4. ローマンチック
ローマにたどり着いたのは午後2時過ぎ。
朝から何も食べれず、とにかく食事へ。
が、食堂も商店もすべて閉まってる。
どの通りも世界中の観光客で満杯だが。
ヨーロッパは日曜なら全店閉鎖の国も。
が、今日は月曜。
まてよ、祝日 とか?
「 ローマの休日 」に来てしまった?
正直、イタリアに良いイメージがない。
「 ヨーロッパ一周だから一応行くか。」
ぐらいの気持ちで来てみた。
イタリア女性は自分には顔が濃過ぎ。
男は見境なく女性に言い寄るイメージ。
パスタ・ピッツア等好きになれず。
広島人、うどん・お好み焼きが好き。
ガイドブックに、
「 スリ・置き引きが多い、油断大敵。 」
とあり、その点もテンション上がらず。
唯一、ドア開放のレストラン発見 !
中に入ると、主人らしき男が一言。
「 シェスタ。」
そういうことか。
ガイドブックに「昼寝休憩」の話が。
が、法律で強制とかではあるまい。
大勢の観光客、営業すれば儲かるのに。
「 どこから来たんだい ?」
イタリア語が話せないと見抜いたよう。
主人が、英語で聞いてくれた。
「 日本から。
ぼくの国で昼寝は赤ちゃんぐらい。」
主人は笑いながら、
「それは残念だな。
昼寝すれば、1日を2度生きれる。
人生を2倍楽しめるのに。」
真夏のローマはなかなか日が暮れない。
サマータイム、午後8時でも明るい。
日本の午後5時ぐらいの感じ ?
が、6時前にどこも店じまい。
3時までシェスタで店を閉めてたのに。
観光客はまだ街にあふれてるのに。
銀行は昼までが営業時間のとこも多い。
夏休暇と称し1ヶ月休業の企業もある。
夜の繁華街がガイドブックにない。
バス待ちビジネスマンに英語で質問。
「 ローマの人達が夜楽しむ場所は?」
そのローマ人は不思議そうな顔で
「 もちろん、それぞれの家庭だよ。」
確かに、庭や前の道までテーブルを。
夜、宴会してる家をよく見かけた。
最初の夜見た時は、何かのお祝いと。
が同じ場所で、毎日やってたりする。
ま、家で楽しめば安くつく事は確か。
夜10時頃、何か食べたくなった。
泊まった安宿の主人に、英語で質問。
「 近くにコンビニはないですか?」
「 『コンビーニエンスストア』、何 ?」
「 夜中も開いてて食品等売ってる店。」
「 ローマにはないね、そんな店は。
日本には、夜中に開く店があるのか?」
「 24時間開く店が、たくさんあるよ。」
「 ひどいな、信じられない。
日本人は、夜中まで働かされてるのか?
古代ローマの奴隷でも、
夜は寝かせてもらえたのに。」
「 …… 」
「 日本人は働くために生まれたのか?
俺たちは楽しむために生まれたのに。」
ローマに来る前、ギリシャの安宿。
イタリア人と相部屋になった。
「 次は、君の国イタリアへ行く。
イタリアってどんなとこかな ?」
そう聞いたぼくに、彼は笑って答えた。
「 食べて、歌って、恋をして、
それがイタリアさ、それがすべてさ。」
( 完 )
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< 補足 > ローマを見て死ね!
ローマについて、
「 世界で最も美しい都市、街自体が芸術 」
などとガイドブックにあった。
「 はい、はい、そうですか、そうですか 」
ぐらいにしか思っていなかった。
が、実際に行ってみて本当に驚いた。
ガイドブックに載ってる場所はもちろんすごい。
が、載ってない場所でもすごいとこだらけ。
両替のレートが知るため入った、古ぼけた銀行。
そこに、巨大な美しい天井画が。
道に迷い入った路地。
窓辺一面に洗濯物を干すぼろアパート。
部屋の軒に、みごとな天使の彫刻が。
そんなことが、ざらにある。
実は、ローマへ行くまで、建物・彫刻に特に興味なかった。
文化 ・ 芸術とかそれがどうしたと反発を感じるタイプ。
が、ローマに行き、文化・芸術・宗教・歴史のすごさを本当に感じた。
とにかく、ローマへは一度行ってみるべきである。
とりわけ、夜明けにローマの街を散策する事を強力に薦める。
そうすれば、「 ロマンチック 」のなんたるかを理解できよう。
( 自分で書いてて少し恥ずかしいが )
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