レビュー前田朋子待望の新作「齟齬」
テーマ:書評推理作家「前田朋子」の待望の新作が発売されました!
タイトルは「齟齬」
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ちなみに私は前田朋子著「面影」にて、解説を担当しております!
前田さんの活動は、コチラをご覧下さい。
http://mystery.web.infoseek.co.jp/Questions3/question52.html
題名「齟齬」
前田朋子 前田朋子ミステリー文庫 (2006/12/15・560円) それが本作のテーマかもしれない。一見華やかに見える姿、形。その裏に潜む心の闇を、決して重い筆遣いで綴るのではなく、軽快なタッチで綴って層を成す。 それが本作の人間の描き方だ。
和歌山県高野龍神スカイラインで事故死したドライバーの打ちかけた携帯メールには「龍神に殺される」という文字が遺されていた!?
一方、四十歳を前にした高校のクラスメイトの亜佐美、麗子、珠代たちは、和歌山県の龍神村に買ったエッセイスト亜佐美の別荘で五年ぶりの再会を果たした。
医者を夫に持つ麗子は、亜佐美の自由に嫉妬し、珠代は、亜佐美、麗子の暮らしぶりに嫉妬をし、一番セレブな暮らしをしている亜佐美をも、業界の苦労を知らない二人に対して不満を抱えていた。
三者の間に燃え上がる嫉妬の炎。
それぞれの心のすれ違い。つまり「齟齬」を題材とした、心理サスペンス!
「前田朋子ミステリー文庫」第三弾。
主婦の心の闇。
無論、これまでの前田ミステリーにもその傾向はあった。しかし、本作は顕著なまでにその部分が特化されており、一つの前田的文体として、体を成している。
そのせいか、いつもより女性の描き方の肌理が細かく、生活の隙間に溜まる垢のような部分までもが活字化されている。
それは、おんなの情念という言葉で言い得るのかもしれないが、小説化されたものを読むのも、心理の勉強となることだろう。
リーダビリティも悪くなく、読みやすさは本書においても健在だ。
さて、女性心理を基軸とした、サスペンス。それに止まる作品なのか?
その問題について、少し付記しておきたい。
確かに本作は、これまでの前田ミステリーの中では本格色は、薄い。
しかし、ロジック。
その要所は、死守されていた。
それは、幾つかのピースが散りばめられていて、その伏線たちを繋ぐと、一つの絵となるお約束。
伏線の数も、これまでの前田ミステリーの中では、少ない部類に入るのは否めないが、「携帯メール」「謎の手紙」「ニセクロハツという名の毒入り茸」「祠の前を過ぎる人物」「乾燥サナギ」など、特に「ニセクロハツ」と「乾燥サナギ」を小道具として用いた点は、ミステリーの創意工夫度において、目新しさを感じさせてくれる!
そう、小道具に、ちょっと風変わりな物を配置させるのは、推理小説において、技術性があると、評価される暗黙の約束ごとなのだから。
さて、エッセイスト亜佐美の別荘にて、龍神に纏わる手紙とニセクロハツを届けた人物は誰なのか?
それを推理する名探偵。
それは、あなただ!




