アメリカ障害児教育の魅力 ~親が見て 肌で感じた~ | 私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

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自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

佐藤恵利子・佐藤 裕:著 学苑社 定価:1400円 + 税 (1998年5月)


      私のお薦め度:★★★★☆


もうひとりの「哲平」くん、偶然にも息子と同じ名前の、先輩の自閉症児 「哲平」くんのアメリカ、ショウウッド・ヒルズ小学校での1年間の体験記録です。


「障害児教育の目的は、障害のある子どもとその家族の幸せにある」


それが、アメリカでの障害児教育システムの根底にある理念だそうです。
もちろん日本でも、“ タテマエ”としては似たような話を聞きます。でも実際の教育現場での支援となると、まだまだ雲泥の差があるといっていいでしょう。この本を読んでその思いを、改めて痛感しました。


佐藤さんが聞いたことばを借りれば、「今の日本の現状はアメリカの25年くらい前の様子によく似ている」そうです。
でも、25年も待っていられませんね。


この本を読んで、できるところから、できる範囲でとりくんでいきましょう。参考にできて、これなら、なんとか工夫すれば・・、お願いすれば・・というヒントは本の中にたくさんあります。


スクールバスが家の前まで迎えにきてくれることは無理でも・・、個別教育計画(IEP)作成会議を校長・専門家・担任・両親みんな集って開くことは無理でも、・・・我が家も、この本などを参考にして、日本に住み続ける もうひとりの「哲平」くんのIEP、すなわち「TEP 」なるものも作れました。専門家の手によるアメリカでの「哲平」くんのIEPとは比べられるものではないですが、それでも日本の「哲平」くんの歩みの中ではとても助けになりました。


あとがきの中で、佐藤ご夫妻も述べられています。


「事実、帰国後、私たちは日本の現状を再認識して落ち込んでしまった。」
「日本も着実に動いている。この流れは逆行できるものではない。」
「障害児教育事情の内外格差に失望するのではなく、逆にバネにして今できることを始めよう。」


そうです、始めましょう。それぞれが今住んでいる地域から始めましょう。そのための参考書となる本です。
なお、その後の哲平くんの様子や、最新の自閉症ニュース掲載の佐藤さんのHPは 「Happy Teppy 自閉症のままで 」をご覧ください。


         (20027)


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アメリカ障害児教育の魅力―親が見て肌で感じた/佐藤 恵利子
¥1,470
Amazon.co.jp

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目次


  序文 ・・・・・・・・・・・ 谷 晋二


  まえがき


第1章 マディソンへ (裕)


  旅立ち
  拒絶と適応
  マーチング・バンド


第2章 地域の学校へ (恵利子)


  転校
  我が家で行なわれた評価
  個別教育計画(IEP)作成会議
  満足のいく準備期間


第3章 順調な学校生活 (恵利子)


  登校初日
  哲平の適応
  多岐にわたる学習内容
  マットから受けた講義


第4章 グッ・ジョブ、テッペイ! (恵利子)


  連絡帳
  哲平の進歩
  休み時間
  米国では哲平が就労できる!


第5章 サマーキャンプ (恵利子)


  準備
  個別活動
  集団の中で


第6章 哲平の成長 (恵利子)


  哲平の日本語
  育ち盛り
  あいまいな予告は禁物
  ホームシック?


第7章 ハンディを保障する社会 (裕・恵利子)


  チームメイト (裕)
  ショウウッドヒルズの子どもたち (裕)
  多様な社会がもたらすもの (裕)
  やり直しの聞く人生 (恵利子)
  障害者が豊かに暮らすということ (恵利子)


第8章 旅行 (裕)


  フロリダ・オーランドのディズニーワールド紀行
  シカゴ美術館
  アリゾナ砂漠紀行
  ケンタッキー乗馬ツアー


第9章 帰国 (恵利子)


  小学校とのお別れ
  ありがとうマディソン!


 【 巻末資料 】 個別指導経過報告書


  あとがき