March 08, 2008 16:59:22

lust, caution

テーマ:critique
February 29, 2008 16:39:09

佐藤多佳子『一瞬の風になれ』

テーマ:critique

佐藤多佳子、やっぱりいい。

『ピンポン』?、って思わなくもないけど、
グロテスクでもエロチックでもスキャンダラスでもない、
普通の小説で、ここまでできるということが爽快。
まっすぐに、淡々と、普通に、今を生きることを肯定している、
実はあまりない作家だと思う。
ちゃんと日本を見てるんだなって思う。
壊れている部分ではなくて、いつの時代も変わらない部分を、ちゃんと。
それが、今のことばで、風景で、表現されていて。
涼しい顔ですごいことをしているなって、思う。
連みたい。佐藤多佳子。
誠実な感じは、シンジだけど。

それにしても、『しゃべれどもしゃべれども』は、大学時代を過ごした武蔵境で、
『一瞬の風になれ』は今住んでいる相模大野。(もうすぐ引っ越すけど)
きっとどこかですれ違ってるんじゃないかしら。
運命の人みたい。
佐藤多佳子。
普通過ぎて、気がつかないけど、きっと。

私も走れるようになりたい、と思った(だけでなく本当に走った)単純な自分が、
この小説を読んだ後だと、ちょっといいと思える。




February 05, 2008 12:37:59

いのちの食べ方

テーマ:critique
お正月に『いのちの食べ方』 を見た。


シモーヌ・ヴェーユの一説がリンクするので。

「私たちは現在の生産体制に耐えることはできても、それを承認することはできません。そうしたことすべてを考えまいとするのは、自分を共犯者にすることです。反対に、この体制のなかにみずからの場を手に入れ、そこで何ごとかをしなければなりません。」


承認しないけれども、尊敬を失わず、
耐えるけれども、うらまない。

そんな強さを求めている。



January 31, 2008 17:20:16

Constructing Trust in Web 2.0.

テーマ:critique
とあるサイトの「このサイトについて」から。
表現の自由と批判への開放性の根本としての知性の信頼について。
On trusting intelligence as the basis for the freedom of speach and openness to the criticism.
http://rense.com/disclaimer.htm


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The idea of a free press in America is one that we hold in the highest regard. We believe in bringing our site visitors and program listeners the widest possible array of information that comes to our attention. We have great trust and respect for the American people, and our worldwide audience, and believe them to be fully-capable of making their own decisions and discerning their own realities.
 
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January 23, 2008 20:23:27

全部、フィデルのせい

テーマ:critique
一番心に残ったことば

「パパは、集団の精神と、人まねを間違わないの?」

その時のパパの隣で悲しそうな顔をするママの顔。。。
子どものかわいさよりも、自分の生まれ育った環境に未だとらわれたまま、生き方を決めかねている、アダルトチルドレンな親世代に共感しました。

二番目に心に残ったことば

「大丈夫、お手伝いさんと一緒よ。いなくなれば寂しいけど、じき慣れる。」

お友達と離れ離れになってしまうことを覚悟して。
子どもはずっと強いな。
すぐ慣れるけど、きっと忘れない。
そして、いい思い出にしてみせる。

のだよね、子どもは。
大人はもっとやっかいだな。

平日夜の恵比寿を歩くと、一人水の中に仰向けに浮かんでいる気分がする、
となぜか、思った。
January 23, 2008 19:50:23

ヴォルテール『ガンディード』

テーマ:critique
映画『メリンダ×メリンダ』は、悲劇と喜劇は表裏一体、ということを、同じ内容を二つのお話にすることで示していたけれど、ヴォルテールの『ガンディード』は、悲劇も過ぎれば面白い、のかも?ということを表している、ような気がする。

一生懸命やっている、のになあ、、、と、本人が思っている時には、
案外周囲は、面白い、と思ってみている、のかもしれない。

雪で、びしょぬれで、バスは遅れて来た上に、超満員、という今朝の状態は、
悲劇的すぎて、確かに笑えた。

でも、自分では笑えないこともあって、
むしろ、もう、無感覚。

桜を見ては、春になれば春になれば、と念じてみる。
前向き、ということと、待てる、ということもまた、表裏一体。





January 18, 2008 21:59:24

志賀直哉『和解』

テーマ:critique
「それは今お父さんにお会いするまでは永久の気ではありませんでした。お祖母さんが御丈夫な間だけ自由に出入りを許して頂ければよかったんです。然しそれ以上の事が真から望めるなら理想的な事です。」と自分は云いながら一寸泣きかかったが我慢した。
「そうか」と父が云った。父は口を堅く結んで眼に涙を溜めていた。

(中略)

…母は急に起上がって来て自分の手を堅く握り〆て、泣きながら、
「ありがとう。順吉、ありがとう」と云って自分の胸の所で幾度か頭を下げた。

(中略)

妻は黙って近よって来て自分の手を両手で堅く握りしめた。そして、
「お目出度う」と云った。


- 主人公が父との和解を果たす場面ー

to pray, to hope, to love








January 13, 2008 22:45:02

赤系映画青系映画

テーマ:critique
一番好きな映画は、と聞かれたら、
『夜よ、こんにちは』http://www.bitters.co.jp/yoruyo/
です、と答えます。
これは、1978年にイタリアで実際におこった、『赤い旅団』によるアルド・モロ元首相誘拐殺害事件をベースに作られた映画です。
主人公は、主犯格の男のガールフレンドでまだ二十代前半のキアラ。
普段は、大学の図書館で働いています。
物語は、キアラの、<主義>に染まりきらない人間的な感情の動きに沿って、描かれます。

幽閉中のモロが、「君たちの中に女がいるんだね。靴下がきちんとおりたたまれている」、と言う場面、
親を安心させるために、彼女に少し気がある同僚で育ちの良さそうな青年を親戚の結婚式に連れて行った時に見せる、キアラの幸せそうな、はにかんだような笑顔、
モロが家族に最期の言葉を残すのを聞きながら涙する場面、
そして、ラスト、モロが脱走するというシナリオを、夢にみる、本当に格好いい場面。

どれも、イタリアの絵画のような落ち着いた色調と共に、心に刻まれています。

今の社会に疑問を持ちつつも、それに対抗するために作られた主義に染まることはできず、
あらゆる主義に自分をならして生きる大人には、いつまでも青臭いと言われながら、
人間的な感情を捨てきれない。キアラに自分を重ねているのだと思います。

そんな私が見たい、と思う映画がまた登場したみたいです。
今度は、青系、のようですが。

『ぜんぶ、フィデルのせい。』
http://fidel.jp/index2.html
恵比寿で19日から。
要チェックです。
December 13, 2007 15:49:11

ジンメル『愛の断想・日々の断想』

テーマ:critique
『自分自身に適せず、踏み迷って、休むことを知らない存在、それが人間である。理性的存在としては余りに多くの自然を有し、自然的存在としては余りに多くの理性を有している ーどうすればよいのか。』

(清水幾多郎訳 岩波文庫 71頁)


どうすればよいのか。

信じる理由などいらないというには余りに多くの理性を有し、
信じないというには余りに多くの自然を有している時には。

必要なものは唯忍耐のみと感じ、その重みに耐えられない時には、
目をつむって知らぬ間に朝が来るのを待つ。

信じようが信じまいが朝だけは確かにやってきて、
弱く小さな人間を救うので。



April 21, 2006 09:25:31

カンバセーション・ピース

テーマ:critique

保坂和志の『カンバセーション・ピース』(新潮文庫)を読了。


昔読んだ、谷川俊太郎の、「哲学者だってゲップする。僕は哲学者の息子だったから知っている。」という意味の詩をなぜだか思い出した。


語り手でもある主人公は「小説家」ということになっているけれど、彼は哲学者だ。

哲学者だって、三匹の飼い猫を、それぞれの用を足した後の始末の仕方まで「聞き分け」られるほど溺愛してしまうし、昔飼っていて夭折した「チャーちゃん」を思い出すと、今でも心がしわしわになってしまう。

哲学者だって、その妻に言わせれば、物事をこねくり回して考える「こまったおじさん」であり、

哲学者だって、横浜ベースターズからローズが引退することには「落胆するどころか怒りさえ感じる」のだ。

それでも彼が哲学者たる所以は、たぶん、野球を見ながら、メルロ・ポンティの「ソナタがソナタたる所以はソナタ演奏者がソナタに奉仕しているからだ」という一説を思い出し、「野球が野球たる所以は選手と観客が野球に奉仕しているからだ」などと思ってしまうところ。なんだか、ばかばかしくて微笑ましい。

彼を含む六人の同居人プラス三匹プラス思い出たちの日常の風景は、退屈だけど面白く、平坦だけど奥が深い。


にしても、「わからないときにすぐにわかろうとしないで、わからないという場所に我慢して踏ん張って考えつづけなければいけないんだな、これが」という主人公の名前が「内田」なのには、意味があるね。たぶん。


でも私は、内田のおじさんに「僕はいやですよ20年も踏ん張ってらんないですよ」と騒ぐ森中くんのまっすぐな若さにも惹かれます。暑苦しいのでもうちょっと痩せて欲しいけど。


久しぶりに「出会ってしまった」小説でした。





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