理系の育成って | 今今と今という間に今ぞ無く 今という間に今ぞ過ぎ行く by道歌

理系の育成って

最近日本人の理系離れが進んでいると

問題視され、理系の人を増やそうだとか

大学院を強化しようだとか言う話があちこちで

展開されています

確かに、数学や理科が得意な学生が減っていると

いう実感はありますが、ただ、増やせとか大学院強化

とかが本当に意味があるのかということに対して

多少の疑問があります

と、いうのは学生の合理的な判断として理系を選ぶ

インセンティブに乏しい社会環境が問題な気がするからです

自分は理系として生活していますが、実際問題社会は

文系の人間が動かすようにできているように感じます

また、最近では理系から文系就職が増えている状況があります

それは非常に単純にいって文系大手のほうが給料がいいからです

技術者不足と嘆くメーカーに限って同じ規模の文系企業に

比べて給料が安い・・・・

大学では明らかに文系の人よりも厳しい教育を受けたにも

かかわらず社会に出ると理不尽な差がついているということに対して

理系の学生の間ではため息が出ることが多いのも事実です

また、大学院の強化といって大学院の定員を異常に増やした結果

大量のポスドクという不安定な身分を生み出しました

ポスドクとは簡単に言えば研究アルバイトみたいなもんです

食べられるぎりぎりの給料で研究をする人という感じです

博士課程に進むと将来的にこのポスドクという身分に

落ち着くことが多く、優秀な学生ほど企業へと逃げていきます

良い研究者を生む社会的な基盤ができていないにも

かかわらず安易に理系を増やしたり大学院生を増やすことは

かえって、理系学生のやる気を損ねることになります

危機感を募らせる経済学者や企業経営者は文系出身な場合が多く

現在の理系学生の本音の部分を見落としているのではないでしょうか?

理系離れは合理的な学生の判断の結果なのです

少子化の現象と同じで社会全体の構造的な問題であるといえるでしょう

大きな問題が起こる前に手を打たなければ本当に危機的な状況に

なるかもしれません