VIPさに感動

えーと、駆け出しホステス始めましたw


1ヶ月近く働いていなくてかなり焦り始めていた時、六本木でスカウトのお兄さんが拾ってくれました。


本当はキャバクラで働きたかったけど、キャバクラは安定した収入がないのと、もう少しステップアップしてみたいという気持ちからクラブに入ってみた。


月曜日に面接して、火曜日体入。


今日から本入でした。


一番初めに驚いたのは、お店の高級感のすごさ。


はぁぁぁ高そう…。


お店の中にグランドピアノがあるぜぃ!!


とりあえず始めの2時間くらいは待機席で放置されていた気がする…(笑)




初めてついた席は団体様。

「おじゃましまーす」

なんて言って座った。

亜紀が席についた時、ちょうど乾杯の前で、姉さんらしき人が人数分のお酒を作っていた。

体入なのにあんまりでしゃばったことはしない方がいいかなって思って見ていたら…


ママ:「手伝ってあげるのよ」

そしてちょっと冷ややかな笑い…。


「あ!すいません」゜(´Д`∥)゜。

ひぃぃぃ!怖いわぁぁぁ…。



亜紀はキャバクラで敬語なんて全然使わないタイプだったから言葉使いにかなり緊張したよぉ(汗)



2組目は30代前半でしょうか??

2人組みでノリも若く、話しやすい方達でした。

でもその席にはわずか5分程度しかいなかったと思う。

すぐに呼ばれてVIP席に移動。




その日最後の席はなんと…

亜紀のお客さんではないですか~!!(≧▽≦)

一応連絡しておいた人。

その人がたまたま来たらしい。

ラッキー♪

前のお店の一番来てくれていたお客さん。

緊張していた亜紀にはオアシスに見えた(感動)

けど、体入なのにもかかわらずアフターに行くはめに…。

そりゃ姉さんから「行ける~?」なんて聞かれたら断れないっス(汗)

けどさすがに六本木だね☆

タクシー代2万もくれました♪

もったいないから始発で帰ったんだけどねw


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一樹と最後の日

テーマ:

12月6日。

その日私は仕事でけっこう飲まされていた。

いつものごとく飲んだ時の私はハイテンション。

酔っ払うと好きな人に会いに行きたくなるのはなぜだろう…。

どうしても会いたくなった。


綺羅に電話。

元からこの日は一樹のお店に行こうと話はしていたけれど迷っていた。

この間みたく雰囲気を悪くしたらそれこそ痛い客だと思われる。

怖かったけど、酔っている私は会いに行くことを決定。


私:「今から新宿向かうね。」


綺羅:「今日行くことにしたの?」


私:「うん。」


綺羅:「じゃあ付いたら連絡してね。」


この日、私は同じお店の女の子(愛美)をもう一人誘っていた。

誘っていたというより、彼女も歌舞伎町のホストクラブに行ってみたいと言うので一緒に行くことにした。


綺羅が先に歌舞伎町に着いたらしく、先にお店に行っているとのこと。

お店で合流することにした。


受付にて。


私:「新規の子がいるんですけど。」


内勤:「ご指名は一樹さんですよね?」


私:「はい。」


この日の会話はあまりよく覚えていない。

酔っていたからなのだけれど…。


でも一樹のテンションはいつも通りになっていて安心した。

席に案内されると、綺羅と智也が話している。


一樹:「ちょっとだけ待っててね。」


一旦その場を離れる一樹。


綺羅:「お疲れ。」


私:「お疲れぇ!遅くなってゴメンネ。」


智哉:「亜紀ちゃん来ること聞いてなかったからびっくりだよ~。」


綺羅:「うん。言ってないもん(笑)」


智哉:「お!友達??」


私:「うん。愛美だよ☆」


智哉:「初めまして。先に一杯やってまーす。」


私は愛美が真ん中になるように座った。

いつものようにボトルが来て割り物を聞かれる。

そのすぐ後くらいに一樹が戻ってきた。


一樹:「お疲れちゃーん!」


私:「お疲れちゃーん??」


それこの間要が言ってたような…。


一樹:「知らない??」


私:「知らないけど…。でもかなりかわいい☆」


私:「お疲れちゃーん♪」


一樹:「気に入ったの?」


私:「うん!」


要:「けっこう最近みんな使ってますよね。」


一樹:「もっと新しいのがあるよ!」


一樹は表情を作って、



一樹:「ええ~っ!?」


は??何のマネ?


私:「え?」


一樹:「これさぁ、サザエさんに出てくるマスオさんのマネなんだけど(笑)」


一樹:「ええ~っ!?」


私:「あはっは~!確かに言うね!」


一樹:「驚いた時に絶対言う。放映中毎週一回は言ってるかも。」


要:「それ代表がマネ始めたらみんなやり出したんスよね~(笑)」


私:「みんなで言ってたらしつこいかも(笑)」


みんなで話して盛り上がってたけど、愛美と綺羅が会うのは初めてなので大丈夫かなと少し心配した。


私:「愛美大丈夫??」


愛美:「何が?」


私:「あんまり気を使わないでね。」


愛美:「大丈夫だよ。」


淳:「愛美ちゃんていうんだ。よろしく!俺淳でーす。」


愛美:「あ、はい。」


淳:「そういえば、亜紀ちゃんはあれから元気になったの?」


私:「うん、まあなんとかね…。」


淳:「俺亜紀ちゃんが元気ないのとか嫌だからさ。」


私:「ありがと。」


この時席に付いていたのは、智哉、一樹、淳、要の4人。

愛美が新規のためか多めに付いている。

他にも時間で何人か付いていたけど、あまり印象に残ってない。


話しをしているうちに愛美は淳を気に入ったらしく、2人で盛り上がっていた。

なんだか淳を取られた気分だったけど愛美が気に入ってくれれば淳にとっても私にとっても都合がいいし、淳を応援したい気持ちだった。


その後はかなりな勢いでみんな飲んでいたために、私は合間合間の記憶がない。

話した内容とかもよく覚えていないし…。

でもすごく楽しかった気がする。

この間思った不安もこの時は考えずに楽しんでいた。




気づいたらだいぶ時間も経っていて、時刻は7時くらいだった気がする。

この日はなぜかラストソングが終わってからもカラオケの曲がなり響いて、ホストたちが歌っていた。

状況的にはスナックのような…。

席をはずしていた一樹が戻ってくるなり愚痴をこぼした。


一樹:「今日の店はありえないな。」


私:「どうしたの?怒ってる?」


機嫌が悪いらしく、ため息までついている。


一樹:「この店は仕事できない後輩が多すぎる。」


私:「なんで!?いきなりどうしたの?」


一樹:「ここは俺と智哉さんの席なのにヘルプも少ないし、おまけにカラオケなんて歌ってるし。うちの店はカラオケ禁止なんだよ。ラスソンしか歌わない決まりなの。なのになんで遊んでんだよ。」


私:「カラオケ禁止なんだ?それは分かるけど、ヘルプはちゃんとずっと付いてたよ?」


一樹:「付く人数が少ない。やる気あんのかよ。」


ヘルプの人数も関係あるんだって思った。

幹部の人のヘルプは多く付かなきゃいけないってこと?

見たことない一樹の不機嫌さに驚いていた。

仕事熱心なんだナって思ったけど。


しばらく2人で黙りこくって座っていると、突然一樹が言い出した。


一樹:「亜紀ちゃんごめん。」


私:「何?」


一樹:「俺、今日はもう帰るわ。」


私:「いいけど、勝手に帰って平気なの?」


一樹:「今俺はこの店にいたくない。こんなやる気のない奴ら見てるとイライラしてくるわ…。」


私:「うん。私は綺羅なんかと一緒に帰るから残るね。」


一樹:「うんごめん。」


私:「じゃあ今日は私が外までお見送りいたします(笑)」


一樹は席を立って出口に向かう。

私も一樹に付いて行く。

お店の外まで一緒に行って、タクシーに乗った一樹を見送った。

私はそのままお店にUターン。



席に戻ると綺羅と智哉が言い合いをしている。

酔っているのかそのケンカにおかまいなしで仲良く話している淳と愛美。

状況が全然読めずにボー立ちする私…。

一樹を送っている間に何があったっていうんだろう。


綺羅:「だからそういう問題じゃないでしょ!」


智哉:「何が!?お前の言ってることは意味が分からないよ。」


私:「綺羅!どうしたの!?」


綺羅:「智哉が意味の分からないこと言ってる。」


智哉:「はぁ??それはお前だろ!」


私:「何?」


智哉は私を見て、今度は私に文句を言った。


智哉:「お前もお前だよ!一樹が帰ったのになんで文句言わないんだよ。」


私:「え?だって帰りたいって言うから。」


智哉:「勝手に帰っていいわけねぇーだろ!」


私:「私が悪いって言うの??あんな不機嫌な状態でいられても逆に困るもん。」


智哉:「お客さんより先に帰っていいわけねぇーんだよ。」


私は豹変している智哉にびっくり…。

でも私も酔っていたからあまり話が分かってなかったのかも。


私:「私が帰っていいって言ったの。だからいいじゃない。」


智哉:「なら腕組んだりするな!」


よく覚えてなかったけど、私は酔っ払ってお店で一樹と腕を組んでいたらしい。

後で綺羅に聞いたけど。

でもずっと組んでいたわけじゃないと思う。

記憶にないくらいだから。

綺羅も別に迷惑かかるようなことはしていなかったって言ってたし。

でも綺羅も実際かなり酔ってたみたいだから確実ではないんだけど。


私:「腕くらいいいじゃん。」


私も酔っていたから売り言葉に買い言葉で、逆ギレ。


智哉:「お客さんはお前だけじゃねんだよ。他のお客にしめしがつかないだろ!」


私:「別に何も求めたりしてないじゃん。」


綺羅とケンカしていたはずなのに、私と智哉のケンカに摩り替わっていた。


私:「しかもさ、何で智哉がそんなこと言うわけ?担当じゃないじゃん。一樹に言われるならまだ分かるけど智哉は関係ないじゃん。」


智哉:「俺は一樹の上司なんだよ!後輩の心配して当たり前だろ。」


綺羅:「ってかなんでいきなり亜紀に逆ギレしてるわけ!?」


智哉:「お前はだまっとけよ!」


綺羅:「何でそんな言い方しかできないの!?」


私:「綺羅に当たることないじゃん。」


智哉:「当たってねぇよ!お前らがわけ分からないこと言ってるからだよ。」


3人とも酔っ払いで、今思えば何を言ってるのか分からない状況だった。

そもそも元のケンカの原因はなんだったのか…(笑)

でもこの時の言い合いはかなり激しかった。

いつもなら絶対あんなにキレることなんてないのに、お酒が入っていたせいか私もかなりムカついていた。

なんでいきなり暴言を吐かれなきゃいけないのかわけが分からないし。



散々言い合ったあと私はついに、


私:「もういい!!帰る。」


私は勢いよく立ち上がって、出口へ向かおうとする。

智哉が一瞬私の腕をつかんだけど、


私:「智哉なんて嫌い!」


腕を振り払ってお店を出た。

一人でお店を出て振り返ると綺羅と愛美が出てきた。

私は無言で歩き出す。

すると淳が追いかけてきた。


淳:「おい、ちょっと待てって。」


私:「ごめん。じゅん②もう2度と来ない。」


淳:「そんなこと今聞いてないだろ。とりあえず話聞くから。」


私:「ついて来ないでよ!」


淳に当たる私。

彼はちっとも悪くないのに…。

でもイライラがピーク状態できつく当たってしまった。


綺羅:「亜紀嫌がってるから。」


淳:「俺はこんな終わり方嫌なんだよ。一樹もいなくてこんなことになって。いいから止まれ。」


淳に言われるとどうしても止まるしかない。


私:「何??どんなこと言ったって私もうお店には行かないよ??話し合って何になるの?」


淳:「来る来ないの問題じゃないよ。とりあえずどっかに入って話そう。」


私:「嫌。帰る。」


淳:「いいから。な?落ち着けって。」


私:「…分かった。」




みんなで喫茶店へ向かう。

なぜか気づくと話したこともない新人らしいホストが一人。

なぜ彼がついて来たのか??

淳だけでは収まらないと思ったのかな?


あまり人のいない小さな喫茶店に入った。


淳:「何飲む??」


私:「いらない。」


愛美:「あ、ウーロン茶で。」


綺羅:「同じでいいよ。」


いらないと言った私の分も淳は頼んでくれた。


淳:「で…どうしてあそこまでの言い合いになったの??」


綺羅:「智哉がありえないよ。うちらは仮にもお客だよ?あんな言い方するなんて信じられない。」


淳:「うん。」


綺羅:「同じ接客業をしてる立場として許せない。私から暴言を吐いてケンカしたなら分かるけど、いきなり智哉がキレだしてさ。意味分からないよ。」


私:「あそこまで言われて、もう智哉の顔2度と見たくない。一樹とじゅん②には悪いけど絶対行きたくない。」


淳:「そっか…。一樹にさっきから電話してるんだけどつながらないんだよ。あいつ携帯置いて帰ったのかな??」


言われて私もかけてみるけどつながらない。

でも一樹にかけてなんの意味があるんだろって思った。

もう会いには行けないのに。

かければきっと説得される。

一樹には会いたいし、ちゃんと話したい。

でもそれ以上に智哉の行動に対しては許せなかった。

私たちが暴れたわけでもなく、罵声を言ったわけでもないのにどうしてあそこまで言われたのかが分からなかった。



結局話し合ったけど、私と綺羅の考えは変わらなかった。

ましてや当人の担当がどちらもいない。

ヘルプの人が心配して追いかけて来るなんていったいどうなってるんだろう。

これ以上話し合ってもムダだと思って淳に帰ると言った。

喫茶店を出た後もじゅん②はついて来る。

区役所通りまで出てきたところで、


私:「もう解散しよ?じゅん②ありがと。」


淳:「お前らこれからどうするんだよ。」


私:「飲み直すよ。」


何が一番悪いって、愛美に申し訳なかった。

せっかく来たのにこんなことになっていづらかったと思う。

だからレイのお店に連れて行ってあげようと思った。

こんな気分のまま帰りたくないし。


綺羅:「飲み直すの?レイのとこ?」


私:「うん。行こっか。愛美もこのままじゃつまんないでしょ?」


愛美:「あー。みんな行くなら行こうかな。」


綺羅:「薫に電話しよ。」



綺羅は薫に電話した後、


綺羅:「うん。まだやってるみたいだから行こ!」


私:「綺羅。先行ってなよ。後からすぐ行くから。」


綺羅:「早く来てね~☆」


と言って綺羅は先にレイのお店に向かった。

綺羅がいなくなった後、しばらく無言でその場にいる4人。


淳:「亜紀ちゃんも行くの?」


私:「うん、行く。じゅん②…。本当に迷惑かけてごめんなさい。」


淳:「それは全然いいよ。一樹のことにしてもお店側も悪いわけだし。」


私:「一樹にはじゅん②から言っておいてよ。」


淳:「今日絶対電話かけてくるはずだからちゃんと自分で話し合えって。」


私:「でももう行かないって決めたし、あんなケンカになった後で気まずいだけだよ。」


本当、話し合うって何を??

私は一樹になんて言えばいいの?

あのケンカって、くだらないことで揉めて言い合ってただけじゃん。

これ以上一樹と淳に迷惑はかけたくない。

こんな手間のかかる子なんて嫌われる…。


私:「じゃあ、もう行くね…。」


淳:「じゃあ俺も行く。」


私:「え??マジで言ってるの?」


淳:「マジだよ。」


私:「いいよ。愛美と2人で行くよ。綺羅待ってるし。」


淳:「行くって。お前がなんと言っても着いて行くよ。」


この人何考えてるんだろーって思ったけど、綺羅を先に行かせてしまってるから行かないわけには行かないし。


私:「分かった。でも同業は入れるか分からないよ?」


淳:「行くだけ行ってみよう。」





淳は新人の子を返して私と愛美に付いてきた。

レイになんて言おう…。

説明しづらい。

レイのお店に着いてカウンターまで来たところで、ちょうどレイが迎えに来ていた。

綺羅が言ったのかな??


私:「レイ…。」


レイ:「亜紀!久しぶりだね。」


レイは私の後ろに立っている淳を見て顔色を変えた。


レイ:「申し訳ないんですがこのお店は同業はお断りしているんです。」


淳はうなずいて軽く会釈した。


私:「そうなんだ。ごめん。」


そう言われて綺羅には悪いと思ったけど、ここまで来て淳だけに帰れとは言えなかった。


レイ:「帰るの??」


私:「うん。ちょっと帰れっていうのも悪いからさ。また近いうちに来るから。本当にゴメンネ。」


レイ:「分かった。」


外に出て駅に向かって歩く。


淳:「もう帰るの??」


私:「うん。もうはしごはあきらめました(笑)」


淳:「駅まで送ってやるよ。」



3人でブラブラ歩く。

私は淳に悪いと思っていた。

どうしてここまでしてくれるんだろうって。

さすがに愛美に気に入ってもらうためとは思えない。

なんだかんだ言って淳が一番私のことを考えてくれていたかも…。

でも今日の恩返しはもうきっとできない。

お店に行くのは簡単だけど、感情はそんなに簡単じゃない。



駅に着くまで淳はまたいろんな話をしてくれた。

愛美にも気を使いながら。

ふと一瞬だけど、どうしてこの人が初めて行ったときに付いてくれなかったんだろうとまで思ってしまった。

好きとかじゃないけど、考えてみればお客さんを置いていってしまう一樹より、懸命に追いかけてきてくれた淳のほうが全然人間味がある。

そんなことを思いながら歩いていた。


淳:「気をつけて帰れよ!」


私:「ありがと。」


愛美:「バイバーイ☆」




綺羅のいない2人の帰り道。


私:「せっかく遊びに来たのにごめんね。」


愛美:「全然平気だよ。でもさっきのお店に行きたいナ☆すっごく今どきって感じがしてさ。トランス流れてたし。」


私:「じゃあまた今度だね。」


愛美:「よろしくで~す。」




私は一樹を忘れる覚悟をしていた。

まだ本気になったわけじゃない。

間に合う…。


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一樹への想い…その②

テーマ:

2日後の12月3日。

仕事が終わるとまた綺羅から電話があった。


綺羅:「智也から営業来たよ~♪」


私:「そっか。どうする??」


綺羅:「亜紀は一樹に会いたいの?」


私:「会いたいよ。」


綺羅:「じゃあ行こっか!」


どうして綺羅が智也を指名することにしたかというと、ホストの世界には上下関係がそういうことを左右させるらしく、智哉以外からは連絡が無かったと言っていた。

3人気に入っていて連絡先も交換していたのに綺羅に連絡をしなかったというのは他の2人のホストが明らかに指名権を放棄したことになる。

智也は常務取締役だった。

他の2人は後輩なわけで、先輩に指名を譲ったんだと思った。

綺羅もそのことに気づいていたみたいだけど、智哉を気に入っていたし、わざわざ彼らの関係を複雑にすることもないだろうと、智也を指名することにしたんだと思う。


私は一樹に会いたいという気持ちとは別に、会いに行っても自分が辛いだけだという葛藤があった。

本気にはなれない…。

普通の出会いじゃない。

自分が同じ仕事をしているだけに、それは痛いほど分かっている…。

意思の弱い私。

レイも急に一週間以上会いに来ないのでどうしたんだと言ってくる。

口では綺羅に、もうレイなんていらないと言い放った。

これからは一樹に会いに行くと…。

でもレイに会いたくないわけじゃない。

あちこちでいい顔する自分がいて複雑だった。

遊びなんだからと言ってしまえばそれで終わるけれど、私はそんなに器用じゃなかった。


複雑な気持ちのまま何も考えていないフリをしてお店に行く。

その日は締め日の後だったためにお客さんが少なかった。

お店に入ると何人かのホストが入り口に一番近い席で携帯を触っている。

その中に一樹もいた。

私に気づいて、


一樹:「どうしたんだよ!?」


私:「おはよー。来ちゃったぁ♪」


一樹:「ちょっと席に先座ってて。」


この間と違ってテンションの低い一樹…。

何かあったのかな??

席に座ると智哉が来た。


智哉:「仕事だったんでしょ?お疲れ~。」


綺羅:「今日はかなり静かだね。やっぱり締め日後はお客さん少ないの?」


智哉:「まあ、今日はね。」


智哉:「何飲む??ジンロでいい?」


綺羅:「うん。」


智哉:「割り物は?」


綺羅:「緑茶。」


智哉:「亜紀ちゃんは?」


私:「同じで。」


内勤に頼む智哉。

ジンロと割り物が来て、タイミングよく一樹も着席。

みんなで乾杯。


智哉:「そう言えばさあ、この間社員旅行に行ってきてさあ、お土産まだ残ってるからあげるよ!」


綺羅:「何??」


智哉:「見れば分かる(笑)ちょい待ち!」


お土産を取りに席を立つ。


一樹:「あ!俺もあるんだよ。せっかくだから亜紀ちゃんにあげるね。」


智哉と入れ替わりで一樹が席を立った。


智哉:「これだよー。」


何やら小さいチャイナ服のような…。

赤いサテン生地のようなものでできていて人が着れるほど大きくない。

小型犬でも小さいんじゃないかと思うくらいミニなチャイナ服…。


綺羅:「犬用??でもないよね?何に使うの?」


智哉:「これはね、ボトル用のカバーなんだよ。」


と言ってジンロにチャイナ服を被せる。


綺羅:「あはは。ウケるんだけど。」


智哉:「ウケ狙いじゃないですから~!」


私:「うんジンロのボトルなんだけどかわいく見えるね☆」


智哉:「だろ??」


私のボトルには私が水生の白いペンで文字が書いてある。


KAZUKI AKI 本気と書いてマジと読む(笑)←その他いろいろ。


一樹:「たいした物じゃないんだけど…。」


一樹がくれたものは、木でできた置き物のような置き物!?

手描きだと思うけど、サルの絵が描いてある。


私:「かわいい☆ありがとう!」


一樹:「そんなんでごめんね。」


もらったけど、どこか心の奥ではえげつないことを考えていた。

お客さんのためにたくさん買ってきた中の一つでしょ!

そんなのくれたってうれしくない。

一樹の優しさを踏みにじっている自分…。

今思えばその時の気持ちって嫉妬だったのかも。


一樹は妙に元気がない。

私はつまらなかった。

この人ってこんなに無口な人だったかしら?

人にはテンションがあるからいつでも楽しくできるわけじゃない。

でも今日は本当にあまり口を利かない一樹。

好きだという気持ちがあるから、私と一緒にいてつまらなそうにされるのが嫌だったんだと思う。

レイに同じことされてもきっと不満には思わない。

今日はやる気がないのねって納得するだろう。

彼がヘルプやトイレに席を立つ度にイライラが増した。

性格の悪い私。

割り切れない自分。

幼い考え方だと分かっていても言ってしまったこの一言。


私:「今日はつまらない。」


一樹:「うん、俺つまらないヤツなんだよ実は。」


何肯定してるのよ!


私:「楽しませるのが仕事でしょ??何か話して。」


一樹:「俺もともとそんなに話さないしなぁ…。けっこう他の人が話すのに便乗してるし。」


私:「開き直りじゃん。」


言い方がどんどんきつくなる。

こんなこと言いたいんじゃないのに…。


一樹:「もうこのキャラでずっとやってきてるからなー。」


私:「……。」


そこで会話は終わった。

私はなんでこんなにイライラしているのかが分からずに綺羅と智哉の会話に加わる。

しばらく一樹から顔を背けていると、一樹は席を立った。

それを見て私は逃げたんだと思った。

他の指名客かヘルプかもしれないけど、今日のこのお客の数でそれはありえない。

でも今隣りにいられても話すこともない。

これ以上痛い客にはなりたくない。

私が口数少なく考え事をしていると心配した淳が席に付いてくれた。


淳:「亜紀ちゃんおはよ♪」


私:「じゅん②!!]


淳:「どうした?元気ないな。」


私:「今日はなんだかつまらなくて…。」


淳:「俺が付いたんだからつまらないとか言わせないぜぇ!」


私:「なんかじゅん②来ると安心するわ…。」


淳:「一樹と何かあった??」


私:「何も…。でも何もないからつまらない。」


淳:「はぁ?」


私:「じゅん②を信用して言ってもいいかな??一樹には絶対言わないでね。」


淳:「何?」


私:「ホストとしてじゃなく人として聞いてくれる?」


淳:「分かってるよ。」


私:「こういうことはお店ぐるみになるから心配なんだけど。」


淳:「本当に言わない。俺の中だけに閉まっとくよ。」


正直、淳に相談してもきっと一樹に言われてお店ぐるみで説得させられるんだろう。

分かっていたけど、お兄ちゃんみたいに接してくれる淳にはだまされてもいいと思った。


私:「私ね、一樹が気になる…。」


淳:「それは分かるよ。」


私:「一樹はホストだし、分かってるの。多くは望んではいけないって。」


私:「でも好きって気持ちはあるんだよね。ずっと会いに来れなかったのもそのせいなの。」


私:「一緒に来る子がいなかったっていうのもあるけど、あきらめようと思って来なかったのも本当。」


淳:「そっか。」


私:「一昨日来た時、今度は大阪行こうって言ってくれたんだ。うれしかったけど、他の子にも言ってるんだろうなって思ったらなんか辛くて。」


淳はほとんど何も言わなかった。

ただ話を聞いていてくれただけ。

きっと一樹を好きになって、傷ついた女の子を何人も見てきたんだろう…。

私もそのうちの一人。

もっと違うこと言われるかと思った。

一樹はきっと亜紀のこと気に入ってるよとか、他の子には遊びになんて誘わないよとか。

普通だったら、お客さんが担当を好きになったらハマらせるのに好都合なのに。

でも淳は否定も肯定もしなかった。

この人は本当に人として私の話を聞いてくれたんだって思った。

私が淳をホストだけど信頼したのはきっとそういうところなんだと思う。

本当はそれもテのうちだったのかもしれないけど、そう思わせないのは彼の人徳だろう。


淳:「俺はアドバイスらしいことは何も言ってあげられないけど、亜紀ちゃんのテンションをあげることならできる!!」


私:「どうやって??」


淳:「一緒に飲もうぜぃ!!」


私:「私、じゅん②と話せてよかったよ☆」


淳:「亜紀ちゃんのためならがんばるって!」


私:「ありがとう。」


この日お店に来てよかったと思った瞬間だった。

その後は淳と他のヘルプが加わって私と綺羅はけっこう飲まされた気がする。

帰る頃にはフラついていたような…。

一樹はずっと席に付かなかったわけじゃないけど、この日2人で会話することは無かった。

みんなで話していただけ。

むしろ私が2人で話す状況を避けていた気がする。



このもどかしい気持ちをどうしていいか分からずに、イライラは募って行くばかり…。

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一樹への想い…

テーマ:

レイのお店に通い始めて一ヶ月が経とうとしていた時、綺羅が言い出した。


綺羅:「私、そろそろ薫に飽きてきた。」


私:「なんで!?」


綺羅:「だってお店行っても薫全然付かないし、ヘルプ付いてる時間が長すぎて疲れる…。」


私:「確かに…。何気にうちらもお店行って疲れてるよね(笑)」


綺羅:「亜紀はいいよね。いつもヘルプは直くん呼んでるから楽じゃん?」


私:「まあ…。でも必ず付いてくれるわけじゃないじゃん。綺羅はお気に入りのヘルプとかいないの?」


綺羅:「私もいると言えばいるけど、それでも疲れるよ。そろそろ新規開拓したいナ。」


私:「私はあちこち行くのあまり好きじゃないけど…。でも綺羅が退屈なのにレイのとこに行くのも嫌だし。新しいお店に行きたいなら付き合うよ。」


綺羅:「一樹くんのところは?結局あの日行こうとしててレイのとこ行っちゃったから、そのまま話が流れちゃったじゃん?」


私:「そうだね。じゃあ今度は一樹のところに行こっか。」


そうは言ったけど本当は一樹に会うのは怖くなっていた。

レイのお店に行っても私は充分楽しい。

一樹に会ってまた気持ちが戻った時のことを考えると辛い。

でも借りを返したいと思うのも本音だった。

怖い気持ちはあったけど、一樹のお店に行くことにした。




後日、綺羅と新宿で待ち合わせしてたけど、遅れるから先に行っててと言われて先に行くことに。

歌舞伎町へ向かってセントラル通りを歩いていると、またキャッチの山。

声をかけられるのが嫌だったから、早歩きで下を向きながら歩く…。


キャッチ:「あのー、すいません。」


そのままシカトしてぐんぐん歩く。


キャッチ:「○○○(レイのお店)ってお店なんですけど飲みに来ませんか??」


え??

レイのお店じゃん!と思って振り返った。

キャッチと目を合わせる私。


私:「なんだぁ(笑)」


直:「お前かよ!!(笑)」


2人で大爆笑!


私:「いやこっちのセリフだから(笑)今日はキャッチしてるんだ。」


直:「いつもしてるよ。この時間帯はお店にいるけど…。今日はヒマだからねー。」


直:「ってかお前めっちゃ早歩きだし、下向いてるから気づかなかったよ。」


私:「だってキャッチに絡まれるじゃん。今みたいに(笑)」


直:「でもかなりの確立だよなー。よりによってお前にキャッチするとは…。」


私:「今日はレイのとこには行かないんだ。」


直:「なんで??」


私:「綺羅がね、○○○飽きちゃったんだって。新しいとこ行きたいらしいよ?」


直:「そーなんだ。」


私:「そういえばあれからお客さんは増えたの??」


直:「ダメだなー。送りもらえても返ってこない。」


私:「私が初回の時に付いてくれてたら指名してあげたのに。」


直:「いや、でもレイさんには勝てないよ。」


私:「ヤツはプロだからねー。」


直:「でもマネしたいなって思う先輩は決まったよ。」


私:「よかったじゃん。その先輩目指してがんばりなよ。」


直:「おう!お前いいヤツだな。」


私:「まーねー♪偽善者ですから(笑)」


直:「いやマジで。いつも相談のってくれるし。」


私:「そうだっけ??でも私は直くんのヘルプが一番楽だよ。直くんいなかったら私も綺羅みたいに飽きちゃってたかも。」


直:「うん。じゃぁヘルプ専門で(笑)」


私:「あきらめるなしぃ!!」



そんな感じで先に一樹のお店に行くはずだったのに綺羅が来るまでずっと直と話していた。

直がちょっとサボりたいからここで話してたいって言ったからなんだけど。




綺羅と合流してお店に向かって歩く。

内心ちょっとドキドキ。

今日行くことは一樹に言っていない。

ずっと行っていなかったから連絡しづらかった。


綺羅:「新規開拓楽しみだぁ♪」


私:「綺羅にはレイのお店より楽しく感じるかもね。年も上の人がけっこういるし。」


久しぶりにお店に入る。

受付で一応確認。


私:「一樹くんは今日出勤してますか?」


内勤:「出勤してますよ。ご指名は一樹さんですか?」


はい。と言おうとした時、一樹が私の目の前を通った。

私に気づいて、


一樹:「おお!!超久しぶりじゃん☆すっかり連絡もないしどうしたのかと思ってたよ。」


久しぶりに見たけどやっぱりかっこいい!

また惚れてしまいそう…。


私:「来るのが遅くなってごめんね。」


一樹:「席に案内するよ。」


お店に入ると大混雑。

こんなに混んでるのは初めて見た。


私:「今日はすごく混んでるね。」


一樹:「うん。まー今日は締め日だからね。」


私:「そっか!今日は締め日だ。」


締め日だと分かってたら違う日に来たのに…。

久しぶりに来て締め日だとちょっと気まずい。

なんか忙しいのに迷惑な客みたいじゃん。

太客ばっかり来る日なのに申し訳なく思った。

でも隣を見ると綺羅はうれしそうなので安心した。


一樹:「今日はニューフェイスがいるねぇ。」


私:「そ♪最近仲いいんだよ。彼氏かよ!ってくらい会ってる(笑)」


一樹:「名前は~??」


綺羅:「綺羅だよ。」


一樹:「綺羅ちゃんね。亜紀ちゃん元気だった??」


私:「うん☆かなり音沙汰だったから忘れてるかと思ってた。」


一樹:「んなわけないじゃん!元気そうで何より。」


私:「本当はね、今月の3日に来ようと思ってて新宿まで来たんだけど、祝日はこのお店お休みじゃん。祝日なこと忘れててさぁ。サザエさんみたいだったよ(涙)」


一樹:「あはは。相変わらずおドジさんでかわいいねぇ。」


ダメだぁ…やっぱりドキドキしてしまう。

レイの時は手を握られてもなんとも思わないのに。


一樹:「綺羅ちゃん男メニュー見る??」


綺羅:「うん。見たい!」


内勤に頼む一樹。

綺羅は男メニューをもらって見始めた。


綺羅:「へぇ。かっこいい人多いねー。」


一樹:「うちは俺を筆頭にイケメン多いよぉ(笑)」


私:「あは…。」


一樹:「あは…って(笑)」


急に店内を見回した一樹は、


一樹:「ごめんね、俺ちょっと行ってくるわ。」


と言って行ってしまった。


綺羅の席には何人かのホストが交代で付いていた。

このお店は基本的にヘルプでも接客がうまいので退屈はしない。

レイのお店は売れっ子と売れっ子じゃないホストの接客レベルの差が激しすぎて疲れる。

綺羅が行きたくなくなる理由も分かる気がする…。


やっぱり締め日だから一樹は忙しいらしくてあまり席にいなかった。

シャンパンコールも連チャンで行われていた。

それでも私の席にはヘルプが2人も付いてくれていた。

混んでいるのになんだか申し訳ない気分。


一樹がいない間、要というホストが付いた。

彼は身長も高く、街を歩いていたら女の子が振り返って見直しそうなほどかっこいい。

癒し系の顔で、俳優にいそうな感じだ。


要:「おじゃましまーす。要ですどうもー。」


私:「わぁイケメン登場だ。」


綺羅:「うん。かっこいい。」


私:「前私が来てた時はいなかったよね?」


要:「まだ始めて3ヶ月くらいです。」


私:「だからかぁ。でも始めて3ヶ月には見えないんだけど。」


綺羅:「なんかオーラがあるよね。」


要:「そんなにおだてても何も…出しますけどー。」


私:「なになに??」


要:「モノマネ。まずは福山雅晴のマネね。」


表情を作る要。



要:「小雪っ!」


私&綺羅:「似てるしぃ!(笑)」


要:「次は志村けんね。」


また表情を作る要。



要:「ようこさん、めしゃーまだかい?」


私&綺羅:「あはは。似てる似てるぅ!」


私:「マジうまいんだけど☆」


綺羅:「要くんおもしろいねー。」


要:「ありがとちゃーん!」


私:「ありがとちゃーん??」


要:「知らないの??インスタントジョンソンのネタだよ。」


私:「知らない。でもそれいいね。ありがとちゃーん!て。」


みんなで盛り上がってたけどお店に着いた時から気になってることがあった。

淳のことだ。

プール以来だしちゃんとお礼も言いたい。


私:「ね、じゅん②と話したいんだけど…。忙しいかな??」


要:「いやたぶんそろそろ付くと思うよ?淳さんと仲いいの??」


私:「うん。来るとかまってもらってる(笑)」


要:「今呼ぶからもうちょっと待っててね。」



10分後くらいに淳が来た。


淳:「亜紀ちゃんじゃーん!」


私:「来るのが遅くてごめんね。じゅん②は綺羅と私の間に座ってよ!」


私のわがままに応えて隣りに座る淳。


淳:「あのプール以来顔見せないから心配しちゃったよ!どっか遠くにでも行ったのかと思った(笑)」


私:「ずっと気になってたんだけど、なかなか来れなくて。今日は恩返しをしに来ました。」


淳:「俺もすげー楽しかったし、またみんなで行きたいよな。」


要:「一緒にプール行ったんすか?」


淳:「そうなんだよ。一樹なんかとみんなで。」


淳:「あん時はこいつをプールにぶち込んでさぁ。化粧全部落ちてすっぴんだったよな(笑)」


私:「もうしょうがないと思ってあきらめたんだよ。」


淳:「亜紀ちゃん最後まですっぴんだったよなー(笑)」


私は淳に耳打ちした。


私:「今日は枝(指名しているお客さんの新規の連れのこと)連れてきたからうまくアピってよ(笑)」


淳:「コラコラ…枝って(笑)」


私:「だってじゅん②に指名を勝ち取ってほしいんだもん。」


淳:「まあ一樹指名の子だから俺も一緒に指名になったら楽しいだろうけど…。こればっかりは彼女が決めることだしな。」


私:「そうだね…。」


淳:「友達は名前なんていうの?」


綺羅:「綺羅。噂のじゅん②でしょ??」


淳:「亜紀ちゃん情報!?何言われてんだろーな(笑)」


綺羅:「すごく優しくていい男だって!」


私:「うん。」


淳:「亜紀ちゃん分かってるね~♪よし久しぶりに会えたから今日は飲もうぜ!」


それから淳と綺羅で話していたり、いっきコールなんかもしてかなり楽しかった。




みんなで盛り上がっていると要と交代でまた新しいホスト(智哉)が来た。

長髪で、いかにもホストですって感じのしない大人な人だ。

本当に仕事ができる人は格好が質素な人が多い。

彼もその一人。


智哉:「おお!盛り上がってるねー!この席は。」


ヘルプ席はいっぱいのため、綺羅の隣りに座る。


智哉:「飲んでるのかー!?飲んでないなら俺が飲ませる!」


綺羅:「テンション高いんだけど(笑)」


私:「ああ!!智哉さんでしょ!?」


智哉:「なんだ?俺を見たことあるのかぁ?俺は知らないのに気持ち悪いですからぁ~!」


手振りをしながら目を見開いて私に物申した。


私:「あはは。いやウワサとかで(笑)」


前に一樹のお店のスレをを見た時、1位2位を争うすごさで叩かれていた人だ。

どんな人か気になってて、目の前に来たから思わず言ってしまった。


智哉:「どうせホスラブとかだろ??あんなの信じるのは信者ですから。」


私:「いや信じてるわけじゃないんだけど、ネタとかがおもしろかったから(笑)」


智哉:「あれは笑い事じゃなくうっとおしい。」


私:「それだけ人気があるってことだよ。」


綺羅:「人気あるの??」


智哉:「それは昔の話ですからぁ。今は落ちこぼれた(笑)最近は悲しいことにナンバーにも入っていない落ちぶれホストです。」


智哉:「って俺に何言わせるんだよ!俺の格が下がって印象悪くなっちゃっただろー(笑)俺は確かにもう年だけどまだホストでいる気満々ですから~(笑)」


綺羅:「しゃべりすぎ(笑)早口だし。」



とにかく智哉はテンションが高くておもしろい。

真面目な話もするけど、とりあえず私と綺羅が話す隙もないほどにしゃべり続ける(笑)

綺羅と私は智哉のワンマントークショーに大爆笑していた。

智哉と入れ違いでようやく一樹ご帰還。


智哉:「シャンパンの時また呼んでねー。」


一樹:「ただいまぁ。全然付けなくてごめんね。バタバタしちゃってさ。」


テンションの高い一樹。

またかわいいキャラになってるし(笑)

隣りに座るなり私に肩を組む。

またドキドキ度アップしちゃうってばぁ!!


私:「ううん。忙しい日に来ちゃってごめん。別の日にすればよかたtね。」


一樹:「いいよー。だってまたお店休みの日とかに来ちゃいそうじゃん(笑)」


私:「あはは…。」


一樹:「そろそろシャンパンコール亜紀ちゃんの番だから待っててね~。」


私:「うん。」


…そうなんです。

私シャンパン入れてしまったんです。

締め日なのにシャンパン入れないなんてなんだか申し訳なくなってきて、一樹がいない間に綺羅と相談して入れることにしたんです。

シャンパン一度入れてみたかったのもあるし、どうせ入れるなら一樹のために初シャンパン入れようと思った。

ずっと来てなかったのも負い目に感じていたし。


一樹:「いやー今日も飲まされたね。ムダにシャンパンばっかり…。」


私:「締め日だからしょうがないよ。」


うう…またムダにシャンパン飲まなきゃいけない状況を作ってしまった私って(涙)

ごめんなさい。


一樹:「亜紀ちゃんさ、今度は大阪行かない??」


私:「大阪??」


一樹:「うん。俺大阪行きたいんだよね。」


私:「日帰り?遠くない?大丈夫なの?」


一樹:「いや泊まりでもいいんだけどね。」


私:「日帰りでいいよ。何か目的でもあるの?」


一樹:「お好み焼き食べたいね~♪」


私:「そんな理由!?(笑)」


一樹:「いいじゃん。大阪の町をブラブラすれば。」


大阪はずいぶん遠くない?

またどこかに連れて行ってもらえるのはうれしいけど。

でもいつって言われたわけじゃないしナ…。

あんまり期待するのはやめとこう。


一樹:「お!きたきた。そういえばシャンパン飲む人誰呼ぶ??」


私:「綺羅、じゅん②じゃダメ??」


綺羅:「智哉が呼んでって言ってたけど…まいっか(笑)淳くんでいいでーす!」


綺羅はすでに酔っているらしくかなりご機嫌☆


ぞろぞろとホストが集まってきて私と綺羅の席はホストで囲まれた。

マイクを持った人登場。


マイクホスト:「はい!気を引き締めていきましょー!!」


マイクホスト:「………えーあー亜紀ちゃんから一樹さんにシャンパンいただきましたぁ!」


マイクホスト:「あーざーーすっ!!」


マイクホスト:「……。」


マイクをやってからまだ間もないホストらしくセリフにつまっている(笑)

それを見かねた一樹はマイクを取り上げた。


一樹:「もういい!俺がやる。」


マイク一樹:「俺のシャンパンなのに俺がマイクってどういうことだぁ!?」


マイク一樹:「亜紀ちゃんありがとう☆」


マイク一樹:「素敵な!」


ホストたち:「素敵な!」


マイク一樹:「シャンパン!」


ホストたち:「シャンパン!」


マイク一樹:「ありがと!」


ホストたち:「ありがと!」


マイク一樹:「亜紀ちゃん絶対いい女」


ホストたち:「亜紀ちゃん絶対いい女」


マイク一樹:「そんな今の気持ちを一言。」


私にマイクが向けられる…。

すっごく恥ずかしい!!

適当に、


私:「○○○(一樹のお店の名前)日本一!!」


マイク一樹:「○○○日本一いただいちゃいましたー!!」


その後も長々とコールがあったのだけれどはずかしくて聞いてなかった。

いつの間にかシャンパンが開いてみんなで乾杯。


飲み終わった後もコールをやってくれた。

初のシャンパンコールにかなり感動した私。

恥ずかしかったけど…。

でも初シャンパンが一樹でよかった。



一樹のお店は締め日好例のシャンパン合戦があるらしく、一般のお客さんは営業終了時間で帰してしまうらしい。

太客のみで行われるシャンパン合戦は壮絶なものだとか。

一樹はそのシャンパン合戦を嫌がっていたけど。



送りの時、綺羅は3人気に入った人がいるからと言って3人送りを呼んだ。

智哉、淳、要の3人(笑)

彼女いわく、3人の中で一番営業をかけてくれた人を指名するらしい。


ビルの前の道路にて、5人で立ち話。


一樹:「今日はありがとね~。」


私:「うん。ごちそう様☆」


そう言った後、後ろから「ぎゅう」ってしてくれた。

私マジで心臓バクバク。


一樹:「もうこの子かわいいから~☆」


智哉:「おお!ラブラブだねー!!こっちはもっとすごいから~!」


すると智也はいきなり綺羅をお姫様抱っこした。


綺羅:「きゃぁ!やめてよぉ。恥ずかしいじゃん(泣)」


パン!!

淳がふざけて無防備にされた綺羅のお尻を叩いた。


綺羅:「もう最悪だよー!」


淳:「綺羅ちゃんパンツ見えてるから(笑)」


要:「おいおい…。いくらなんでもそこまでサービスしろって言ってないって(笑)」


智哉:「サービス!?勘違い。汚いパンツだから!」


綺羅:「下ろしてぇ(笑)」


でもなぜか大爆笑の綺羅。

その光景をみて私と一樹も大爆笑。


私:「あは、仮にも綺羅はお客さんだから~(笑)扱いウケるしぃ!」


智哉:「あなたたちみたいな人はお客さんにもなれませんからぁ~!!」


私&綺羅:「あははは。」


一樹とバイバイするとき、私から一度ぎゅって抱きついちゃった。

後ろからだけど。

一樹が酔ってるから今日は特別☆


私:「ありがと。またね。」


一樹:「気を付けて帰るんだよー。帰ったらメールしてね。」


私:「うん。」




はあ…また好きになっちゃったよ。




ホストクラブ大暴走!!その②

テーマ:

その後、私と綺羅は週2のペースでレイのお店に通っていた。

一樹の時と違って、レイに対しては好きという感情があまりなかったように思う。

確かに会うに連れて情みたいな気持ちはあったけれど、独占したいとか、好かれたいとか恋愛的な感情じゃなかった。

お店で会えればいい。

会っている時楽しませてくれればいい。

そんな感じ。

レイは私にとっては不思議な人に思えた。

お店にいる時はまるで彼氏みたいに接してくれる。

それは完全に仕事だと分かる。

でもそんなレイが好きだった。



レイに出会った時期は、私がちょうど水商売を始めて半年が過ぎた頃。

お店から求められる仕事のスキルが高くなってきていた時期だった。

毎日のプレッシャーにストレスが溜まって、耐え切れなくなった私を癒してくれていたのがレイだったと思う。

レイからはいろんなことを教えてもらった。

レイに出会ってから仕事の成績がグンと伸びた。

直接聞いたこともあるけど、ほとんどは私がレイを見ていて共通してできることをマネてみた。

今の私があるのはきっとレイのおかげ。

だから今でもすごく尊敬してるし、感謝してる…。






3回目にレイのお店に行った時、ヘルプで興味を持ったホストがいた。

始めてからまだ1ヶ月の新人ホスト(直)君。

直は私と同い年で、上京して来てすぐにホストの仕事を始めたと言っていた。

接客は好きだけど、それがうまく指名に返ってこないことを悩んでいた。

直は私の目から見て、ムリして接客しているのが分かる。

とりあえずテンションを高く、とりあえず飲ませる、みたいな。

でもそれでお客さんの誰しもが楽しめるとは限らない。

むしろうっとおしいと思う人もいる。

直がどうしたらそういう接客から抜けられるのかと真剣に相談されたのでこう答えた。


私:「自分のキャラを作った方がいいんじゃない??」


直:「自分のキャラ?」


私:「売れっ子の人だってタイプはいろいろあるでしょ?お笑い系とか、癒し系とか、オラオラ系とか。自分のタイプに一番近いなって思う先輩の接客をマネしてみれば?」


直:「でも俺は自分がどんなキャラが合うか分からないんだよね。」


私:「今はどんなキャラだと思うの?」


直:「どちらかと言えばお笑い系なんかな…。」


私:「そのキャラは自分に合ってると思う?」


直:「分からないなぁ。」


私:「じゃぁいろいろ試しにいろんなキャラでやってみたら?どんなタイプが自分に合うか発見できるかもよ!」


直:「…そうだな。やってみるわ!」


直:「亜紀ちゃんてサバサバしてて話しやすいわ。なんか仕事してる感じがしない。」


私:「性格が男っぽいから(笑)今度結果報告してね~☆」


直:「おう!」



直と初めて話した日はレイが指名10本もかぶっていてスーパー忙しかったらしく、直がずっとヘルプに付いていた。

ぶっちゃけ話をした後は、初めて話したとは思えないほど仲良くなっていて、直はすっかりお気に入りのヘルプ君になった。

2時間くらいしてようやくレイご帰還。


私:「おかえりダーリン♪」


手を広げて待つ私。


レイ:「ただいまハニー♪」


それに答えるように抱きついて私のひざの上に馬乗りになるレイ(笑)

3回目にもなるとだいぷレイも私の性格を分かってきたらしく、かなりノリノリな感じ。

こういうセリフが抵抗なく言えてしまうのもきっと好きっていう感情がなかったからかな。


私:「つぶれるわぁ!!」


レイ:「あれ?こうしてほしかったんじゃないの??(笑)」


私:「そうだけど…。みんなの前ではずかしいじゃない(笑)」


レイ:「俺たちラブラブなのにね~♪」


私:「あはは☆」


私:「ねね、直君がどうやったら指名取れるか悩んでるんだって。先輩教えてあげてください。」


レイが忙しいために直は席を離れずにそのまま座っていた。


直:「あ!お願いします。」


レイ:「売れっ子になるにはこの3っつのセリフを覚えとけ!」


レイ:「①今すぐ来い!」


レイ:「②シャンパン入れろ!」


レイ:「③風呂に行け!(笑)」


私&綺羅「あっはっは~!!」


直:「マジっすか!メモメモ…。」


手のひらにメモるマネをする直。


私:「レイ先生さすがっス!(笑)」


レイ:「俺をなめるでないよ。」


直:「レイさんマジおもしろいです!」


私:「じゃあそろそろ真面目な話をしましょうか。」


レイ:「そうする??」


私、レイにちょっと寄りかかって、


私:「ねぇ、レイ…いつ私と結婚してくれるの??」


レイ:「いつにしょうか…。俺今はまだムリだけど。でも亜紀のことは好きだよ。」


二人ともマジ演技!!

みんな大爆笑☆

そんなくだらない会話で楽しめるのがうれしかった。



5分後、せっかくみんな盛り上がってきたのにレイはまたすぐに呼ばれてしまった。

お決まりの、


レイ:「亜紀、すぐ帰ってくるから待ってて☆」


私:「いってらっしゃ~い!」


綺羅:「レイっていつも席離れるときひざに手を置いて「待ってて」ってやってくれるよね。いいなぁ。」


私:「薫にもやってもらえばいいじゃん☆次帰って来た時言ってみなよー♪」


綺羅:「言ってみようか!」



で、ようやく薫ご帰還の時。


薫:「おう!待たせたな。ただいま。」


私:「このお店混みすぎじゃない??」


薫:「そらええ男がいっぱいおるからやろー。俺みたいに。」


私:「勘違いだからぁ~(笑)」


薫:「勘違いなことないわ!俺はかっこいい☆」


私は薫に聞こえるように綺羅に耳打ち。


私:「こういう痛い人もいるよねー。」


薫:「なんやねん!!(笑)」


綺羅:「あはは。」


私:「ねぇ薫さん、私焼肉が食べたいの☆叙々苑おごって♪」


薫:「アホか、俺が金ある思っとったら大間違いや。めっちゃ貧乏やで。」


私:「代表なのに??」


薫:「俺ブランクあんねん。しばらくこの仕事辞めててんけど、先月急に代表やってくれって頼まれて。」


綺羅:「そうなんだぁ。」


私:「分かった。じゃあ、5回お店に来たらキャッシュバックってことで焼肉連れてってよ☆」


薫:「おう!それやったらええよ。5回来たらマジで焼肉連れてったるわ。レイにも言っとき。」


冗談で言ったつもりなんだけど…まいっか☆


私:「スタンプカード作ろうかな??(笑)」


薫:「毎回印鑑押してあげるわ(笑)」


綺羅:「あ!ねぇねぇ、席離れる時さあ、レイみたいに顔見つめて「待ってて」ってやってよ~。」


薫:「はぁ!?俺がそんなことできるかいっ!!キャラちゃうわ。」


綺羅:「ケチぃ~。」


ちょっとふてくされ気味の綺羅(笑)

でも後で綺羅に聞いたら、キャラじゃないと言っていたのに、結局やってくれたらしい(笑)

私は見てなかったから分からなかったけど…。




そんなくだらない会話を毎度くり広げて5回目の来店の時。

その日はレイがかなり飲まされたらしく、酔っ払っていた。


普通に話はしていたけど、いつもより絡んでくる。

会話の途中ですぐ胸を触ろうとするレイ。


私:「色恋はお断りよ!(笑)」


レイ:「色恋じゃなくて趣味だから(笑)」


私:「趣味!?趣味なら他の子で間に合わせてよぉ。」


レイ:「俺にも選ぶ権利はある!!」


私:「このお店見てる限りではかわいい子多いし、胸の大きいお客さんたくさんいるでしょ?他のお客さんになさい。」


と、言ってるそばから余裕で触る。


レイ:「俺が決めるの!本当は一発ヤりたいんだけど(笑)」


私:「イヤ(笑)」


結局最後まで抵抗し続けた私(笑)

でも酔ってると甘えてきてかわいい☆

血のつながらない弟を持った気分。


でもレイがそういうキャラだってことは知っていた。

ホスラブ(ホスト専用のスレ)に書いてあったから(笑)

あのサイトはウソだらけだけど、一部は本当のことが載っている。

お店の前にエレベーターが付いている場合、送り際にエレベーター前でキスをすることを「エレチュウ」と言うらしく、レイはかなりそのことでも叩かれていた。

でも彼は仕事でしているわけだし、むしろ叩かれる人ほど売れっ子の証拠だと思って気にもしていなかった。


『が!!』


その日の送りの時、


レイ:「亜紀ありがとね。また連絡する☆」


と言った後、私にキスをした。

一瞬の隙をつかれた。

でも嫌じゃなかったのも事実。

心の中で、「これが噂のエレチュウだぁ」ってちょっと感動してしまったくらい。←間違ってる!?(笑)


私:「あんまり飲みすぎないでね。おやすみ。」


レイ:「おやすみぃ。」


エレベーターの扉が閉まったあと、


綺羅:「さっきチキスしてたねぇ。」


私:「噂のエレチュウだよ(笑)でもエレチュウもいいかも♪」


綺羅:「恋人みたいで?」


私:「まぁ~ね~。」



次の日レイから「昨日は酔っ払ってました。ごめんなさい。」ってメールが来た時は思わず笑ってしまったけど。