ハルカトミユキ ワンマンライブ 2015 '世界' ワールドツアー ライブレポート (2015年6月19日恵比寿リキッドルーム)

出張で久しぶりにロンドンにいる。仕事を終えてホテルに戻る道すがら、ふと上空を見上げるとその色はマゼンタだった。久しぶりにライブレポートでも書いてみようかという気になった。

早めの時間に恵比寿リキッドルームに到着。今回のライブではハルカトミユキから大切なお知らせがあるという。ハルカのブログから察するに悪いアナウンスではなさそうだ。会場はソールドアウトではないようだけれど、まずまずの混雑具合。二人の登場を待つ間のBGMは中島みゆきだったり銀杏ボーイズだったり、おそらくミユキが選んだのだろうバラエティに豊かな選曲で、ふたりの登場を待つ場内のボルテージは徐々に上がっていく。

そしてハルカとミユキ、バンドメンバーが静かにステージに登場する。ハルカの叫びが会場に響き渡り、ハルカトミユキの新しい幕開けを象徴する“世界”で幕を開けた。ハルカは嘘ツキの歌詞に登場していた真っ赤なワンピース(すでに見た目がスーパースターです)、ミユキは前回のツアーとは色違いのものと思われる赤を基調とした柄物のアディダスで登場(踊る気まんまんで微笑ましい)した。

「ハルカトミユキです!」とハルカがあいさつをすると、続くはこれまでとはサウンドの趣が変わったミニアルバム「世界」の中では、割と耳慣れたバンドサウンドが魅力的な“バッドエンドの続きを”。

「久しぶりの曲をやります」と続いたのが「ヨーグルトホリック」。ハルカのヴォーカルは安定感を増していて、そのせいか表情にも余裕が感じられるし、「世界」収録の楽曲はライブの方がより映えるようだ。

ここでミユキが「ハルカトミユキ、ワンマンツアーへようこそ。今回は世界というタイトルにかけてワールドツアーというタイトルになっているんですが、残念ながら東京、大阪のみの2公演なんですが、ぜひ出来たらいつかやりたいよね。やりたくない?」とハルカに話しかける。ハルカは無視。以下、知らない人が見ると危険と思われるふたりの会話を。

ミユキ:「どこでもいんだよね、きっと? あんまり欲ないもんね。」
ハルカ:「(ミユキを見ずに)え、何の話?」
会場:「爆笑」
ミユキ:「いろんな外国でやってみたいとか?」
ハルカ:「(ギターのチューニングしながら興味なさげに)やってみたい、やってみたい」
会場:「爆笑」
ミユキ:「そっか、じゃあ、私の行きたい所にいくからいいや。私シアトルに行きたくて、この間カート・コバーンのドキュメンタリー映画を見に行ったんだよ。」
ハルカ:「(またもミユキの方を見ずに)へぇ?」
ミユキ:「カート・コバーンの顔が大好きで、ずっとカート・コバーンの顔しか出てこないから。」
ハルカ:「え、そんなことないでしょ?」
会場:「爆笑」
ミユキ:「ほぼカート。こっちとしては最高なもんで、6月27日から公開だから、ぜひ見て欲しいと思うんですよ。」
ハルカ:「(ようやく興味を見せ始める)え、なんでもう見たの?」
ミユキ:「見させてもらったんだよ、好きだから。」
ハルカ:「え、誰に?27からなんでしょ?なにそれ、そんなの出来るの?そんな権力あったの?」
会場:「爆笑」
ミユキ:「愛情が伝わったんだと思う。それはまあいいとして、今日はこの会場をとにかく楽しませたいんですよ、最後までどうぞよろしくお願いします!」

ふたりのやりとりに慣れていない人がこの会話を聞くと「仲が悪いのか?」と思ってしまうかもしれないし、どこかのインタビューでお互いを“ビジネス・パートナー”などと表現していたけれど、それは完全なる照れであって圧倒的につながっている者同志の為せる会話としか思えない。ハルカはミユキの話をバサバサと斬っていくのだけれど、その斬り方にはミユキへの愛が感じられ、斬られるミユキもハルカが心地良くなるような斬られ方をしている。うらやましいくらいの一心同体関係。だからデュオ名もハルカトミユキ。なるほど。

「学校の曲をやりたいと思います。小学生の時の歌なんですけれど、今も十分あれですけど、小学生の時から面倒くさいやつだなみたいな感じだったんですよ、小学生の時からね。気に入らないこととか納得いかないことを見つけると、すごい傷ついちゃったりとか怒っちゃったりとか、そういう人で、あんまり友達になりたくないような小学生だったんですけど、その時の気持ちを書いた曲をやりたいと思います。」とハルカが自分の過去を話して歌ったのが“未成年”。たぶんこの曲に限らず、ハルカが曲を作るモチベーションになっているのが「納得いかない」とか「傷ついちゃった」とか「怒っちゃった」という感情なのだろう。彼女の場合「結果的に」自分が作りたい歌と伝えたいメッセージが多くの人に届くことを望んではいるのだろうけれど、大人の世界にありがちな「結果だけ」を求められてしまうストレスで1年近いブランクになってしまったのだろうな。もう立ち直ったようで本当に良かった。

「ひとりぼっちの驚くような空の色」という紹介で始まったのが“マゼンタ”。ハルカの感情こもったヴォーカルが素晴らしい。「マゼンタは願いと後悔の色」という歌詞は、どういう状況でどういう想いで書かれたものなのだろうか。「答えは風の中に舞っている」的な懐の深い歌詞は、歌人ハルカの高い文章能力を現す表現だと思う。

続いては綺麗なリフレインが印象に残る5月の新曲“春の雨”、そして“君はまだ知らない”とヴォーカルの美しい曲を並べてじっくりと聴かせるセクションに突入。ミニアルバム「世界」以降は楽曲の幅が以前よりも格段に広がったせいもあって、長丁場のワンマンライブでもこれまで以上に起承転結がわかりやすくなった。続いては吉田拓郎のカバー“流星”を披露するのだけど、このシリアスな流れの合間にミユキからアナウンス。

ミユキ:「緊急事態発生!」
ハルカ&会場:(みゆきをじっと見る)
ミユキ:「水こぼしちゃった・・・」
会場:「爆笑」
ハルカ:「どこに?やばいところですか?」
ミユキ:「うん。」
会場:「爆笑」
ミユキ:「知らない間に蹴ってた」
ハルカ:「いや、そこに置くからでしょ。」

“天然”というのはミユキのためにある言葉だ。
カバー曲“流星”を歌う前にハルカが絞り出すように話したことは、「プライドはあればあるほどやっかいというか、ボロボロにされてナンボっていうか、踏み潰されてナンボという気持ちで今はやっているんですけど、プライドがあると・・・、すごく辛いです。生きてると辛いです・・・。それは一生懸命やってるからだし、だから辛いんだと思って、私もみんなの方を向きたいと思います。辛かったらプライド捨ててもいいと思うし、プライド捨てることが自分の人生を生きないこととか、捨てることではないと思って。必死になって辛い中でプライド守ることも、辛くてプライド捨てちゃうことも、どっちも自分を守るためにやってるんだから、どっちも間違いではないと思って・・・。そうだといいなと思って・・・。すごく大好きな曲をやります。」という言葉だった。それは苦しんだ果てに何かを乗り越えた者のみが発することが出来るホンモノの言葉だった。重くて、深くて、嘘がない。

そして6月の新曲“コピー”。非常にダークな歌詞がバンドサウンドでヘヴィに歌われる楽曲。ダンスもポップも美メロもオルタナもすべてを飲み込んで放つ、ハルカトミユキ第2章の幕開けのような超名曲だ。あまりの名曲のため、先行試聴でも30回くらいリピートして(リピート機能がなかったので手動にて)聴いたほど。曲の内容はハルカがきちんと説明してくれている。

ハルカ:「6月の1曲。先行試聴やってたんですよ、ここに来てくれた皆さんに。聴いてくれた?」
会場:「しーん」
ハルカ:「えっ、聴いてない?ありえない(怒)!」
(*ハルカさん、アクセス先もパスワードも会場入りの際に配布されましたから、そりゃ無理です。)
ハルカ:「6月の1曲“Copy”っていう曲をだします。ホントはバンドなんですけど、今日はピアノヴァージョンでやりたいと思います。Copyっていうのは、コミュニケーションのすごく苦手な人、例えばミユキとか、」
ミユキ:「(乾いた笑いで)はははは」
ハルカ:「わたしとか。相手が思っていることがうまく理解できなくて、自分がすごく冷たい人間なんじゃないかとか、ダメな人間なんじゃないかってすごく悩んだりとか。(ミユキの方を向いて)良くあるでしょ?」
ミユキ:「うるさいなぁ、あるよ、あるある。」
ハルカ:「そういう表情マネしたりとか、言葉マネしたりとかするんだけど通じ合えないみたいな。そういう怖い思いを書いた曲です。」

「あなたがわからない」怖さ。それを悟られまいとする恐怖から必死に真似をする怖さ。人間関係が得意ではない人間ならきっと共感できる根源的な行動と思考。それをCopyと名付けるセンスもまた素晴らしい。(ロンドンからはitunesもyoutubeもアクセスできないので帰国まで見ることも購入することも出来ないのがショック・・・。)

「歌う意味を思い出させてくれたみんなへ、この曲を贈ります」と紹介されたのは「その日が来たら」。ハルカが歌うこともできないくらい、音楽を続けることができるのかどうかさえ確信できずに絶望的に落ち込んでいた時期を乗り越えて作った曲だ。その時にハルカが思ったことは、ミニアルバムのタイトルになっている「そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら。」。外野の騒音を「どうだっていい」と考えるに至り、特定の人に届けばいいと考えることでハルカは復活を果たした。さらには、ミユキ色がこれまで以上に出ることになった最新作「世界」での80年代サウンド(カルチャークラブやヒューマン・リーグの名前が挙げられていたが、ぜひノルウェーの英雄A-HAの後期作品も聴いてほしい。北欧的な澄んだメロディとマグネのキーボードはきっと参考になるハズ)の導入。音楽の幅を広げたことで逆にハルカトミユキのコアとなるブレないものがハッキリ見えてきたということなのだろう。人は苦しみを乗り越えると強くなるというのはドラゴンボールでの孫悟空の成長をみても明らか。そういえば悟空がスーパーサイヤ人になる時も金髪になっていたから、今のハルカはある意味スーパーハルカ状態ということなのか。戦闘力がこれまでとは段違いだし。
そしてここからしばし爆笑のトークタイム。

ハルカ:「ところでミユキの髪型すごいですよね?」
会場:「笑」
ミユキ:「いま?でもさ、みんな見えるのこっちなんだよね。」
*ミユキはステージ向かって左側からハルカの方向にキーボードを向けて演奏しているので、会場からは右側しか見えない。両サイド刈り上げているのだけど、左側がとても大きな刈り上げになっている。
ハルカ:「見せた?」
ミユキ:「ちょっと回ってチラ見せはしてたんだけどね。見せた方がいいのかな?」
会場:「(女の子が)見せて!」
ハルカ:「見せてって女の子が言ってるよ」
ミユキ:「女の子が言うんだ?いくよ。(といって1回転)」
会場:「おおー!」
ミユキ:「もう一回やるならもうちょっと違う反応を見せてほしいな。いくよ(といって1回転)」
会場:「うおおおおー!」
ミユキ:「これ気持ちいい!」
ハルカ:「このミユキの気合をね、みなさんに受けてほしいんですよ。これくらいミユキが気合を見せているんで、私もちょっと・・・」
ミユキ:「脱いじゃうの?」
会場:「爆笑」
ハルカ:「(笑)ちょっと無視して、私も本気でここから踊るんで、(みんなも)踊ってください、踊ってください!」

踊ってくださいの号令で始まった“嘘ツキ”。ハルカトミユキ史上、最もダンサブルな曲で会場が揺れる。真っ暗な歌詞のダンスミュージック。これぞ他のバンドが真似できないハルカトミユキの真骨頂といえる。しかも真っ赤なドレスでギターを持たないハルカが踊っている。ある意味、衝撃的。サウンドだけでなく、歌詞だけでなく、ステージングまでも、本当に変わったんだな。「みんな歌って」の掛け声で会場中が「うおおーうおおー」の大合唱まで。鳥肌がたつほどの盛り上がりだ。そのテンションを続けたままで“振り出しに戻る”、「気に入らないやつをぶん殴りにいく歌やります」と紹介された“Tonight”とテンションはぐんぐん上がっていく。
そして初期からの大名曲“ニュートンの林檎”でこの日何度目かのクライマックスへ。本当は他に原因があるのに、いじめられている人が悪いという人間に対する皮肉を込めた怒りの歌。いじめだけでなく、社会や組織の中にあるいろいろな問題に当てはまる深い怒りに満ちた名曲だ。続く“マネキン”も会場の至るところで口ずさむ人が多い名曲。歌詞の中に出てくる「ハラワタ」という言葉、前回のツアーでミユキがキーボードに貼っていたのだけど、今日はその場所にちょこんとキューピー人形が置かれている。

ハルカ:「ちょっとキューピーの話でもしたら?」
ミユキ:「ああっ、やだ、禿げてる」
会場:「笑」
ハルカ:「その子はミユキなの?」
ミユキ:「この子は1年ほど前の私かな。」
ハルカ:「金髪だったころの?じゃ、次はやっぱりモヒカンにしないと辻褄があわなくなってくるから。」
ミユキ:「すぐ変えられるから。」
会場:「笑」
ハルカ:「最新ヴァージョンにしといてもらって。でもキューピーは男の子だよね?」
ミユキ:「まあ、男も女もどっちも入ってるから。」
ハルカ:「よく理由がわからないけど・・・、まあ笑えるのか笑えないのかもわかんなかったけど。まあ、ミユキは無性生物ですけども、(オーディエンスを順番に指差しながら)男、男、男、女、女、男、男、・・・」

なるほどの前振りから“プラスチック・メトロ”。偶然の流れなのか、きちんと計算されているのかわからないところが実にハルカトミユキらしくて良い。歌人ハルカのポエトリー・リーディングがメインに据えられているハルカトミユキ“らしい”曲で、初期のころからやりたいことを自由にやっていたんだと再確認させてくれる特徴的な作風になっている。付け加えるなら、この曲でありえないくらい激しく踊るミユキが見ものだった。アディダスを着ていたのはこの踊りのためなのか。

ハルカ:「とってもあっという間でしたが・・・・、つぎ最後の曲です」
会場:「ええーっl」
ハルカ:「ありがとう。みんなの声を聴かせてください。」

本編最後は「ららら、声を聴かせて」というコーラスが特徴的な“青い夜更け”。みんなで合唱してほしいということではなく、心の叫びを聞かせてほしいということなのだろう。歌詞や曲調がシリアスであるというだけでなく、本編最後で感極まっているのか、今日一番神妙な面持ちになっているハルカがそこにいた。ハルカトミユキが次のステージに進むマイルストーンとなる素晴らしいライブだった。こういう場に参加できたことを本当に嬉しく思う。

アンコールを待っているとビデオレターの形で“大切なお知らせ”が発表された。白いワールドツアーTシャツを着たハルカと、シャーベットグリーンのツアーTシャツを着たミユキが歩きながら発表していく。もともと“ひとりぼっち”だったハルカと、さらに“ひとりぼっち”だったミユキが出会って結成されたハルカトミユキ。だから、“ひとりぼっち”を3000人集めて、そこにハルカトミユキの2人を入れて3002人の“ひとりぼっち”を集めたライブを星空の下で行うという日比谷野音フリーライブを10月3日(土)に行うというもの。素晴らしい。

ゲスの極み乙女。は、去年の恵比寿リキッドルームから、日比谷野音、幕張メッセ、横浜アリーナと勢力を急拡大している。同じペースで拡大する必要もないけれど、ハルカトミユキという類稀なる才能をこのままのサイズにしておくのはあまりにもったいない。ぜひ、ひとりでも多くの人に彼女たちを知るきっかけにしてもらえれば良いと心から願っている。

さらに、野音フリーライブ開催決定がハルカの創作意欲に火をつけてしまったとのことで、9月にもう一枚ミニアルバムの発売も発表された。今年はすでに12ヶ月連続シングルリリースとミニアルバム、フルアルバム1枚ずつの発表が2015年マニュフェストとして掲げられている中でのミニアルバム追加なので、これは本当にすごいことである。がんばる人間には報われる資格があるのなら、彼女たちは報われるべきであって、これは音楽ファンとしては全力でサポートしなければいけないだろう。

ビデオメッセージが終わると、メッセージの中と同じTシャツに着替えてステージに再登場。アンコールに入る前に“大切なお知らせ”の再確認とトークが。

ハルカ:「今日来てくれた人たちにはハルカトミユキとの約束としてぜひ会いに来て欲しいなと思って・・・、前から告知していました大切なお知らせです。そしてさらにもうひとつ大切なお知らせがあります。9月にもう一枚ミニアルバムを出すことが決まりました。野音でやることが決まったら野音でやりたい曲がたくさん浮かんできて、空の下で星空の下でみんなで一緒に歌えたらいいなという曲がたくさん出てきたので、それを入れたミニアルバムを9月に出して、10月に野音でライブをするということになります。」
会場:「拍手喝采」
ハルカ:「ミユキの好きなカートの言葉で、『錆びついてフェードアウトするくらいなら燃え尽きたい』って知ってる?」
ミユキ:「知らない、だってわたし顔が好きなんだもん。」
会場:「爆笑」
ミユキ:「いま知った、ありがとう。」
ハルカ:「遺書に書いてあるらしい。本当に野音で燃え尽きる覚悟でやりたいと思ってるので、ぜひみんな来てください!では、大切な曲をやります。」

そして始まったのが、“ドライアイス”。盛り上がった流れの中で、ミユキが最初の音をハズす・・・。で、「もう一回やります」と(笑)。それでも憎めないのがミユキのキャラ。ハルカも暖かい目で笑っていた。
そう、“天然”というのはミユキのためにある言葉なのだから。

ハルカ:「まあ、今年は長いですよ。超長いですね。まあ、6月半分来たので、毎月完走するまで1曲づつ出していきますし、それも楽しみにしていて欲しいし、ミニアルバムもあるし・・・。(突然ミユキに向かって)なんかしゃべれよ!」
ミユキ:「(満面の笑顔で)人に当たるなし!」
会場:「爆笑」
ハルカ:「いまちょっと忙しいんです。」
ハルカ:「ミユキ・カウントダウン見てくれてました?」
会場:「・・・・」
ハルカトミユキ:「あ、反応薄っl(笑)」
ミユキ:「恥ずかしい思いしてさ、これ(キューピー人形)を女の人が持ち歩いてさ。」
ハルカ:「すごい危ない人だったよね(笑)。」
ミユキ:「危ないよね(笑)。横断歩道に置いてさ、下向いて写真とってさ。」
ハルカ:「相当危ないやつだよね。あと何日ってカウントダウンを写真でとって、ツイッターでしてたので今からでも見てやってくださいよ。しかも、1日ずれてたっていう。」
会場:「爆笑」
ハルカ:「途中でさ、気づいたら、これ過ぎるじゃんって。」
ミユキ:「はははは。」
ハルカ:「はははじゃないよ。数かぞえらんないんだよね?ま、そんなこんなでね、ホントにホントに今日最後の曲です。ありがとうございました。また会いましょう。」

最後は“ドライアイス”と対をなす名曲”Vanilla”。もどかしさも、狂おしさも、怒りも、悲しみも、すべてを超えて野音に向かう決意表明に感じた最終曲。たぶん、これを作った時と今とではハルカの気持ちに大きな変化があるはず。10月の飛躍はさらにそれを超える変化となって現れる。今日の素晴らしいライブを観た後では、それは期待ではなく、すでに確信になった。

サプライズはこれで終わりではなく出口でもう二つあった。一つ目は、今日の来場者には10月3日の野音フリーライブの優先参加チケットが配布されたということ。二つ目は、そのチケットを出口で手渡ししていたのが他ならぬハルカトミユキの二人だったということだ。それだけ気合が入っているということなのだろう。気合を入れすぎて本当に野音で燃え尽きてしまわないように注意してほしいのだけど、生きていく中ではどこかで一度は大勝負をしないといけない時があって、ハルカトミユキは今がそのタイミングなのだろう。

<セットリスト>
+本編+
1. 世界
2. バッドエンドの続きを
3. ヨーグルト・ホリック
4. 未成年
5. マゼンタ
6. 春の雨
7. 君はまだ知らない
8. 流星(カバー)
9. COPY
10. その日がきたら
11. 嘘ツキ
12. 振り出しに戻る
13. tonight
14. ニュートンの林檎
15. マネキン
16. プラスチック・メトロ
17. 青い夜更け

+アンコール+
18. ドライアイス
19. Vanilla

こうして改めてセットリストを振り返ると、本当に良い曲が揃っていることに驚く。なにしろ、美しいハルカ節が際立つ超名曲“シアノタイプ”も(フルのMVを公開してほしい)、刺激的な歌詞をメロディアスなバラードに乗せる“絶望ごっこ”も、シュールリアリスティックなダンスMVが印象的なモータウン的ポップソング“hate you”も入れずしてこのレベルの高さなのである。歌詞もメロディもすべてが今後の日本を背負って立てる逸材、それがハルカトミユキなのだ。

10月3日の日比谷野音で加速する“ひとりぼっち”たちの快進撃を楽しみにしている。
うん、“ひとりぼっち”というのも悪くないな。

公家 尊裕 (Takahiro Kouke)

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