本が好き!プロジェクト第十七弾レビュー!
テーマ:本が好き!プロジェクト(書評)
ヒメママ1
- 玖保 キリコ
- マガジンハウス
- 1050円
知識のみは年相応に身につけながら、大人になれない、いや、なることを拒否した人間の性。
それが本書の本質だろう。
基本的に人間とは、欲望に支配される生物だ。
そこから一歩も逃げ出すことは出来ない。
無論、意識せねば、その煩悩に悩む事もないだろう。
しかし、人類において共存していくにあって、自分を優先すると、誰かが蹴落とされる。
その論理は、この世は空席が本当に少ないからだ。
その事実は変わらないのに、いつまでもそれに目をそむけていれば、自己中心性はますますエスカレートしていってしまう。
無論、本書のお姫様のような姑の(還暦の)リサも、「絶対悪」とまで私も指摘などできない。
欲望の実行にも限度があり、その限界値を常に超えているとまでは思わないからだ。
例えば、何かを破壊したい。人の肉体を傷つけたい。
など、限度を超えた行動を取る人は、この社会で他者と共存していくことは(修行なりで改革していかない限り)不可能に近いだろう。
しかし、本書のヒメママは、そこまでは行かない。
どこか常識をわきまえながら、家庭の中ではわがまま放題、し放題という形態の性質者なのだ。
そうなると、その位置から考えると、やはり彼女は大人ではないと指摘されても仕方がないだろう。
しかし、本書の商品価値は、それを逆手にとったところ。
つまり、そういうタイプの女性を象徴的にし、(彼女等の背負う)全ての課題を背負わせ、パロディ化させて世間へと娯楽提供する。
そこにあるのだから、フィクションとして、笑えられれば、それでよいのかもしれない。(笑えるというよりは、いつも引いてしまうが)
ゆえに、ジャンルとしては、ブラック・ジョーク。アメリカン・ジョークにも通じる作風と評せられるかもしれない。
笑いとは何か?
それを問われると私にも応えられないが、この題材を笑うという心理。
それは私には複雑であった。
その意図は、単純に、わがままな女性。
その本質は揺るがないのだから。
ゆえに「ムッ」とすると共に内面から発してしまう笑い。
あぁ、やはりそれは毒を含む笑いだ。
この分野、「ムッ系笑い」と名付けてみては、いかがだろう?(2007/6)
後記
後日、もう一つ 思いついた。「ムッとしてぷっ」






