Trigon Match-Plus オーバーホール | 東員自転車工房の作業日誌

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Trigon Match-Plusオーバーホールです。

Trigon Match-Plus
WH-7900-C24-CL
SRAM RIVAL

依頼者はLEGONのフレンドのtommykawaさん。Sugar Boyさん宅での出張LOOK595オーバーホールの際にも見学して頂きました。何とギャラリーを二方も連れてきて頂き気合が入る。着実にLEGONの輪が広がっております。新規顧客熱烈歓迎ですよ!
当TRIGON号はtommykawaさん名物「朝トレ」で毎日酷使され、1年前に購入して走行距離12000kmという素晴らしい走りっぷりをしている、まさに血肉となる車両だ。これはいじりがいがありそう。
http://tw.myblog.yahoo.com/gear-station/article?mid=3404&prev=-1&next=3378
TRIGONといえば世界中のカーボンフレーム等をOEM生産しているのではないかと思える台湾の老舗カーボンメーカーで、MTB用のリジッドカーボンフォークなんてのをかなり昔から出していた。そのため乗鞍のMTB部門でマストアイテムになるなど異彩を放つブランドだ。
当初15日(日)の予定だったが14日が雨予報となり走行会が15日に順延、tommykawaさんよりOH日程変更の提案があり14日としたところ、雨天時整備→晴天時走行という好プランとなった。これは気がきかなかったすいません!ナイス提案であります。自転車乗りは常に降水確率との格闘なのだ。特にサラリーマンの休日の天気予報は国家機密に相当する超極秘情報だ。これに順応できずに自転車乗りを名乗ることは許されない。
で、テントを持参してもらってガレージ横にテントをたて、テーブルと椅子を置き、お茶とsweetsを並べたらこうなった。さしずめ男子会の惨状だ。何だか楽しくなってきたぞ。


まずは解体前の確認、左前ブレーキ仕様だ。日本では奇特な欧州車ファンくらいでしか見られない仕様だが台湾では普通らしい。これで慣れてしまったので新車のBMCもこの仕様で組んだとのこと。SRAM RIVALは見た感じREDと同じようだ。ハンドル角を僕好みにしようかなあといったところ。
先日フクイに行った時にミッシングリンクリムーバーを入手した。早速使ってみたところあっさり外れた。Cリング外しなんかも流用できるらしい。バーテープを剥がし、チェーンを外し、ケーブルを外し・・・うーむリアブレーキのサドル下のアウタワイヤが抜けない。アウターの真鍮キャップがアウター受けに固着しているようだ。アウター受けにカットラインが入っていないのでマイナスドライバーで打つこともできない。細い六角レンチを入れてプライヤーで挟み、プライヤーをハンマーで叩いたら六角レンチがインナーワイヤのごとく入っていってしまった。アウターワイヤは外れたがキャップが完全に固着している。
とりあえず置いといて、ブレーキとディレイラーを外し、クランクを外す。左側の8mm六角レンチを緩める方向に回すと圧入されていた左クランクが徐々に抜けてくる。BBベアリングの「フタ」がグリスにつられて左クランクにくっついてくる。何度見ても笑えるんだがここは必死でこらえるしかない。これ、今になって思ったんだけど、SRAMはBBベアリングが左右で違う構造をしている。左側はフタの下にシールドがあってベアリングという順で、右側は樹脂製のけっこう分厚いカバーになっていて、その下に同じくシールドがあって、その下にOリングでベアリングといった順になっている。この右側のBBベアリングがcannondaleやFSAでいうところのバネ座金の役割をしているのではないかと思える。したがってSRAMクランクにはSRAM専用BBを用いるべきだろう。
トップキャップ部にはbazookaの派手なマルチプレッシャープラグが付いている。構造写真を検索しようとbazookaのパーツリストを見てみたがトップキャップしかない。どうやら固定部は別物のようだ。トップキャップが6mm六角レンチになっていて、それを外すと固定部が出てくる。これは8mm六角レンチで締めるとウスが開いて固定される仕組みだ。なので緩めるとスポっと抜けるはずだがどれだけ引っ張っても抜けない。それもそのはず、下からテーパーがかかったボルトを締め上げてウスを広げる仕組みなので上から引っ張ったらウスを広げてしまうのである。ウスだけにして小さい六角レンチなんかで引っ掛けて抜いてようやく全貌が明らかになった。まだまだ色んなのがあるなあ。
フレーム単体になったところで固着したキャップを見てみる。キリでグリグリやりながら剥がしてみる。ある程度剥がしてからまた細い六角レンチで叩いてみるとようやく抜けた。フゥよかった。
チェーンを洗浄したところで昼食休憩としよう。近くの桑名志満やは早めに行かないと混んでしまうので11時半に男子会はレガシィツーリングワゴンで移動笑
昼食後はWH-7900-C24-CLグリスアップだ。左側の黒いギザギザが79の証だ。これにより玉当たり調整が劇的に簡単になり、シマノカップ&コーンハブは再び世界最強の座に君臨する事になったのだ。


従来のカップ&コーンハブと違うのは左側の玉押しのみで、指で回して玉当たり具合を調整してロックナットを締めるだけだ。カンパニョーロやフルクラムは玉押しを締めこんでシャフトに固定するようになっているが、79では黒いギザギザのパーツが同じ役目をしている。
パーツを洗浄している間にフレームを磨いてもらい、組み付けにはいる。
クランクシャフトがスポッと入ってしまうのが気になる。シマノの場合は手で叩かないと入っていかないくらいだが何か軽いような気がする。こんなものだろうか。BBが浸水しているなどの気配もないので大丈夫そうだ。左側クランクを圧入していくとだんだんボルトが重くなっていき、ちょっとカタカタとなるところまでくる。さらにクイッと回すとガタがなくなる。まだあまりトルクをかけていないのでもう少し回してみても少し回った。やはりBBに柔軟性をもたせてあるのだろうか。十分圧入されガタもなく、滑らかに回るのでOKだ。不思議な構造ではあるがクランクとしての性能は確保している。悪くない。
リアディレイラーの調整をしようとするとディレイラーがハイまで行かない。 ?と思ったらスタンドに当たっていた。SRAMのリアディレイラーはけっこう横に膨らむようだ。エンドがよく曲がると話されていたがディレイラーが出ているというのも要因のひとつとなりそうだ。車体を倒さなくとも立てかけるだけで壁に当たっていたとか。今思いついたんだけどディレイラーガードというのもいいかもしれない。グランジ [GRUNGE]R2ディレーラーガードなら見た目もスマートだ。

ワイヤを張っていくわけだが、この前にハンドル角を調整しないといけなかった。ブラケット位置が変わるのでハンドル周りのアウターワイヤの長さが変わってしまうからだ。左前ブレーキでステム下に集中するワイヤラインというのを初めてやってみたのだがなかなか悩ましい。ブレーキのワイヤリングにはストレスがかからないのでいいね。
ステムボルトが錆びていたので錆び取り剤を付けてウエスを細い六角レンチでグリグリして錆びをとる。ハンドル角は普通の角度にする。ハンドルにロゴや目盛なんかがあるが、あれが正面を向くくらいの角度がいわゆる普通の角度となる。ランスの活躍により送るセッティングが流行り、今の一般的な角度は少し送るといったところか。送るとブラケットを持った時と下ハンを持ったときのメリハリがついていいけども、見た目が少しヌけてしまうのが欠点だ。僕はやはりロードレーサーたるもの多少の乗り心地より見た目を重視したいので普通の角度が好みだ。普通の角度にするとブラケットあたりにビシッと攻撃的な前下がりのラインができるのだ!それだけだ!
バーテープを巻いている間にtommykawaさんが持参したナスカブルオイルをチェーンに塗布する。ペットボトルに小分けしてもらったものを目薬の入れ物に入れているようだ。これはいい。さらに僕にもペットボトルに小分けして頂いたので早速何かしらのボトルに移しかえて使ってみよう。
何とか日があるうちに完成。ありがとうございます。そしておめでとうございます!
今日は湖北で走っているころかな。


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