人の生き様と心根~ヒース・レジャーの命日に思うこと | ネコ人間のつぶやき

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 「あさが来た」で五代さま・こと五代友厚(ディーン・フジオカ)の生き様が先週・今週で描かれていますね。群像劇というものは「人の生き様、生き方は本当に人それぞれだなあ・・・」と考えさせられますね。


 本日1月22日は、オーストラリア生まれの俳優、ヒース・レジャーの命日です。彼が亡くなって、もう8年が経過したのですね。時が経つのは本当に早いものです。当時、彼の突然の訃報に驚いた記憶があります。


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"Heath Ledger" Photo by johnantoni

source: https://flic.kr/p/4nGjE7



 ヒース・レジャーと言えば、2つの作品が代表作として頭に浮かびます。ひとつは「ブロークバック・マウンテン」(2005年)。もうひとつは「ダークナイト」(2008年)です。


 ヒース・レジャーは「ブロークバック・マウンテン」で主人公・イニス役を好演し、オスカー主演男優賞にノミネートされました。この時ヒース・レジャーは弱冠26歳という若さでした。



手前がイニスを演じたヒース・レジャーです。
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"brokebackposter (press)" Photo by independentman

source: https://flic.kr/p/6rSex



 「ブロークバック・マウンテン」は、今以上に同性愛者に対する差別が激しかった1963年、イニスとジャック(ジェイク・ギレンホール)の2人の青年が羊飼いの季節労働者としてブロークバック・マウンテンという山で出会って惹かれあってからの、あまりに切ない20年間の物語です。


 作品の評価も高く、純愛、仮面を被って生きざるを得ない葛藤と悲しみを、雄大なブロークバック・マウンテンと、町という俗世間での生活を背景に描いた名作です。


 ヒース・レジャーは、イニスの20年間を自身の演技力で見事に表現しました。特に私はトレーラーハウスで40代になったイニスの姿に心を打たれてしまいましたね。


 「ブロークバック・マウンテン」から3年後、ヒース・レジャーは「ダークナイト」(2008年)で、究極の悪役・ジョーカーを演じました。事前のヒースによる役作りは完璧だったそうです。


 作品のテーマ性(「究極、人間の本質とは何か?」という問いかけ)を考えると、ヒース・レジャーの名演技なくしてこの作品がここまで評価はされなかったでしょう。


 しかし、彼はこの作品の公開前に突然亡くなってしまいました。28歳というあまりに早すぎる死でした。訃報を聞いて、余計に蝋燭の最後の強烈な炎のような鬼気迫る演技に感じました。


 ジョーカー役の演技が高く評価されて、この年のアカデミー賞では亡くなったばかりのヒース・レジャーに対してオスカー助演男優賞が授与され、天国の彼の代わりにご家族が壇上に上がりました。


オスカーを受賞した「ダークナイト」でのジョーカー役。今もヒースの渾身の演技が評価されています。
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"Heath Ledger - Oscar for Best Performance by an Actor in a Supporting Role 2009" Photo by Caspy2003

source: https://flic.kr/p/8Uor7P



 ヒース・レジャーのガラスのように美しく壊れそうな内向的でナイーブな雰囲気。この繊細さが彼を卓越した表現者たらしめたのでしょうね。


 同時に、その繊細さと周囲からの高評価ゆえに、ご本人はプレッシャーを強く感じていたかもしれません。今もご存命なら36歳。まだまだこれから・・・という年齢ですね。つくづく惜しい気持ちになってしまいます。


 アンネ・フランクは「私がこの世を去っても、私の作品はずっと残って生き続ける」と語ったそうです。これは作品を生みだすアーティストの特権かもしれませんね。


 ヒース・レジャーの人物の内面を描き出す表現力も「アンネの日記」同様、彼の作品の映像に観ることが出来ます。そして、ずっと後世に遺ることでしょう。


 世界文化遺産に有形と無形の両方があるように、本来人間というものは、ヒース・レジャー達のように明確な形を残す人もいれば、形のない方法でもって後世に遺す人も存在していると思います。最初に「人の生き方・生き様はそれぞれ」と述べた所以です。


 有形・無形問わず、人が貴重な何かを残せるかどうかは、結局その人の生き様なのだろうなあ・・・と感じていますね。


 その人の生き様に人の心が動かされる理由は、きっとその生き様の中心にあるその人の心根でしょうね。そんなことを思います。


 先に紹介した「ブロークバック・マウンテン」のイニスの姿に胸を打たれた方はイニスの生き様と彼の純粋でイノセントな心根に心が動かされたからでしょう。


 しかし人生いろいろですね。五代さまを始め、「あさが来た」の人々の生き様については、またいつかお話したいなあ・・・と思います。