永遠の出口 (集英社文庫(日本))

永遠の出口 (集英社文庫(日本))

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/02/17
  • メディア: 文庫




『私は、<永遠>という響きにめっぽう弱い子供だった。(中略)いろいろなものをあきらめた末、ようやくたどりついた永遠の出口。(中略)もしかしたら大人への入口に通じているかもしれないその出口へと一歩一歩、近づいていった』

主人公は岸本紀子。姉と両親の4人家族。千葉の田舎に住んでいる。彼女が小学三年生から高校三年生までを描いている。

小学四年生のとき、同じグループの好恵と誕生会をめぐっていざこざが起きる。五年生のとき、担任の深沢サヨ子(黒魔女)に苦しめられるが、幼なじみのトリ(鳥井真雪)のリーダーシップで闇の三ヶ条をみんなで取り決める。

小学校を卒業し中学生になるまでの春休みに、春子とクー子と三人で千葉市のデパートに遊びに行く。春子はトリと同じ私立の中学に進む。クー子と紀子は公立と道が分かれる。

『決して忘れないと約束した相手もいつかは忘れると知っている切なさ。多くの別離を経るごとに、人はその瞬間よりもむしろ遠い未来を見据えて別れを痛むようになる』

山吹第一中学に進学し、同じグループの千佐堵に誘われてテニス部に入るが、運動神経の無さから退部。いつも正論しか言わず、気持ちの伝わってこない千佐堵について、
『千佐堵の言葉はいつもそうだ。そこに私しかいなくても、つねに見えない大多数へ発せられている気がする』

ある日、家に一人でいるときに、両親が密造していたワインが破裂する。自分には校則を守れとワカメちゃんカットを強要するくせに自分たちは法を犯していることに我慢できず、家を出て小学校のときの知り合いの茅野勇介のたまり場に行く。そこには酒もタバコもシンナーもあるアパートの一室だった。紀子は髪を染め、無断外泊を続け、万引きで捕まる。

『みんなが少しずつ壊れていて、その欠陥を見つめるよりは、騒いでごまかすことに熱心だった。
 相手の本心が見えない不安より、うまく繕っている仮面をはがれる恐怖のほうが強かった』

高校生になり、レストランでアルバイトを始める。しかし途中でリーダー格が変わり、雰囲気がおかしくなりバイトは辞める。安田君に恋をする。ところが、女友達が「やすだ」を勘違いして保田君と引き合わせる。しかし、二人は付き合い始める。

『恋において本当に重要なのはこういうことなのだ。(中略)
 すわなち、この広い世界でこの人とだけは確実につながっている、と互いに思わせ続けること』

しかし、この恋はクリスマス・イブに吹き飛ぶ。

高三になり、進学組でも就職組でもない紀子はスターウォッチャーズの養成講座を受ける。そこで太陽も永遠ではなく寿命があり、50億年後には膨張して地球が飲み込まれることを知り愕然とする。姉が短大に進学し一人暮らしを始めた。春子が東京に引っ越しするという。

『星と星がぐんぐん遠ざかるように、確かに私たちもその頃、それぞれの未来へと離散すべき時を迎えていたのかもしれない』

読んでいてZARDの「永遠」が頭の中に流れた。♪君と僕との間に 永遠は見えるのかな?♪そして、自分が小学生の頃、中学生の頃、高校生の頃を想い出した。

一口で言えば「繊細」な時代。自分でどうしていいか解決策がわからなかった時代。でも普段は忘れているし、当時の気持ちを文章にすることは到底できない。

森さんはどうして多感な時期の気持ちを覚えていて、それを巧みな文章にできるんだろう?プロの作家だから?いや、この作品は森さんにしか書けないような気がした。

(TigerKAZ推薦図書)


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永遠

永遠

  • アーティスト: 坂井泉水,池田大介,葉山たけし,徳永暁人,古井弘人
  • 出版社/メーカー: 株式会社ビーグラム
  • 発売日: 1999/02/17
  • メディア: CD




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