ホイール組みFH-6500 | 東員自転車工房の作業日誌

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FH-6500のグリスアップをして、
スポーク長計算をして、
遂にホイール組みです。

ホイール組みというとメンテ上級というイメージがあるけど全くそんなことはございません。
要はリムが振れてなくて中心を通っていればどんな方法を使ったっていいのだ。
組み方はママチャリと同じ。見よう見まねでやっちゃってOK。
自分で組んだものがこれだけ走りの要になるというものはない。高性能の完組ホイールにはかなわないけど、それに近づくだけでも感動モノだ。是非実践してもらいたい。

真円、中心の他に気にする点がある。
後輪はハブに回転トルクがかかりスポークを介してリムに伝わる。
引っ張られる方のスポークに負荷がかかるので、そちらが丈夫になる組み方にしよう。
諸原理は置いといて、フリー側を上にしてスポークを通し、下側の左隣の穴にスポークを通す。通称「左に落とす」というやつだ。

左に落とす
一方ディスクブレーキの場合は逆に負荷がかかるので右に落とす。
もうひとつは、バルブ穴の上でクロスしないようにしてさらにロゴの下にバルブが見える位置にする。これは見た目の問題なので気にならなければ無視しても差し支えない。
ハブのロゴを見ながら下に垂れる2本のセットをバルブの隣から通し始めればいい。
この時、リムの穴が左右にわずかに振ってある場合があるのでそれに従って通していこう。

ロゴの下にバルブ穴

今回はフリー側を3交差組み、反対側をラジアル組みにした。
トレーラー用なので駆動することはないが一応後輪として機能する形としよう。
WH-7801SLは逆のパターンになっている。後輪はオチョコにする必要があり、どうしてもフリー側のテンションを高くせざるを得ない。そこでフリー側を張力耐性の高いラジアルにして反対側で伝達力を確保している。高強度の冷間鍛造ハブシェルをもつシマノならではの発想だ。普通のハブではそんなことできないので注意。普通にいこう。

今回は各部にグリスを塗ってみた。
組みやすくはなるが、特にやらなくていいような気がする。
まずはスポークのネジ部にグリスをつけてクリクリして広げる。

ねじ山にグリス
スポークを通してニップルを付けた時に頭の部分にちょっと付ける。
進んできたらリム側にあらかじめグリスを付けてからニップルを通す感じだ。

ニップルにグリスニップルが当たる所にグリス
まずハブにスポークを全部通しておく。
片側通してもう片側通して、という方法もあるが僕は2本セットを左右交互に通していく方法でやっている。お好きなように。3交差組みの場合は、ハブ側で間に4つの穴をはさんだ2本をセットにしてクロスし、リム側で間に1つの穴をはさんだ2箇所に通す。クロスする時は両方が押し合うように。

スポークを一旦通す仮組み1
これでだいたい形になったが、ここからがホイール組みのキモだ。
ここさえしっかりすれば後の調整なんて楽勝である。それではいきましょう。

スポークというものはかなり均一にできている。この均一性を使えばある程度バランスよくスポークを張ることは簡単だ。
まず、全周ねじ山をひとつ残したところで止めておく。

このネジ山を同じだけ
写真はねじ山を見やすくしているだけで、これをねじ山が隠れる一歩手前で止めるというわけだ。
バルブ穴を始点にして2周ずつニップルを締める。スポーク長が合っていれば4~5周くらいで適度な張りとなる。いきなり締め上げるのは良くないので、2→1→半→半と徐々に締め上げていこう。
ねじ山ピッチは僅かなもので、それを全周同じだけ回しているはずだからハブからリムまでの距離はかなり均一になっているはずだ。
だいたい締めあがったらなじませる。どうやるかっていうと、ハブ軸を地面に当ててリムに両手を置いて思い切り体重を乗せてやる。こうするとスポークが引っ張られて、ハブ側の首の部分がハブの穴の形に成型されるので思い切りいこう。ホシは変形しやすいのですぐ馴染むけどDTなんかは首が硬くて馴染みにくく、調整が難しいらしい。

最終的な張力はスポークの材質によって違う。一般的なステンレススポークは粘りがあるので見極めやすい。だんだん張っていくとブワンブワンとしていた振れがピコッピコッという振れになる。ここが限界点だ。僕の経験からすると、この辺で止めるとステンレス独自の粘りを走行中に堪能できる程よい張力となる。
センター出しと振れ取りは同時にやっていくのが理想だが、夜中に部屋の中でやっていたのであらかたのセンター出しを先にやった。
センターゲージはミノウラの安いのを使用。ちょっとたわんで使いにくいけどまあ上手に使えば使えなくはない。両サイドをリムに乗せ、中心をロックナットに合わせる。反対側に合わせてもロックナットにピッタリと合えばOKだ。

センターゲージ

左はぴったり右はあいてる
この場合は左側に寄っているので左側を緩めるか右側を締める。といった具合。

後日振れ取りを行った。
振取台?そんなものいりません。フレームを逆さにしてホイールを置き、適当な場所でピンセットとか当てて見ればいいじゃんそれで。片手が死ぬので非常に効率は悪いが、振取台を買う金を稼ぐためにあくせく働くよりよっぽどいい。それが東員自転車工房流。



なじませ→振れ取り→センター見てを繰り返し、
きっちりセンターに収まったようです。
ホイールの出来上がり。

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