チガウカラー by Seedless

「色」をテーマに短くて抽象的なストーリーを紹介していきます。
光の角度によって違う輝きをみせる玉虫色のようなストーリー。
読む人の心の状態によって印象がかわり、決して完結しないため、結論は読み手がそれぞれの創造を膨らませて楽しめるように。


テーマ:

この街は昔2つに分断されていて、僕は西側の街で暮らしていたけれど、

東側の街にすごく近いエリアで生まれ育った。僕が20歳になった時、

街は統合されて僕達は自由にお互いの街を行き来出来るようになった。

悪友のライラと一緒に借りたアパートはとっても賑やかな三叉路を見下ろす

階段だけのビルの5階。古いビルだけど三叉路の真ん中に建った三角のビル

を僕達はものすごく気に入ったのだった。

マイラはゲイでドラッグクイーン、僕はクラブのブッキングマネージャー

をしながらレコード屋で働いたりしていた。それは、もう5年も前なんだ。

毎晩のクラブへの道は真ん丸に光るオレンジの街灯とその下に水玉のように

広がる明かりの中、車のヘッドライトも真ん丸だった。僕達は凍えそうな

寒さの中シャツ一枚の上に重い毛皮を羽織って肩を寄せ合って歩いてたっけ。

古い銀行跡のクラブのVIPルームはもともとの金庫室。中にいくつもある

鉄格子で仕切られた小部屋にカウチとテーブルがセットされていて僕達は

そこで毎晩のようにシャンペンを飲んでたよね。僕達の一番好きだった夜は

毎月最後の金曜日に起こってたダリオの夜。恋人を追いかけてニューヨーク

から引っ越してきたダリオは素晴らしいプロデューサーであり、DJ

今ではすっごい有名になっちゃって世界各国でDJしたりしてるダリオ。

僕が始めてニューヨークに行った時に共通の友達の紹介でダリオに出会った。

僕が滞在中泊まっていたその友達の家はダリオのアパートの上の階だった

から毎日のように顔を会わせてた。音楽を聴ききに行きたいという僕を当時の

サウンドファクトリーへ連れて行ってくれたのもダリオだった。ダリオのかける

音楽は、当時聴いてその温かさに心底僕が感動したフランキーナックルズに通じる

ものがあって僕は大好きなんだ。

夜明け、クラブからの帰り道にはよくライラと話してたっけ「どうして僕たち

って夜に聴く音楽をこんなに好きになっちゃったんだろうね?」って。そして

皆でうちに戻って午後2時までも続くアフターアワーズ・パーティー。たいてい

1人、また1人と居なくなったり眠り込んじゃったりしてくんだけど、最後の

1人になっちゃった時のちょっと切ないような淋しい感じ、今でもよく覚えてるな。 

次の日、二日酔いの頭を抱えてライラと2人で飲んだコーヒー。三叉路を見下ろす

リビングルームの大きな窓をあけて、そこに2人で座って紫色の綺麗な綺麗な夕焼け

を眺め続けてた。あの時はただただ赤やオレンジにたなびく雲と紫の空の素晴らしい

色彩に見とれてその空の先にいつかみつかる僕達のための場所を夢見てたっけ。

ライラは明日ノルウェーへ引っ越す。生涯の伴侶を得て彼とオスロで暮らすんだって。

僕は2年前から始めた広告の仕事の関係で来月ミラノに引越しをする。僕達2人の

たくさんの思い出が詰まったこのアパートとも明日でお別れ。家具や僕達の物が

なくなって広々と、でも寒々とした部屋。

僕とライラはやっぱり一緒に三叉路を見下ろす窓際に座って一緒にコーヒーを

飲んでいる。

paris sunset

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