーマを決めて調べてゆきます。お年寄りから話を聞いたり、地図に情報を書き込んだりしながら、今まで見過ごしていたことやものをあらためて見つめ直してみようというわけです。 この10か月間、15名の参加者は3つのテーマについて神着地区を調べてきました。発表会では、お話を聞かせていただいた神着の方々や助言をいただいた小学校の先生、先輩トコロジストである野鳥や郷土史の研究家の方にもご出席いただきました。 冒頭の三宅村教育長のあいさつに続き、各グループの発表が行われました。 「神着の神様」 1つ目のグループは「神様」。集落の中に点在する祠や神社について調べたグループです。都道沿いにある祠を地図に落として「神着神様聞き取りマップ」をつくったり、それぞれの祠の由来を調べたりしました。 現在島の人口は約2,700人ほどですが、昭和30年代のピーク時には約7,000人の人が暮らしていた時期があります。当然、この間の人口の増減に合わせて、島の中の土地利用は大きく変わってきました。そして祠は人がそこで集落をつくって暮らしていた証でもあります。今でも、やぶや森から、数え切れないほどの祠が出てきたりします。 調査を始めてすぐに、神着地区には本当に無数の祠があり、とても調べきれない、ということがわかってきました。本当は都道沿いだけでなくもっと広範囲に調べようという話も出ていたのですが、一年ではとてもやりきれない。そこで今回は都道に絞って調べたというわけです。それにしてもあらためて地図に落とした祠を見ると、すごい密度です。さすが「神が着く」と書いて神着。名前の通りの場所でした。 「神着地区の食ごよみ」 2つ目のグループのテーマは「食」。島暮らしの楽しみの一つは、近所を散歩しながら季節の山菜を積んできて毎日の食卓をいろどることです。このグループは、集落の人たちがどこでどんな山菜を採っているのかを調べて発表してくれました。 「本当は教えたくないのよね。」と言いながら、集落の人しか知らないとっておきの場所「グルメロード」を地図に表して発表してくれました。そしてそれだけでなく、その集落の中での調理法についても調べてくれました。調理法については集落ごとに違うそうですので、実際に作っていただいて食べ比べて見たりしたら楽しいですね。 「沢」 3つ目は「沢」のグループです。島の大きな動線となっているのは海岸線に沿って走る都道です。「沢」のグループでは、あえて横軸の動線ではなく、山頂から海に向かって縦に移動する沢に着目しました。いつもとは全く違う動線で見たときに、どのような島の姿が見えてくるのか。実際に沢を踏査したグループのメンバーが自分の体験を生き生きと語ってくれました。 三宅島は溶岩と火山灰で作られた険しい地形の島です。雨が降るとその直後はすごい勢いで水が流れますが、すぐにしみ込んでしまい水流は消えてしまいます。水不足に悩まされるという反面、崩れやすい地形の中で水流をどうやって逃がすかという悩みもあるのです。沢に着目するとそうした三宅島の一面が見えてきて、なるほどなと感心してしまいました。 出席された神着の方々からは、発表に関連して思い出したエピソードを話してくれたり、別の視点からの意見を聞かせてくれました。調べることは、考えること。その場にいる皆さんの島暮らしへの認識が何層にも厚く重なっていくような感覚でした。 これまでも三宅島では様々なイベントや学習会が行われてきましたが、参加者の多くは新住民の方々で、島で生まれ育った旧住民の方々は参加することがなかったと聞いています。今回の講座の一番の成果は、旧住民と新住民が一緒に島の話ができたということだと思います。 次年度も三宅島トコロジスト養成講座は継続します。神着のトコロジスト活動は、今回の参加者の皆さんが引き続き調べてくれるものと思いますが、講座としては今度は神着からお隣の伊豆地区に場所を移して、伊豆地区の島暮らしを調べていきます。神着のみなさん、お世話になりました。そして伊豆地区の皆さんどうぞよろしくお願いします。 また新たなトコロジストの皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

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  • 28 Feb
    • 城山公園観察会と横沢入

      今日は城山トコロジストの会3月の定例観察会でした。 昨日から、日中の気温が14度を超す陽気となり、一気に春めいてきた城山公園です。今日はsさんのリーダーで池の中の生き物を観察しました。 定員を25名に押さえて募集したところ約半日で埋まってしまい、前回同様観察会の存在が地域に定着してきたのを実感できました。ただ、希望する方全員に参加していただけないのがもったいないやら、申し訳ないやら。 さて、前半はみんなで池に移動し、まずは、sさんからヤマアカガエルの卵塊について説明を受けます。10腹くらいの卵塊が池の中央に浮かんでおり、その一部を顕微鏡で見たりして、胚の発達の様子を観察します。 そして、いよいよ子どもたちに網を配り、各々で生き物探し。たちまち、シオカラトンボやクロスジギンヤンマのヤゴ、ドジョウ、イトミミズ、モノアラガイなどの生き物が子どもたちの網にかかり、あちこちで歓声が上がります。 すると、「あっカエルがいた!」と参加者のお父さんの声。 池に堆積した落ち葉の中にヤマアカガエルがいました。そのお父さん、なんとサンダル履きのまま、カエルを捕まえようと四苦八苦しています。きっと子どもたちの付き添いのつもりで来たけど、カエルを見たとたん、火がついてしまいガキ大将に戻ってしまったのでしょう。こういうお父さん、いいですね。 1時間ほど生き物探しをした後、部屋へ戻り、捕まえた生き物をみんなでスケッチしました。スケッチしながらルーペでヤゴの顔やあごの構造を観察したり、カエルの抱きだこを見たり、野外では見られなかった細かい部分を観察しました。 テレビの自然番組もいいけど、自分で捕まえて直に見て、スケッチをする。これに勝る体験はないですね。 さて、この日は観察会が終わった後、おまけとしてsさんにご自分のフィールドでもある横沢入里山保全地域に連れて行っていただきました。 横沢入は、城山公園から車で1時間ほど走った先、あきる野市にある丘陵地に囲まれた大きな谷戸です。もともと耕作されていた場所ですが、バブルの時代に宅地開発の計画が持ち上がり、様々な経緯を経て、現在では東京都、あきる野市、市民ボランティアによる保全管理が行われています。 丘陵地から流れ込む7本の沢と中央の大きな湿地には、豊富な水量の水がしみ出し、様々な水生生物と野鳥、哺乳動物が見られます。案内していただいた場所では、午前中観察会をおこなった城山公園とは比べ物にならないほど大量のヤマアカガエルの卵塊が見られました。トウキョウサンショウウオの卵塊を初めてみることができました。 行政がすべて管理を担っている城山公園だけを見ているとわかりませんが、東京周辺部には、耕作放棄され、人の手が入らず荒れ果てていこうとしている里山がたくさんあります。横沢入の保全活動は、里山の管理や生き物の保全を市民のレクリエーションとして根付かせていこうという壮大な社会実験のようにも見えます。 これから人口が減っていく中で、同じ東京の中にも耕作放棄されていく里山が増えていくでしょう。そのとき、人口が密集しているエリアから人が通い、里山の保全を行う。こうしたモデルが成立するのかどうか。ある意味で里山の将来を占う活動のように思えました。

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  • 15 Feb
    • 環境教育関東ミーティングを終えて ~個人的な振り返り~

      2月13日14日で、「環境教育関東ミーティング」に参加してきました。 参加者は、自然や環境、教育に関わっている方113名。東京を中心に関東中から集まってきました。中でも多かったのは、20~30代の若い方。全体の6割を占めていました。 今年は行きがかり上、事務局長という大役を仰せつかって、完全に裏方に徹していました。半年前から同じ事務局のメンバーと、仕事が終わってから夜な夜なスカイプで打ち合わせしてここまで準備をすすめてきました。 環境教育関東ミーティングは、10数年前に群馬県で始まり、途中栃木県にバトンタッチされ、昨年から東京の八王子で開催されるようになりました。各地では、それぞれ自主的に手を挙げた人たちで実行委員会を組織し、開催地がスライドしていくのに合わせて、実行委員会のメンバーも入れ替わってきています。 ミーティングでは、2日間で16個もの分科会が開催され、参加者は自分の希望したテーマのワークショップに参加します。分科会の企画者は事前の公募によって決められ、実施者は手弁当です。その中には、普段それで飯を食っている人もいれば、余暇活動として取り組んでいる人もいます。 このミーティングに関わる人は、基本的にはすべてボランティアです。分科会講師も事務局スタッフも無報酬で、他の参加者と同様に参加費を払って参加しています。「何もそこまでしなくても・・・。」というほど公平な運営方針がこのミーティングのひとつの特徴といえるかもしれません。 100人規模の宿泊と飲食の準備と、16個もの分科会のセッティング。 通常、これだけの規模のイベントとなると、たいてい行政やどこかの団体が事務局を引き受けて、専従の職員が仕事として対応しているところが多いと思います。関東ミーティングのように完全なボランティアで開催されているところは少ないのではと思います。 だからでしょうか。参加してくる人は、みなさん主体的です。参加側と運営側の境目がファジーなので分科会も交流会もめちゃくちゃ盛り上がるのです。参加者であると同時にスタッフでもある。もしかしたらこのあたりの構造は、地域のお祭りと似ているのかもしれませんね。 しかし、一方で悩みもあります。これだけの規模のイベントを、急ごしらえの事務局が運営するのですから、それなりの大変さがあります。 みんな自分の本業の仕事が第一ですから、急な仕事で作業が滞ることもしょっちゅうでした。だからといって事務局スタッフをたくさん抱えると、情報共有の手間が増えてこれも大変になります。結局、適正な数のスタッフで、お互いに目配りをしながら作業を進めていくしかないのです。 でもそこには「やらされ感」なんてありません。誰か特定の人がリーダーなのではなく、状況に応じて流動的にリーダーが交代する。これって究極のマネジメントじゃないでしょうか。 地域の中でも、何か短期的なミッションのために様々な立場の人が集まって、よってたかって急ごしらえの組織を作ることがよくあります。自然保護の仕事をしているとそういう場面によく出くわしますし、最近よくある災害ボランティアなどもそうかもしれません。 こういう時は、集まった人たちの思いを尊重しながらもスピード感のある動き方が重要になってきます。でもなかなかそれは難しく、うまくいくこともありますが、多くの場合しこりを残してしまうことが多いようです。 この半年間、事務局をやってみて、この指とまれ方式で集まった人たちが組織を作るノウハウをもっと社会に広げていけないか。そうすれば世の中もっと良くなるんじゃないだろうか、そんなことを感じました。 環境教育関東ミーティングは、おそらく来年も東京で開催されます。今年参加できなかった方はぜひ次回ご参加ください。

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    • 生活の時間(小学1年生)で落ち葉をテーマにしたプログラム

      少し前の話になりますが、2月10日に今年度最後の小学校の対応を行いました。対象は小学1年生二クラスです。 2月は仕事の方もいろんなイベントが重なり、一年で一番忙しい月の一つです。だけど、やれば楽しいし得るものもあるから、やっぱり断れない。ちょうど出張と出張の合間に振り替え休日がとれたので決行することにしました。 それで今回は何をやろうか考えた末、「葉っぱじゃんけん」というネイチャーゲームとクレヨンを使った落ち葉のこすりだしをやることにしました。 子どものころ、落ち葉の上に寝ころびながら、そのカサカサ感やにおい、硬さの違いや形の違い、穴の開き具合など、体じゅうで落ち葉の存在を感じていました。今でも冬の雑木林を歩くとあの時の感覚がよみがえってきます。 今回の授業では、遊びを通じて落ち葉に興味をもって、子どもたちが自然に落ち葉に手を伸ばして拾ったり眺めたりするようになったらいいなという願いを込めてやることにしました。 まずはルールを理解してもらうために、二人一組になって葉っぱじゃんけんの練習です。はじめはゆっくりとしたテンポで、次第にテンポをあげてじゃんけんをするうちに子供たちも要領が飲み込めてきました。慣れてきたら今度はチーム対抗じゃんけん。チーム対抗にしたとたんなんかすごい盛り上がってしまいました。子供たちのテンションが上がっていくのに先生たちも驚いていました。勝ち負けがあると遊びに熱中しますし、勝てそうな落ち葉を一生懸命探すのですね。 さて、次の時間は、場所を教室に移して再開です。今度は拾ってきた落ち葉をクレヨンで半紙に型どりをして落ち葉図鑑を作りました。まず落ち葉を机の上に置き、上から習字用の半紙を置きます。その上からばれんでこすり、落ち葉で凸凹した半紙をクレヨンで軽く撫でてやります。するとびっくりするくらいきれいに落ち葉の形と模様が半紙に映り込むのです。 あまり力を入れすぎるとうまく模様が浮き出てきませんが、ちょうどいい力具合だと、スーと模様が浮き出てきます。あちこちから、「わあ」とか「きれい」という声が上がっています。 このプログラムは、毎月行っている一般対象の観察会でもよく行うのですが、親子だと子供たちは親に頼り、親はつい手を出してしまいます。ところが学校だと、最初から最後まで自分でやりますから達成感も大きいようですね。いつもよりも子供たちの反応がいいことに驚きました。 僕の子供のころは、1クラス40人近くの児童がいました。今の小学校は28名。おまけに2人の先生がついています。これならずいぶん子供たちの様子もわかるだろうなと思います。僕たちのころとは時代が変わって、親たちが学校に求めるものが多くなった結果なのでしょう。 いつまでできるかわからないけど、求められているうちは楽しみながら続けていこうと思います。

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  • 17 Jan
    • 冬の定番メニュー!「土の中の生き物観察」

      今日は城山トコロジストの会の定例観察会でした。 今回のテーマは「土の中の生き物」。城山公園の観察会の冬の定番メニューです。 テーマは地味ですが、土の観察というのはその場所の環境を実感するうえでは基本中の基本。一年間の観察会の中でも極めて重要なテーマの一つとなっています。 内容はいたってシンプルです。 公園の中を歩き、「生き物がいそうな場所の土」を持って帰り、土を温めながらその中にいる生き物を虫眼鏡で観察するというものです。 この「生き物がいそうな場所の土」を実感していただくというのがみそです。 場所によって、生き物がたくさんいる土もあればほとんど見られない土もあります。そうした土の違いを湿り気や土の粒の大きさや色などを確かめながら、「ここならいそうだな。」と思った場所の土を持って帰り、部屋の中でじっくりと観察します。 親子で頭をつきあわせて土を眺めていると、次第に目が慣れてミミズやトビムシ、ムカデやカニムシ、センチュウ、カメムシの仲間など、様々な生き物が目についてきます。 ほんの2時間くらいの体験ですが、この観察を通して、土の中に生き物がいること、生き物がいる土とそうでない土があること、どんな土が生き物が好む土なのかが感覚的にわかってくるのです。 土の中の生き物に目がいくようになると、次の機会にはその生き物を食べる鳥やモグラの行動が理解できるようになるでしょう。生き物の目でその場所を見るためには、このプログラムはとても大切な意味を持っていると思います。 さてこの観察会ですが、広報が始まってすぐ申し込みが殺到し、2日で定員となってしまったそうです。市の方もこんなに早く定員になるイベントは珍しいと驚いていました。 どうやら毎月行っている観察会が認知され、リピーターが増えてきたことが原因のようです。こんなに多くの方に支持していただけるのはうれしい限りですが、逆に参加したいのに参加できない人が増えてきたことは何かもったいない気がします。 もっと僕たちのやっていることに広がりを持たせるために、いろんな場所で気軽に体験してもらえる場をつくるにはどうしたらいいか。これからは、そういうことも考えていければいいなと思います。

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  • 19 Dec
    • 三宅島トコロジスト第3回「記録をまとめる」

      今日は、三宅島トコロジスト養成講座の第3回目でした。 夏の間、参加者は3つの班に分かれてそれぞれのテーマごとに神着の集落を、調べてました。その記録を見返しながら、どのようにまとめるかについてメンバー間で話し合い、まとめの作業を行いました。 「神様」について調べた班では、集落の中の神社や祠について、村の古老にそのいわれやエピソードをお聞きしました。 「食べ物」について調べた班では、たまたまゲートボール場で出会ったお年寄りたちに、集落に自生する植物の中で、いつどこでどんな草花を採ってどんな調理をして食べているのかについて聞き取りを行いました。 「道」について調べた班では、ある沢沿いの道を歩き、その山側の上流部から海岸側の下流部までをつぶさに見て歩きました。 みなさんあらためてご自分の集落の中を見て歩き、「いままで生活してきて気づかなかったことが見えてきて面白い!」と興奮気味に話されて、話題がつきない様子でした。 3月ごろには、発表内容をまとめて集落の方々を対象に発表会を行う予定です。どのような発表が出てくるか今からとても楽しみです。

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  • 13 Dec
    • 城山公園に山田陽治さん登場!

      今月の城山観察会は、セイブジャパンの最終回ということで、ゲストに山田陽治さんをお招きしました。山田陽治さんといえば、昨年までEテレの「モリゾーキッコロ 森で遊ぼうよ!」のレギュラーとして活躍していました。参加者は、午前の部、午後の部合わせて35名。 開会のあいさつを終えて、山田君が参加者の前に登場したとたん、子どもたちの目は山田君に釘づけ。何とも言えない愛嬌で一瞬にして子供たちを虜にしてしまいます。さすが、すごい存在感。 この日は、「木と仲良くなろう」というテーマで、樹皮の模様を和紙に写し取る樹拓アートを楽しみました。 手順としては、以下のような工程でした。 ①和紙を樹皮に張り付ける。 ②霧吹きで水を吹きかけ、布で髪を抑え、樹皮の型どりをする。 ③生乾きの紙の上からインクで模様を写し取る。 ④部屋へ持ち帰り、作品に仕上げる。 自分でもやってみましたが、複雑な樹皮の模様がきれいに紙に表現されていてなかなか面白い手法だと思いました。いつか自分でも観察会で試してみたいと思います。 トコロジストの会のメンバーたちも、大いに刺激になり、参考にさせてもらいました。たまにはこういう形で観察会をやるのもいいですね。 山田君、また来てください。

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  • 24 Nov
    • 大三島のトコロジストたち ~大三島訪問記~

      11/23に、愛媛県今治市の大三島に行ってきました。 大三島といえば、何を思い出すでしょうか? やはり昨年話題になった「村上海賊の娘」でしょうか?この小説の舞台のひとつとなった大三島は、実は希少な生き物たちが数多く住むパラダイスだったのです。他の地では絶滅してしまった動植物がたくさん生息しており、希少種の宝庫といってもいいでしょう。しかし、ちょうど愛媛と広島の中間にあり、しまなみ街道で結ばれているその島では、日々さまざまな外来種が押し寄せてきます。 その希少種の島で、島の財産である自然を守ろうと地元のトコロジストグループが大活躍しています。それが「大三島の自然を守る会」の方々です。今回はその「大三島の自然を守る会」の活動を取材してきました。 きっかけは、今年の夏に松山市で行われた「トコロジストになろう」という講演会。講演会の後の懇親会で、大三島から参加してくれたご婦人が『トコロジストの考え方に共感し、大三島で活動しています。』とあいさつしてくださいました。 帰ってから調べてみると、確かにトコロジストというキーワードでいろいろ発信をされているご様子。いつか行ってみたいなと思っていたところ、徳島に行く用事があり、それなら少し足を延ばしてみようということになったのでした。 大三島行きが決まってから、「村上海賊の娘」を読了し、その小説で出てきた場所にワクワクしながら初上陸を果たしました。といっても今治から車で40分ほどですから、拍子抜けするほど近くて、ほとんど陸続きといってもいいほど便利な立地です。 現地の案内をしてくださったのは、前回夏に講演会を企画して私に声をかけてくださったNPO法人「森からつづく道」の副代表のOさんと「大三島の自然を守る会(以下、自然を守る会)」のSさん他メンバーの方々です。Oさんは、植物がご専門で、本職はなんと今治のおまわりさん。植物が大好きで趣味で各地の自然を訪れながら、独学で植物学を学び、学術論文も発表されているという骨太の市民研究者&活動家です。 大三島に通い次々に絶滅危惧種を発見するうちに、なんとか島の貴重な自然を保全できないかと思うようになり、そのためにはまず、そこに住んでいる地元の人たちが自分で考えて行動できるようにサポートしていかなければならないと考えたそうです。 そのうちに地元の婦人会と交流するようになり、そこでSさんと知り合いました。観察会をやったりキーマンの人に働きかけたりしているうちにその婦人会が母体となり、今の自然を守る会が発足したということでした。拙著「トコロジスト」を手にしていただいたのもこのころだそうです。 自然を守る会では、まず住民自身が島の生き物を知ろうということで、島外から植物や鳥、カエルなどの研究者を講師として招き、島の自然に関する観察会や勉強会を開催したそうです。今、何を守らなくてはならないのかを知ろうということなのでしょう。その後、地元の人脈を生かしてその生き物の保全を行政に働きかけたり、希少な生き物の住処となっている場所では、自分たちで大きな目立つ看板を設置し、あらかじめその住処が壊されないように地元行政、企業、住民らに普及するといった活動を行いました。これが結果的に島の中での無用な衝突を避けることに一役買って、予防的な効果があったのだとおっしゃっていました。ちなみに看板設置の資金は、助成金などを当てているそうです。 さて、大三島に入った私たちは、お昼前に島の中心部にある集会所に到着し、そこで自然を守る会の皆さんの歓迎を受けました。お昼ご飯は、カレーライスとあんこ餅。そのご飯とお餅は、希少種ダルマガエルを保全するためにみなさんが無農薬で作ったお米です。食事をいただきながら、メンバーの女性の方から『今、カラムシ織に挑戦しているのよ。』と、機織り機で編んだ織物を見せてくれました。こういう話題がさりげなく出てくるのはさすがトコロジストですね。 おなか一杯になった後は、保全活動をしているいくつかの現場を案内していただきました。大三島は、花崗岩を基盤とした島て、豊富な地下水脈が山裾で湧水となって流れを作っています。随所に湿地もあり、水辺の植物や両生類の保護が中心に行われているようでした。その代表的な活動が、ダルマガエルの保全のために無農薬で耕作している田んぼです。お昼ごはんでいただいたお米がとれたところですね。田んぼの持ち主から借りて「自然を守る会」のメンバーが耕作の作業を行っています。 別の場所にある湿地では、シバナやイトクズモといった絶滅危惧種がふつうに生えていました。ここでも、絶滅危惧種が生息する大切な場所であることを㏚した大きな看板が掲示されており、この看板によって地元の人たちも気にしてくれるようになった、とのことでした。 案内してもらいながら、遠くの景色で目を奪われたのが大きな花崗岩が露出した山の姿。これは山火事と、その昔塩田のための燃料として木を切ってきた土地利用によるものだそうです。 その他、車で走っていると、歩いている観光客の姿や道端で世間話をしている島民の方の姿を見かけたり、とても活気がある島だなという印象を持ちました。話を聞いてみると、10年くらい前までは人口流出に悩んでいたそうですが、近年、様々な形で移住を誘致する事業が行われ、それがことごとく成功しているとのことで、人口はこの時代にあって年々増えているそうです。 そういわれてあらためて考えてみると、島とはいえ40分も車を走らせれば四国本土に出られるという立地は、島への移住を考える人にとってはとても魅力的なことかもしれません。島の生活と都会の生活のいいとこどりの二重生活が楽しめる理想的な環境のように思えます。 しかし、それだけに、外来種の侵入も気になります。以前にnexcoが大量に植えた外来種のオオキンケイギクを、このグループの呼びかけで除去したという話を笑い話のようにしてくれましたが、公共事業や人の移動によって次々に入ってくる外来種から絶滅危惧種の生き物を守るためには、常に目を光らせていなければなりません。こういうことは外から時々やってくる専門家ではできないことで、まさにトコロジストならではの活動です。 今回は、地元のコミュニティによるトコロジスト活動が島の希少種を監視し保全する本当によい好例だと思いました。今度はもう少しゆっくりと泊まりで訪れてみたいと思います。大三島の皆さんありがとうございました。

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  • 18 Oct
    • セイブジャパンプロジェクトの観察会を実施しました

      今日は城山公園で、セイブジャパンプロジェクトの観察会でした。城山トコロジストの会では、今季このプロジェクトに参加しており、10月、11月、12月の観察会は、損保ジャパン、日本NPOセンター、日本環境教育フォーラムなど、多数の団体との協働イベントという形をとっています。 今日はその第1回目。テーマは巣箱観察ということで、今年の春から夏、野鳥が巣作りと子育てを行った巣箱を下して、中を観察しました。 まず冒頭、野鳥と巣箱についての解説をした後、参加者を3班にわけ、それぞれ分担の巣箱を下してきてもらい、部屋に持ってきました。 そうして、いよいよねじを外して巣箱の板を外します。 すると中には、ヤモリが入っていたり、大きなゲジゲジがいたりして、あちこちから歓声や悲鳴が聞こえてきます。 そして、いくつかの巣箱にはシジュウカラが作った古巣が入っていました。 本物の古巣というのは、大人も子供も見たことがないようです。みなさん、ピンセットで巣をばらしてみたり、孵化しなかった卵を手に取ってみたりして興味津々という感じで観察されていました。 巣をかけたときには、ただの木でできた箱でしたが、一年後下して再び中を開けてみると実にいろんな生き物が巣箱を使っていることがわかりました。生き物にとって、「穴」や「隙間」がとても大切な空間なんだということが皆さんにも伝わったと思います。 各巣箱の観察結果は、観察カードに書いて、大きな巣箱マップに観察カードを張り付けて、今年の巣箱マップを完成させました。 最後は、みんなで恒例の記念撮影。無事に第1回目を終了することができました。みなさん、楽しんでくれたようでよかったです。 今日の様子は、明日の東京新聞に掲載されるそうです。明日の朝は、出勤前にコンビニに立ち寄ろう。

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  • 23 Aug
    • 「トコロジスト養成講座」in松山

      8月22日、23日は、松山市でトコロジスト養成講座の講師を担当してきました。 今回お声がけいただいたのは、松山市に拠点をおくNPO、「森からつづく道」。環境省の助成を受け、北条地区を舞台にした里地の活性化事業の一環として「トコロジスト」に目をつけていただいたというわけです。 松山市と合併した、旧北条市である北条地区。ここは市内でも屈指の生物多様性が残された場所であるということで、北条地区や松山市街地に住む人たちにトコロジストになってもらおうと今回の講座が企画されました。 初日の22日は、「トコロジストになろう」というテーマでの講演会です。来場者は55名。松山市を中心に県内各地から集まっていただきました。ざっと見て、4分の3がすでに活動している方、4分の1がこれから活動を始めてみようかなという方。という印象でした。 すでに、拙著「トコロジスト」をお読みいただいている方も多く、講演後あいさつに来てくださった方や質疑も様々な質問をいただきました。持参した本も完売!ありがたいことです。 その後は、会場周辺の地図を使ったワークとして「土地利用図」を作って周辺の散策をしました。地図からは、北条地区が丘陵地から流れてきた川による扇状地であることや、あちこちにため池が作られ、水田の水の確保に工夫がされていることがわかります。 また周辺の緑は、一見すると森がある、という印象でしたが、地図上で色を塗り分けてみると、その大部分が果樹園(ミカン畑)だったことは、さすがは愛媛といったところでしょうか。 余談ですが、このワークを体験してくださった方が翌日、「娘がやってみたいというので、地図をもらえませんか?」と娘さんと一緒に来てくださいました。 2日目の23日は、もう少し深く地図で遊んでみようということで、例によって生き物地図作りを行いました。 今回の地図のテーマは、「セミの抜け殻」。2500分の1の会場周辺の地図に、セミの抜け殻のあった場所を落とし、抜け殻マップを作成しました。はじめのうちは、地図にも慣れておらず、抜け殻も目に入ってこなかった参加者たちでしたが、作業を始めて15分もすると軌道に乗ってきて、真っ白だった白地図はすぐに記録で埋まっていきました。 今回、見つけた抜け殻は、アブラゼミ、クマゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミの4種。最後に出来上がった地図を眺めながら、様々な考察を行い、セミの目で環境を見るということを体験していただきました。 今回、松山での印象として、鳥の人、植物の人、昆虫の人の間にゆるやかな横の連携があることが興味深かったです。前出の「森からつづく道」の他、様々なNPOや行政が自由にネットワークを作って活動されている様子がうかがえます。トコロジストが生まれてくる土壌としてはこの上ない環境だと思いました。今後の発展がとても楽しみです。 松山のみなさん、ありがとうございました!

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プロフィール

箱田敦只

性別:
男性
お住まいの地域:
東京都
自己紹介:
「トコロジスト」が出版されました! トコロジストとは、「場所の専門家」という意味。 自分のフ...

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