2009-11-24 05:22:39

本が好き!プロジェクト第45弾レビュー

テーマ:本が好き!プロジェクト(書評)

山元加津子さんのねがい かっこちゃん 1―「心を育てる」感動コミック VOL.4
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書評 /







人を教育する?


簡単なことだと思っていることは灯台下暗しなのかもしれない。


先生も、セオリーにのっとり教えていくしかできないこの街の中で、この(ドキュメント本の主役である養護学校の教師)山元加津子さんは何て、謙虚なのだろう?


彼女は、何も決めつけない。


誇らない。


寂しい人がいたら、肩を抱いて、泣いている人がいれば、一緒に泣いて。


その姿を観ていると、


上から目線で、人を教育してやろうと考える教師の視界は、もっともっと広げられるんじゃないかって、


何故だか思えてきて。


山元さん、あなたは格好よいよ。


素直な心で生きて、電車の中で人に喧嘩をふっかけているヤクザを抱きしめて、その怒ってつっぱっている姿を、寂しさや恐怖を消す為のツッパリだと感じて、その体を抱きしめて「怖くないから、怖くないから。大丈夫だよ」と、その瞬間に言えたあなたは、おそらくは、このまやかしだらけの霧の中で誰しもが見失っていることを、見えるようにしてくれた天使。


そういえば私の好きな宮城まりこさんが「破壊を喜ぶ子供は、決して幸せではない」


そんなことをどこかで書いていて。


ふっとそのことを思い出したよ。


今日は、寒い夜だけど、温かい気分だね。


でも、そのヤクザ屋さんが、あなたの心に打たれて、その場でポロポロと涙を流し、それから、次第に変わっていくその姿を紙の上とはいえ、触れていると、予定調和の物語にはない、本当の良心の目覚め。


なかなか見られない光景に出くわしたようで、人生は実体験の中で深みを得、人は成長していくもの。


強くそう思った。



荒廃した高校に講演会に行ったとき。


もっと有名な人を呼びたかったけど、これだけ壊れて汚れたところには、とても呼べないと愚痴る校長に何も言わず、体育館に向かった時、本当はどんな風に思ったのだろう。


だけど、先生の話を最後まで聞かないはずの生徒たちが、山元さんが、自分の養護学校の話を始めると、最後まで聞くばかりか、「頑張れよ先生」「みんな応援してるよ」等、声援まで飛び出し、それを観た先生たちの驚いた顔。


人間は、馬鹿にされている限り、腐った心は変わらないんだなと、私は思った。


講演会の後で、校長先生が言った言葉は、この胸に未だに木霊している……。


「僕は初めて見たよ、

生徒たちが人の話を最後まで聞いているのを」


そして校長は涙を流す。そして、こう続ける。


「山元先生、僕は間違っていたのかもしれない。うちの生徒が一生懸命人の話を聞く力を持っているということに気づいていなかったんだ。それで僕たちは上から押さえつけようとばかりしていた……でも今日、生徒たちがあなたのことを支えようとしているのを見て、僕は泣けてしょうがなかった。


私たちはこれから考え方を変えてみようと思う。

気づかせてくれてありがとう、山元先生」







本書は、「本が好き」様より、指名献本をいただきまして、薫葉豊輝が書評を書かせていただきました。





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