東員自転車工房の作業日誌

自転車のパーツ取付、オーバーホールなど作業を募集してます。詳しくは東員自転車工房HP→http://toincyclefactory.web.fc2.com/index.html


テーマ:
今日は2012.2.5に行ったLOOK585のオーバーホール作業いきましょう。
昨年11月に開業した当工房で早くも2件目の出張整備依頼となる。マイペースな僕としては予想以上の繁盛っぷりであります。
別に出張でなくとも当工房での作業でもいいんだけど、本音を言ってしまうと家の者が余計な気を遣ったりするのでやりにくい。自転車乗り仲間というのは、紳士としての付き合いを含みつつそこはかとなく、小学生のときに○○君ちに遊びにいってくるっていう感じのノリで付き合うフランクな心地よさというのがある。出張だと、何もかも自転車的に事が進みスムーズなのだ。ということで今回は少々無理を言って出張という形をとるに至った。結果的にはこれが本当に楽しくて、東員自転車工房のあり方を指し示すこととなったのだ。僕がどんな方向に進むのかは分からないけど、今のところ楽しいからいいんじゃないでしょうか。生暖かい目で見守っていただけると幸いだ。

依頼主はLEGONのフレンドのSugarBoyさん。
LEGONってなんぞやという方もいらっしゃると思うので説明しておくと、mixiと全く同じ形態の(足あと機能は継続)SNSと思ってもらうといい。しかし決定的に違うのは、内部のメンバーのどのページを開いても百発百中で自転車乗りにヒットする点だ。非常に効率的だ。ほとんどのトップ画像が愛車もしくはレースで疾走する写真なので思わず頬が緩む。刻々と荒廃が進むmixiであるが、ここには何年経っても旧き良きmixiが在り続ける。まるで社会と自転車の関係を現すかのように。
どうしてそんなことになってしまったのかというと、芸能界きっての自転車紳士である鶴見辰吾氏がボスだからである。僕は確か疋田氏のメルマガでこの存在を知り登録したと思う。
の、SugarBoyさんだ。車両はあのLOOK585だ。cinelliスーパーコルサのごとく、エポックメイキングでありながら成熟したカーボンフレームの最終形態を示した往年の名車である。このフレームに、何とハイペロンクリンチャーをアッセンブルした超絶戦闘仕様となっている。コンポは78デュラエースと79コンパクトクランク。2年ほど前に初めて拝見し度肝を抜かれた車両だが、まさか僕がオーバーホールしちゃえるなんて!ワクワク!

さて、出張には当然例の業務車両を使用するわけだが、何せ実用したのはまだ1回なので改良の余地はまだまだある状態だった。しかも2回目でいきなりオーバーホールという大作業を行うということで、あらゆるシチュエーションを予測して搭載する装備を吟味し、大改良を加えた。

1,工具箱をそのまま積載
前回は工具類を腰袋に詰め込みサイドバッグに入れていたが、思いのほか出しにくく、目的地に着いてから作業にかかるまでがカッコ良く決まらない。やはりプロとして作業性に最善を尽くすことが重要なので工具箱をそのまま積載するイメージで物探しをした。イメージに最も近い工具箱が、SK11の工具箱となった。サイドにスパナやプライヤー類を立て、中央に長尺物を入れ、その上にウエスなんかを入れさらに小物類を入れたプラケースまで入る。フレーム+ソフトシェルという構造のため割と自由がきき使い勝手も良い。これでプロっぽさが格段に上がった。

2,水洗いの代わりに激安パーツクリーナーを使用
作業性を良くするためには大掛かりな作業を避けることを考える。1回目から取り入れていることだが、従来ディグリーザーで油を溶解したあと水洗いしていたような工程を、900mlで180円程度の激安パーツクリーナーを使用することにした。ディグリーザーは恐らくだがアルコールなどの中極性溶媒を使用していると思われる。実際に和光のbc-9なんかはIPAつまりイソプロピルアルコールが主成分のようだ。激安パーツクリーナーは洗浄力こそ貧弱だが、中極性溶媒中の重質油なら簡単に洗い流すことができる。最近では家でチェーンを洗浄する時もこの方法を採用している。

3,エアコンプレッサーの代わりにエアダスターを使用
ねじ山の奥に潜む油汚れを吹き飛ばすためにエアコンプレッサーは必需品であるが、従来よりねじごときにエアコンプレッサーを使うのは明らかにオーバースペックだと感じていた。そこで、bc-9で浮かせてエアダスターで外に追い出し、ウエスで拭くという合わせ技を使用する。自転車のパーツは細かいので、強力さより繊細さの方が求められるため使用感はむしろ良好なのではないかと思う。500ml容のスプレー缶とエアコンプレッサーでは携帯性においては雲泥の差である。
以上の改良を加え、三連勝改出張重装備モードが完成した。

当日、地区の公園清掃と東員町議会選挙の投票を済ませぶっつけ本番で荷物を積載し、走り出してみた。工具箱側がかなり重くなってしまったので心配していたが、走り始めればきちんと安定するものだ。ハーレーがよろけないのと同じ原理で、それに比べりゃ規模は小さいなんてものではない。当然である。ペダルが半回転してクリートをはめるころには安定している。
それにしてもこの滑るような走行感が気持ちいい。終始39×17Tを巡航ギアとし、信号で止まることがなければ余裕で30km/hまで到達してしまう。加速はゆっくりだが、そこのところはコツコツ派の僕にぴったりだと言える。
45km程度の至福の走行を終え、Sugar家に到着する。ありがたいことにギャラリーをたくさんお呼び頂いていて、tommykawaさん、ケンスケさん、みやさん達などが既に集合していた。オーナーに作業を見て頂くという東員自転車工房の最大テーマが、一石十鳥の効率で実現できる。気合が入る。
と、まずはSugar家特製ビーフシチューや鳥料理などに舌鼓。このへんはもう、うますぎるの一言で詳細は説明できません。リビングではみやさんが親戚の兄ちゃんかというくらいの勢いでくつろいでいる。とても和やかな場所だ。極上の消費をした身体に極上のエネルギーが染み渡る。

休憩もそこそこにオーバーホール作業に入る。おおよそ6時間を必要とするのでビシッと切り替えていかなくてはならない。
作業場はガレージ。SAABの旧車を横に、絶好の空間だ。下に新聞紙を敷き、クイックを挟むスタンドのみで行う。
チェーンは走行2000km程度ということで継続利用するため、洗浄を行う。後輪を外し、輪行のリアエンド治具を代わりに入れてスタンドに立てることにした。しかし初めて試みたことで、いきなり不具合だ。誰かに支えていてもらわないとリアエンド治具をつけることができない。逆さに立てる台座と、ついでにハンドルを固定することもできるやつを作ってみよう。
この状態でディグリーザーとブラシで洗浄、パーツクリーナーで流しチェーンを切る。
ホイールを付けてスタンドに立て、バーテープを剥がし、ケーブル類を外し、ブレーキキャリパーやディレイラーを取っていく。ペダルを外し、クランクを抜き、BBを外し、ホイールを外し、ステムとハンドルを外し、フォークを抜きヘッドパーツを取る。これでひとまず全バラ状態だ。フレームだけになった愛車をオーナーに磨いてもらう。

ここで本日のメインイベント、ハイペロンハブの分解グリスアップだ。
プラスチックのカバーを外し、フリーを固定するナットを外す。逆ネジになっているが矢印が書いてあるので分かる。軸をアーレンキーで固定し、17mmハブスパナでナットを外すとフリーが外れる。両端にアーレンキーを差し緩めると左側のロックナットが外れる。球当り調節ナットを細いアーレンキーで緩め、外す。これで右側からシャフトを抜くことができる。パッキン止めのプラスチックのブッシュを小さいマイナスドライバーで抜き、パッキンも同じく抜くとリテーナーに収まったボールが取れる。右側はパッキンだけだ。
カンパバターがたっぷりと盛られているが右側のボールが特に真っ黒になっている。全て洗浄し、レスポチタングリスを塗布して元に戻す。フロントはリアの左側と同じ構造となっている。カンパニョーロ(とフルクラム)のカップ&コーンハブは、通常の共締めナットの内側にあたるナットを調整した位置で固定し、外側にあたるナットをただ締めるという構造になっている。前後とも右側の玉押しはシャフトと一体になっている。とても調節がしやすい。
しかしかなり後で気付いたのだが、ボールをシールするパッキンをきちんとはめずに組んだのでパッキンを押さえるブッシュが玉当り調節ナットと干渉してしまっていた。これは大失敗だ。帰ってから気がついたのでまた組み直しに伺わなくてはならなくなってしまった。

ハブのグリスアップが終わる頃にTomoさんとちえさんが登場した。TIMEたんは元気にしておりました。賑やかになったところでティータイム、とろけるような大福にこれまたSugar家特製のロールケーキやシフォンケーキに舌鼓。このへんはもう、うますぎるの一言で詳細は説明できません。リビングではみやさんが親戚の兄ちゃんかというくらいの勢いでくつろいでいる。ん?デジャヴか?三重組は日が落ちる前に帰還。ありがとうございました。

クランク、ディレイラー、キャリパー等を洗浄し可動部に注油する。LOOK585はインテグラルヘッドとなっており、ベアリングはよく見るタイプのシールドベアリングで、これは実はシールドを外すことができる場合が多い。片方を外したがさらにoリングのようなものが入っており、もう片方のシールドは外す事ができなかった。ボールが見えるまではできなかったがデュラエースグリスを盛ってシールドを戻した。
ここまできたらあとは組むだけだ。フォークを仮付けし、後輪を付け、BBをねじ込みクランクを差し、FDを取り付ける。ケーブルやチェーンを張る前にFDの位置を調節しておくといい。アウターのギアとガイドプレートの間が1mm以内となる位置にセットし、チェーンリングと平行にする。チェーンリングの歯は高さにバラツキがあるのでクランクを回しガイドプレートが干渉しないようにする。バンドのタイプなのでやりやすい。
RDを位置調節ボルトが引っかからないように気をつけながら付け、キャリパーを仮付けし、ケーブル張りに入る。まずシフトから。インナーワイヤを通し、タイコにシリコン系グリスのSIS-SP41を塗布してからはめる。アウターワイヤを前と同じ長さで切り、切り口を整え、アウターワイヤで隠れる部分のインナーワイヤにSIS-SP41を塗布してからアウターワイヤを通す。開放の状態でフロントディレイラーに固定し、ラチェットを巻いて張った状態にしておき、初期伸びを取る。初期伸びというと新品のインナーワイヤの伸びを取るように思えるが、それは僅かなもので、アウターワイヤのエンドをSTIやフレームに馴染ませるという意味の方が大きい。だからちょっと置いておけばOKだ。
リアディレイラー側のケーブルにはインジケーターを付ける。ここで、インナーワイヤにグリスを塗ってからインジケーターを通してしまうと赤いポインタがグリスを拭う形でグリスまみれになってしまうので注意したい。2cm程度のアウターワイヤを通し、インジケーターを通し、それからグリスを塗り、アウターワイヤを通す。リアディレイラーも開放の状態でワイヤを固定しラチェットを巻き、しばらく放置する。
ブレーキのインナーワイヤも基本的にはSIS-SP41でいいが、ブレーキはシフトと違って強大な負荷が何度もかかるのでシリコン系グリスでは少々耐久性に不安がある。ここはレスポチタンスプレーがいい。アウターワイヤの中にシュッと吹き付けるだけでOKだ。
レスポも推奨している(金森サイクルも笑)。ブレーキワイヤにはデュラエースグリスを使うというやり方もあるが、金属のワイヤと樹脂のアウターワイヤ内部だと都合が悪いという意見もある。ブレーキの初期伸びは2,3回レバーを握る程度でいいだろう。
キャリパーの位置を調節し、チェーンを張る。理由は分からないけど、チェーンピンはやりにくい方向から入れるのが正しいそうだ。まずリアの調整から。トップに入れてガイドプーリーがトップギアの下に来るよう調節する。調節ネジを回しても動かない場合はワイヤの張りすぎだ。しかし初期伸びを解除してその状態はありえないので、微調節ネジをいっぱいに入れてワイヤを手で引っ張る位置で固定すればたいていうまくいく。

微調節ネジを反時計回りに回していき、トップから1クリックで2枚目に移る位置で止める。これでローまで移動させるが、ローに入れる際は行き過ぎると内側にチェーンが落ちてスポークを痛めることになるのでローのみは慎重にいれる。ローに行き過ぎない位置でロー調節ボルトを調節する。ここで仮にワイヤーを張りすぎていると、ディレイラーがローに入ろうとしているのに調節ボルトが当たる状態となり、ワイヤが過度に引っ張られたまま固定しようとするのでSTIに負担がかかってしまう。そのため、初期位置は手で引っ張る程度にしておくと良いのだ。

フロントも同様に手で引っ張る程度でワイヤを固定するが、それでうまくいかない場合は張りが足りず、LOOK585の場合はさらにフレームのアウタ台座に調節機能がない。そのような時はインナー調節ボルトをいっぱいに緩めた状態でワイヤを固定してからインナー調節ボルトを締めていくと張ることができる。しかし同様に、張りすぎるとSTIに負担がかかることがあるのでそうならない程度にする。

LOOK585はカーボンコラムなのでマルチプレッシャープラグで固定する。ギリギリ入るくらいにウスを広げ、少しずつ緩めながらグイグイと入れていく。最後まではまったら、柄付きのアーレンキーで思い切り押さえつけながらグイッとウスを広げる。コラムスペーサーが簡単に回らない程度でOKだ。ハンドルを真っ直ぐにしてからステムのボルトを適正トルクで締める。

うっしいよいよバーテープ巻きだ!白いバーテープなのでよく手を洗っておこう。今日もなかなか美しく決まった。フライトデッキなのでボタンのところをハサミで切り、エンドキャップを突っ込み、完成!ネジの締め忘れがないかチェックしよう。特にプーリーケージは忘れやすいぞ。あそこがバラバラになるとチェーンが張れなくなり、一瞬で走行不能に陥る。恐ろしい。

仕上げにチェーンにレスポチェーンスプレーを塗布し、オーナーと記念撮影。
夕ご飯にパスタまで頂きました。走る前はパスタなんてさすが分かってらっしゃいます。
tommykawaさん、ケンスケさん、寒い中最後までありがとうございました。僕だけ熱くてすいませんでした。そしてSugar家の皆様、最高のオーバーホールイベントとなりました。大成功かどうかは分からないけど、こんなオーバーホールがあったらいいなという理想が高いレベルで実現できたのではないかと思います。感無量であります。本当に、ありがとうございました!

帰り道、金山あたりで見た軽トラをR1の第2環状(R302)高架手前で再び見た。何で分かったかというと、マットブラックで荒く塗装しており、後ろのフラップがコンバット風に格子状になっている風貌で、金山でもR1でも横を異常な低速で接近してきたからだ。
軽トラが横につき、並走している状態。窓が開き、中にはアジア系の外人が2人乗っている。
確実に絡まれている。でも何故か2人は満面の笑みだ。
「ドコマデイクノ?」
「あ、ああ、三重県っス」
「ドコカラキタノ?」
「名古屋から」
「ナンキロクライ?」
「40kmくらいかなあ」
「マイニチ?」
「キョウダケ」
「イイネ!ガンバテ!」
「ウイ」
軽トラは高架を登り、僕は下を行った。
自転車は、いとも簡単に人を繋げる。今日一日で一体どれだけの人と繋がったのだろうか。深く、多分長く。それはとても自然なことで、実際に国境など関係なかった。
自転車は不思議な乗り物だ。

東員自転車工房http://toincyclefactory.web.fc2.com/index.html   
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

タロウ銀輪さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

最近の画像つき記事  もっと見る >>

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。