こんにちは。東大卒イクメンパパです。
イクメンです。イケメンではありません。
保育士試験でよく出題される内容のひとつに、保育や福祉に関する法律の改正があります。
ちょうど、今国会(2016年5月)にて、保育士試験によく出る法律、障害者総合支援法と児童福祉法の改正(合わせて「改正障害者総合支援法」)がありましたので、ご紹介します。
障害者総合支援法とは?
障害者総合支援法とは、旧障害者自立支援法が、2012年に名前を変えて改正されたもので、障害者の日常生活の支援のためのさまざまな施策について定められた法律です。
ちなみに正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」という長い名前です。
似たような名前の法律で、障害者基本法、障害者差別解消法などもありますが、ものすごくざっくり説明すると、
障害者基本法 → 障害者を個人として尊重し、社会のなかで障害の有無に関わらず共生していくことを謳った理念的な法律
障害者総合支援法 → 障害者の日常生活の支援について、国や自治体が行うべき具体的な施策について定めた法律
障害者差別解消法 → サービス提供者などが、障害を理由にして差別することを禁止した法律
という感じです。細かくはまた改めて。
2016年の「改正障害者総合支援法」とは?
今回の改正内容(国会提出内容)の概要は厚生労働省のページから見ることができます。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(概要)
保育士試験との関連で特に重要なのは、「2.障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応 」の部分ではないかと思います。
引用すると、
(1) 重度の障害等により外出が著しく困難な障害児に対し、居宅を訪問して発達支援を提供するサービスを新設する
(2) 保育所等の障害児に発達支援を提供する保育所等訪問支援について、乳児院・児童養護施設の障害児に対象を拡大する
(3) 医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健・医療・福祉等の連携促進に努めるものとする
(4) 障害児のサービスに係る提供体制の計画的な構築を推進するため、自治体において障害児福祉計画を策定するものとする
となっています。
(1)については、これまで児童発達支援(障害児が日常生活の訓練などを行う)は施設中心だったため、外出が難しい障害児はなかなかそういった支援を受けられなかったのが、居宅訪問型で、自宅で発達支援を受けられるようになるというものです。
(2)は、書いてあるとおりですが、保育所に通う障害児だけでなく、乳児院や児童養護施設の障害児も保育所等訪問支援を受けられるようになるという内容です。
ちなみに保育所訪問支援は障害児通所支援の施策のひとつ。このあたりは以下の記事でも説明していますので、よければ読んでみてください。
【保育士試験】児童発達支援事業について、障害児保育園ヘレンの運営チームに聞いてみた
そして、(3)です。
今回の改正障害者総合支援法は、施行が平成30年(2018年)4月1日と、少し先なのですが、この(3)だけ、法律の公布(正式発表)と同じタイミングになっています。
内容としては、医療的ケアを必要とする障害児への支援を自治体がちゃんとやらなければいけませんよ、ということなのですが、この「医療的ケアを要する障害児」(医療的ケア児)というのが、実は障害者・障害児福祉の法律の中で初めての概念になります。
医療的ケア児とは?
これまで福祉の法律の中で考慮されてきた障害の種類としては、主に、
・知的障害
・肢体不自由
・発達障害
・治療方法が確立していない難病
というものでした。
「医療的ケア」というのは、経管栄養(口からではなくチューブを通して直接消化器に流動食を送る)や日常的なたんの吸引といったもの。
新生児医療の発達により、未熟児や先天的な疾病を持つなど、以前なら出産直後に亡くなっていたような場合でも子どもの生命が助かるようになりました。その一方で、そういったお子さんが医療的ケアを継続的に必要とするというケースが増えてきています。
こういった「医療的ケア児」は、歩けるかどうか、知的な遅れがあるかどうかなどといった、昔ながらの障害の基準では、「障害がある」と判断しづらい場合もあり、また発達障害とも明確に異なります。
そのため、これまで医療的ケア児は、日常生活に支障がある障害を持っているにもかかわらず、福祉の法律の中で支援の対象とされてきませんでした。
それが、今回の改正障害者総合支援法で、支援の対象であることが明確に示されたというわけです。現代の状況に合わせて法律がアップデートされたわけですね。
法律制定の歴史的な意義、法案ができるまでの経緯などを詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。(K崎さんのブログです)
改正障害者総合支援法成立の意義を解説~歴史上初めて、医療的ケアの文字が入る~
保育士試験でどんな問題になる?
先ほども書いた通り、医療的ケアを要する障害児の支援の部分については、法律の公布と同時に施行されるので、早ければ2016年度に施行となるかもしれません。
もし、秋の筆記試験に出題されるとすれば、児童家庭福祉、あるいは社会福祉の◯☓選択肢として、
2016年度の改正障害者総合支援法で、自治体は医療的ケアを要する障害児の支援のための保健・医療・福祉等の連携を努めることが定められた
というような文章が出たりする……かもしれません。
また、(1)や(2)も、児童家庭福祉のポイントとしてけっこう重要なところなので、施行は少し先ですが、頭に入れておくとよいのではないかと思います。
さいごに
保育士試験で出題される法律の種類は、必ずしも多くはありませんが、全部を細かく覚えるというのは無理がありますし、あまり効率も良くありません。
なのでポイントを押さえましょう、という話になるわけですね。
そういった意味だと、今回のような法律の改正は、ポイントを絞って理解を深めることができるうえ、法律改正そのものが、試験で取り上げられやすいので、時間をとって調べてみると、案外費用対効果が良いのかもしれないな、と感じました。
繰り返しになりますが、障害児支援についてはこちらの記事も合わせて読んでいただくと、理解が深まるかなと思います。
【保育士試験】児童発達支援事業について、障害児保育園ヘレンの運営チームに聞いてみた
ではでは!
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→東大卒イクメンパパが働きながら保育士試験合格を目指すことになった理由
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